原則通りの廃炉要求 高浜原発は40年超経過(経済産業委員会)
(ページ下部に資料があります)
倉林明子議員は4月28日の参院経済産業委員会で、運転開始から40年以上が経過する高浜原発1、2号機について、原則通り廃炉にするよう主張しました。
40年前の技術水準でつくられた高浜原発1、2号機では可燃性ケーブルが使用されています。倉林氏は、可燃性ケーブルが1300キロ(東京-鹿児島間)にも及ぶと指摘し、「ケーブルの交換・耐火工事はいつ完了するのか」とただしました。
原子力規制庁の桜田道夫・原子力規制部長は「平成31年(2019年)10月を工事の竣工(しゅんこう)時期とする」と述べ、原子炉等規制法で原則40年と定められた運転期間内に耐火工事が終わらないことを明らかにしました。
さらに、倉林氏は、実証実験で高浜原発1、2号機の耐震性に問題があるとわかった場合「廃炉にするのか」と迫りました。
桜田部長は「一般的に、事業者が安全性を向上するという観点から設計の見直しをすることはありうる」と述べ、工事計画を見直せば廃炉にしない可能性があることを認めました。
倉林氏は「そんなやり方で、『40年運転原則』を骨抜きにすることは許されない」と批判し、老朽原発の廃炉を重ねて求めました。
原子力規制委員会は、四十年超えの原発で初めて高浜原発の一、二号機が新規制基準に適合するということを決定いたしました。熊本地震が続いているという下で、老朽原発の運転、二十年延長合格ということで大変不安が広がっているのは事実だと思います。周辺の自治体の首長からも慎重な対応をしてほしいという声が上がっているのも当然のことかと思います。
そもそも、東電福島原発事故を受けての法改正ということで、四十年運転の期間制限、これ導入したという経過があるわけです。この高浜原発一号機、二号機、いずれも四十年を超えているわけで、原則からいえば廃炉の対象じゃないのかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(櫻田道夫君) お答え申し上げます。
原子炉等規制法の第四十三条の三の三十二第一項におきましては、発電用原子炉を運転することができる期間が四十年と定められております。また、同じ条文の第二項におきまして、その期間について、原子力規制委員会の認可を受けて、一回に限り延長することができるという規定がございます。
この運転開始後四十年を経過する原子力発電所につきまして、運転期間を延長するかどうか、この申請を行うかどうかというのはこれはもう事業者の判断でございますけれども、高浜発電所一、二号機につきましては、平成二十七年の三月十七日付けで申請が出されております。これは新規制基準適合性に係る申請でございます。さらに、同年の四月三十日付けで運転期間の延長の申請というものを出されております。こういった申請について許認可に係る処分を行う、そのために必要な審査を行うというのは、これは原子力規制委員会の役割でございます。
ということがございまして、原子力規制委員会としては、審査を行った結果、先ほど委員からお話ございましたように、新規制基準適合性に関して本年四月二十日付けで設置変更許可を行ったところでございます。ただし、運転期間の延長認可の申請につきましてはまだ現在審査中でございます。申請内容が基準に適合しているかどうか厳正に確認している最中ということでございます。
○倉林明子君 そういうことでいろいろ手続も残っているので、実際の廃炉になるかどうかということの期限でいえば七月七日になるということだと思うんですね。
その上で、四十年前といえばどんな時代だったかと。パソコンもなけりゃ携帯電話なんていうのもほとんどないという時代でして、この間の技術進化というのは本当に著しいものがあったと思うし、そういう意味でいうと原発も私は例外ではないというふうに思うわけです。
古い原発ということで様々な論点がございました。その中で、ケーブル問題、可燃性だということで、それも長さが千三百キロに及ぶということですから、新幹線で東京から鹿児島までぐらいの距離になるというんですから、これをどうやって燃えにくいケーブルに替えるのかということが一つ挙がっていたかと思います。
そこで、現時点で燃えにくいケーブルに一体どれだけ替えることになったのか、そしてその工事はいつまでに完了するのか、部長、どうぞ端的にお願いしたいと思います。
○政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。
今委員御指摘のとおり、この高浜発電所一、二号機の中で、難燃化、燃えにくくする工事が必要なケーブルというのが約千三百キロございます。そのうち約六割を難燃ケーブルに取り替えるという計画であるというふうに承知してございます。残りの約四割につきましては、防火シートで覆う等の対策を講じることによって難燃ケーブルと同等以上の難燃性能を確保する、こういうことを確認しているところでございます。
この工事にどのくらいの期間が掛かるかということでございますが、これは、ケーブルの工事そのものについてではございませんけれども、火災防護対策を含めた発電所全体の工事の竣工時期というのが申請に書かれてございまして、事業者の申請によりますと、平成三十一年十月を工事の竣工時期とするという計画が示されてございます。
○倉林明子君 難燃ケーブルに限ったことではないけれども、全体として工事の完了の見通しということで示されているのは二〇一九年ということになりますか、十月になるんだということです。
つまり、工事計画の認可でいうと、計画ですから、計画でいうと、これが今年七月七日までに出ないと駄目だと。廃炉にするかどうかの期限になるんだけれども。そこまででよしと。つまり、対策工事そのものは期限まで完了しないでもいいんだということだったと思うんですね。
そこで、四十年前ということでもう一度振り返ってみると、建物の耐震基準ってどうだったかと。新耐震基準、一九八一年、これ導入されてもいなかった時代となります。
そこで、耐震性についても確認したいと思うんですけれども、蒸気発生器、ここなどが、一次冷却設備ですけれども、どの程度の揺れに耐えられるのかということで、これは実証実験必要だと。当然だと思います。本体の実証実験もするんだということで伺っておりますが、その実証実験の実施時期はいつになるのか、そして、これは時期をお答えいただきたいのと、その実験の結果がどうなるかということですね、耐震性に問題があるという場合はどんな措置がとられるのか、いかがですか。
○政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。
今委員から実証実験というお話がございましたけれども、これはちょっと手続がございまして、今御指摘のありました蒸気発生器を含めて耐震性を確認するために必要な設計になっているのかと。これについては今、工事計画の認可の段階で、設計についての妥当性を審査します。これもまだ審査中ということでございます。したがいまして、その後の時期については、なかなか見通しを申し上げるということは難しいということは御理解いただければと思います。
そして、今の考え方でございますけれども、設計の妥当性を認可した上で、実際にその設備工事が終わって、今度は検査になります、使用前検査という段階になります。この検査の段階で、実際の設備について試験を行って、設計のときに確認した条件に満足しているかということを確認すると、こういうことでございます。
もし仮に、これから認可をして、検査を行った段階で、その結果が満足できないということになった場合についてのお尋ねもございましたが、そのような場合には、これはそのままでは使用前検査に合格しないということになろうかと考えます。
○倉林明子君 工事計画が認可された後、実証実験が駄目だった場合、使用前検査、合格しないということだったんだけれども、前提にした工事認可、これ自身を取消しするということはあり得るんですか。つまり、廃炉にするのかどうかですよ。
○政府参考人(櫻田道夫君) 使用前検査と工事計画というのは、先ほど申し上げましたように、工事計画は設計の妥当性を見る、使用前検査は実際に設備を見るということでございます。
使用前検査で不合格になったら工事計画を取り消すということには必ずしも直結をすることではないと考えてございます。
○倉林明子君 つまり、実証実験して駄目だって廃炉にしない、要は、規制委員会が了とするまで工事計画を出し直して、もう一回やり直すということが可能になるということだと思うんですよ。
結局、取消しにはならないということですか。
○政府参考人(櫻田道夫君) またこれ仮定の話なので、現在、工事認可していませんので、この件についてお答えするのはなかなか難しいんですけれども、一般的に事業者が安全性の向上をするという観点から設計の見直しを行うということはありますし、そのための工事をするために工事計画の審査が必要だということになれば申請してくることになると思います。そのような場合には、ちゃんと審査をするということになろうかと考えます。
○倉林明子君 要は、廃炉の期限ということで、四十年延長のこの期限というのが一体どうなるのかということと関わってくる問題だと思うんですね。結局工事認可オーケーだったら、その後は期限が結局なし崩しになるんじゃないかという懸念があるので確認をさせていただいているわけなんです。私、こういう形で、結局、四十年運転原則、骨抜きにするというようなことは絶対許されないと思います。
そこで、国交省にも来ていただいています。確認をしたいと思うんです。建物の耐震についての一般論で伺います。
耐震、免震、これ、建物のダメージや揺れに対するどんな違いがあるのか、いかがですか。
○政府参考人(杉藤崇君) お答え申し上げます。
耐震建築物とは、一般的に申し上げて、建築物の上部構造の構造躯体の強度あるいは粘り強さを高めることによって地震力に耐えるように構造設計された建築物のことでございます。耐震建築物には、鉄筋コンクリート造の耐震壁のように、主に構造躯体の強度で地震力に抵抗をする強度型の建築物と、鉄骨造の柱やはりによる骨組み加工など、主に構造躯体の粘り強さで地震力に抵抗する靱性型、強靱の靱という字を書きます、靱性型の建物に分類されると思います。
一方、免震建築物といいますのは、建築物の基礎と一階との間などに免震ゴムなどの免震装置を配置をいたしまして、これによって地盤から建築物の上部構造に伝わる地震力を小さくするように構造設計された建築物のことです。
個々の建築物における地震時のダメージや揺れは、これは地震の周期や建築物の構造設計の内容、目標によって異なります。仮に上部構造を同じ構造躯体とした場合には、単位周期が卓越する地震動に対しては、耐震建築物よりも免震建築物の方が地震時のダメージや揺れは小さくなる傾向にありますけれども、一般的に耐震建築物は免震建築物に比べて上部構造の構造躯体の強度や粘り強さを高めることから、どちらの構造の方が地震時のダメージや揺れが大きいのかということにつきましては、これは設計目標とする地震力のレベル等に依存するのであって、一概に申し上げることはできません。
○倉林明子君 この間、様々な大地震を経験する中で、公共建築物、とりわけ官公庁などは免震構造へ建物、更に地震に強くするためにということで、建て替えも進めてきたと。つまり、揺れない構造にすべきだということで、免震構造への転換、進められてきたと思うんですね。できるだけ素人にも分かりやすい説明をお願いしたんですけど、余計分からない説明だったのは非常に残念だと思います。
そこで、耐震性で、高浜に戻りますけれども、重大事故の対応施設である緊急時対策所、これがどうなっているかということです。規模や求められる機能というのは改めて確認しません。端的に、高浜三、四号機との関係について御説明いただきたい。
○政府参考人(櫻田道夫君) 高浜三、四号機との関係ということでございますけれども、今回設置変更許可を行ったものは、一号機から四号機、全ての号機が運転するという前提でございます。したがいまして、緊急時対策所につきましても、この一号機から四号機全ての対策を一どきに行える、そういう設計として確認をしてございます。
○倉林明子君 新たな緊急時対策所というのは、一、二号機が動かないことを前提にして三、四号機が認可された経過がありますので、これは確認ですけれども、新たな今回の緊急時対策所の完成がなければ、高浜三、四号機については稼働しない、よろしいですか。
○政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。
そうではございません。
高浜三、四号機につきましては、現時点において既に緊急時対策所がございます。そして、今申し上げた一、二号機が運転するまでには緊急時対策所を造る、新しいものを造るということになります。したがいまして、それができるまでの間は、現在存在する緊急時対策所で高浜三、四号機の運転をすることについては問題ございません。
○倉林明子君 そこで、資料を見ていただきたいと思うんですけれども、一枚目は今回の一から四号機で出されました高浜の緊急時対策所の設置の図面でございます。緊急時対策所はブルーで囲っておりまして、その斜め左下に免震事務棟ということになっています。
これ、二枚目を見ていただきたいんですけれども、ここには島根原子力発電所の免震重要棟のもう既に工事が完成したもののホームページから転載したものでございます。これについては、黄色でラインを引いたところを見ていただきたいんですけれども、今後、国による適合性確認審査や検査を受けた後、緊急時対策所として使用しますと。大きな違いは何か。つまり、免震棟の建物の中にこの緊急時対策所があるかないかなんです。わざわざ何でこれ別になっているのかということを非常に問題だと思っているんですね。
私は、緊急時対策所が免震棟の中にあってこそ新しい新規制基準の要求水準が満たされるんじゃないかと思うんです。安全基準について後退があってはならないと考えますけれども、最後、委員長、それから大臣に伺って、終わります。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 緊急時対策所は、その機能を求めているのであって、それが耐震構造か免震構造かということについては私どもはそこはきちっと審査の中で評価していきます。
それで、島根の方の免震棟ですけれども、これは最近になりまして基準地震動が上がりまして、免震棟がこのままでは使えないということで、別途耐震構造の緊急時対策所を造るというふうに変更するということの申請というか打診が来ています。まだ変更申請までは出てきていませんけれども、そういうことが出ています。
ですから、大きな地震動を仮定した場合にはなかなか免震棟で全てそういったものを賄うというか対処するというのが難しいということの中で耐震構造という選択がされているというふうに理解していますので、私どもとしてはきちっと我々の審査基準に基づいて評価していきたいと思っています。
○国務大臣(林幹雄君) 緊急時対策所につきましては、原子力規制委員会は、免震でも耐震でも性能基準を満たしたものであればよいというふうにしているというふうに承知をしているところでございます。各事業者は緊急時対策所についてその性能基準を満たすよう取り組んでいるものと認識しておりまして、原子力規制委員会によって厳格な審査が行われることを期待いたします。
その上で、各事業者が一度表明した方針についてそれを変更する場合には、周辺住民を始めとする関係者に対しまして丁寧に説明することが大切だというふうに考えているところでございまして、経産省としても電力会社に対し丁寧な説明を促していきたいと考えております。
○倉林明子君 終わります。