倉林明子

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労働者保護適用せず 高年法改定案成立 共産党は反対(2020/3/31 厚生労働委員会)

(資料があります)

 高齢者に労働者としての権利が保障されない「雇用によらない働き方」を広げる高年齢者雇用安定法(高年法)等改定案が31日、参院本会議で可決し、成立しました。日本共産党は反対しました。

 同日、参院厚生労働委員会で質疑に立った日本共産党の倉林明子議員は、人材サービス大手・アデコグループの調査で、企業が高年齢者を雇用するメリットについて、約5割が「人件費などのコストを抑えられる」と回答していると紹介。先進国を見ても、日本の高齢者の就業率はトップクラスだとして、「働かなければ生活できない年金水準の低さが最大の問題だ」と指摘しました。

 その上で倉林氏は、高齢労働者の労災発生率を質問。厚労省の坂口卓労働基準局長は25~29歳と比較して、65~69歳の男性で2倍、女性で5倍だと回答しました。

 倉林氏は、「高齢者の労災発生率がこれだけ高い。一層の配慮義務が必要だ」と強調しました。しかし、高年法改定案で盛り込まれた就業確保措置では、業務委託が可能となり、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法など労働関係法規は適用除外されると批判。「リスクは自分でもち、低賃金という選択肢しか選べないことになる」とただすと、加藤勝信厚労相は「70歳までの就業機会確保のために選択できるしくみが必要と考えた」と語りました。

 倉林氏は、「労働者のフリーランス化をさらに拡大する突破口になる危険がある。一般労働者にも拡大される可能性があることに多くの懸念が寄せられている」と指摘。安心して暮らせる最低保障年金制度をつくるとともに、働きたい労働者には、安全・安心できる雇用が守られる必要があるとして、「安全網のない高齢者の個人事業主化促進につながる法改定は断じて認められない」と語りました。


主要国における高齢者の就業率の比較


労働災害の発生率(年齢別・男女別 千人率)


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 これまでの高年齢者雇用安定法によりまして、ほとんどの企業で雇用継続措置がとられるようになりました。ただし、その雇用の中身が問題だというふうに思っております。
 人材サービス大手のアデコグループが調査をしておりまして、これによりますと、契約社員や嘱託職員、これがおよそ七割を占めているというんですね。六十歳の退職時との賃金格差というのはどのぐらいになっているのか。答弁で御紹介あった八割確保できているというのは年金等も含んだものではないかと思うんですね、JILPTの。そうじゃなくて、年金除いたところで賃金格差どれだけあるのかということについて把握されていますでしょうか。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 今先生からお話があったJILPTの調査でございますが、これはあくまで六十歳以降もそれまで在籍していた企業に継続して雇用されるフルタイムの労働者に、六十歳直前の賃金と六十一歳の時点での賃金の水準の比較でございまして、それが平均で七八・七と先日御答弁させていただきました。これはあくまで賃金の比較でございまして、年金は入らない数字でございます。

○倉林明子君 今のは六十一歳と比べたという話で御説明ありました。
 これ、先ほど紹介したアデコグループの調査見てみますと、賃金は良くても七割程度しか確保できていないと。さらに、いろいろ御相談伺っていますのは、雇用保険にも入れないぎりぎりの賃金という条件を提示されて、合意しなければ雇用を諦めざるを得ない、こういう実態あります。実際に訴訟に及んでいるケースも決して少なくありません。
 企業が高年齢者を雇用するメリットというのはどこにあるかということで、これ、アデコで調べているんですね。この中身面白いなと思ったのは、およそ五割の企業が人件費などのコストを抑えられることだと回答しているんですね。これ、高齢者が企業にとってお得な労働力になっていると、明らかだと思うんですよ。
 高年齢者の就労の現状と実態はどうなのかということを、先ほど議論もありましたけれども、改めて私からも確認させていただきたい。高齢者の就労者数、そして就業者数に占める高齢者の割合、二〇一二年度と比較して直近どうなっているでしょうか。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答えいたします。
 就業者のまず総数でございますが、二〇一二年が六千二百八十万人、それから二〇一九年が六千七百二十四万人でございます。このうち、六十五歳以上の高齢者の就業者数及び就業者総数に占める割合につきましては、二〇一二年は六十五歳以上の高齢者の就業者数が五百九十六万人で全体に占める割合が九・五%、二〇一九年につきましては八百九十二万人で一三・三%となってございます。

○倉林明子君 これ、資料一、一枚目御覧いただきたいんですけれども、日本の、ちょっと時期ずれているんですけれども、就業者数の比較ということで、二〇〇七年とこれ二〇一七年を比べたものとなっております。日本は各国と比べて高い上に更に伸びているという特徴がよく見て取れるかというふうに思うんです。就業率トップクラスという現状です。
 これ、各種調査でも働く高齢者が働き続ける理由は何かという調査やっていますけれども、その七割を占めるのが当面の生活費を得るためというふうになっております。働かなければ生活できないと、これ、年金水準の低さというのがやっぱり最大の背景にあるとこれは言わざるを得ないと思うんです。
 大臣は、年金の受給開始年齢の延長はないんだということを繰り返し答弁をされております。そこで、連合がこの雇用継続の問題でアンケートもやっているんですけれども、そこで見ますと、六十五歳以上の就労が当たり前になった場合の現役世代への影響、ここで最も多かった回答、心配していることは何かということですよね、それは、年金支給開始年齢が遅くなることだというふうに一番目の回答になっているわけです。
 年金受給開始年齢を延長しないと繰り返し述べておられる根拠について、改めて大臣から答弁を願いたい。

○国務大臣(加藤勝信君) 一つは、支給開始年齢について、閣議決定された骨太方針あるいは全世代型社会保障検討会議の中間報告でも、六十五歳となっている年金の支給開始年齢については引上げは行わないということが数度にわたってまず明記をされているということであります。
 それからもう一つ、制度的に言うと、平成十六年の改正によって、これまで若い方のというか働く方の保険料がどんどんどんどん上がってきた、その上限を固定をしようと、そしてその範囲内で給付水準を調整するというマクロ経済スライド、これが導入をされた、そして、その中でこの年金財政の長期的なバランスを財政検証を五年ごとにやって見ている、こういう仕組みになっているわけでありますから、この仕組みがしっかり維持をされている限り、この六十五歳の支給開始年齢、これをいじるということにはならないということであります。

○倉林明子君 マクロ経済スライドというのはなかなか維持されているとは言い難い部分あって、その上でいろいろ年金の制度もいじってきたという経過あると思うんですね。
 今おっしゃったのは、数度にわたって明記されてきたのは法に明記されているわけではないと思うんですね。法律に、今回改正案に明記されているものではないという理解です。やっぱり、年金とセットで現行高年法が雇用確保措置の義務がされたという経過があります。就業確保、これをするから受給開始年齢を引き上げるんだというようなことは、断じてこれは認められないということは強く申し上げておきたいと思います。
 そこで、六十五歳以上七十歳までの就業確保措置、これも再々議論になりました。私の方からも質問したいと思います。
 六十五歳を超える高齢者に対してだけ、これまでになかった創業支援等措置ということで業務委託あるいは有償ボランティア、これ導入することとされましたけれども、その理由は何か。

○政府参考人(小林洋司君) 御指摘いただきました創業支援等措置でございますが、これは、六十五歳以降は、まさに今お話ございましたように、年金が支給されるという中で、六十五歳以前と比べて就労に対する考え方などの個人差が大きくなることなどにも配慮いたしまして、高齢者のニーズ、特性、そういったものに応じて必要なメニューを選択できるような仕組みが有効ではないかということで盛り込んだものでございます。
 六十五歳以降の就労ニーズ見てみますと、会社からの指揮命令を受けないような形でのフリーランス、起業といった希望も一定見られるところでございまして、六十五歳までのような雇用の措置に加えて新たに雇用以外の措置も設け、そのうちいずれかの措置を講ずることを事業主の努力義務としたものでございます。

○倉林明子君 高齢者の方からたくさんの希望があってこういう措置が盛り込まれたということではないと思うんですね。
 高齢者の選択肢が増えるか、増えるのかという議論、先ほどもありました。そこで、改めて高齢の労働者の特性について確認をしたいと思います。
 個人差はあるものの、労災リスクが高齢化によって高まるということ、明らかだと思うんですね。そこで、年齢別、男女別労災発生比率はどうなっているのか、二十五歳から二十九歳の発生率と比べた場合、一体高齢者のところ何倍になっているのか、御説明ください。

○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。
 お尋ねの発生状況でございますが、平成三十年の労働者千人当たりの一年間の労働災害件数を用いまして見ましたところ、六十五歳から六十九歳と二十五歳から二十九歳の労働災害発生率を比較しますと、男性で二倍、女性で約五倍となっているところでございます。

○倉林明子君 資料の二枚目に今の御説明の分を付けておきました。明らかに、あっ、ちょっと数字、倍数がちょっと違っていますけれども、厚労省の提出資料で作ったものです。男性の方が二・三倍、女性の方は四・九倍ということで、高い高齢化に伴う労災の発生比率というのが見て取れると思うんですね。
 高齢者が働き続けるというためには、使用者には、加齢による個人差への配慮にとどまらず、持病の管理も含めた労働安全衛生上も特段の配慮が必要だ、これ明らかだと思いますけれど、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今委員の御指摘のやつ、確かに年齢によって労災事故に遭う確率が高くなるというのと同時に、多分もう一つあるのは、これ、二十代で働いている場所と高齢者が働いている場所も多分違うという部分もあるんだろうと思います。先ほどあったように、サービス業の現場で労災の確率が多い。
 まさに、そういった両方を踏まえながら、まさに高齢者の働かれている環境といったこと、もちろん高齢者そのものの持つ特性というんでしょうか特徴、それからさらに働かれている場所、そういったものを踏まえて適正な配慮をしていくということが必要だというふうに思いますし、労働安全衛生法でも、中高年齢者その他労働災害の防止に当たって特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行うように努めなければならないと記載をされておりますし、また、高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドラインにおいても、これは事業者に対して、個々の高年齢労働者の健康や体力の状況を踏まえた措置を講ずること、高年齢労働者の状況に応じた業務を提供することなどが示されているわけであります。
 今回、七十歳までの就業機会の確保について、特に創業支援等措置を行う場合についても、そうした安全面も含めてしっかりとした配慮をしていく必要があるというふうに思います。

○倉林明子君 二十代と六十代が働いている場所がどのぐらい違うのかって、クロスになったデータありませんでしたので、そういう違いが明らかになるようだったら是非教えていただきたいと思いますが、いずれにしましても、高齢者にとっての労災発生率がこれだけ高いということは、一層の配慮義務が環境の整備併せて必要なんだということはこれ否定されないと思うんですよね。
 ところが、今回の高齢者雇用安定法改正で新たに盛り込まれた就業確保措置では業務委託が可能となるわけですよね、有償ボランティアと併せて。
 この業務委託の場合で確認しますが、改めて確認しますが、労基法、労働契約法、労働安全衛生法、最低賃金法、労働関係法令がこれ適用除外になるということで間違いありませんね。

○政府参考人(坂口卓君) 一般的に、業務の遂行上の指揮監督を受けず業務委託の形態で働く場合におきましては、労働基準関係法令上の労働者に該当しないと考えられます。
 ただ、契約の形態にかかわらず、実態を勘案して総合的に判断した上で、労働者としての実態があれば労働基準関係法令の適用を受けるものでございますが、一般的には冒頭申し上げたとおりでございます。

○倉林明子君 企業にとって高齢者の就労継続のメリットは人件費を削れることだと、これアデコが取った、これ人事担当から得た回答なんですね。六十五歳以上の就業確保措置の中から最もコストが掛からない、そして効率も良いということになれば、業務委託を選択するという企業が増える可能性って私は極めて高いというふうに思うんですね。
 これ、業務委託となった高年齢者が労災事故に遭った場合、労災認定、基本的にはならないんですけれども、労災認定されるというのはどんな場合なのか、ちょっと説明ありましたけど、きちんと答弁していただけますか。

○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。
 一般論といたしましては、自ら業務委託契約を締結して就労する労働者についても、労働基準法の労働者に該当しないという場合については労災保険制度が原則として適用されないということでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたとおり、契約の形態にかかわらず、実態を勘案して総合的な判断をした上で、労働者としての実態があれば労働基準関係法令の適用を受けますので、労災の関係についても適用があるということでございます。
 ただ、また、特別加入という制度もございますので、特別加入されている方にあって業務災害又は通勤災害を被った場合で一定の要件を満たすときには労災保険から給付が行われるというケースもあるということでございます。

○倉林明子君 特別加入の問題については、先ほど来も議論ありました。現時点では対象職種等限定されたものであって、これから拡充されるであろう創業支援等措置について該当にならないものが圧倒的だという実態があるので、それはまた先の話だと思うんですね。
 今御説明あったように、確かに労災の適用になる場合あります。それは、実態として労働契約があるとみなされる場合、つまり偽装請負なんですよね。こういうケースでない限り労災は適用されないというのが業務委託の働き方になるわけですよ。
 三月十五日付けの東京新聞、入れていませんけれども、これ過労死、過労自死した六十六歳の男性の事案でした。
 この方は、個人事業主という働き方だったために、労災申請の入口で引き受けてくれる弁護士がなかなか見付からなかったというわけですよ。ところが、見付かって、偽装請負の実態があると、実態として労働者だということで労災認定がされた、時間掛かりましたけれども、されたと。これは、実態としては労働契約であるにもかかわらず業務委託ということでの契約形式を取る、そして、労働災害も認定されにくい、実態として労働契約なのに認定されにくいという状況を広げるということにもつながりかねない、衆議院で指摘もありましたように、偽装請負拡大にもつながっていくんじゃないかという指摘を私もしておきたいと思います。
 六十五歳以上の高齢者にとって、こういう労災等のリスクは自分持ち、で、低賃金と、こういう選択肢しか選べないということにならないかと、なるんじゃないかと私懸念しているんですけれども、大臣いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今回この法案を提出させていただいたのは、七十歳までの就業機会を確保するという上で、六十五歳以前と比べると、就労に対する考え方、またそれぞれの方の体調とかいろいろ個人差が大きくなっている、したがって、そうした高齢者の特性に応じた選択できるような仕組みをしっかりとつくることが必要だと考えたわけでありまして、御指摘のように、雇用以外の措置の選択肢しか選べないという事態は必ずしも我々の目的とするところではないところであります。
 こうした事態を避けるために、雇用以外の措置を選択する場合にも運用計画を定めていただき労使合意に係らしめているところでありまして、また、それが実効性のあるものになるために、過半数代表制等の選出手続の適正に行われること、労使合意する運用計画の内容が適切であること、個々の労働者に措置を適用するに当たって労働者本人のニーズができるだけ反映されるということが重要であります。
 まず、創業支援等措置を講ずる場合の過半数代表者の選出の手続等については、必要な内容を省令等に規定して、適切な運用が図られるようしっかりと周知啓発をしていきたいと思っております。また、過半数代表者を適切な手続により選出すること、契約の有効期間や解除条件、発注の頻度、報酬の算定方法及び業務遂行上の費用負担、業務に関連した被災時の取扱い等を労使合意において書面により定めるとともに労働者に明示をすること、措置を適用する労働者に対して丁寧に説明し納得を得る努力をすること、こういったことについて指針に明示をするということで対応したいというふうに考えております。

○倉林明子君 いや、もうたくさん説明いただいたんだけれども、労働組合の労使合意でやることが担保にならないんじゃないかという、昨日の参考人のところでもお話ありました。
 そういういろいろ条件を付けながら本当に担保できるのかということについては、労働弁護団で活躍されています棗弁護士が報道でこんなふうに発言されているんですね。企業は負担の軽い個人事業主化を必ず選ぶ、高齢者就労支援に名を借り不安定な働き方を増やすのは問題が大きいというふうに指摘しているんですね。私、そのとおりだというふうに思って読みました。労働者のフリーランス化を更に拡大する、そういう突破口に今度の高齢者のこういう働き方、個人事業主化を促進するような危険があるんじゃないか、一般の労働者にも拡大される可能性ということに対して多くの懸念寄せられているし、私もそのリスクは極めて高い、問題をはらんでいるというふうに思っております。
 そこで、そもそも、高齢者の誰もが安心して暮らせる最低保障年金制度をつくる、これが土台を支えるという点で先ではないかと、さらに同時に、働きたい高齢者には安全、安心できる職場、雇用が守られる必要があるというふうに思うんですけれども、いかがお考えですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 最低保障年金については、これまでもこの厚労委員会でもいろいろ議論をさせていただいた記憶があります。
 全ての高齢者に一定額の年金を一律に保障するということになると、まず多額の財源が必要になること、それからもう一つは、これまで保険制度でやってきているわけでありますから、保険料を払っている方々と払っていない方々との間の公平性をどうするのか、こういった課題があります。我が国、こうして長期にわたって年金制度を運営をしてきたわけであります、保険料に基づくですね。これ、導入には難しい点があるというふうに認識をしております。
 また、高齢者の雇用については、今回、もう先ほど説明させていただいたような形で、七十歳までの就業を確保することを事業主の努力義務とする形で今回法案を提出をさせていただいたところであります。また、先ほど来説明をしておりますけれども、事業主が講ずる措置の選択肢としては、六十五歳までと同様の雇用の措置に加えて、業務委託契約による就業や社会貢献事業への従事といった雇用以外の措置についても盛り込むことといたしました。
 さらに、今回新たに設ける高年齢就業確保措置が各事業主によって適切に実施されるよう当然取り組むわけでありますが、さらに、本年四月ですからあしたですね、あしたから順次施行される同一労働同一賃金により、正社員と非正規雇用労働者との不合理な待遇差の解消に取り組む企業への支援、また高齢者のモチベーションや納得性に配慮しつつ能力及び成果を重視する評価、報酬体系の構築のための支援、さらには高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドラインの周知啓発、高齢者が安心して安全に働ける職場環境を整備する事業者に対する補助金、こういったことによる支援を図り、働く意欲、また働くことに希望を有する高齢者の方々が安全、安心に、そしてその能力を、その思いを十分に発揮できる環境を整備していきたいというふうに考えております。

○倉林明子君 現行の高年齢者雇用安定法の実行の中でもやっぱり雇用がしっかり守られていないという声上がっているわけで、その実態からその先に雇用でない働き方まで入れ込むということですから、大変なリスクがあるということは重ねて指摘をしておきたいと思うんですね。
 百年現役世代という掛け声の下でこういう検討も始まってきているということに非常に懸念感じています。高齢者から、年金受給者から怨嗟の声なんですね。私も百年現役なんてできると思いませんけれども、今の年金受給者からは、働き続ける高齢者から安全、安心を奪い、公的年金に頼らず死ぬまで働けというようなものだというふうに指摘されているんです。そういうふうに受け止められているということですよ。
 安全網のない高齢者の個人事業主化促進、こんな法改正は断じてやるべきではない、強く申し上げて、終わります。


議事録を読む(反対討論)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 雇用保険法等改正案に反対の討論を行います。
 本法案に反対する第一の理由は、新型コロナウイルスの影響拡大に十分備えた内容とはなっていないからです。
 増大する雇い止めや休業、倒産や廃業のリスクは日ごとに拡大しています。政府は、雇用保険財政について、リーマン・ショック並みの支出を求められても対応可能だとし、国庫負担は本則の十分の一を更に継続するとしています。しかし、雇用保険の給付水準は極めて不十分なままであり、給付水準の引上げのためにも国庫負担割合は直ちに本則に戻すことが求められています。雇用調整助成金の国庫負担の引上げが検討されていますが、さらに、中小企業に対する助成率は十分の十へと引上げと支給要件の緩和を強く求めるものです。
 第二は、高齢者雇用安定法に、創業支援等措置として、業務委託や有償ボランティアなど労働関係法令が適用されない雇用以外の働き方を導入することです。
 業務委託や個人請負、有償ボランティアは、労基法、最賃法、労災保険法などの労働関係法令が適用されません。これは、高年齢労働者の権利を大きく侵害するものであり、到底容認できません。さらに、高年齢労働者への導入を突破口として、労働者保護が適用されない雇用によらない働き方の更なる拡大につながるものと厳しく指摘をするものです。
 第三は、高年齢雇用継続給付金の給付率を最大一五%から一〇%へ削減することです。高齢者の収入を引き下げ、生活困窮に追い込むことにつながりかねません。
 最後に、この法改正で七十歳までの就業が確保されたとして年金の受給開始年齢を引き上げることは断じて認められません。働きたい高齢者には労働者としての保護、誰もが安心して暮らせる最低年金制度の確立こそ求められていることを申し上げ、討論といたします。