倉林明子

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人事官候補 所信聴取(2020/4/3 議院運営委員会)

 参院議院運営委員会は3日、政府の国会同意人事のうち、古屋浩明人事官候補から所信を聴取しました。

 日本共産党の倉林明子議員は、国家公務員の役職定年制について、「年齢を理由にした転任・降任は労働者にとって不利益変更となり、恣意(しい)的な運用の可能性がある」と指摘。古屋氏は、民間でも行われており、「若手の登用機会を拡大する措置として一定の合理性がある」としか答えず、不利益変更や恣意的な運用の可能性には言及しませんでした。

 また倉林氏は、職務が同じでも60歳を超えた職員の給与水準が7割になることについて「職務給の原則」「同一労働同一賃金」との整合性を質問。古屋氏は「民間の実情を考慮した制度だ。ただちに職務給の原則に反しないが、同一職務を担うなら、本来は60歳前の給与水準が望ましい」と釈明しました。

 検察官の勤務延長問題で、人事院は検察官人事に関与しないとの原則を変更し、再延長だけ人事院の承認を受けるとしたことについて、倉林氏は「検察官の独立性が保てるのか」と質問するとともに、人事院が法解釈の変更で答弁を撤回したことについて説明が求められると指摘。古屋氏は「法務省が整理したもの」としか答えず、倉林氏は「人事院としても国民への説明責任を果たすべきだ」と求めました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。本日はありがとうございます。
 今国会で提出されております国家公務員法の基となったのが、二〇一八年に人事院から出された意見の申出というものです。これに関わって質問させていただきたいと思います。
 一つは、役職定年制の導入についてでございます。一定の年齢に達したことを理由に転任、降任、任を下げると、降任ですね、にさせることについて見てみますと、これ労働者にとっては不利益変更になるのではないかという疑問と同時に、恣意的な運用の可能性、これについてはどのようにお考えかということでお聞かせいただきたいと思います。

○参考人(古屋浩明君) 今回、定年制度を導入する際に、役職定年制というものを設けるということにしております。これは、六十歳時点で管理監督の地位にある職員については、引き続き在職した場合には、後輩といいますか、若年・中堅層の職員の昇進ペース等が遅れるということで、新陳代謝を確保するということで、当分の間の措置として今回は導入するということにしております。
 民間企業においてもそういう政策が行われてきているというところもありまして、若手の優秀な人材の登用機会を拡大するための措置としては、管理職を対象に役職定年制を導入することには一定の合理性があるというふうに考えております。
 また、この役職定年につきましては、この年齢も現行の定年年齢を踏まえて設定しているということから、合理性を有するものではないかというふうに考えております。

○倉林明子君 合理性についての御説明でしたけれども、不利益変更についての指摘もあるし、恣意的な運用の可能性についても懸念が指摘されていることですので、その点も是非、当分の間の措置ということでございますが、今後の検討も含めて求めておきたいというふうに思うわけです。
 さらに、二つ目に意見の申出に関わってでございます。
 六十歳を超えた職員の給与水準について、これ多くの民間企業の再雇用制度を参考に、賃金七割ということにされたというものです。職場が変わらないということについて給与が七割ということになりますと、職務給の原則、同時に、同一労働同一賃金、この観点から見てどう整合するのか、どうお考えでしょうか。

○参考人(古屋浩明君) 国家公務員の給与は、社会一般の情勢に適応するようにという原則もございます。
 その意見の申出におきましては、六十歳を超える職員の給与水準については、多くの民間企業は仕組みとしては再雇用制度により対応しているといったことなどの高齢期雇用の民間の実情を考慮しまして、民間の賃金等を踏まえて、当分の間の措置として七割の水準となるような給与制度を設計することとしたところでございます。
 この水準というのは、当分の間の措置ということ、それから、六十歳を超える職員ということで考えますと、直ちに職務給の原則に反するものではないとは考えております。
 一方で、確かに、同一の職務を担うのであれば、本来は、六十前と給与水準、同一につながっていくというのか、そういうことが望ましいということも確かに御指摘のとおりの面はあろうかと思います。
 そういうことで、今後の課題としまして、六十歳前の給与カーブも含めた給与カーブの在り方については今後の課題というふうに受け止めさせていただいておりまして、今後検討させていただきたいというふうに考えております。

○倉林明子君 次に、検察官の勤務延長について、現行の国家公務員法の解釈を変更した適用と、これ国会でも度々議論になってまいりました。
 そもそも、人事院は検察官人事には関与しないと、これが原則であります。解釈変更によりまして、準司法官である検察官の、解釈変更によって、勤務延長の再延長の場合、人事院の承認を受けることとなるわけですね。これ、こうした人事院の関与が準司法官である検察官の独立性を脅かすことにならないかと懸念しております。どうお考えでしょうか。

○参考人(古屋浩明君) 検察官についても一般職の国家公務員ということでありますので、一般法であるまず国家公務員法が適用された上で、検察官については特別法である検察庁法の特例が定められているということで、検察庁法との適用関係につきましては、その特例の解釈に関わるものでございますので、その特例部分の解釈については法務省において適切に整理されるべきものであるというふうに考えておりまして、私、ちょっと詳しい経緯は承知はしておりませんけれども、そういう法律の建前の中において、法務省において整理がなされたものというふうに理解しております。

○倉林明子君 国会では、人事院給与局長が、つい言い間違えたということで、法解釈に関わる答弁を撤回されています。大きく報道もされました。検察の中からもこれ異例のコメントが出た、こういう報道もございました。政権との関係性に疑念の目が向けられているということの指摘であります。
 国民に対する丁寧な説明、これ必要だと思うんですね。これまでの説明は十分だったと思われるかどうか、聞かせてください。

○参考人(古屋浩明君) 繰り返しになりますけれども、特例法の関係については検察庁法を所管する法務省において整理し、説明されるべきものというふうに考えております。

○倉林明子君 法解釈をめぐって、やっぱり準司法官である検察官の勤務延長の再延長に関わって疑念が生じたと。三権分立に関わる問題だという指摘もありました。この問題での国民に対する丁寧な説明が人事院からもされるべきではないかと、所管するところとして、そういうふうに思ったものですから、改めてお聞かせいただいたんです。
 法務省は法務省でもちろん整理されることではないかと思いますけれども、人事院も関わってということになっておる案件でもございますので、重ねて、見解ございましたら聞かせていただきたい。

○参考人(古屋浩明君) 度々、繰り返しになりますが、今回の経緯については詳細承知しておりませんのと、法律の適用関係については、やはりまずは法務省の方での整理ということになろうかと思います。そういうことで、ちょっと同じ回答で恐縮ですが。

○倉林明子君 是非詳細も御検証いただいて、人事院としても国民への説明責任を果たされることを検討していただきたいと強く申し上げまして、終わります。