倉林明子

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生活保護引き下げ撤回を 倉林氏 最賃にも影響と指摘 / 国連の生活保護削減見直し要請に 安倍政権が居直りの抗議(2018/5/29 厚生労働委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子参院議員は29日の参院厚生労働委員会で、生活保護基準引き下げと最低賃金(最賃)との関係をただし、安倍政権が狙う10月からの生活保護費削減計画の撤回を求めました。

 厚労省・山越敬一労働基準局長は保護基準が引き下がれば最賃も引き下げられる可能性を否定できず、同基準が国民全体に影響を与えていることが改めて浮き彫りになりました。

 最低賃金法は最賃を決めるにあたっては「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」(9条3項)と定めています。

 倉林氏は、現状の最低賃金での暮らしは病院に行くことも困難となっている実態を紹介。「保護基準が下がれば、今でも厳しい最賃がさらに下がることになるのではないか」と追及しました。

 山越局長は、これに直接答えないものの「最賃が生活保護を下回らない水準になるように配慮するのは一つの要件」と答弁。倉林氏は「保護基準が(最賃の)大きな変動の要素になる。(保護基準の引き下げは)全体の貧困化をいっそう深刻に広げることになる」と指摘し、基準引き下げ中止を求めました。

 倉林氏は、現状の保護基準でも「食事は2回」「入浴は週1回」などの生活を強いられている利用者の生の声を突きつけて、「この生活が生活保護法の定める『最低限度の生活を十分に満たすもの』と言えるのか」と追及。加藤勝信厚労相は、生活実態には触れずに、生活保護基準は審議会で「専門的科学的見地から検証した」などと述べるだけでした。


安倍政権が今年10月から強行しようとしている生活扶助費の最大5%削減計画について、国連人権専門家が「最低限の社会保障を脅かすもの」などとして見直しを要請したことに対して、日本政府が抗議したことが分かりました。

 加藤勝信厚生労働相が5月29日の参院厚生労働委員会で、日本共産党の倉林明子議員への答弁で明らかにしました。

 国連人権専門家は24日、安倍政権の生活保護削減計画について、一般低所得世帯(年収の低い方から10%層)の消費支出に合わせて生活保護基準を決める手法では「ますます多くの人々を貧困に陥れることになる」と警告し、負の影響を緩和するために必要な対策を講じるように文書で要請しました。世界の人権保障の“番人”ともいえる国連の専門家から厳しい注文を受けた以上、日本政府は見直しの検討をはじめるべきです。

 ところが、倉林氏からこの要請への対応を聞かれた加藤厚労相は「一方的な情報に基づく発表だ」と居直り、「大変遺憾であり、国連人権高等弁務官事務所に対して抗議を行った」と答えました。

 倉林氏は「抗議はきわめて恥ずかしい。専門家の指摘は真摯(しんし)に受け止めるべきだ」と政府の対応を批判しました。


日本弁護士連合会「2018年度予算案における生活扶助基準見直しの問題点」

長野県民医連調査「生活保護利用者の『声』」

東京都の最低賃金労働者の手取りの試算と生活保護基準額の比較

年齢階級別被保護者1人当たり医療扶助費(月額) 受診率(通院)(2015年6月審査分)


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 働き方改革関連法案が五月二十五日、衆議院厚生労働委員会で採決強行された。強く抗議を申し上げたいと思います。
 衆議院での法案審議というのは尽くされたとは到底言えません。労政審に提供されたデータ、これが採決の当日にも誤りが判明する、前代未聞ですよ。修正に次ぐ修正を重ねる。少なくとも、私は、衆議院の厚生労働委員会に審議を差し戻すべきだと申し上げたい。本会議での採決強行は断じて容認できないと、冒頭申し上げておきたいと思います。
 そこで、法案です。
 まず、生活保護基準の在り方、議論になっておりますが、私からも質問したいと思います。
 本年十月からの保護基準の見直しにつきまして、本会議でもただしました。大臣は、モデル世帯の一般低所得世帯とおおむね均衡しているから健康で文化的な最低限度の生活を営むことができる適切な水準だというふうに答弁されたんですね。比較した一般低所得世帯で所得下位一〇%層、本来、生活保護が利用可能な人を含んでいると、可能性あるとお認めになっています。その世帯と均衡した生活がなぜ適切な水準と言えるのかと。私、所得下位一〇%層を比較、均衡の対象としたその理由は何なのか、御説明いただきたい。

○政府参考人(定塚由美子君) 第一・十分位を比較対象とした理由ということでございますけれども、今回の検証におきまして、収入が減少してくると消費支出が急激に堪えられなくなって減少する変曲点という点、あるいは家計支出における固定的経費、食費とか光熱水費等の割合が急激に変わる水準、こうした点を検証を行っております。
 特に、後者の点は今回初めて委員の御提案により検証を行ったという点でございまして、これによって、教養や社会的交流に充てる費用などの変動的な経費が一定程度確保できると考えられる水準の世帯を比較対象として選定をできたというふうに考えているところでございます。

○倉林明子君 全体を見れば引下げにほかならない今回の見直しなんだけれども、これ、資料一、付けておりますのは、尾藤参考人が弁護士会のものだということでこれ御紹介いただいたものなんです。これ、問題点の一ということで、所得下位一〇%層にしているということを指摘しているんですけれども、この問題点一の三を見ていただきたいんですが、所得下位一〇%層との均衡では本来あるべき絶対水準を割るおそれがあるというふうに指摘しているわけです。
 より低い方と比較すれば保護基準というのは際限なく引き下がる、どこまで引き下がってもそれが適切な水準という、大臣答弁どおりであればそういう理屈になるんですよ。私は、適切な水準をどう捉えているのかと、とんでもない認識だというふうに指摘したいと思うんです。この保護基準、これが憲法が保障する最低限度の生活を十分に満たすものであるのかどうかと、生活の中身が私は問われるというふうに思うわけです。
 そこで、国際的に見てどうなのかという観点から確認したいと思います。
 外務省、来ていただいています。国際人権法で要求される適切な生活水準、これ一体どんな水準なのか、社会権規約第十一条一項ではどう規定しているか、御紹介ください。

○政府参考人(市川恵一君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘になりました経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、いわゆる社会権規約でございますが、その第十一条一には次のように規定されております。締約国は、自己及びその家族のための相当な食料、衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活水準の不断の改善についての全ての者の権利を認める。締約国は、この権利の実現を確保するために適当な措置をとり、このためには、自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であることを認める。
 以上でございます。

○倉林明子君 今御紹介あったとおり、相当な食料、衣類及び居住を内容とする相当な生活水準の確保、これが批准した国には求められるということですよ。
 そこで、現在の生活保護利用者の実態、これを是非見ていただきたいと思うんです。
 この資料の二枚目、三枚目に、実際に長野県の民医連が聞き取り調査を行ったものを抜粋しております。これまでの基準引下げがこの間やられてきた、そしてその影響はどういうふうに出ていますかということと、今年に行われる引下げ、これに対しての影響というものを聞いたものになっております。
 これまでの引下げで影響が出たもの、是非資料を見ていただきたいと思うんですよ。食事、暖房代などの光熱費というところが非常に多いんです。既に、改定前ですよ、今の段階で食事は三回を二回にしていると、入浴は週一回だと、食費に回すのが精いっぱいで衣料品等は全く買えていないと、こういう声が上がっております。そして、今回の引下げについては、影響額は仮置きで見ておりますけれども、食費しか削るところがないと、こういう声が圧倒的に多いんですよ。もう一食にするしかないとか削るものがないと、こういう声も少なくないんです。
 大臣、こうした生活が生活保護法の定める最低限度の生活を十分に満たしていると、こういうものだと言えるんでしょうか。認識をお聞かせください。

○国務大臣(加藤勝信君) 生活保護法における保障すべき最低水準については、生活保護法第三条、また第八条に書いているところでございます。今回も、この観点に立って社会保障審議会生活保護基準部会において専門的かつ科学的見地から検証を行い、もうやり方については……(発言する者あり)いやいや、やり方については先ほど局長から答弁をさせていただいたところであります。
 そういった意味において、現在の生活扶助基準、これは最低限度の生活を維持することのできる適切な水準になっているというふうに認識をしております。

○倉林明子君 先ほど、実際に生活保護世帯の生の調査、聞き取り調査の結果で生活実態を紹介した、これが適切な水準と言えるという認識かどうか。いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 生活保護基準部会においても、前回の生活保護基準見直しによる家計への影響も把握をしておるわけでありまして、家庭の生活実態及び生活意識に関する調査、また、生活保護受給世帯と一般世帯における各支出科目の比較等の調査も行い、これらの結果、前回の見直しはそれぞれ大きな差が見られなかったということでもあります。
 ですから、今のは……(発言する者あり)いやいや、今のは、だって、前回の見直しが影響していたということについて言われているので、そのことを申し上げているわけでありまして、そして、これらの結果、前回の生活扶助基準の見直しによる家計への影響として、経年の各支出科目の割合にも大きな差が見られなかったというふうに認識をしているところであります。
 また、家計の管理という問題もございますので、これについては、福祉事務所において家計相談支援を行う場合に対する地方自治体の取組を補助する事業も行っておりますので、そういったことも含めて、受給世帯の自立支援に努めていきたいと考えております。

○倉林明子君 紹介した、御飯が二食しか食べられないとか衣類は買えないとか、そういう実態生活についての認識聞いたんですよ。全く答えていないですよ。世界人権宣言、さらには社会権規約、こういうものに照らして、また生活保護法の規定に照らしても、私は相当な水準を確保しているとは到底言えないというふうに思います。そう思えないと駄目だと思いますよ。
 保護基準の引下げは、生活保護を利用していない低所得層に重大な影響をもたらすことになります。その一つが最低賃金なんですよ。
 これ、二〇〇七年の法改正で、九条三項に、労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものというふうにしております。現在の最低賃金の水準並びに生活保護との整合性、これどうなっているでしょうか。

○政府参考人(山越敬一君) 最低賃金でございますけれども、御指摘いただきました平成十九年の法改正によりまして、労働者の生計費を考慮するに当たっては、生活保護に係る施策との整合性に配慮すると規定されました。これは、最低賃金が生活保護の水準を下回らない水準となるよう配慮すると、こういう趣旨でございます。これを踏まえまして、平成二十年度以降、計画的に最低賃金の引上げが行われてまいりまして、二十六年度までに全ての都道府県で生活保護と最低賃金の逆転現象は解消しているところでございます。
 なお、この比較の方法でございますけれども、平成二十年度の最低賃金審議会でどのようにするかということが整理をされまして……(発言する者あり)よろしいですか。

○倉林明子君 逆転現象がなくなったという、そういう水準になったということだと思うんです。
 しかし、実際に最賃で働いている、そういう方々がまともに働いてもこの保護基準を下回ると、こういう実態になっているという現実あるんですよ。最賃で働くという労働者には医療費扶助ありません。住宅扶助もありません。
 これ、資料三、見ていただきたいと思います。
 これは、東京都の最低賃金労働者の手取りの試算ということで、読売の記者が行ったものを資料として添付しました。二〇一六年のところでいうと、最大労働日数働いても十三万一千二百五十二円にとどまるんです。じゃ、同じ生活保護の基準額を東京二十三区内、二十代単身で出してみますと、この額は十三万五千百六十三円なんです。実際に最大の労働日数で働けるという人、なかなかないです。普通に働いたら十一万円台というのが最賃で働く世界なんですよ。つまり、こういう現実あるんです。
 そこで、時給千五百円の実現を目指すという団体があります。エキタスというんです。これは、ネットでハッシュタグ付けて質問出したんですね。それが、最低賃金千五百円になったらというものです。これにたくさんの反応ありました。これ見まして、私、本当に胸が詰まったんですね。何が多いか。病院行きたいというんですよ、時給千五百円になったら。これが圧倒的に多い声でした。これ、保護基準が下がったら、今でも厳しい最賃で働くということが更に下がっていくんじゃないか。最賃も下がるということになっていきませんか。

○政府参考人(山越敬一君) 最低賃金法の生活保護との関係でございますけれども、この最低賃金法の規定の趣旨は、最低賃金が生活保護を下回らない水準となるよう配慮するという趣旨でございます。
 この最低賃金でございますけれども、労働者の生計費、賃金水準、企業の賃金支払能力などを総合的に考慮いたしまして、地域最低賃金審議会の答申に基づいて決定されるものでございます。
 あくまでもその地域最低賃金審議会の答申に基づいて決定されるものではございますけれども、地域別最低賃金は、今申し上げましたように、労働者の生計費、賃金水準、そして企業の賃金支払能力などを総合的に考慮して定めるものでございますので、生活保護の水準が仮に下がったとしても、そのことに伴って直ちに地域別最低賃金の引下げの決定がなされることはないのではないかと考えているところでございます。

○倉林明子君 直ちにというとおり、ほかのものが一緒の場合、保護基準が下がれば最賃も下がる可能性、これ否定できないと思う。どうですか。

○政府参考人(山越敬一君) いずれにいたしましても、最低賃金の、生活保護を下回らない水準になるように配慮するというのは一つの要件でございまして、他方で、地域別最低賃金は、今申しました要素を勘案して総合的に決定していくものでございますので、そういった中で決定されていくものであるというふうに考えております。

○倉林明子君 これ、否定できないんですよ。つまり、保護基準との逆転現象を解消するということを目標にやってきたって、保護基準がやっぱり大きな変動要素になるんです。下がれば下がる。全体の貧困化を一層深刻に広げることになるということを私は厳しく指摘したいと思うんです。
 私、国際的にもこういう保護基準の見直しについて声が上がっているんですね。五月二十四日に、ジュネーブ、国連の人権専門家四人から日本政府に対して、貧困層の社会保障を脅かす生活保護削減の見直しを求める警告が発せられています。所得最下位層との比較、均衡による保護基準の見直しに欠陥があると、多くの人を貧困に陥れると、こういう警告です。
 今回の警告は、貧困層の人権への影響を真剣に考慮せずに採択されたこのような緊縮政策は日本が負っている国際義務に違反していると批判しております。政府に、国際義務に基づき生活扶助費の引下げの包括的な人権アセスメントを行い、負の影響を緩和するために必要な対策を講じるよう、こう具体的に要請していますね。大臣、この要請にどうお答えになりますか。

○国務大臣(加藤勝信君) その前に、最低賃金の話がありましたけれども、これやっぱり総合的に勘案し、我々も働き方改革で全国平均千円を目指すということで、(発言する者あり)いや、これまでも、いやいや、これまでもずっとやってきた。過去、生活保護のときにはなかなか上がらない中で、せめて生活保護にということでやってきたと。しかし、それが達成されたけれども、それで終わらずに、更に最低賃金上げていこうということで取り組んでいることは是非御理解をいただきたいというふうに思います。
 その上で今のお話になりますけれども、国連人権理事会の特別報告者からそのような報道発表がなされたということは承知をしているところであります。
 ただ、この特別報告者に関しては、我が国政府の説明を受けないまま、一方的な情報に基づく報道発表だということでございます。我々としては大変遺憾であり、またその旨をジュネーブ国際機関日本政府代表部を通じて国連人権高等弁務官事務所にも抗議を行っているところであります。
 これについて、いずれにしても、引き続き、我が国の考え方、もうここで説明させていただいていますけれども、それについてしっかりと説明をしていきたいというふうに思っております。

○倉林明子君 抗議したということです。その中身について、文書で後ほど御提出を求めたいと思う。抗議なんて極めて恥ずかしいと思います。その点については後からまた確認をさせていただきたい。
 私は、真摯にこういう専門家の指摘というのは受け止めるべきだと思いますよ。憲法二十五条が規定する健康で文化的な最低限度の生活、これは何かということが問われているわけですよ。生活保護利用者の生活実態、これとの大きな乖離があると、私は実態を見ればそうだと思うんです。保護基準の引下げ部分、この実施を凍結すると。さらに、基準部会での基準の在り方、検討必要だと言っているんですから、こんな指摘も出て、こういう警告も発せられている下で、再検討ということを速やかに求めたいと思います。どうでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) 私が承知している限り、日本側の回答期間を経ることなく、一方的にこれが発表されたというふうに認識をしているところでございます。
 それから、これまでの議論についても、この生活保護部会において今回の方式については透明性のあるやり方だということを認めていただいた上で、しかし、いろいろ課題があるんで、それについては対応していくべきだということ、失礼、透明性の高い一つの妥当な手法だということで審議会の報告書にも書かれているわけでありますが、ただ、様々な御指摘がありましたので、それに対してはしっかりと取り組ませていただきたいと思います。

○倉林明子君 憲法にも国際義務にも反するような基準の引下げというのはやるべきではないと、強く撤回を求めたいと思います。
 今回の国連のこの専門家の声明見ますと、生活保護利用を理由に医薬品の使用に制限を課すことは国際人権法に違反する不当な差別に当たると、こういう指摘もあるんです。
 大臣は、本会議で後発薬品の使用原則化の理由についてこう説明しています。生活保護受給者においては、全額公費により医療扶助が行われ、一般と異なり、通常、医療機関での窓口負担が発生せず、後発薬品を選択する動機が働きにくい、国民の理解を得て運営していくためにも後発薬品の使用原則が必要だと、こう言っているんですよね。
 なぜ国民の理解を得るために後発薬品の使用原則化が必要なのか、私答弁聞いても分からなかった。どういうことでしょう。

○国務大臣(加藤勝信君) まず、国民の理解を得るというのは、いずれにしても税金によって賄われている制度ということ、これは別に本件制度のみならず、全ての制度において国民の理解を得ていくということが当然必要になってくるということであります。
 その上で、同じことになってしまいますけれども、今回の後発医薬品そのものについては、医学的知見に基づいて後発医薬品を処方することが適当でないと判断する場合には先発医薬品による給付が行われる等々、必要な医療がしっかり行われていくということ、またそれぞれ負担についてのありようが違うということ、そういったことを考えて合理的であるというふうに考えております。

○倉林明子君 いや、結局、生活保護利用者、ここからは薬品選ぶ権利を奪ってよいということになるわけですよ。
 国連の専門家は、生活保護受給を理由に医薬品の使用に制限を課すことが駄目だと言っているわけでしょう。私はそこが問題だと思うんですよ。結局、生活保護利用者にだけアクセスは制限すると、安い薬で我慢せいと、これは差別にほかならないと思う。どうですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 大事なことは、必要な医療が行われると、確保するということでありますので、そういった意味において、先ほど、あるいは、そもそも、御承知のように、先発医薬品と有効性及び安全性が同等であり、また製造、販売が承認されていると、これが後発医薬品でもあります。
 そういった意味で、いずれにしても必要な医療がしっかり提供される、そういう意味において差別には当たらないというふうに考えております。

○倉林明子君 国連の専門家の意見というのを真摯に受け止めるべきだと思います。
 更に懸念されるのは、頻回受診対策の強化ということで、生活保護利用者に対する窓口負担の導入が検討されているということです。
 大臣、認識聞きたいと思います。生活保護利用者は医療費の窓口負担がないことから頻回受診、これ事実として起こっているんでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 医療扶助における医療機関のこれ受診日数というベースで見れば、医療扶助における医療機関の受診日数、これが二・七日であります。後期高齢者医療の場合が三・二日、国民健康保険の場合は二・三日ということでありますけれども、年齢構成、また状況等が異なるため単純な比較は難しいところでありますが、今のような状況になっているということであります。
 他方で、御承知のように、生活保護受給者に係る医療扶助費は生活保護全体の約半分を占めているわけでありますので、そういった意味においても、また本来、必要な医療がしっかりと提供されるという意味においても、頻回受診対策、これをしっかりする、やっていくということは必要だというふうに思います。

○倉林明子君 あなた方が作られた資料を付けました。それが四枚目です。日数じゃない、受診率を比較したものですよ。これを見れば、高齢者、そして子供の受診率というのは一般より低いんですよ。これは部会でもたくさん意見出たんじゃないですか。受診が必要でも、無料だからということで後ろめたさから受診を控えるケース、これ少なくないという指摘があります。同時に、現場の声として、子供さんは重篤になってから受診させる保護者多いという意見聞いております。事実として頻回受診が起こっているというようなことは言えないと、これは厚労省の資料で明らかだと思いますよ。
 窓口負担は生活保護利用者を医療から遠ざける、こういう認識ありますか、大臣。

○政府参考人(定塚由美子君) 大臣から先ほど御紹介ありましたけれども、平均受診日数の比較、先ほど申したとおりでございます。
 データ的には、生活保護について、特段、受診日数が多いとか、そういうことは明らかになっていないわけでございますけれども、一方で、頻回受診者という方がいらっしゃるということは、これ事実としてありますので、こういう方々に指導を行ってきている。また、指導しても是正されない方もいらっしゃる、これ事実としてございます。

○倉林明子君 部会でも出ていた、そして現場の声も紹介した。これ窓口負担を設けるということは、生活保護者を医療機関から遠ざけることにつながるのではないか、そういう認識はどうかと大臣に聞いたので、そこの答弁をいただきたい。

○国務大臣(加藤勝信君) 窓口負担の導入については、社会保障審議会においても、いろいろ工夫をすればそうしたものも、子供は対象外とした上でいろいろ工夫をすれば実施可能という意見がある一方で、最低生活保障との両立が難しくなるという懸念、また必要な医療の受診まで抑制され、むしろ長期的には医療費が増えるといった懸念、また仕組みによっては医療機関の未収金やケースワーカーの事務負担の増加につながるといった懸念、こういった懸念がいろいろ出され、反対意見がこの審議会においては多数であったというところであります。
 したがって、窓口負担を求めることによる必要な医療の受診抑制を懸念する意見もあることから、こうした様々な意見を踏まえつつ、課題として検討する必要があるというふうには考えております。

○倉林明子君 課題として検討して結果として導入なんということになれば、今でさえ受診控えということが現実高齢者や子供さんのところで起こっているというところを更に悪化することにつながりかねないと、そういう認識を持つべきだというふうに思います。
 窓口負担の導入というのは、償還払いやったらええやろというような話もございますけれども、やっぱり最低生活を下回ることになる、憲法二十五条に反すると、これ尾藤参考人からも指摘がありました。適切な医療にアクセスできるようにどうサポートするのかと、ここを考えるのが私厚労省の仕事であろうかというふうに思います。
 改めて認識、重ねてお聞きします、まず。

○国務大臣(加藤勝信君) 今委員がまさにおっしゃったように、適切に医療を利用してもらう、健康管理をしていただく、これは非常に大事だというふうに思います。今回の頻回受診対策に対する取組もそういった一環として実施をするということであります。
 いずれにしても、今回の取組の実施状況等々も踏まえながら、これからも、償還払いの試行も含めた方策の在り方については引き続き検討していきたいというふうに思います。

○倉林明子君 医療費、そして介護、福祉、この生活保護、もう一体として抑制掛けてきていると。そういうときに、やっぱり命を守るとりでなんだと、生活保護は。そこでどうやっぱり憲法の原則、これ、国際的にも求められる行政の原則に沿って頑張れるかどうか、私は本当決め手になると思いますよ。
 心を失ったらあかんということを強く申し上げて、終わります。