男女共同参画に尽力 倉林氏に人事官候補(2021/3/12 議院運営委員会)
参院議院運営委員会は12日、政府提示の国会同意人事のうち、川本裕子人事官候補から所信を聴取しました。
日本共産党の倉林明子議員は、日本の女性閣僚の比率は世界190カ国中113位だと指摘。国家公務員の指定職相当に占める女性比率は4・4%だとして、認識を問いました。川本氏は、日本の遅れを指摘し「(男女共同参画に)公務部門は率先して取り組むべきだ」と述べました。
倉林氏は、昨年の東京高検検事長の定年延長をめぐる問題に触れ、人事院は政府からも中立・公正性が求められる存在だと指摘。その上で国際労働機関(ILO)87号条約(結社の自由及び団結権保護)、98号条約(団結権及び団体交渉権)で、条約違反の勧告がされているとして、団結権、団体交渉権、争議権の早期・完全な回復が必要ではないかと質問。川本氏は、「現況はILO原則に反しないと聞く。ILOへの説明も大事」と答えました。
倉林氏は、給与のマイナス勧告など人事院が労働基本権制約の代償機能を果たしているとは言い難いと指摘し、現状への評価を聞きました。川本氏は、「マイナスの方向でも、民間給与との比較で適正な水準を勧告する」と答えました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。
今日は、人事官候補川本裕子参考人に質疑をさせていただきたいと思います。
まず最初に、私の方からもジェンダーギャップの問題で、意見表明の中でもありましたけれども、国際的に大変遅れているのが今の日本だという認識は共通していると思ってお聞かせいただきました。
先日、列国議会同盟、IPU、国連のUNウイメンが共同で発表したものですけれども、女性の閣僚比率が世界全体で見ると二一・三%、過去最高という水準になったものの、日本は一五・八%、G7で最下位だということでした。世界で見ますと百九十か国中百十三位という位置にありまして、これ実は日本の国家公務員を見てみますと指定職相当では僅か四・四%という状況にあります。
こうした実態についての認識と、人事官候補としての問題意識も触れられましたけれども、もう極めて少ないという指定職級以上の、指定職相当の女性比率をどう高めていくのかという点での御意見をお聞かせいただきたい。
○参考人(川本裕子君) 倉林委員には申し訳ないんですけれども、先ほど私の応答で言い間違いをしまして、テニスはいいけれどもゴルフは駄目というのを反対を申してしまいましたので、ここで訂正させていただきます。済みません。
で、ごめんなさい、ジェンダーギャップについて話させていただきます。
国家公務員の、済みません、男女共同参画の実現は、人事行政において非常に重要だというふうに思っております。世界の百二十か国が日本よりも男女均等的、日本の結局前に百二十か国が結局日本よりも進んでいるということでありますので、公務部門は率先して取り組むべきだというふうに思っております。
日本には、先ほども申し上げましたけど、強固な性別役割意識があって、女性の活躍を阻害してきた面は否めません。学校修了時点では男女に差がなくて、法律も整備されているのに、いまだ国全体で非常に意識が低くて、テレビのコマーシャルなどでも性別役割意識を固定するものもあります。
ですので、やはり登用を増やすには期待して鍛えるということかと思っておりまして、やっぱり女性にはこれまで投資がなされておりませんので、人事評価を客観的に行えば自然と増えていくと思っております。女性は実績で評価され、男性は可能性で評価されるとよく言われますし、女性で昇進している人は同じ地位の男性よりも長時間労働であるという調査もあります。もちろん、霞が関の長時間労働は、女性だけでなくて、男性にとっても職場としての魅力を失わせて、持続可能ではないと懸念をします。
もちろん、自然に増えるのを待っているだけでは速度が速くなりませんので、施策が必要です。テレワークなど場所にとらわれない働き方は、女性活躍の可能性を広げると思います。私も三十年前から、外資系ですので、電話会議、メール、ボイスメール、後にビデオ会議などを使って、こういうテレワークも取り入れながら、子供を育てながら仕事を続けられた経験がございます。
女性職員の登用拡大に向けては、人事院においては、女性職員を対象にした業務遂行能力の伸長やキャリア形成を支援する研修、また管理職員を対象に意識啓発を目的とする研修も実施されているというふうに聞きますし、ハラスメント防止対策にも取り組んでいるものと承知しています。男性、やっぱり管理職への研修もあった方がいいと思います。
ドイツの国防省は部下の女性をどれだけ育てたかということを評価の対象にしているというふうに聞きますので、いずれにしましても、政府は意思決定層の三〇%の女性を目標にしているわけですから、計画的に進めていく必要があると思っております。
○倉林明子君 二〇二五年度末で、政府の目標は八%にとどまっておるんですね。
確かに、期待して鍛える、大事な観点だと思います。しかし、女性が働き続けられない、やっぱり育児や子育ての面でのギャップも大きくありますので、環境整備ということも是非視野に入れていただきたいなと思います。
そこで、昨年、東京高検の検事長の定年延長をめぐりまして、国会で大きな議論となりました。高い独立性が求められる検察官の人事には人事院は関与しないと、これ原則でありました。政府の法解釈の変更で変えられたという事案でありました。
これ、検察の独立性を脅かしたというだけではなくて、私は、人事院の中立公正性にもこれ重大な影響を与えたのではないかと思っています。御見解、御見識をお聞かせください。
○参考人(川本裕子君) 検察官の勤務延長に関する経緯を詳細に承知しているわけではありませんが、国家公務員法と検察庁法の適用関係は、検察庁法に定められている特例の解釈に関わることであるから、検察庁法を所管する法務省において整理されるべきものであるというのが政府見解だというふうに認識をしております。
仮に人事官に就任した場合には、国家公務員法の所管官庁として、法の適用関係について私の立場で注視してまいりたいと思っております。
○倉林明子君 注視するだけでなくて、政府からも中立公正性が求められている、そういう存在であるということは指摘をしておきたいと思います。
そこで、政府が批准しておりますILO八十七号条約、そして九十八号条約についてなんですけれども、ILOからは、度重なる条約違反である旨の勧告が繰り返しされております。政府は無視をしております。
労働基本権、団結権、団体交渉権、争議権、これ本来公務員にも保障されるべきであって、早期かつ完全な回復が必要だというふうに思います。それについてのお考えと、人事院が果たすべきこうした労働基本権制約の代償機能について改めて、済みません、時間がなくなってきたので、短くお願いできると有り難いです。
○参考人(川本裕子君) ILO結社の自由委員会から累次の勧告がなされていることは承知しております。
該当するILO憲章では、労働者に団体交渉権を保障することを締結権に求めていますけれども、同時に、国の行政に従事する公務員はその対象から外している、すなわち労働基本権の制約を認めていて、これらの公務員に対して適切な代償手続の保障を求めていると理解をしています。日本政府は、非現業国家公務員はILOのいう国の行政に従事する公務員に該当する、なので現況はILOの原則に反しないとの立場とお聞きしています。
勧告文を拝見しますと、ILOに日本の現況について丁寧に説明していくということも一方で大事かなと思います。
○倉林明子君 度々勧告を受けているということは頭に置いていただければと思います。
人事院は、政府から独立して中立、そして、国家公務員の身分の任免、服務、賃金、労働時間等労働条件定めるという役割あるわけですが、勧告について、実態は、給与のマイナス勧告が出されたり、人事院の勧告の水準をはるかに超える公務員給与の削減ということも行われております。これ、決して十分な代償機能を果たしているとは言い難いと思うわけです。
現状の人事院が果たしている代償機能に対する評価、率直にお聞きしたい。
○参考人(川本裕子君) 労働基本権を制約されている国家公務員の適正な処遇を確保するために、国家公務員法に定める情勢適応原則に基づいて、国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準に合わせるという民間準拠を基本として行われているというふうに承知しております。
ですので、民間の給与水準が上がる場合でなく下がる場合においても、公務と民間の均衡を図ることが国家公務員給与を社会一般の情勢に適応させるという国家公務員法第二十八条の情勢適応の原則の定めに合致しているものと理解をしております。
民間準拠を基本とする国家公務員の給与水準を決定する仕組みは定着していて、厳しい民間の諸条件の中で今後とも国家公務員給与に対する国民の理解を広く得ていくために、マイナスの方向の場合であっても人事院が正確な調査に基づく民間給与との比較によって適正な水準を勧告していくことが重要と考えております。
○倉林明子君 以上で終わります。ありがとうございます。