水増し違法性認めよ 倉林氏 障害者雇用偽装が実態(2018/11/20 厚生労働委員会)
(資料があります)
日本共産党の倉林明子議員は20日の参院厚生労働委員会で、障害者雇用率水増しは「政府全体で障害者雇用数を偽装していたのが実態だ」として、根本匠厚労相自身の処分も含む対応を求めました。
倉林氏は、虚偽報告を続け、義務付けられた障害者雇用率を大きく下回っていたのに採用計画を立ててこなかったとして、「明らかに文書偽造も含めて違法状態だ」「障害者に対する差別に値し、政府による障害者排除だったと認めるべきだ」と迫りました。
「深く反省」とは述べながら、「不適切計上」にすぎず、虚偽報告・違法だとは認めない根本氏に倉林氏は「それでは、国民や障害者、企業からの信頼は回復しない」と批判し、法令違反の責任を認め関係者を処分するよう求めました、
また、障害者雇用促進法が定める「差別禁止」と「合理的配慮」が国家公務員は適用除外とされ、施設整備や介助者などの支援制度も利用できないと指摘。「障害者雇用の在り方をしっかり総括し、公務にも障害者雇用に『差別禁止』『合理的配慮』の法的根拠を整備すべきだ」と主張しました。
倉林氏は、水増し問題の集中審議と独立した第三者委員会での当事者も入れた検証の継続を求めました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
先ほど来、この雇用水増し問題ということについて、障害者雇用数の不適切計上について御議論もありました。私は、この不適切計上というふうにしていること自体大きな問題だというふうに思っているんです。中身を見ますと、政府全体で障害者雇用数を偽装していたと、これが実態だというふうに思うわけです。虚偽の報告をし続けていたわけですよ。結果として、義務付けられた障害者雇用率を大きく下回りながら採用計画も立ててこなかった、こういう問題なんですね。
これ、明らかに長年にわたって文書偽造も含めて違法状態にあったと、これをまず認めるべきだと思うんです。どうでしょうか。大臣に聞いている。
○政府参考人(土屋喜久君) 失礼いたします。お答え申し上げます。
今般の事案につきましては、検証委員会の報告書におきまして、各行政機関が意図的に不適切な対応を行った例は把握をしていないとの認識であったという旨が記載されているというふうに承知をしておりまして、これを踏まえれば、虚偽の報告をしたという、虚偽の報告をしたとき等に該当するものではなく、障害者雇用促進法違反とまでは言えないというふうに考えているところでございます。
○倉林明子君 本当にこの法律に、障害者雇用促進法もそうなんだけれども、実際に虚偽の報告をしていたということ、これ事実なんですよ。結果として法違反の状況にあったということを認められないということは、対策も含めて大きく間違うことになると。だから、この認識については出発点として確認する必要があるというふうに思っているんですよ。
これ、虚偽報告は国内だけじゃないんですよ。二〇一六年、国連に対する障害者権利条約に対しての政府報告、ここでも使っているんですね、添付資料として。国連にまでこれ虚偽の報告をしていたということになるわけです。大臣、よろしいですか。法定雇用率が守られていなかったという期間、規模、これ言い逃れできるような中身ではないというふうに思います。そして、そう認識すべきだと思うんです。違法状態、こういう認識を改めて大臣、しっかり持つべきだと思います。
第三者委員会の話はもう結構ですので、大臣、どう認識しているか、どうぞ。
○国務大臣(根本匠君) 今回の事案は、要は不適切計上があった、そして、不適切計上の方法に特異性が認められる行政機関、これは基本中の基本の確認不足だし、法令の勝手な解釈だし、長年引き継がれたものとの言い訳が許されるはずもなく、誠にずさんな処理、そして障害者の雇用促進に向けての真摯な努力がなされてきたかにつき甚だ疑問を抱かざるを得ないと、検証委員会でも大変厳しい指摘がなされています。私もそうだと思います。
不適切計上という話がありましたが、今回の検証委員会の報告書、やっぱり検証委員会って、第三者検証委員会で客観的にやっていただいた内容ですから、この第三者委員会の報告書において、各行政機関は意図的に不適切な対応を行った例は把握していないという認識であった旨が記載され、これはやはり、これを踏まえれば、虚偽の報告をしたときというふうに該当するものではないと先ほど局長が答弁しましたが、だから虚偽報告ではないと、該当するものではないものと考えております。
○倉林明子君 いや、その認識は極めて重大だし、それでは、起こしたこの不祥事案に対して、失った、国民に対して、障害者に対して、企業に対して、信用回復なんてありませんから、認識をしっかり持っていただきたいというふうに思うんです。
今回の事案の根本問題として、大臣はこう言っています。国の行政機関における障害者雇用の実態に対する関心の低さがあった、その指摘を重く受け止めると。
これ、実態は障害者の雇用を増やさなくて済むように偽装の報告をしていたと、これが重大な問題なんですよ。障害者に対してこれは差別に値すると私は断ぜざるを得ないというふうに思います。政府による障害者排除があったと、これ、事実として、結果としてそうだと認めるべきだ。大臣の答弁を求めております。
○国務大臣(根本匠君) 今回の国の行政機関、多くで不適切な計上があって、そして法定雇用率を達成していない状況にあった、これについては障害者雇用施策を推進する立場から大変重く受け止めております。
そして、今委員の話もありましたが、不適切計上のあった国の行政機関のいずれにおいても意図的に不適切な対応を行った例は把握していないという認識が検証委員会の報告書で示された上で、組織として障害者雇用に対する意識が低く、ガバナンスが著しく欠如していたと問題点が指摘されました。この指摘を真摯に受け止めて、これまでの対応を深く反省して、障害者雇用の推進を所管する責任を改めて自覚した上で、国における障害者雇用の促進にしっかりとした役割を果たせるよう取組を強化していきたいと思います。
○倉林明子君 委員長、お願いしたい。
質問に対して的確に、簡潔に答弁をしていただきたい。求めておきます。
働く機会を奪ったことに対して自覚してほしい。これ、午前中の全盲の弁護士である竹下さんから話ありました。そういう問題なんですよ。所管する厚労省の責任というのは極めて重大なんです。遺憾だ、残念だという話じゃないんですよ。どうやって責任を取るのかということが問われているんです。法令違反はなかったと、検証委員会を口実にして処分しないと、こういう対応をしたら、先ほども申し上げましたけれども、国民、障害者、企業、この信頼、納得ももちろんですけれども、信頼を重ねて失墜することになるんじゃないかと厳しく指摘をしたいと思うんです。
所管する大臣としては、自らも含めて処分をするべきだと、きちんと対応すべきだと求めたい。明確に答弁してください。
○国務大臣(根本匠君) じゃ、簡潔に申し上げたいと思います。
この一連の事態を踏まえて、総理及び官房長官から各大臣に対して強く指示がなされ、その上で私も、人事権者である私も事務方幹部に対して直接強く注意、指導を行いました。そして、大臣である私自身を含めて、組織全体で極めて重く受け止めるべきものだと考えています。
これからは私が先頭に立って、厚生労働省挙げて、再発防止はもとより、障害のある方が活躍できる場の拡大に向けて全力で取り組んで、責任を果たしていきたいと思います。
○倉林明子君 決意聞いているんじゃないんですよ。あなたの処分が必要だと言っているんですよ。そこしっかり答えないと駄目ですよ、議論になりませんから。法を所管する厚労大臣だけじゃない。私は、政府全体にわたって起こった不祥事なんです、総理の責任も免れないと強く指摘したい。
そこで、次質問します。
今後の採用、数合わせになるのではないかと、ずっと議論もあったところです。私、障害者の採用を増やして安定した雇用を確保すると、このハードルになるのがやっぱり定員法じゃないかと。
先ほど、隙間もあってまだ大丈夫だと、直ちに心配ないというような答弁もありましたけれども、八月二十八日、加藤前厚生労働大臣は記者会見でこう言っているんですね。正規については定員があるが、有期にはないと。これ、正規雇用は難しいという認識を示されたと受け止めましたけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(土屋喜久君) 御指摘の加藤大臣の会見での御発言は、確かに、正規採用されている者には定員があります、他方で有期に関してはそうしたものがございませんと申し上げた上で、そこは、この関係閣僚会議においても、そうした予算上の措置あるいは定員上の対応が必要となる場合については、関係大臣においても御協力いただくようにということを申し上げたところでございますというふうに申し上げておりまして、この会見は八月二十八日の段階でございましたので、その後、あの基本方針を策定をしていくという作業の中で、先ほど話も出ましたように、必要となる定員、予算については、施策の推進に必要となる定員の予算は適切に措置をするものというふうに基本方針においても明記をされたところでございます。
○倉林明子君 先ほどの議論も踏まえて重ねて聞いているんですね。
確かに答弁では、直ちに困難はないという説明だと思うんですね。しかし、将来的に、じゃ、障害者雇用を安定的に確保できていくのかと、そういうことを考えますと、今行われているのは定員削減計画なんですよ。定員削減計画と障害者を安定的に雇用していくということの両立は、私はあり得ないと思う。ここ、しっかり見直していく必要があるということは指摘にとどめておきたい。引き続き議論したいと思います。
次、障害者雇用促進法には公務適用除外とされている項目がございます。適用除外の中身について、これ簡潔にお答えください。
○政府参考人(土屋喜久君) 御指摘の点でございますが、民間には規定があり国等の機関に対しては規定がないものとして、例えば納付金の制度、経済的な負担の調整を行うための制度でございますが、この点、それから、障害者に対する差別の禁止や合理的配慮の提供義務に関する規定がございます。
納付金については、今申し上げたような障害者の雇用に伴う経済的負担を調整して事業主間の公正な競争条件を確保しようとするという制度として民間について規定をされているものでございまして、差別禁止や合理的配慮については、国家公務員法等、独自の法体系の中で対応が図られているということがございまして、適用が外れているということでございます。
○倉林明子君 今御説明もあったように、差別の禁止、合理的配慮というのは適用除外になっているということなんですが、国家公務員法は全く変えていないんですね、対照できる条項があるということで、条項を利用しているんですけれども、じゃ、その障害者権利条約、差別解消法というのを作ってからどういう措置をとったのかということで人事院に確認しましたら、出てきたのがこの紙一枚です。資料のところ、付けています。これ一枚配って差別の禁止や合理的な配慮なんて、私できるわけがないというふうに思いました。
障害者が働き続けるために、民間企業に対して納付金を活用した各種支援制度があります。これも一枚物に、次に付けております。これも民間企業なら利用できるんだけれども、納付金活用しているということで、公務では使えないというものになっているんですね。そこにいきなり来年度末までに四千人もの障害者を雇用するということになるんです。多くの懸念が示されていましたけれども、私も思います、大量離職につながるのではないかという懸念はそのとおりだと思うんですよ。
基本方針ではテレワークの推進も盛り込まれているわけですが、テレワークであっても介助者は必要となる、こういう場合あります。しかし、山本理事からも御指摘ありましたけれども、就労や経済活動にヘルパー使うことできないんですね。
私は、せめて、障害者の働く条件を整備するというのであれば、今、民間企業にこういう様々な支援サービスをつくっていると、こういう支援というのをきちっと確保する必要があると思います。これ、大臣に答弁をお願いしております。どうぞ。
○国務大臣(根本匠君) 委員お話しのように、障害者が働くために必要な介助などは雇用する企業において行われるべきと考えておりますが、厚生労働省では、障害者雇用納付金を財源として、職場介助者の配置等に対する助成金を実施しています。
これに鑑みれば、障害者雇用納付金制度の対象となっていない国や公共団体においても、障害者の介助などについては、民間と同様に、事業主である各府省や公共団体において必要な予算を確保し、対応すべきものと考えております。
基本方針においても、各府省の取組として、個々の障害者のサポートをする支援者の配置、委嘱を掲げるとともに、施策の推進に必要となる定員及び予算については適切に措置する旨、基本方針において記載をしております。
○倉林明子君 なかなかその担保が見えてこないですよね。
私、そもそも適用除外ということで、それに代わる法的な措置ということがとられてこなかったと。それが、やっぱり長年障害者を公務から排除する、要は、公務は障害者ができるような仕事はないというようなことにもつながっていたんじゃないかというふうに思うんです。公務は適用除外というふうにしてきた障害者雇用の在り方、これしっかり総括する必要があるんだというふうに思うんです。
その上で、公務に対しても、障害者雇用にこの差別の禁止、合理的配慮、法的根拠というのを整備すべきだというふうに思います。
大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(根本匠君) 委員のお話でありますが、公務部門の障害者雇用における差別禁止及び合理的配慮、これについては、公務員の勤務条件が法律で定められているなど独自の法体系が存在するので、それぞれの法制度の中で対応が図られております。
具体的には、国家公務員に関しては、基本的に、障害者差別禁止については国家公務員法二十七条の平等取扱いの原則、そして、合理的配慮の提供、これについては国家公務員法二十七条及び七十一条の能率の根本基準に基づき対応が図られております。
また、地方公務員に関しては、基本的に、障害者差別禁止については地方公務員法第十三条の平等取扱いの原則において、そして、合理的配慮の提供については障害者雇用促進法の規定が適用され、対応が図られています。法律ですから、それぞれの法律で整合的に対応が図られているものと思います。
それから、今回策定された基本方針に基づいて、人事院が国家公務員の合理的配慮に関する指針を年内めどに整備するものと承知をしております。
○倉林明子君 いや、そういう法体系になっているからおろそかになったんじゃないかと言ったんですよ。その上で、要は国家公務員法、地方公務員法にもきちんとした位置付けが必要じゃないかという趣旨で申し上げましたので、そのことは踏まえてもう一回よう考えていただきたいということは言うておきます。
その上で、そもそも障害者を排除してきた背景に何があったのかと、これ職場の実態ということをしっかり把握する必要もあるというふうに思っているわけです。大量に障害者を受け入れる前にやるべきは、受け入れられる職場環境にあるのかどうか、ここにこそ障害当事者の目も入れてしっかり総点検を行うべきだと思う。簡潔にお願いします。やるかやらないか。
○国務大臣(根本匠君) じゃ、簡潔に申し上げたいと思います。
法定雇用率の達成に向けた障害者の採用が単なる数合わせとならないように、障害者の希望と能力に応じた活躍しやすい職場づくりの推進が大変重要であると考えております。
ですから、具体的に、これから厚生労働省としての障害者雇用の推進に関する実務責任者を配置する、セミナーや講習会受講などによる人事担当者や障害者と共に働く同僚、上司の理解の促進、働く障害者向けの相談窓口の設置、個々の障害者のサポートをする支援者の配置、委嘱などによって各府省の取組を支援して、必要な職場環境の整備を行うことによって障害者が活躍できる場を拡大していきたいと思います。
これからも、関係閣僚会議等、政府一体となって推進してまいりますが、フォローアップもしっかりして、着実に推進していきたいと思います。
○倉林明子君 質問のポイントというか、私、全部文書で、項目でお示ししているんですよ。わざとそらしたような答弁というのは審議の妨害だと言いたいと思うんです。
もう時間がありませんので。
私、今日示された論点だけでも相当あるというふうに思います。審議は極めて不足しております。集中した審議ということを引き続きやっていただきたい、これを求めるのと同時に、独立した第三者委員会というのを設置し直して、検証のし直しが必要だ、当事者を入れた独立した第三者委員会の設置も強く求めて、今日は終わります。