倉林明子

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介護施設 食費補助の見直し 対象27万人 影響100億円(2021/3/12 予算委員会)

(資料があります)

 8月に予定されている介護の利用者負担増をめぐり、厚生労働省は12日、介護施設に入所する低所得者への食費等の補助(補足給付)の見直し対象者が約27万人で、影響額は約100億円に上ることを明らかにしました。参院予算委員会で日本共産党の倉林明子議員に答弁しました。

 同省は、介護利用料の自己負担上限額(高額介護サービス費)引き上げについては、対象3万人・影響額10億円程度だと説明。対象人数・影響額は介護保険部会に示していないことを認めました。人数・額ともに8月から来年3月末までの約半年分の数字です。倉林氏は「影響額は介護サービス利用者の負担増に直結する。部会で議論のやり直しが必要だ」「補足給付は低所得者への福祉施策として一般財源を充てるべきだ」と主張しました。

 政府は、補足給付の資産要件を厳格化して補助の対象や額を狭めようとしています。自己負担の上限額は、現在の最大月4・4万円から、所得に応じて同14万円に引き上げる方向です。

 倉林氏は、介護保険制度の開始から20年余りで介護労働者の待遇も悪化し続けていると批判。とりわけ登録型ヘルパーは深刻で、同制度導入前に公務員ヘルパーで月収37万円超だった人が現在は月5100円~12・5万円に陥っていると述べました。また、次の訪問先までの移動や待機の時間が法令に反して労働時間とみなされず、細切れの訪問時間やキャンセルなどが、低く不安定な賃金の要因だと強調。訪問時間短縮は利用者の尊厳を守れないほどになっていると批判し、「そもそも人件費を賄える介護報酬でなく、引き下げも相次いだ。事業者を法令違反せざるを得ない状況に追い込んできた政府の責任は重大だ。人件費相当分を公費で介護保険に入れるべきだ」と迫りました。


「筆者のある日の勤務状況(2019年)」


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。
 二〇〇〇年四月にスタートした介護保険、これ全国どこでも誰でも一割負担で必要なサービスが受けられると。家族介護から社会的介護へ、このスローガンには本当に多くの介護家族が希望を寄せたというスタートでもありました。
 あれから間もなく二十一年でございます。果たしてこの希望に応えられる制度となっているのかどうか、率直に厚労大臣の認識と評価を伺いたい。

○国務大臣(田村憲久君) 二〇〇〇年にスタートしてもう二十年たってきたわけでありますけれども、高齢者が三千六百万人、当時の一・六倍ぐらいになりました。それから、利用者が五百万人今利用していますから、当時から比べると五倍ぐらいですかね、利用されているという、ごめんなさい、三倍ぐらいですか、利用されているということで、そういう意味では、当時言われたのが保険あってサービスなしになるのではないかと、こういうことが危惧されておりました。そういう意味では、サービスは一定程度確保できているかなというふうに思います。
 原則一割負担、もちろんちょっと二割負担、三割負担という方々がその負担能力に応じておられますけれども、基本的には九割以上が一割負担だというふうに思っておりますが、そういうような形で、しっかりと家族の方々が今まで担ってきたものを介護保険というものが一定程度その負担を緩和しながら介護というものを担っていただいておるということでありますから、評価をいただいておるというふうに認識いたしております。

○倉林明子君 現実、リアルに確認していきたいなというふうに思います。
 介護疲れ、看病疲れ、これによる殺人事件が起こっております。同様の理由で自殺というのも統計上把握するようになってまいりました。これ過去三年、それぞれ数字で御紹介いただきたい。

○政府参考人(藤本隆史君) お答えいたします。
 警察庁の犯罪統計によりますと、動機、原因が介護、看護疲れである殺人の直近の三年間の検挙件数でございますが、未遂も含め、平成三十年が三十一件、令和元年が二十九件、また令和二年が四十三件となってございます。

○政府参考人(橋本泰宏君) 自殺者の数でございますけれども、自殺統計を基に厚労省が集計したところでは、自殺の原因、動機別のうち介護、看病疲れの過去三年の自殺者数は、平成三十年が二百三十人、男性が百三十人、女性が百人、令和元年は二百四十三人、男性で百四十七人、女性で九十六人、令和二年は百六十九人、男性で九十八人、女性で七十一人、こうなってございます。

○倉林明子君 やっぱりこういう数としても上がってきていると。介護家族がここまで追い詰められることになっていると。なぜなのかと。それは、確かにサービス量増えました、しかし、こういう追い詰められて殺人だ、自殺だっていうところになっている家族あるんですね。改めて介護保険制度の検証と総括が私必要だというふうに思っております。
 介護サービスは、要支援、介護認定を受けて初めて受給権が認められる。認定を受けたにもかかわらずサービスを利用していない未利用者数、そして率、この推移はどうなっているでしょうか。

○政府参考人(土生栄二君) 先生御指摘のサービス未利用者数でございますけれども、現在では総合事業ということでございまして、全体の正確な把握はしていないところでございますけれども、実態統計の中から、要介護、要支援認定者数から介護保険給付の受給者数を単純に引いて算出いたしますと、平成十五年度は約八十万人、割合でいいますと二〇・三%、平成三十年度は百七十三万人、二五・四%ということでございますが、制度が変わっているということは御留意いただければと存じます。

○倉林明子君 御留意をした上でも、認定を受けて受給権があるのに四人に一人が未利用者という実態を見るべきだと思うんです。保険料を支払っているんですよ、こういう人たちは。で、未利用者の割合というのは増え続けております。何でこんなに利用されないのかということです。
 介護保険料についてまず確認します。六十五歳以上の一号被保険者の月額平均保険料、これ創設時からどう変化したのか。そして、この間、払えない人に対する滞納処分というペナルティー措置が導入されました。その内容、そして及び対象人数はどうなっていますか。

○政府参考人(土生栄二君) まず、先生お尋ねのうち滞納処分等の現況でございますけれども、第一号被保険者約三千五百万人のうち滞納処分を受けた方が一万九千二百二十一人、これは平成三十一年四月一日時点の数字でございます。平均保険料額はちょっと手元にございませんが、五千数百円だったというふうに承知をしております。

○倉林明子君 保険料は発足時から約二倍、さらに今年は改定を控えていますので、二倍超えになることは明らかではないかと思います。
 月額一・五万円の年金があれば、これ強制的に天引きされるのが介護保険料であります。そして、滞納処分、ペナルティーの対象というのは、それ以下の無年金や極めて低所得と、こういう方々が対象になるわけですね。これ、サービス利用が必要になったと、こういう方々が、それでも三割負担とか、償還払いなので一旦十割、ペナルティーの中身です、これ支払うということになるわけで、これ支払えるわけがないと私は思うわけです。結果、サービスが必要になっても使えないことになると思うんですよ。
 大臣、認識はいかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 保険料滞納続きますと、言われるとおり、償還払いでありますとか一時差止めでありますとか給付の減額みたいなことがあるわけでありますが、ただ、これも理由、例えば災害だとか、さらには生計者が亡くなられた場合などはこういうものに対して考慮をするということです。それから、それからですね、それぞれいろいろと御事情をお聞きしながら、どういうふうにこれを支払っていくか、計画を立ててというようなこともきめ細かく対応することもございます。
 言われるとおり、どうしてもその保険料が高いということがございましたので、これもう委員も御承知だと思いますが、消費税上がったときに、このときにこの低所得者の方々に対して保険料を下げようということで、例えば住民税非課税、世帯住民税非課税で八十万円以下の世帯ですと、それまでは基準額に〇・五掛けた保険料だったものを〇・三に下げたりでありますとか、八十を超えて百二十万の方々、ここに関しては〇・七五、基準額に〇・七五掛けていたのを基準額に〇・五を掛けるだとかということで、大幅に保険料を下げたということでございますので、そういうことも消費税を使いながら対応させていただいておるということであります。

○倉林明子君 利用者負担は、じゃ、どう推移したのかということも確認したい。
 これ、所得にかかわらず一割負担でスタートいたしました。現状の負担割合はどうなっているか。二割、そして三割負担の要件、そして認定者数、これどうなっておるでしょうか。

○政府参考人(土生栄二君) お答えいたします。
 介護保険制度におきましては、原則的な利用者負担割合は一割ということでございますけれども、お尋ねの二割負担、三割負担の要件でございます。例えば、年金収入のみの単身世帯の方で申し上げますと、公的年金控除後の合計所得金額が百六十万円以上の場合は二割負担、同じく二百二十万円以上の場合は三割負担ということになってございます。
 人数でございますけれども、令和二年十二月末現在の六十五歳以上の要介護認定者、要支援認定者含めまして六百六十七万人でございますけれども、そのうち二割負担の方が三十四万人、三割負担の方が二十六万人という状況でございます。

○倉林明子君 これ、二割、三割になっている人というのは決して高額所得者とは言えない年金の収入に対するものであります。余りにもここ重い負担になっているという指摘をしたい。
 さらに、自立という名の下に、二〇一五年に要支援が給付の、介護給付の対象外ということになりました。要支援一、二の総合事業の利用者数というのはどれだけになっていますか。

○政府参考人(土生栄二君) 先ほど申し上げましたとおり、総合事業全体の数は必ずしも把握してございませんが、従前の予防給付に相当するサービスなど指定によるサービスを利用しておられる要支援者の方は、実態統計によりますと、直近の令和二年十一月審査分で、訪問型サービスが三十七万九千人、通所型サービスが五十四万四千人という状況でございます。

○倉林明子君 制度開始時から、先ほどあったように、保険あって介護なしとならないかという指摘ありました。実際には、二十年たって、高過ぎる保険料、払いたくても払えない、払ってもいざというときに使えるサービスがないと、こういう事態も拡大していますね。私、やっぱり国家的な詐欺だという声が上がる、保険料を免除してほしいと、こういう声が上がると、当然じゃないかと思います。
 それなのに、今期、更なる負担増ということを考えておられています。今年八月から高額介護サービス費及び補足給付の見直しが予定されておりますが、その内容、そして対象人数、影響額、お答えください。

○政府参考人(土生栄二君) お尋ねの保険給付、補足給付等の見直しでございますけれども、令和元年十二月末の介護保険部会の意見書に基づきまして、所得段階別の負担額の差をなだらかにする等の観点から行うものでございます。
 具体的な見直しの内容でございますけれども、まず補足給付につきましては、施設入所者につきまして、現行の補足給付対象者で最も所得が高い段階のうち本人の年金収入等が百二十万円を超える方につきまして食費負担の引上げをお願いするものでございます。また、高額サービス費につきましては、医療保険の高額療養費制度を踏まえまして、年収七百七十万円以上の方の負担限度額を引き上げる予定としております。
 これらの影響につきましては、令和三年度予算案におきましては、補足給付の見直しで影響者数は約二十七万人、影響額は国費ベースで約百億円程度の減、高額介護サービス費につきましては対象者数約三万人、影響額約十億円程度と見込んでいるところでございます。

○倉林明子君 結局、その影響額というのは利用者の負担増に直結するものですよ。
 元々高額介護サービス費の制度というのは、過剰な負担の歯止めだったはずです。三倍の負担ということも起こり得ります。過剰な負担になるというのは明らかだと思います。
 そこで確認したい。今、影響額、人数示されましたけれども、これ介護保険給付部会に示されたんでしょうか。

○政府参考人(土生栄二君) 本件の見直しにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、令和元年十二月末に取りまとめられました介護保険部会の意見書で、おおむね意見の一致を見たということで御審議を賜ったところでございます。その部会につきましては、影響を受ける方々の年金収入等の水準の見直し、自己負担額の変化等、段階別の受給者数や本人支出額等の具体例をお示しして御議論いただいたものでございます。
 先ほど申し上げました具体的な対象者数、影響額につきましては、来年度予算案の編成過程におきまして推計したものでございまして、部会における議論の対象にはなっていないということでございます。

○倉林明子君 全体に与える影響ということをきちんと示した議論のやり直しということが必要だと私は言いたい。
 補足給付の見直しによって負担倍増というケースあるわけです。補足給付の件数、額、制度発足時、そして今直近でどれだけになっていますか。
   〔委員長退席、理事滝波宏文君着席〕

○政府参考人(土生栄二君) お答えいたします。
 補足給付の創設後、年度を通して支給された初年度は平成十八年度ということでございます。十八年度、一月の支給を一件とカウントしたものでございますけれども、約九百三十八万件、給付額は約二千百三十二億円でございます。直近の平成三十年度で申し上げますと、支給件数は約一千六百六十一万件、給付額は約三千百九十億円となっております。

○倉林明子君 これ、給付が増えれば保険料が上がると、給付を抑制するために利用料が増え続けると。もはや保険制度として本当に機能不全と言ってもいいんじゃないかと思う。
 補足給付は低所得者の負担軽減対策で、本来福祉施策として行うものだと思うんですね。介護保険料に跳ね返るような介護保険財源で賄うべきものではないと。福祉として、一般財源、これ充てるべき性格だと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 介護保険制度の中の話でございますので、そういう意味では介護保険でやるのがこれは当然でありまして、その福祉となると、全く、それを切り出して、何か介護施設だけは昔の措置制度に、特に特養なんかは措置制度に戻すみたいな話になってしまいますので、介護保険でやっている限りは、たとえ補足給付であったとしましてもそれは介護保険の中で対応するというのが我々としては必要であろうというふうに考えております。

○倉林明子君 ここまで膨らんでいるんですよね。重い介護保険加入者全体に負担になるんです。やっぱり検討必要だと。コロナで、支える家族が経済的にも傷んでいるという今現状ですよね。そういうときにこんな負担増を強行するというのは論外だと思う。撤回を強く求めたい。

○国務大臣(田村憲久君) これ、介護保険とですね、保険料と同じところの区分で一段階つくって、負担能力があられるところに対して、まあこれ本来、補足給付ですから本来の給付ではなくて介護保険の中で福祉的な側面からやってきたわけでありますけれども、負担能力がある方に関してはそこをお願いをいたしたいということでございますので御理解をいただければ有り難いというふうに思います。

○倉林明子君 いや、御理解はできない。
 次に、介護現場の人手不足、採用困難、これ制度発足以来、年々悪化の一途をたどっております。とりわけ深刻な登録型ヘルパーについて今日は聞きたい。
 給与、労働実態をどう把握していますか。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 公益財団法人介護労働安定センターにおきまして、毎年、介護保険サービス事業を実施する事業者を対象とした介護労働実態調査を実施しているところでございます。直近の調査でございます令和元年度の介護労働実態調査におきましては、登録型訪問ヘルパーの実態について調査項目となってございませんが、非正規雇用の訪問介護員の状況につきましては結果が示されているところでございます。
 具体的には、非正規雇用の訪問介護員の所定内給与の平均額は、月給の方につきましては十八万四千八百二十七円、日給の方につきましては一万一千十六円、時給の方につきましては千二百九十円となっているところでございます。
 また、労働時間数の方を見ますと、非正規雇用の訪問介護員の一週間の平均労働時間数は、十時間以上二十時間未満が三〇・七%と最も多く、次いで二十時間以上三十時間未満が二三・九%となってございまして、一週間の平均労働時間数は二十二時間となっているところでございます。

○倉林明子君 登録型ヘルパーはつかめていないんです、切り出してはね。なので、ここが本当に一番大変になっているんです。
   〔理事滝波宏文君退席、委員長着席〕
 介護保険制度導入前から三十年のヘルパー歴を持つ、こういう方の場合どう変化しているか。当時、地方公務員で採用されたということで、年収四百五十万円程度、月収でならせば三十七万円、こういう方です。介護保険導入によって公務員ヘルパーは解体されました。民間事業者で働くことになりまして、収入は減り続け、現在どうなっているか。月収五万五千百円のときがある、あるいは十二万五千円と。こういうぶれもあるし、低収入です。これ全労連が実態調査をやっていまして、平均月収で六・五万円にすぎないと、こういう結果も出ております。
 何でこんなに給与が下がるんでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) それ、何で下がるのかという話が、なかなか私も、下がっているのか元から低いのかという問題はあるんだと思うんですけれども。
 元々、元々ですね、介護事業者というのは十人以下の事業所というのが半分近くあるわけでございまして、そういう意味では労働基準法にのっとったいろんな法令等々をしっかり御理解いただいていないところもあるんだというふうに思います。特に訪問系のサービスの場合、その手待ち時間でありますとか移動時間、こういうものもやっぱり労働時間に入れていただかなければならないわけでございまして、そういうところの御理解が十分に進んでいないという部分もあるんだというふうに思います。
 いずれにいたしましても、必要なものは必要なものとしてやはり賃金にカウントしていただかなきゃならぬということでございますので、そういうことを更に我々周知徹底して、当然のごとく、処遇改善加算やいろんな形でそういう方々の処遇が改善するような国としては対応をさせていただいておりますので、そういうものを御利用いただきながら処遇改善をしていただかないと、なかなかヘルパーの方々集まっていただかない、ということは介護事業が成り立たないということでございますので、更なる周知徹底を進めてまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 平成十六年八月、訪問看護労働者の法定労働条件の確保についてと、通達を出されております。訪問介護職員は労基法上の労働者に当たる、それから移動時間、待機時間、休業手当についてどう指導しているのか、確認をしてください。

○政府参考人(吉永和生君) お答え申し上げます。
 労働基準法上の労働者に該当するかにつきましては、呼称のいかんにかかわらず、使用者の指揮監督の有無など実態に応じて総合的に判断してございますけれども、介護保険法に基づきます訪問介護の業務に従事する訪問介護員につきましては、一般的には使用者の指揮監督の下にあると考えられますので、労働基準法上、第九条の労働者に該当するものと考えてございます。
 また、通知の中で、移動時間につきましては、これは事業場、集合場所、利用者宅の間を相互に移動するものでございますけれども、業務に従事するために必要な移動を使用者が命じ、労働者の自由が保障されていないと認められる場合につきましては労働時間に該当するということをお示ししてございます。
 また、待機時間につきましては、使用者が急な需要等に対応するため事業場等におきまして待機を命じ、労働者の自由が保障されていないと認められる場合につきましては労働時間に該当するものとお示ししているところでございます。
 また、休業手当につきましては、利用者からの利用申込みの撤回等を理由として労働者を休業させる場合につきましては、他の利用者宅での勤務の可能性等も検討したか否かも含めまして、使用者として行うべき最善の努力を尽くしたと認められない場合につきましては、使用者の責めに帰すべき事由があるものとして休業手当の支払が必要になるものということをお示ししているところでございます。

○倉林明子君 それ平成十六年に出した通達なんですけれども、二〇一九年、これ登録型ホームヘルパーの一日の勤務状況です。これ、移動時間、移動時間、待機時間、当日キャンセルと入れましたけれども、これ基本は労働時間に入れて評価されるべきものですけれども、現状でもここは賃金発生しておりません。そういう働き方はいまだ続いております。
 平成二十一年度、二度目の通達も出しました。あれから十二年、通達に基づく監督指導の直近の結果、つかんでいるところで。

○政府参考人(吉永和生君) お答え申し上げます。
 介護労働者を使用する事業場に対して労働基準監督署が監督指導を行ってございますけれども、統計上、社会福祉施設という形でまとめて報告しておりますので、全国的に介護施設に関するものとして取りまとめたものはございませんけれども、例えば、北海道労働局や山形労働局におきましては、管内の介護事業者に対します監督指導結果を取りまとめて公表しているところでございます。それによりますと、労働基準関係法令が認められ、是正勧告を行ったものにつきましては、北海道労働局におきまして六八%、山形労働局におきましては八五・四%となっているところでございます。

○倉林明子君 この通達出した当初も七割程度だったんですよ、法令違反が。そういう実態は余り変わっていないと。先ほど紹介した事例もそうだけれども、何ぼ通達出したってやね、これ全然改善してへんというのが現状だということを私は言いたいわけです。
 そもそも人件費が賄える介護報酬になっていないと、ここが最大の問題。事業所が悪いのかといえば果たして、まあもちろん悪いところがないとは言い切れませんけれども、賄えないという報酬になっているということが問題なんです。
 相次ぐ引下げが行われてきた介護報酬、これが賃上げができないという状況に、事業者に法令違反せざるを得ないというところに追い込んできたと。私はこの責任の方が重大だと思うんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 介護報酬、ここ数回は上げさせていただいておりますし、今回も上げさせていただくということでございますので、それプラス、先ほど申し上げましたけれども、処遇改善加算等々、いろんな処遇改善、今までも、これは麻生総理のときからでありますけれども、民主党政権も含めて続けてきておりますので、決して何か引き下げてどんどん賃金が下がるような、そういうような報酬改定を続けてきたわけではないわけであります。
 ただ、まだ他の産業と比べて十二分ではないというところがあるのは我々もそれは認識いたしておりますので、なお一層、介護従事者の方々の処遇改善ができるように努めてまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 そもそも、介護報酬には人件費積算という考え方ありません。介護報酬で現金給付、その中から払うということになっております。
 ヘルパーの働き方というのは、この間、大きく変化させられてまいりました。
 二〇一二年、介護報酬改定で、それまでは一こま一時間あったんですよ、それが、訪問時間数は六十分、四十五分、三十分、二十分と細切れになりました。滞在時間三十分の場合、どうなるか。排せつ支援はおむつ交換だけです。尿意とか便意がある人でさえ、おむつの中にしてもらうしかないというわけです。排せつの自立への援助、これ物すごい自立に向けた大事な援助ですけれども、それが不可能になったというんですよ。食事介助でも、三十分だったら、一緒に買物行って物選んだりとか調理をしたりと、こういう支援できません。コンビニ弁当買って終わりということになっているんです。時間の制約から忙しくヘルパー動き回ると、そうすると、認知症の人は物すごく不安になるんです。
 これ、利用者の尊厳を侵害するということだけじゃなくて、自立を阻害していると。こういう実態広がっているという認識ありますか。

○国務大臣(田村憲久君) 三十年度の介護報酬改定で、自立生活支援のための見守り的援助ということで、身体介護にそういうものを位置付けたと。生活介護と身体介護ありますけど、身体介護に位置付けました。そういう意味では、自立支援をしっかりと支援していく、そういうような役割を担っていただいておると。
 で、アセスメント等々、それからもう一つはマネジメント、これに基づいてしっかりとこれ見直したわけでありまして、確かに時間は短くなっているんですが、時間当たりの、分当たりの単価は逆に上がっているということでございますので、必要なもの、必要なサービスを必要な状況の下で提供をさせていただいておると。
 ちなみに、介護報酬、今回の介護報酬でも見直しにおいて単価が上がっておるということでございますので、そういう意味では、我々も、できる範囲でありますけれども、しっかりと報酬等々の改善、こういうことも進めさせていただいておるわけでありまして、また、実態調査、経営の実態調査を、拝見をまた次の時点でさせていただきながら、次の報酬改定に向かっていろんな検討は進めさせていただきたいというふうに考えております。

○倉林明子君 あのね、今紹介した中身なんですよ。ヘルパーだって専門家として誇り持ってやってきたんですよ。その誇りさえも傷つけるというような実態をしっかり正面から私は厚労大臣として見てほしいと、現場へ行けと言いたい。
 そこで、持続可能な制度を掛け声にして、給付は削減だと、負担は増加だと、これ求めてきたのが私は政府だと、財務省だと。登録ヘルパーも含めた全ての介護労働者に労働関係法令が遵守できるように環境を整える、政治の責任、政府の責任だと。
 人件費相当分を公費で介護保険に入れる、この判断を求めたい。麻生大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 財務省ですけれども、はい、あなたに罵られておられます財務省で、最後の最後に答弁が来ましたので驚きましたよ。
 介護報酬というのは、もう今、田村さんが言ったように、これは保険ですから。基本的には保険、純然たる保険ですから。したがいまして、これは平均的な費用の額というものを勘案して設定するわけでしょう、今までも。保険というものはみんなそういうことになっておりますから。だから、物価、賃金動向とかみんなやって、介護報酬というのはそうやって設定しているんですけれども。
 実際問題として、改定率を、前回の改定率が〇・五だったかな、それが〇・七に上がっているでしょう。いかにも下がっているかのような話をされますから。上がっていますからね、現実問題としてはね。そこのところだけ無視したような言い方をされると、それはちょっと違いますよ、〇・七になっていますから。そういった意味では、処遇改善についてはこれは累次改善を行ってきたのであって、少なくとも平成二十一年以降、二十一年以後、七回で月額七万五千円の賃金改善につながった、これは事実ですね。
 だから、したがって、そういった意味では少なくとも上げてきている、努力をさせていただいておるという事実だけは御認識いただければと存じます。

○委員長(山本順三君) 時間が来ております。

○倉林明子君 加算加算でやってきたことは知っております。しかし、現場の賃金上昇にはつながっておりません。人手不足、深刻です。やっぱり介護崩壊になるんじゃないかと、この危機感をしっかり受け止めていただきたい。抜本的な制度の見直しが必要だと。
 終わります。