倉林明子

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再エネ普及が最優先 和田氏ら意見陳述 FIT法改定案 参考人質疑(経済産業委員会)

 参院経済産業委員会は19日、再生可能エネルギー特措法(FIT法)改定案の参考人質疑を行い、「自然エネルギー市民の会」代表の和田武・元日本環境学会会長らが意見陳述しました。

 和田氏は、巨大地震が発生する日本での原発稼働に対し「過酷事故によっては国の存立基盤を破壊しかねない。再稼働はやめ、すべて廃炉にすべきだ」と主張。EU(欧州連合)では新設発電の8割が再エネであり、日本も再エネ最優先を明確化して飛躍的に普及すべきだと求めました。
 そのうえで今回の法改定は不十分だと述べ、送電線設置費を再エネ発電事業者に負担させないようにするなど、再エネの優先接続・優先給電の確立を要求。改定案での入札制度の導入は大企業に有利で、市民・地域主体の再エネ発電が減少しかねないと述べました。

 日本共産党の倉林明子議員は、市民・地域主体の取り組みについて質問しました。
 和田氏は、国の風力発電設備の約80%を住民が持つデンマークでは、雇用創出により過疎化が解消した村があり、福島県では売電益の一部を復興費用にしている市民共同発電所の取り組みがあると述べ、「市民や地域に依拠したやり方なら地元に歓迎され、地域発展につながる」と強調。倉林氏は「地域主導がキーポイントで、地域課題の解決にもつながる」と述べました。

議事録を読む(和田参考人意見)
平成二十八年五月十九日(木曜日)
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○参考人(和田武君) 和田でございます。よろしくお願い申し上げます。
 私の方からは、再エネに関わる主要な問題についての捉え方と対応について最初にお話し申し上げて、それに基づいて今回の改正法案についての意見を申し上げたいと思っております。
 私の資料の二ページ目に、地球温暖化・気候変動問題ですけれども、この問題は、このまま進行しますと大変な重大影響、場合によっては不可逆的な環境変化までもたらしかねない、人間の生存基盤まで揺るがしかねない、そういう問題ですので、その回避に努めるということは、これは国際的な責務です。
 昨年、パリ協定が採択されましたけれども、気温上昇を一・五度から二度未満にする、そのためには二十一世紀中に温室効果ガス排出を実質ゼロにするということが目標として定められているわけですけれども、これに沿って考えますと、日本の地球温暖化対策計画で出されている目標、二〇五〇年の八〇%削減はいいんですけれども、二〇三〇年の一三年比二六%減、一九九〇年比ですと一八%減になりますけれども、これはいかにも低過ぎます。今後、これはパリ協定の下で見直していく必要があると思っております。二〇三〇年には一九九〇年比で四〇%以上の削減という目標を掲げるべきだろうと思います。
 次に、三ページ、原子力発電ですけれども、御承知のように、日本は地球のプレートのまさに境界の上にある国です。非常に珍しい、まさにそういう地理的な特徴を持っている国です。したがって、巨大地震が常に発生する、そういう国での原発稼働は、これはコストとか損得の問題ではなくて生命に関わる、そういう問題です。過酷事故が、起こりようによっては日本の存立基盤そのものを破壊しかねない、そういうものですので、原発の再稼働はやめて全ての原発を廃炉にすべきです。
 といいますのは、新規制基準が世界一厳しい規制基準だと言われていますけれども、逆に、自然の条件は、世界一厳しい自然条件です。そういう下では、いかなる対策を取っても過酷事故を回避するということはできない。このことは原子力規制委員会でも、この規制基準を満たしても絶対的な安全性が確保できるわけではありませんと、これはホームページにちゃんと書かれているわけです。そういうことですから、今言ったような意味で原発は廃止すべきだと、これは国民の意見とも合致するものです。
 それから、四ページ、三番目に、化石資源の利用、とりわけ、今、石炭火力発電所を非常に増設する計画がどんどん出ていまして、これが容認される方向に進んでいます。この発電所を造りますとかなり長期に運転することになります。そうしますと、現在のエネルギー需給見通しで出されている二〇三〇年の石炭比率の見通しを上回る勢いでさえあります。しかも、CO2の削減の目標を今後見直しを迫られるとしますと、この点についても非常に支障を来します。
 したがって、石炭火発の新設を禁止する、既設発電所は順次撤廃するという方向性をきちんと打ち出すべきです。これはもう欧米諸国の動きはそういう動きが大勢であります。
 その次、今申し上げたようなことを踏まえれば、現在の時点では、日本は再エネ中心の持続可能な社会構築という、それの実現に向かった目標と計画を明確に掲げる、方向性をきちんとした政治をやる、これが今極めて重要になっています。世界の趨勢はまさにその方向を向き始めています。この間のCOP21での再生可能エネルギーに関する議論を見ていても、そういう動きが物すごく強まってきています。
 具体的に申し上げますと、世界の発電所の新設、年間の新設量の六割以上が再生可能エネルギーです。これが三年連続してもう続いています、しかも増えていっています。EUに至っては八割が再生可能エネルギー発電です。そういう動きがどんどんどんどん進んでいるわけですから、世界の大勢はまさにこの方向に向かっていると。
 そういう視点で二〇三〇年の見通しを見たときに、再生可能エネルギー比率二二から二四%、原発二〇から二二というのが出ているわけですけれども、この再生可能エネルギー比率は低過ぎます。原発比率をゼロにして、再生可能エネルギー比率を少なくとも四五%、望ましくは五〇%以上に高めるべきです。
 こういう数字を言いますと、日本ではそんなことは不可能だという、そういう意見をよく聞きます。しかし、これは実際にほかの国では十分やれるようなことが実績でも出ているわけです。十三ページに図の参考資料を付けておきましたけれども、日本、ドイツ、デンマークの再生可能エネルギー発電量の推移を示してあります。一九九〇年比で、日本は一・五倍に対してドイツは九・三倍、デンマークは二十二・五倍になっています。
 これを、ドイツの場合について、ドイツがEEG、固定価格買取り制度ですね、このEEGを導入したのが二〇〇〇年、そこから十五年の間に再エネ比率を五倍に増やしているんですね。水力を入れて全ての再エネ比率を五倍に増やしています。水力を除いた再エネの比率は、二〇〇〇年の二・四%から二九・四%へ十二・四倍に増やしています。つまり、過去十五年間でこういうことができているんです。これからの十五年間でこれ以上のことができないはずはありません。といいますのは、以前に比べたらずっと条件は良くなっています。例えば、ドイツが固定価格買取り制度を始めたときの太陽光発電の買取りコストは電気料金の四、五倍でした。円にして恐らく百円ぐらいだったでしょう。そういう非常に厳しい条件の下でスタートして、それでなおかつこれだけのことがやれているわけです。
 ですから、この比率を仮に日本で、今言ったようなドイツで過去に十五年間にやった比率を、今後十五年間でやったとしたら、まさに六〇%とか五〇%とか、そういう数字にすることは可能なんです。ですから、その政策手段としてFITというのが最も重要な政策手段としてあるわけです。
 私自身は、もうRPS法が採用されるずっと以前からFITを採用すべきだということをずっと主張してきました。そういうことですので、FITそのものは維持しながら、もっとより良いFITにしていくべき、今申し上げた視点から、積極的に、飛躍的に普及を推進するために、改正を求めたいというふうに思っています。
 そのFITの改正案に対してですけれども、六ページから。
 まず、接続方式や認定条件について、従来法の第二章第五条、第六条を削除して、そして新たに条件付の認定方式等を導入する。こういう当面の措置、その中には地域でのトラブルを回避するための情報公開等、評価できるような項目が入っています。ですから、そういう当面の問題を解決するという点では理解できますけれども、再エネ普及を今申し上げたような意味で飛躍的に普及するという立場からすると、まだまだ不十分です。
 これを更に促進できるように、送電線設置費は送配電事業者の負担として、優先接続が可能になる改正を目指していただきたい。これはドイツを始めとして多くの国でやっていることです。
 さらに、広域連系を強化する。これに対しては国ももっともっと積極的に関与して、周波数の変換や地域間の連系、こういう設備を強化して、社会インフラ整備として位置付けて、今考えられているような期間ではなくてもっと短期間にこれをやると。数年以内ぐらいにやれば、全国で今問題になっている需給調整とかそういう体制が全国的にできるようになるわけですから。地域別でそういうことをやろうとすると大変な、九州のようなそういうことが起こるわけですけれども、もっとそういうことをきちんと全国的にやれるようにすれば、出力抑制とか接続可能量の設定等も不要あるいは減らす状況づくりをやれるわけです。それを目指す必要があると考えております。
 さらに、再エネの優先給電。これを採用することで普及を加速することができます。この点については、経産省の省令では再エネは火発より優先するということになっているわけですけれども、エネルギー基本計画においてはベースロード電源というふうに石炭火力と原発を位置付けるということをやっている。これは明らかに再エネよりもそういうものを優先するということですね。ここはやっぱり石炭火力よりも再エネを優先するということを明確にすべきだろうと思います。そして、優先接続、優先給電が確立されれば、もっともっと普及が進みますし、CO2の削減にも貢献することになると思います。
 次、七ページ、入札制度ですけれども、この改正案の条文だけで判断しますと、その対象範囲が無限定ですので、非常に広い範囲で導入することができるという可能性があります。そうなりますと再エネの普及の抑制につながりかねません。
 それから、私は、再エネの普及は、市民とか地域主体、こういうものがその担い手として中核になる。これは実はデンマークやドイツが非常に普及が進んだというのは、こういう政策が進んでいるということだけではなくて、普及の方式、普及の中心、担い手が市民なんですね、地域なんです。市民、地域が主体になりますと、再エネの普及をする際に反対運動とか批判が起きないんです。賦課金の上昇が起きても、それに対して非常に容認する姿勢が強いのは、まさに市民やそういう地域が関わって、それを通じて地域が発展していく、そういうプラスの面がいっぱい出てくるわけです。そういうふうなものがありますからそういう形になっているわけで、そういう地域主体の普及を促進するという意味でも入札というのは非常に抵抗があります。
 ただし、対象を大規模な太陽光発電に限定する、そういうふうなことであれば、これは一定容認できると考えております。
 それから八ページ、いわゆる電力多消費事業所における賦課金の減免制度ですけれども、これは、今回の改正では原単位改善というものと関係付けて申請対象とか減額をやるということについては評価できるんですけれども、本改正の趣旨である国民負担の抑制ということを考えた場合には、もう一工夫必要だろうと思います。例えば軽減率を低くするというふうなのも一法ですし、また、これは私が講演をしているときにある方から質問を受けたんですけれども、こういう対象事業所を管轄する事業者がFITを使ってメガソーラーなんかを造って非常に利益を上げている、つまり減額を受けながら一方で利益を上げていると。これは国民的には納得できないというふうなことを二回ぐらい質問で受けました。それはそうだろうと思います。ですから、この点についても何らかの対応を求めていきたいと思います。
 それから九ページ、これは改正案にはないんですけれども、FITをより効果的に普及を推進するために、どんな条件でも一定のIRRを保証できるようにしていく。
 つまり、今はかなり大ざっぱにIRRを設定して、どういう種類のものをやっても一定の適正な利益が得られるようにしているということなんですけれども、ところが細かく見ていきますと、例えばバイオマスなんかは規模別の買取り価格になっていません。太陽光発電も、十キロワット以上の非住宅用に関しては、これは規模別になっていません。規模別、つまり、大規模な発電所を造れば、これは発電コストを低く抑えられます。小規模なのは逆に高くなります。したがって、IRRは当然そういう差が出てきます。それを、やはりどの場合にもIRRは同等になるような規模別の買取り価格を設定する方式、これをきちっと確立すべきだろうと思っています。
 具体的には、国産の森林資源、日本は非常に国産の森林資源が多くて、多くの国は国産の森林資源、木質のバイオマスを発電あるいは熱利用に積極的に利用しているんですね。にもかかわらず、日本の豊富な森林資源は十分活用できていない。そこでこのFITがその手段になり得るわけですけれども、現在のFITといいますか、二〇一四年度まではこの買取り価格は三十四円一キロワット時という一律の買取り価格でした。その結果どういうことが生まれているかというと、五メガワット以上の大規模な発電所ばかりがどんどんどんどんできました。これは私自身が調達価格等の算定委員をやっていましたので、この点については初年度から、いずれそうなるだろうということを指摘していました。そのとおりになりました。そのことによって大変な不都合がいっぱい出ています。
 そもそも、大規模な発電というのは蒸気タービン方式の発電しかできません。コジェネができません。蒸気タービンとコジェネでは、エネルギー効率は全く違います。二倍ぐらい違います。つまり、日本の森林資源をエネルギー利用する際に無駄遣いしないようにするためには、小規模なものでコジェネをやる、そういうことを促進するような仕組みが必要です。二〇一五年度に一応二メガワット未満に対して……

○委員長(小見山幸治君) 陳述時間が過ぎておりますので、簡潔におまとめをお願いいたします。

○参考人(和田武君) はい、分かりました。
 そういうことになりましたけれども、もっとそういう規模別のものを設定する必要があるだろうと思います。
 もう時間が参りましたので、十ページ、最後ですけれども、あと二点、追加的な施策として、先ほど申し上げましたような市民・地域主導の再生可能エネルギー普及推進政策、これを強化することが第一点です。それから二番目として、電力だけではなくて、再エネの熱利用、それから輸送用の燃料利用、これはもうどこの国でもやり始めていることですけれども、この新しい政策を確立すべきだろうと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

議事録を読む(参考人質疑)
平成二十八年五月十九日(木曜日)
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 今日は、三人の参考人の皆さんに貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。
 時間も押しているということで、絞って一点だけ和田先生にお伺いしたいと思います。
 先ほど来、市民・地域主導型で再生可能エネルギーを普及推進していくことが大事だということを強調されておりましたが、お配りいただきました資料でも、FIT制度、前からも取り組んできたとおっしゃっていた具体的な事例なども付けていただいておりますので、その御紹介なども含めて補足的に御説明をいただければと思います。よろしくお願いします。

○参考人(和田武君) 先ほども申し上げましたように、デンマークやドイツは担い手が市民主導なんですね。ドイツのことについて、十四ページを見ていただきますとお分かりいただけますように、実は全再生可能エネルギー発電設備の四六%は市民が関わるエネルギーなんです。さらに、地域主体、例えば自治体とかこういう地域主体を入れれば、電力エネルギー事業者とかあるいは企業の中にそういうものが入ってきますので、もっと高い割合、つまり市民、地域という枠組みでいいますと六割ぐらいがそういう枠組みで実施されているということなんですね。それがドイツが飛躍的に普及が進んでいる理由なんですよ。
 ドイツは決して、先ほどからドイツは比率が高いと言われますけど、ドイツは高くありませんよね。高さでいうとはるかに北欧とかあるいはオーストリアとか、そういうところの方が高いんです。低かったから一生懸命今高めようとしているんです。そういう中で、その方式として、デンマークの風力は八〇%は市民所有、その風力で四〇%の電力を賄っているわけです。それは先ほど申し上げたように、そういうことで地域から非常に歓迎されながら普及が進んでいくわけですね。
 そういうことで、十五ページには、ドイツの地域・自治体レベルでの一〇〇%再生可能エネルギーを目指す地域、こういうふうな再生可能エネルギーの利用を促進している地域が実に国土の半分以上を占めている、こういう実態があります。
 日本に関して申し上げますと、十六ページに書きましたけれども、現在、恐らく市民・地域共同発電所というものが千基ぐらいはあると思います。これは、実はFITがない前からどんどん造られてきたんです。FITがない前ですから、ほとんど市民が自らお金を出しながら、寄附だとか協力金だとかお金を出しながら造ってきたんです。
 一九九七年のCOP3の直前に私たちはそういうものを造りました。それ以来、こんなものが増えるとは思っていなかったのに、みんなお金を出しながら市民共同発電所を造り始めたんです。FITが入る以前にもう三百ぐらいになっていました。FITが入ってから更にそれが加速されるようになりました。それは当然です。市民の発電所を設置する理由は、利益ではありません。自分たちで地球温暖化防止のために貢献をしたいとか、原発のエネルギーを使いたくないとか、そういう意味合いで取り組むんですね。ですから、そういう主体に過度な利益は要らないんです。適正な利益さえ得られるようにすれば、非常に積極的にこういうところが動くわけです。そういうふうな普及の仕組みというのをつくっていく必要があると思います。
 例えば、最後に、十七ページに私が代表をしている市民共同発電所の事例を出しましたけれども、この場合、五か所ぐらいにもう発電所を造っていますけれども、そのうちの二か所は、福島の農民の方々が、もう農業をやっても食っていけない、その農地を発電所にしたいと、そういう経験がないから私たちの団体に協力してほしいという申出があって造ったんですね。そうしましたら、全国多数の市民がそれに共同出資で出資をしてくれて、もう必要経費をはるかにオーバーするぐらいの出資金が集まって、トータル二百五十キロぐらいの発電所を造りました。同時に、その経験を得て、その農民の人たちが自ら発電所を造り出して、農民連という団体の会員の家庭の全ての電力を賄えるぐらいの六メガワットの発電所をもう造っているんですね。こういうふうな、やっぱり市民、地域に依拠したやり方をやれば歓迎されるわけです。
 あるいは、もう一つ事例を申し上げますと、徳島地域エネルギーという市民会社があります。これは株式会社ですけれども、市民がつくっている会社です。この会社は、徳島のいろんな自治体と話し合って発電所を造る、その際に、その地域外の人も含めて市民から出資を募って出資をしていただく、そしてその出資をしていただいた方々にはその建設地域の特産物を、お金ではなくて特産物をお返しする、こういう仕組みをつくったんですね。それで、あちこちにそういう発電所を造っているんです。その結果、その地域はその特産物を販売できるようになってメリットが出てくるわけですね。こういう地域の発展と関わったようなやり方ができるわけです。
 私たちも、福島に造った発電所の売電収益の二%は復興基金に充てています。そういうふうな、地域に一定の利益を還元するというふうなこともこういう市民の取組の中ではやられていくわけですね。そういうふうな配慮、こういうふうなやり方が普及を非常に滑らかに、スムーズに、反対運動なくやれるやり方だと思うんですね。
 私は、ドイツやデンマーク、こういう具体的な現場を歩き回ってきました。北海に面した小さな埋立地のフリードリッヒ・ヴィルへルム・リュプケ・コークという小さな村です。この村は過疎化をしていた。そういう過疎化していた村で、この過疎化を食い止めたい、風が強いんだから風車を建てようということで建て始めた。そのことによって、その村は完全に過疎化から脱却して、今人口が増え始めている。農業の後継者難が解消されて、多くの若者がその後継者になっていっている。
 こういう事例はその村だけではありません。ローデネ村という小さな村で草原太陽光発電所を造った。その太陽光発電所のパネルは全部シャープ製ですよ、二・六メガワット。世界中の太陽電池を一年間検査して一番いいやつを選ぶということで、十ぐらいのメーカーのあれを比べた。一番がシャープ、二番が京セラですよ。そういう日本の条件を持ちながら、日本では政策が取られなかったために遅れてしまったんですね。
 様々なそういう地域の発展が再生可能エネルギーの普及によってなされるという事例を数多く見ています。今申し上げた、シュレスヴィヒホルシュタイン州というんですけれども、そこなんかはもう電力の七〇%を再生可能エネルギーで供給しています。そのうち、先ほど申し上げた事例のところの郡なんかは全電力の三・五倍以上電力を供給しています。そういうふうなやり方というのがこの再生可能エネルギー普及の基礎になるというふうに申し上げたいと思います。そういう点での仕組み上の工夫を是非取り入れていただければと思っております。
 ありがとうございました。

○倉林明子君 本当にそういう意味では再エネの普及の在り方ということが、地域主導でやっていくという、本当にキーポイントになるんだということだと思います。
 同時に、提起された中身というのは、過疎化や、現実、今地方で直面している問題の解決にもつながることだということで、大変示唆を受けました。
 ありがとうございました。


※和田参考人意見部分(00:00~18:11)、参考人質疑部分(18:11~)