倉林明子

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困窮者支援拡充こそ コロナ対策で参考人(2021/5/6 厚生労働委員会)

 参院厚生労働委員会は6日、新型コロナウイルス対策について参考人質疑を行いました。参考人から、生活困窮者や介護施設への支援拡充を求める声が出されました。

 生活に困窮する人たちを支援する「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事は、大型連休中の食料支援に2日間で約660人が訪れるなど、各地の炊き出しに集まる人が増え続け、年明け以降は「死ぬことを考えている」という20~30代からのSOSが急増していると指摘。貸し付けを主とする政府の貧困対策を批判し、再度の給付金支給、住居確保給付金の支給期間の制限撤廃など現金給付の拡充を求めました。

 生活保護の利用が進んでいないとも述べ、政府の広報不足、自治体窓口で申請を妨げる「水際作戦」や、扶養照会・資産要件の問題を指摘。「生活困窮者支援の現場では『公助』の姿が見えない。今この瞬間、命を絶つことを考えている人たちに、『日本には命と暮らしを守る政府がある』ことを行動で示してほしい」と訴えました。

 全国老人福祉施設協議会の木村哲之副会長は、コロナに感染した入所者の入院先がないために施設内で対応している介護施設への財政支援を求めました。

 日本共産党の倉林明子議員は、住まいの確保策や生活保護の扶養照会について質問。稲葉氏は、国主導でアパートなどを借り上げて困窮者に提供することを提言。生活保護では、本人の同意のない扶養照会をやめるよう求めました。


議事録を読む

○委員長(小川克巳君) 倉林明子君。

○倉林明子君 日本共産党の倉林でございます。
 今日は本当にありがとうございます。
 まず、稲葉参考人に伺いたいと思います。
 ホームレスは属性ではなくて状態である、これコロナ禍が実証したというふうに書かれていまして、なるほどと思って、大事な視点だということを気付かされたんですけれども、今日のお話伺っていても本当に危機感が、現場の危機感が伝わってきていまして、公助が見えないという御指摘でした。本当にどう見える化していくのか、住居確保という、住宅確保という支援でもう一歩踏み込んで、行政が見えるというような支援の中身について御提案いただければ有り難いと思います。

○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 住居確保給付金という仕組みがありまして、これは従来、離職者が対象だったんですけれども、コロナ禍において自営業、フリーランスの方も困窮されているということで、昨年四月以降、対象が拡充されています。また、支給期間についても、元々九か月だったんですけれども、昨年末にこのままだと切れてしまう方が続出してホームレスになってしまう人が増えるということで私たちの方で署名活動行いまして、そうしたことを受けて延長はされています。ただ、それでもやっぱり支給期間については限定があるということで、この春以降切れてしまう、切れてしまったというような相談も私たちのところには届いております。
 そもそも、これだけコロナの影響が長期化するということは誰も想定できていなかったわけですから、この住居確保給付金については、やっぱり支給期間の限定というのを撤廃して、諸外国で行われているような普遍的な家賃補助制度へと変えていく必要があると、住まいについては何としてでも確保するという姿勢を見せてほしいというふうに思っております。ステイホームが呼びかけられる中で、そのホーム、住まいを維持できない人たちが出るという事態は絶対避けなければならないので、まず住居の安定に向けた対策を行ってほしいというふうに思っています。
 私たちも、民間でアパートの空き室を借り上げてシェルターとして活用するという事業を行っています。つくろい東京ファンドでは都内五十九部屋を借り上げてシェルターとして利用していまして、そこには十代から七十代まで本当に老若男女の方々に利用していただいております。国としてもこうした事業を行ってほしいということで要望行ってきたんですけど、残念ながらまだ実現していないと。現金の給付だけではなくて、現物の給付ですね、アパートの空き室、今増えていますので、これを借り上げて困っている方に提供するという、その両方、現金給付、現物給付、両方が必要だというふうに考えます。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 引き続き稲葉参考人に。
 生活保護行政について様々な御提言、御要望されているということで、勉強させてもいただきました。中でも扶養照会について御指摘をいただきまして、一定の改善がされたというふうに受け止めてはいるんですが、その評価と、更なる改善すべき点ということでお願いしたいと思います。

○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 この間、扶養照会については様々働きかけを行ってきまして、その結果、今年の四月以降は、御本人が、申請する方御本人が扶養照会してほしくないというふうに言っている場合はその事情についてきちんと聞き取りを行いなさいと、で、扶養照会をしなくてもいい事情に当たるかどうか聞き取りを行った上で判断してくださいというふうに運用が変わっております。
 ただ、その扶養照会を行わなくていい場合というのは、扶養の履行が期待できない場合、要するに親族が経済的に困っているとかいうような場合に限られておりますので、結果的に聞き取りをした結果やっぱりあなたの場合は扶養照会させていただきますというふうになる可能性というものはやっぱり残っているわけですよね。ですので、そのように御本人がコントロールできない、私は、やっぱり自分が生活保護を申請するということをほかの人に知られるというのはやっぱりこれプライバシーの問題だというふうに考えますので、厚生労働省が生活保護は権利だというのであれば、きちんとその御本人の自己決定権を尊重する、御本人のプライバシーに関する、この人には知らせてもいいけどこの人は知らせてほしくないということを尊重するような仕組みに、はっきり御本人が拒否する場合は連絡しないということを明記した通知を出してほしいというふうに願っています。

○倉林明子君 ありがとうございました。
 終わります。


○倉林明子君 ありがとうございます。
 忽那参考人に伺いたいと思います。
 オリンピックについて先ほど御意見伺いましたので、ワクチンを急いでやるべきだと、異存ないんですが、あしたにも緊急事態宣言の延長かということで、感染拡大が収まるめどがないと。全国的にも広がっているという状況もありまして、今度は医師や看護師の派遣要請がオリンピックの期間出てくれと、ボランティアでということがあります。
 これは、ワクチン接種を急ぐということとこの派遣要請について大変矛盾しているというふうに私は思っているんですけれど、率直な御意見お聞かせ願えれば有り難いです。

○参考人(忽那賢志君) 御質問ありがとうございます。
 そうですね、なかなか私からは申し上げにくいところありますが、そうですね、医療者もワクチン接種もしないといけないですし、コロナ対応もしないといけないと。というような中でオリンピックに支援をするというところで、さらに、そうですね、そのキャパシティーが限られる中でそういう支援を要請されているところはありますので、現在私が理解している範囲ではボランティアでの協力を要請されているというふうに理解していますので、そこに十分な手当てを付けていただくということは少なくともあって、検討をしていただくのがいいのかなというふうには考えております。

○倉林明子君 言いにくいところ、ありがとうございました。
 松本参考人に伺いたいと思います。
 HER―SYSの活用について、これ導入時に東京がなかなか遅れているというようなことは報道でもあったんですけれども、やっぱり導入に当たって個人情報の不正利用を防ぐという観点から整理必要だったと思っているんですね。
 そういう意味で、自治体独自の個人情報保護条例との関係でも必要となった手続等が具体的にあったかと思うんです。すぐそのHER―SYSが使えなかったといいますか、時間掛かったという辺りの状況を教えていただければと思います。お願いします。

○参考人(松本加代君) 御質問ありがとうございます。
 港区は全国で一番最後に入った自治体ということで新聞等で報道されておりましたが、それは、今、普通、行政端末は自治体間のLGWAN回線に乗るんですが、今回、インターネット回線上で、医療機関の先生方も入力するということで、出始めがインターネット回線ということがございました。今は多分LGWAN回線になりましたが、それは強く要望していってなったというところです。
 個人情報というよりも、きちんと個人情報が保護される安全な回線の中に入れてほしいということを要望したということと、あと、万が一何か流出等あったときにアクセスログが要求できるというのが一般的なインターネットのシステムだと聞いておりますが、アクセスログが付いていなかったということで、そちらも九月に付けていただいて、港区はそういう安全面を確認した上で乗せていただきました。それによって遅れたということでございます。

○倉林明子君 ありがとうございました。
 時間があれなんですけれども、木村参考人に一つお伺いしたいと思います。
 先ほど来出ています感染者が出たときの継続ですよね、継続入所、これもう大変なことだと思うんですね。
 先ほども、連携法人の医者や看護師には診療報酬上の評価付いたけれども、財政的な支援ないと。それ以外にも、言いにくいかもしれへんけれども、せっかくでございますので、具体的な御要望等お聞かせいただければと。

○参考人(木村哲之君) 先生、ありがとうございます。
 具体的にと申しますと、金額とかではないでしょうけれども、もちろん実際に病床を逼迫せずに、そして入所継続にならない取組が事前に日常的にも必要なんだろうというふうには認識はしています。その上で、万が一その病床逼迫時に入院ができない、入所継続という事態になったときには、やはり通常、今示されて、国で示されているそういった要件ですね、そういったものを最低限それを保障、遵守していただくということが先ほど私の方から申し上げたことなんですね。もろもろ、幾つかその要件がございます。こういう、看護師を派遣するとか、そしたらオンコールで対応を医師もするとか、そういった幾つかの諸要件があるんです。それを最低限遵守をしていただいた上で、更にやはりいろんな設備に掛かる費用であるとか、そういったものについても見ていただきたいというふうに思っております。

○倉林明子君 終わります。