労基法の適用求める 倉林氏 駐留軍労働者「異常正せ」(厚生労働委員会)
日本共産党の倉林明子議員は5日の参院厚生労働委員会で、在日米軍などで働く駐留軍等労働者に対し、労働法令の一部が適用されていない問題をただしました。
駐留軍等労働者は約2万5000人。日本政府が雇用主となって、米軍に労務提供しています。2017年度当初予算で、労務費総額1636億円のうち1485億円、約91%を日本政府が負担しています。これらは条約上、日本側に負担義務がありません。
厚労省の坂根工博雇用開発部長は、労働基準法の36条(時間外・休日労働)と89条(就業規則の作成・届け出義務)、安全衛生委員会に関する労働安全衛生法17~19条が適用されていないと報告しました。倉林氏は「出す必要のないお金の負担をして国内法を順守してもらえない関係は極めて異常。異常をただすべきだ」と述べ、法令の適用を求めました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
本当に驚くべき事案が発覚したと思っておりますのは、陸上自衛隊のイラク派兵部隊の日報が、去年三月には確認していたと、こういう事実が明らかになったわけで、これ、一年にわたって防衛大臣さえもだまされていたということになるわけです。隠蔽、改ざん、相次いでおります。民主政治のもう前提が崩れているんじゃないかと。これは、立法府に対しても寄せられている国民の不信につながっているんじゃないかと思っているわけです。
そこで、本当にこの問題、最優先で徹底究明が必要な事態だということを質問に入る前に一言申し上げておきたいと思います。
この法案については、駐留軍等労働者及び漁業労働者の離職の可能性及び再就職率の状況から見て、延長措置については賛成したいと思います。
そこで、駐留軍等労働者の雇用、処遇について幾つか質問したいと思います。
駐留軍等労働者は、現在、約二万五千人という規模になっております。先ほども議論ありましたけれども、日本政府が雇用主となって労働契約に基づいて米軍に労務提供しているということになっています。さて、その労務費総額は幾らになっていて、日本政府の負担額、負担率は現状どうなっているでしょうか。
○政府参考人(田中聡君) お答え申し上げます。
平成二十九年度予算における労務費の総額は約一千六百三十六億円でございます。また、日本側の負担額は約一千四百八十五億円となっておりまして、負担率は約九一%というふうになっております。
○倉林明子君 日米地位協定によりますと、この在日米軍の駐留費用というのは原則米側が負担するということになっているんですけれども、今御説明あったとおり、その負担は九〇%日本政府が行っていると。これ続いているわけですね。いわゆる特別協定で、思いやりによりまして日本政府による負担を自らやってきていると、拡大してきたという経過があるものだというふうに理解をしております。
そこで、財務省に確認をしたいと思います。
特別協定を根拠に行われてまいりました在日米軍駐留経費の負担について、財政審から、財政制度審議会からも指摘がされている、建議も出されているというふうに理解しております。その部分、紹介してください。
○政府参考人(神田眞人君) お答え申し上げます。
在日米軍駐留経費負担につきましては、平成二十七年十一月二十四日に財政制度等審議会において取りまとめました平成二十八年度予算の編成等に関する建議において、厳しい財政事情の下、財政健全化の取組を進める中で、在日米軍駐留経費負担についても聖域視することなく見直しを行い、その縮減を図る必要があると指摘しているところでございます。
○倉林明子君 指摘されても九〇%というところが変わらずに経過している、これが事実だと思うんですね。
そこで、厚労省に確認したいんですけれども、使用者が米軍であるがゆえに、駐留軍等労働者に本来適用されるべき労働法令、先ほども小林委員から指摘がありました。私の方も確認したいんですけれども、今何が適用されていない現状があるのか。米軍との労働法令で、日本の労働法令が適用されるという原則なんだけれども、合意されていない、これ具体的に何になるのか、御紹介ください。
○政府参考人(坂根工博君) お答えいたします。
今のところ、三点あろうかと思っております。一つは時間外勤務等に関する労使協定、いわゆる三六協定の締結及び行政官庁への届出でございます。二つ目は就業規則の届出。三つ目は安全衛生委員会の設置。この三つがまだ適用されていないというふうに認識をしておるところでございます。
○倉林明子君 これ、労働者側からも強い要望があると。なんだけれども、結局、ずっとこの三つについては適用できないままに経過しているということだと思うんです。
労務費の負担は本来日本側がする必要のないものなのに、お金を一千五百億円近く、九〇%ベースで負担している。金は出しているけれども国内法さえ遵守してもらえない、こういう関係というのは極めて異常だと思うんですね。
こういう異常こそ私は正していくべきだということを申し上げて、早いですけど、終わります。