感染症医療体制は不足/再編リスト撤回こそ(2020/11/17 厚生労働委員会)
(資料があります)
「コロナ患者を多く受け入れてきた公立・公的病院の存在がなければ、地域医療はすでに崩壊していた可能性もある。大臣の認識はどうか」―。日本共産党の倉林明子議員は参院厚生労働委員会で、感染症医療体制が不十分すぎるにもかかわらず、公立・公的病院の病床削減や統廃合を進めようとしている国の姿勢をただしました。
倉林氏は、コロナ患者などに対応する第2種感染症指定医療機関について、3割の施設(2018年1月時点)で受け入れ可能病床数が国の基準を下回っており、4割の施設で感染症専門の常勤医がゼロだと厚労省に確認し、遅すぎる対応を批判。国の基準自体も、第2種は東京都92床、大阪府56床などと「まったく不十分だ」と迫りました。
国が約440の公立・公的病院に再編統合の検討を求めた問題を追及。そのうち感染症指定医療機関が53施設(106床)を占め119施設がコロナ患者を受け入れてきたことや、国が各病院の感染症体制を評価していないことからも「コロナを経験した今、検討のたたき台とすること自体が不適切」と声を強めました。
田村憲久厚労相が「(病院名リストは)あくまで、あの時点の参考資料だ」「今の状況を踏まえて(各地域の調整会議で再編を)見直すという話になれば、見直していただく」と無責任な答弁に終始したのに対し、倉林氏は「それならリストは白紙撤回するのが筋だ」と強調。病床削減を促す国の財政支援は中止して、地域に必要な感染症医療体制の再構築へかじを切るべきだと主張しました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
先週末、コロナ感染者は連日過去最高ということになりまして、総理の方からも爆発的な感染拡大は絶対に阻止すると強い決意が表明されております。
そこで、改めて、感染拡大という状況ですね、もう深刻な事態だと思っているんですけれども、状況を数字で押さえておきたいと思うんです。七日間ごとに見た新規感染者数、この四週、過去四週間でどう推移しているのかということ。さらに、増加傾向についてどう評価しているのかと、分析しているのかということを簡潔に。
○政府参考人(正林督章君) 七日間の移動平均を見てみますと、四週間前五百二十六人、三週間前五百六十五人……(発言する者あり)あっ、新規感染者に係る七日間移動平均ですね。(発言する者あり)もう一回。四週間前が五百二十六人、三週間前が五百六十五人、二週間前が六百八十八人、一週間前が九百十二人、十一月十五日時点で千四百三十八人です。特に、直近の数値では二週間で約二倍近くとなっている、あっ、二倍以上となっております。
冬の到来を前にして、七月、八月の感染拡大の際に近い伸び方になっており、強い危機感を持っております。
○倉林明子君 十一月十一日に、専門家から成るアドバイザリーボードが、感染状況の評価について、一部地域では感染拡大のスピード増加していると、感染症の減少要因を、感染症の減少要因を早急に強める必要があるという指摘がありました。このまま放置すれば更に急速な感染拡大に至る可能性がある、本当そのとおりだと思うんですね。
じゃ、何をするかという具体的な減少策ですよ。減らすための対策が見えてこないと思っているんですね。北海道は、今日からですか、札幌市のみレベルフォーということで行動制限を引き上げて、札幌市内と道の行き来ですね、自粛してくれということを独自にやられたということで聞いています。
そこで、大臣、やっぱりGoToキャンペーンですよ。人の移動でウイルスというのは拡大するって当然なんですね。だから、縮小させようと思ったら行動制限を掛けていくというのはずっと言われてきたことでもある。こういう実態、事態になって、全国一律のGoToキャンペーンと、所管違うけどね、感染拡大を防止すると、減少させるために厚労省としても今後一律のGoToキャンペーンというのはもう見直しという決断すべきときだと思うんですけれども、いかがお考えですか。
○国務大臣(田村憲久君) 分科会でもいろんな議論をいただいているんです。
それで、午前中ですか、申し上げましたけれども、三千万人以上がGoTo、これトラベルの方ですけど、参加いただいていて、今感染したと分かっているのはたしか百四十数名だったと思います。(発言する者あり)あっ、従業員。従業員は、いやいや、従業員も入れてか、ですよね。そういうことを考えると、いや、それは旅行者も一応その中に入れていますので、それを合わせてそういう数字でありますから、もちろん見付かっていないものが全くないかというとそれは私も保証はできませんが、ただ明確に分かっているのはそれぐらいだということがあるということで、やっぱりちゃんと予防措置をやっていただくということが非常に重要であろうと。
いろいろと感染している事例があるんですが、やっぱりマスクを外して飲食をしながら大きい声でしゃべっているだとか、そういう事例なんですよね。ですから、そういうことを防いでいただきながら、GoToキャンペーン、ある意味では、今度五人だと対象にしないというような話もありましたけれども、GoTo、あれはイートの方ですかね、それは、大人数になるとどうしても食べるときですからしゃべっちゃって飛沫が飛ぶという中において、いろんな検討はさせていただいております。
とにかく、もし大規模なこれは感染拡大が更に起こってくるということになれば、そのときには我々としても検討すべきことだというふうに考えております。
○倉林明子君 やるのはやっぱり今だと思うんですね。そのことは強く申し上げておきたいと思います。
医療提供体制、ここの確保がぎりぎりの攻防になっているし、北海道が判断したのも医療の医療提供体制、そして施設確保できないという状況からだと思うんですね。
長期化するコロナへの対応、これによって、受け入れているところ、そうでないところ、これ深刻な経営危機に直面しております。医療従事者はいわれなきバッシング、さらに私生活にまで及ぶ行動制限。京都やったら、東京出ていこう思ったら院長の許可要りますのや。そういうようなことずっと続いているわけですよね。それなのに、日本医労連が十一月五日時点で冬のボーナス回答状況調べました。そうすると、四割の病院でマイナス回答だと。最大で八六%カット、半分というところもあります。加えて基本給カット、これまで出ているんですよ。やってられぬという現場の声上がるのは当然やと私は思います。
このままでは離職者の増加の懸念さえ出てくると思うんですね。この時期に辞められたらどうするのやと。医療提供体制、本当にこんな現状で維持できるとお考えなのかどうか。いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 医療従事者、また介護従事者、本当に大変な御苦労をいただきながら高齢者や感染患者の方々診ていただいていると思います。本当に心から感謝を申し上げたいと思います。
いろんな、三兆円という話をずっとしてきているんですよね。一次、二次補正、それから予備費使って三兆円を用意をしたと。それはしっかりとやりますが、行き届いていないという問題がまずあります。それは再度、もちろん都道府県の責任にするつもりはありません。そのために国の方が直接入れるような仕組みを今度はつくりました。
とにかく、都道府県経由の交付金に関しては早くお渡しいただくように再度これは徹底し、その上で、どのような実態なのかというのをもう一回把握をさせていただきながら、させていただきながら……(発言する者あり)いや、診療科の、今まだ行っていませんから、行っていませんから。だから、行った結果、どういうことかということも判断させていただきながら、地域や診療科やいろんなことがあると思います。対応させていただきたいと思います。
○倉林明子君 いや、これね、この議会終わったら、国会終わったら、年明けになるんですね。ボーナスみんな出さなならぬのは目の前なんですよ。だから、いろいろ調査して検討してとずっと言うてはります。私は、今決断して、減収補填と、ボーナスの心配要りませんと。やっぱり頑張るモチベーションに必ずつながると思います。もう検討検討で年明けで、結局もらえなんだみたいなところで頑張り切れませんので、決断を強く求めたいと思います。
コロナの感染拡大というのが病院を逼迫させて、これ受診抑制に加えて通常の診療にも重大な影響を及ぼしております。余りにも余裕のない医療提供体制、この見直しがやっぱり必要じゃないかという声が広がっております。これ、二〇二五年までに実現を目指してきた地域医療構想、そのものの見直しというのは、私、コロナを経験して避けられないというふうに思っております。感染症対策、感染症病床数、これ含めて検討必要だ。どうでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 三次救急を担っていただいている医療機関だとか救急を多く受けられている医療機関は、コロナに限らずですね、大変な状況の中で本当にこの間御苦労いただいてきているというふうに思っております。
地域医療構想も言わずもがなですけれども、後期高齢者に団塊世代が入っていく、全て入るのは二〇二五年、ここ一つめどですが、その先もずっと見直しをしていかなきゃならない話でありまして、そういう意味では長期的に高齢者がピークになる二〇四〇年に向かってどういう医療提供体制をつくらなきゃいけないか。これは、一方で患者の質も変わってきますし、若い急性期が減って慢性期が増えてくるということもあると思います。それで、医療経営していただくためにも、患者がいなければこれは報酬得られないわけですから、その中でちゃんと医療機関が運営できていただけるような、そんな環境整備をするという意味もあります。
一方で、医療従事者自体が限られたマンパワーですから、この方々の適正配分もしていかなきゃならないということもあります。感染症という意味からすると、今回のようなパンデミックになった形を想定して医療人材確保という形になると、これは平素は対応できないというふうに思います。ですから、地域医療計画の中にも入れていただきながら、患者が増えた場合にはどういうような体制を組むかということも踏まえて地域医療構想というものをそれぞれ今、各調整会議の中で御議論をいただいておる、そういう形であります。
○倉林明子君 そもそも、我が国の感染症医療提供体制がどうだったのかということを確認する必要あるんじゃないかと思うんですね。
平成二十九年に総務省の行政評価ということで勧告も出ましたよね。その上で、今年十月二十一日になりまして、それコロナで大変やったからそれは遅れたのしゃあないと思うんですけれども、全国の調査結果というのがようやく明らかになりました。見せていただきました。これ、その平成三十年当時、一月一日時点というものが過不足も入っていますので見やすいので、これ一枚、資料、今日付けております。
これ、当時でも指定病床数が基準に達していない都道府県というのがあります。第二種における感染症専門医の配置とか施設基準というのは、ここには出てこないんだけれども、評価を受けて報告しているんですね。その中身、達成率についてでお答えください。
○政府参考人(正林督章君) 御指摘の調査は、都道府県を通じて平成三十年一月一日時点における全国四百を超える感染症指定医療機関について病床数等の実態調査を行ったもので、その結果について本年七月と十月に公表したところであります。
お尋ねの第二種感染症指定医療機関の調査結果については、指定病床数が基準病床数に満たない都道府県数が四十七都道府県中十一道県、感染症を専門とする常勤医師を配置している医療機関が約六割、告示に規定する全ての施設基準を満たした医療機関が約八割でありました。
○倉林明子君 感染症法成立から二十年ということですよね。それなのに、いまだ基準を満たされていないということが残っていたわけですね。そこにコロナだったんですよね。
そもそも、今の感染状況の実態を、パンデミックをどうするかというのとはまた別にしても、今の感染状況の実態から見ると、第二種の基準病床数というのは東京で九十二床ですよ。大阪でも五十六床止まり。こういう基準そのもの、私は不十分だと思うし、見直しが要るんだと思うんですよ。
問題は、問題にしたいのは、感染症指定医療機関の多くを担っております公立・公的病院、これに対して病床削減、再編成と、求めるということで、再検証対象医療機関、名指しされているわけですね。これ、そのままです。
対象医療機関のうち、一つ、感染症指定医療機関数、病床数、これどれだけあるか。二つ目、コロナ患者の受入れ実績があった、指定しているところで、名指ししているところで、これは病院数として何件か。
○政府参考人(迫井正深君) 御答弁申し上げます。
現時点で、御質問の再検証対象医療機関のうち感染症指定医療機関は五十三施設でございます。これらの有する感染症病床は百六床、結核病床は六百三十一床、結核患者収容モデル病床は三十床でございます。
二点目。現時点で再検証対象医療機関のうち新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム、これは俗にG―MISと呼んでおりますけれども、これにおいて本年九月末までに新型コロナウイルス感染症患者を入院させた実績があると報告があった医療機関は百十九施設でございます。
○倉林明子君 感染症指定医療機関数で五十三ということです。指定医療機関でないところもあったというのが百十九施設で受けたということから分かると思うんですね。
つまり、患者を受け入れてきたこういった公立・公的病院の存在がなかったら、私、地域の医療というのは本当に既に崩壊していたんじゃないかと、そういう可能性も否定できないと思うんです。大臣、認識どうですか。
○国務大臣(田村憲久君) 公立・公的医療機関もそうでありますし、民間医療機関で受けていただいたところもそうでありますが、それぞれ本当に大変な役割を担っていただいたというふうに思います。
特に、先ほど来言っておりますとおり、ちょっと感染拡大、我々が想定していたその感染症病床というよりかは、それよりも今広がっている状況なので、そういう中において大変な状況をそれぞれが担っていただいたということで、改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。
○倉林明子君 感謝ありがとうございます。
なんだけど、言いたいのは、これ、再検証リストの評価項目、これ感染症入っていないですよね。そういうことも抜けていたんです。コロナ経験した今だから、検証のたたき台、これ名簿出しているだけやというようなことよくおっしゃるんだけれども、これ、名指し続けるということ自体今や不適切だと思うんですよ。どうでしょう。
○国務大臣(田村憲久君) あの時点でこういう形でお示しをいたしました。その後、こういう新型コロナウイルス感染症の課題が出てきて、先ほど申し上げましたけれども、こういうものを基に調整会議でこれからどうしていくんだという議論も始めていただいているというふうに思っております。
いずれにいたしましても、撤回というよりかは、あれはあの時点でああいう数字があくまでも参考資料として出したわけで、あれをもってして必ずこうしていただきたいだとかじゃなくて、それを踏まえた上で地域で話し合っていただいた上に、更に今回のこのコロナの課題があるわけで、コロナだけではなくてこれからの感染症というような、そういう御提議もありました。そういうことも踏まえて、調整会議の中において御議論をいただいた上で最終的にまた見直しをしていただけるという話だと思います。
○倉林明子君 いや、不適切ではないかと言ったんだけど、撤回までは言うてへんかったんですよね。
今の答弁だと、あの名簿はそのままやということでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) ですから、あれはあの時点で、あの状況の下で出した資料なんですね。ですから、それにいろんな情報、状況が入ってきていますから、それを基に、あのときあの時点で出した状況といいますか、数に対してですね、今度は今の状況変わっている中で、その状況を踏まえた上で見直しをしていただくという話になれば、それは見直しをしていただくという話になってくると思います。
○倉林明子君 いや、感染症、今回こういうことでコロナが起こって、大変公立、公的の役割ということで改めて見えてきたと思うんです。実際に名指しされているところは病床の再編の統合と求められているわけですよ。検討せいということになっているわけですよね。
じゃ、もうその名簿出したときと今環境違うというお話されたわけだから、それやったら、改めて名簿は白紙にした上で検討してもらうというのが筋じゃないですか。
○国務大臣(田村憲久君) というものも、あれはあの時点での一応参考資料ですから、それを踏まえて今の状況がありますので、そこはそれぞれ地域で調整会議がございますので、御議論をいただいた上で改めて見直しを掛けていただくというのであるならば、それは見直しをしていただくという話です。
○倉林明子君 いや、やっぱり、こういう役割踏まえたら、病床の統合、再編というのは対象からは一旦白紙に戻した検討を厚労省としては求めるべきだ。期限は延ばしているけどね。考え方整理した上でもう一回出しますということは言うてはるわけなので、そういう意味でもこの再検証リストの根拠や考え方というのは変わらざるを得ないというのはもう明らかだと思うので、撤回を強く求めたい、求めておきたいと思う。
それで、一方で、概算要求見て驚いたんだけれども、今年付いていた病床削減に対する財政支援、一定程度病床をまとめて削減したら補助金出しますと、支援金出しますという予算が、事項要求とはなっているんだけれども、引き続き出されています。
こういう病床削減を促進するということで予算は付けているというようなことを、これも一旦取り下げて、改めて必要な病床数、感染症含めた病床数の検討をしてもらうようにということを言うべきときではないかと思います。どうでしょう。
○国務大臣(田村憲久君) 総合確保基金の中でも病床の再編のいろんな資金という形で交付をさせていただいて、交付といいますか、出させていただいております。
あわせて、今回はそれにプラスして、これ事項要求ですけれども、病床の再編、再編という意味でですね、出させていただいておるということでございまして、これを使っていただいてそれぞれの地域に応じた体制を組んでいただければ有り難いということであります。
○倉林明子君 再編言うけど、削減したときの支援金になっていますよ、スキームは。これ、一緒です。
今やるべきは、やっぱり再検証の再検証だと言いたいと思うんです。再検証対象指定医療機関というのをやっぱり白紙に戻して、感染症医療提供体制を本当に地域でどうやって再構築していくのかということでの検討に政府がしっかり方針、かじを切るべきだと。
以上申し上げて、終わります。