温室効果ガス 実効ある削減こそ 石炭火力発電増設を批判(予算委員会)
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<高浜原発再稼働 中止迫る 連続トラブル問題>
日本共産党の倉林明子議員は4日の参院予算委員会で、関西電力高浜原発4号機(福井県)の連続トラブル問題を取り上げ、政府と原子力規制委員会の安全性に対する姿勢を厳しく批判し、再稼働中止の決断を迫りました。
高浜4号機は、再稼働準備中の2月20日、原子炉補助建屋で放射性物質を含む水漏れが見つかり、整備の不十分さが浮き彫りになりました。26日に再稼働を強行しましたが、わずか3日後、発送電開始の作業中に原子炉が緊急停止しました。
倉林氏は「世界最高水準の規制基準」と安倍晋三首相が述べたにもかかわらず、トラブルが相次いでいるのは極めて重大だとして、「これで安全だといえるのか」とただしました。
林幹雄経産相は「絶対的な安全ということはない。万一トラブルが起こった場合でも適切に対応できることが重要だ」と開き直りました。原子力規制委員会の田中俊一委員長も「一般論としてある程度こういったものは起こる」などと答弁しました。
倉林氏は「関西電力と規制委員会への信頼は大きく失墜している。住民の不信と不安を考えれば、再稼働など到底認められない」と迫りました。
林経産相が「規制委によって安全性が確認された原発についてのみ、地元の理解を得ながら再稼働を進める」と従来の説明を繰り返したのに対し、倉林氏は高浜4号機の再稼働と3号機の運転を直ちに中止するよう強く求めました。
<温室効果ガス 実効ある削減こそ 石炭火力発電増設を批判>
日本共産党の倉林明子議員は4日、参院予算委員会で、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が今世紀後半をめどに温室効果ガス排出ゼロを目指して合意した「パリ協定」に逆行するとして、石炭火力発電の増設を計画する政府のエネルギー政策を厳しく批判しました。
昨年12月のCOP21は「パリ協定」を採択し、平均気温上昇を産業革命前から「2度未満」に抑え、さらに「1・5度未満」に抑制するために努力することで合意しました。
倉林氏は「画期的なパリ協定を踏まえた実効ある取り組みが求められている」と強調。しかし、安倍政権のもとで現在把握できているだけでも1800万キロワットの石炭火発増設計画があり、老朽化した火力発電所を廃止しても2030年には二酸化炭素(CO2)の排出が2・9億トンに増加することになると明らかにしました。
倉林氏は、CO2排出量が政府の見込みより大幅に増えると指摘する民間団体の調査結果も示し、日本政府の目標である30年までに26%削減、50年までに80%削減の「達成見通しがまったく立っていない」と批判しました。林幹雄経産相は「事業者の適切な対応を期待する」と無責任な答弁を繰り返しました。
さらに倉林氏は、丸川珠代環境相のもとに設置された気候変動長期戦略懇談会が2月26日にまとめた提言が「50年までの残りの年数を踏まえると…(中略)…特に初期投資額が大きく排出係数の高い石炭火力発電への投資には大きなリスクが伴う」と述べているとし、「新規石炭火発を進めていることへの警告だ」と迫りました。
倉林氏は、米国や英国では石炭火発への投資から撤退に動いていることや、民間でも化石燃料への投資から撤退しようと500以上の組織や投資家が参加し、400兆円を超える経済規模のダイナミックな運動が起こっていると紹介。一方で日本政府は国内に加え、海外での石炭火発への公的支援を拡大していると批判し、再生エネルギーへの転換を求めました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
まず、関西電力高浜原発四号機について質問いたします。
再稼働が決まってから相次いでトラブルが起こっております。規制委員長の認識、そして事故概要について説明を求めたいと思います。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 高浜発電所四号機におけるトラブルについて、まず、二月二十日に発生した放射性物質を含む水の漏えいについては、法令報告に該当しないレベルであるということで、事業者が当該弁の分解点検後、当該弁を含む系統を適切に復旧したことを既に原子力規制庁の検査官が確認して、それを了承しております。
また、二月二十九日に発生した原子炉の自動停止については、現在事業者において原因究明や対策について検討しており、規制委員会としても事業者からの報告を踏まえて厳正に対処してまいりたいと考えております。
こうしたトラブルが相次いで発生したことについて、社会的信頼の回復の観点からは大変残念に思っております。ただし、原子力規制委員会としては、こういった絶対にトラブルが起こらないと考えて対応するのではなくて、むしろ起こることを想定して、その都度安全性への影響を見極め、事業者が適切に対応することを確認していくことが重要と考えています。
なお、高浜発電所四号機については、現在まだ原子炉等規制法に基づき使用前検査等を実施している段階であります。新規制基準への適合については引き続き厳格に確認してまいる所存でおります。
○倉林明子君 粛々と見ているというような印象ですけれども、私、これ非常に現地に与えた影響というのはすごく大きいんですよね。全容の解明はもちろん、情報を徹底して公開していただきたいと、これは求めておきたいと思います。
そこで、規制委員長、新規制基準に適合したわけですね、使用前検査とはいえ。それなのに何でこんなことが起こるんだろうかと。率直な疑問です、お答えください。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 先ほど申し上げましたとおり、こういったトラブルが相次いで発生していることについては、社会的な信用を回復するという意味でも非常に残念だというふうに思っています。
先生御指摘の、審査に合格したにもかかわらずということでございますが、私どもの審査あるいは検査は安全上重要な設備を重点的に確認しています。つまり、大きな安全上の、関わるような事故が起こらないようにということを中心に見ております。そういった点から、こういった、今回のトラブルについてはどの程度の安全上の問題かということについてはまだ未解明なところがございますが、一般論としてある程度こういったものが起こるということは、一応そういう覚悟で臨んでおります。
そういった意味で、繰り返しになりますけど、トラブルが全く発生しない、審査や検査が終了したから発生しないということではなくて、こういったことを想定して、その都度安全性への影響を見極めて、事業者が適切に対応していただくように確認していくことが重要だというふうに考えております。
実際の施設の運転が始まっておりますので、こういった保全や運転については、自ら遵守すべき保安規定、それから保安のために講ずべき措置を適切に遂行することや施設を適切に維持することはもちろんのこと、より一層の安全を追求すべく努力を事業者のサイドでも継続をしていただくことが重要だと考えております。
○倉林明子君 安倍総理は、繰り返し世界最高水準の規制基準だと言っているわけです。それなのにトラブルが続いた事実というのは、私は極めて重大だというふうに思います。
経産大臣に確認したいと思いますが、これで安全と言えるんでしょうか。
○国務大臣(林幹雄君) 高浜原発四号機において相次いでトラブルが発生したことは大変残念だと思っております。
関西電力におきまして、安全第一で原因究明に全力を挙げると同時に、機器の徹底的な点検を行い、安全をしっかり確認して取り組んでもらいたいと思います。また一方で、絶対的な安全あるいはゼロリスクということはありませんで、万一トラブルが起こった場合でも適切に対応できることが重要でありまして、不断に安全性の向上を図っていくことが大事だと思っております。関西電力において継続的に安全性の向上に取り組むべきだと考えております。
○倉林明子君 問題は信用を大きくやっぱり失墜したということなんですよ。関西電力に対しても、そして規制委員会に対しても、私は大きく信用を失墜していると指摘したいと思います。
住民の不信、不安、これ考えますと、このまま再稼働など到底認められないと。再稼働は中止する、その決断を大臣、すべきだと思います。
○国務大臣(林幹雄君) 今ほど申し上げましたとおり、高浜原発四号機において大変トラブルが発生したことは残念だと思います。
トラブルの原因については現在、関西電力が調査中でありまして、今後、原子力規制委員会に報告され、同委員会において確認がなされるものと承知しております。
いずれにしても、原発については、原子力規制委員会によって再稼働に求められる安全性が確認された原発についてのみ地元の理解を得ながら再稼働を進めるということにしているところでございます。
○倉林明子君 その地元の周辺住民の理解を大きく損なうことになっていると。こういうことを踏まえれば、四号機はもとより三号機も直ちに中止することを私は強く求めておきたいと思います。
次の質問に移ります。
昨年十二月にCOP21で、全ての加盟国に温室効果ガスの削減目標、対策実行を義務付けたパリ協定が採択されました。フランスのオランド大統領は閉幕の挨拶で平和的な革命とおっしゃったと聞きました。私も並行して開催されましたIPUに国会の代表として参加をさせていただきまして、脱炭素化、この熱い思いを共有してまいりました。パリ協定を踏まえて温室効果ガスの長期大幅削減、これをどう具体化していくのか、日本に問われていると思います。
環境大臣、合意した内容は何だったのか、御説明ください。
○国務大臣(丸川珠代君) 倉林委員におかれては、パリにも足をお運びになって熱心にお取り組みのこと、敬意を表したいと存じます。
このパリ協定の内容につきましては、世界共通の長期目標として二度目標を設定すること、そして加えて一・五度に抑える努力を追求すること、またこの達成のため今世紀後半に温室効果ガスの排出と吸収のバランスを実現することを目指すこと、そして主要排出国を含む全ての国が削減目標を五年ごとに提出、更新すること、各国が実施状況を報告しレビューを受けること、そして五年ごとに世界全体の状況を確認する仕組みをつくること、先進国が引き続き資金を提供するとともに途上国も自主的に資金を提供することなどとなっております。
○倉林明子君 私、化石燃料の時代に終わりを告げる、極めて画期的だというふうに思います。しかし、現状では、各国の目標を足し合わせましても二度未満というところに到達しません。更なる目標の見直しが求められるわけで、パリ協定を受けて、今後の課題、そして大臣の決意はいかがか、お聞かせください。
○国務大臣(丸川珠代君) 委員御指摘のとおり、これまで世界各国が示している温室効果ガス削減目標を全て足し合わせても二度目標の達成の必要な削減量には達しておらず、世界全体として追加的な努力が必要になることが様々な機関の分析で指摘をされております。パリ協定の目的達成のためには、今後、各国が目標を提出、更新していく中で、中長期的に世界全体でこの取組を強化していくことが必要だと考えております。
我が国としては、まず、二〇三〇年度の二六%削減目標の実現に向けて計画的に取り組んでまいります。そして、その先に目指す目標として掲げている二〇五〇年八〇%削減という目標に、目指していくためには従来の取組の延長では難しいと考えておりますので、経済社会システムの変革、またライフスタイルの変革を含めて、長期的、戦略的に取り組んでまいりたいと存じます。
○倉林明子君 パリ協定を踏まえれば、いかに早く対策に着手し、目標を達成し、より高い目標を設定して実行していくと、ここが問われていると思うんですね。日本にもその覚悟と実効ある取組が必要だというふうに思います。
そこで、日本の温室効果ガス排出の現状はどうかという点です。
資料一を用意いたしました。電力部門二酸化炭素排出量の推移です。説明を求めたいと思います。
○政府参考人(梶原成元君) お答え申し上げます。
我が国の電力部門のCO2の排出量につきましては、二〇一三年度に五・四八億トンでございます。これは我が国のエネルギー起源のCO2排出量の約四割を占めているところでございます。
そして、過去からの推移、トレンドということでございますけれども、一九九〇年からの推移を申し上げますと、電力部門全体で約二億トン増加をし、そのうち石炭火力部門では一・七億トン、LNG火力由来では〇・九億トン、それぞれ増加をしていると。逆に、石油火力の部門は減少しておるということでございます。
○倉林明子君 次に二枚目、石炭火力の設備容量、二酸化炭素排出量、これについての説明をお願いします。
○政府参考人(梶原成元君) いろんな会社の公表資料等を基に、新増設が計画されております石炭火力発電所の設備容量は総計で約一千八百万キロワット程度と考えております。これらの計画が全て実施され、かつ既存の老朽石炭火力発電所が稼働から四十五年で一律に廃止されるというふうに仮定をしました場合には、二〇三〇年の石炭火力の設備容量は約五千九百万キロワットということになるという計算でございます。
これらの発電所から出てくるCO2につきまして、エネルギーミックスと、規定と同様の稼働率で稼働すると単純に仮定をするならば、想定排出量は約二・八から二・九億トンCO2になるという計算になるところでございます。
○倉林明子君 表にも書いてあるとおり、対策がされないと大幅な排出超過になるということは明らかだと思います。さらに、NGOの調査によりますと、石炭火発の計画というのは既に四十七基になっていると。二酸化炭素の排出量は環境省のこの見込みよりも大幅に増えることになるということです。
そこで、経産大臣に聞きます。石炭火発の新増設を認めて、二酸化炭素排出量が減らせるということになるんでしょうか。どうでしょうか。
○国務大臣(林幹雄君) まず、石炭火力の排出量がありましたけれども、LNG火力の計画も二万九千キロワットがありまして、客観的に見て石炭火力ばかりでないことをまず申し上げておきたいと思います。
電力業界は国の温暖化目標とも整合的な自主的枠組みを公表したところであります。国としても、省エネ法、高度化法の措置によりまして自主的枠組みの実効性を確保していくわけでございます。各事業者による今後の石炭火力の新増設については、この自主的枠組みなどを踏まえて進められていくものと考えております。
石炭は、安定供給、また経済性の観点から優れているんですが、CO2を排出するため、経済と環境の両立が課題でございます。エネルギーミックスでは、最新鋭の石炭火力が二六%導入されることを想定しております。我が国のCO2削減目標の達成のためにも、高効率な石炭火力の新増設を促して、古くて効率の悪い火力発電設備の休廃止あるいは稼働率の低減によりまして経済成長とCO2の削減の両立をしていくということが必要だと思っております。
○倉林明子君 新しい石炭火発で、高効率で置き換えるということなんだけれども、結局、LNGも高効率も二酸化炭素を排出するんですよ。
そこで、問題となるのは、古い石炭火発はじゃどうするのかと。じゃ、やめさせることができるのかということなんですけれども、やめるのは事業者になるわけです。行政から廃止を促したということでも事業者がやめないという場合あると思うんですね。その場合、経産省はこの古い石炭火発というのをやめさせることできるんでしょうか。
○国務大臣(林幹雄君) 答弁の前に、今ほどLNG火力の計画を、二千九百万キロワットを二万九千と読み違えたものですから、訂正させてください。
最新鋭の石炭火力の新増設が進みまして、古くて効率の悪い石炭火力との競争の結果、一定の淘汰が進んでいくということは想定されます。ただし、市場原理だけに委ねるだけでなく、今般、省エネ法におきまして、既設の火力発電についても一定の効率化を求める基準を設けることとしております。
その上で、合理的な理由なく効率の悪い既存の設備を稼働し続ける場合や、あるいは改善や、改善に向けた具体的な計画が明らかでない場合には、省エネ法に基づく指導、助言の対象とすることを、先日、私の談話の中で明らかにしているところでございます。なお、国の指導、助言にもかかわらず、取組が著しく不十分な事業者には公表や命令といった措置もあり得るわけであります。
これらを踏まえて、効率の悪い石炭火力の休廃止、稼働率の低減に向けて事業者は適切に対応するものというふうに期待しているところでございます。
○倉林明子君 やっぱり期待なので、やめさせることはできないんですよ。結局、新増設が今後四十年、五十年ということで二酸化炭素を排出し続けるということになるわけです、これ。結局、総量、二酸化炭素総量というのは増えるリスクが極めて高いと思うんですね。
ところが、環境大臣、条件付で新規建設を認めるということの方針出されました。二〇三〇年、二〇五〇年、ここで温室効果ガス排出削減目標、この整合性って取れるんでしょうか。
○国務大臣(丸川珠代君) 今御指摘をいただいております石炭火力を含む電力分野における実効性のある地球温暖化対策について、私、林経済産業大臣にも様々お願い、御相談をさせていただきまして、その結果を二月九日に公表させていただきました。
かねてから電力業界において自主的な取組の枠組みをおつくりくださいということで、これについては引き続き実効性、透明性の向上を促してまいりますが、加えて、政策的な対応として、経済産業省において、今ほど大臣が御答弁いただいたように、省エネ法の基準、またエネルギー供給高度化法の基準等において新たにこれを強化していただくとともに、それに指導、助言、そして勧告、命令まで含めて適切に運用していただくということで話をさせていただきました。責任持って経済産業省がまずお取組をいただけるというふうに認識をしております。
さらに、この取組が実効性を上げているかということについて毎年進捗状況を確認をさせていただきまして、仮に目標の達成ができないという判断がされる場合には、施策の見直し等についても検討をさせていただきます。
こうして目標達成に向けて努力してまいりたいと存じます。
○倉林明子君 私、いろいろおっしゃったんだけれども、新増設を造っていくということになって、古いものも残っていくと、結局、二酸化炭素が増えないという保証は、今の掛けた規制の中では見えてこないと思うんですね。
さらに、新たな自主的な取組もしていくということで協議会もつくられたということを聞いています。しかし、ここには全ての発電事業者が網羅されているものでもないし、属さない事業者には縛り掛かりません。さらに、環境省もつかめない小型の石炭火発というのも次々と建設が行われております。
環境大臣の下に設置された気候変動長期戦略懇談会、これが先日、二月の二十六日に提言をまとめられました。この提言の意義、そして今後の長期的な温暖化対策にこの提言どう生かしていこうとお考えですか。
○国務大臣(丸川珠代君) 気候変動長期戦略懇談会での御議論というのは、今世紀後半までを見通した大変意義の深い画期的な御提言だったと思っております。
それは、地球温暖化、温室効果ガスの長期大幅削減と、そして経済社会的課題、我が国が抱えている課題の同時解決を目指し、両者を一体的に捉えて御議論をいただいたということが画期的だったと思います。
このような観点から、温室効果ガス長期大幅削減のための社会構造のイノベーションが我が国の経済社会的課題の解決のきっかけになるのではないかという大変示唆に富む御提言をいただきました。
環境省としては、今後必要となる長期大幅削減に向けた議論を進めていく中で、この今回の御提言の趣旨を積極的に生かしていきたいと思っております。
○倉林明子君 この提言では、石炭火発の投資についても述べています。その部分について事務方から御紹介ください。
○政府参考人(梶原成元君) 今御指摘の気候変動長期戦略懇談会の提言の中で、「二.二〇五〇年八〇%削減の絵姿の実現に向けた道筋(時間軸)」という章立ての中に「過渡的な対策と長期的な対策」という節がございます。その中では以下のように書いてございます。
現時点においても、八〇%削減の長期目標を見据えて、対策を選択しなければならない。つまり、その選択が過渡的なものか長期的に有効なものかを常に見極めた上で、長期的に有効な対策の導入が進むスピードと過渡的な対策の終期とを常に念頭に置く必要がある。例えば、火力発電所の高効率化は、火力発電の発電量が総発電量の半分以上を占めると想定される二〇三〇年時点には有効な対策であるものの、他方、二〇五〇年時点では、火力発電所は、電力供給に占める割合を相当程度減少させていることが必要で、かつ、追加コストを要するCCSを活用しなければ八〇%削減に対応した電力部門の低炭素化のレベルを満たすことは難しい。火力発電所は通常四十年以上稼働するとされているが、二〇五〇年までの残りの年数を踏まえると、新規の火力発電への投資、特に初期投資額が大きく排出係数の高い石炭火力発電への投資には大きなリスクが伴うことをあらかじめ理解しておく必要があるとあります。
○倉林明子君 現時点で、新規石炭火発を進める、これについてのやっぱり警告がされていると受け止めるべきだと思います。
私、改めて経産大臣に伺います。
石炭火発、新規建設を認めるべきではないと考えます。どうですか。
○国務大臣(林幹雄君) 我が国のエネルギー事情を踏まえれば、石炭火力は安定供給性あるいは経済性に優れた重要なベースロード電源でありまして、環境負荷を低減しつつ活用していくということが不可欠だろうというふうに考えております。CO2を削減しつつ、電力自由化、GDP六百兆円の実現と両立していくためにも、省エネ法による厳しい規制を導入して、古くて効率の悪い石炭火力の淘汰を促しつつ進めていく考えでございます。
○倉林明子君 やめると言わないんですよね。
そこで、新規建設は増やすということなんだけれども、海外での石炭火発への公的支援、これ拡大しているという点でも日本は突出しております。資料の三枚目を御覧いただきたいと思います。石炭火発に対する各国で既に始まっている投資抑制の動きがあります。これ御紹介いただきたいと思います。
○政府参考人(梶原成元君) 諸外国の投資でございますが、様々な投資が、規制とか取組が行われているところでございます。排出量取引という形で規制されている部分もございますし、さらには、規制もございます。そして、国別の投資という意味におきましても、それぞれ、支援という意味におきましても様々な動きがあります。国連、世界銀行での動きとか、そういったものもございます。
ただ、特に石炭火力に対する海外支援ということに関しまして言えば、幾つかいろんな、それぞれ需要国で事情が異なります。例えば、経済性とかあるいは供給安定性という観点から石炭火力を選択せざるを得ないといったような国もあろうかと思います。そういった場合はより高効率な石炭火力の発電の導入を支援することも実効的な地球温暖化対策の一つにはなり得るというふうに考えておるところでございます。
○倉林明子君 イギリスや米国では石炭火発からの投資の撤退と、こういう動きが国レベルで起こっております。さらに、民間レベルでもダイベストメント運動というのが注目されております。既に五百以上の組織、投資家、参加しまして、その規模四百兆円と、大きな規模になっています。世界では、政府、民間、再エネに思い切ってかじを切るダイナミックな変化が起こっているということだと思うんです。日本はこの海外投資でも、COP21、パリ協定の流れに私は逆行していると思います。
前経産大臣は私に対して、原発も石炭も駄目というならどうするんだと質問されました。再エネにこそ未来があると私は言いたいと思います。
先ほどの懇談会の提言では、再エネが経済と地方の抱える課題解決につながる可能性があるということで、資料四に注目していただきたいんですけれども、これは今でも域内エネルギー代金の収支の比率で赤字になっているというものを示しております。
続いて資料五、これは一体どういう意味があるのかということを御説明、事務方からお願いします。
○委員長(岸宏一君) 環境省総合政策局長。簡単にね。
○政府参考人(三好信俊君) 分かりました。
御指摘の図につきましては、約束草案レベルの再エネ導入、省エネ努力を行ったと仮定した場合の各自治体のエネルギー関連の付加価値の推計の結果でございまして、この試算におきまして、大都市、地方を問わず、ほぼ全ての自治体で付加価値が増加し、地方部においてその増加幅が比較的大きくなった、ただし、このような効果を発揮するためには地域の資本が参画して事業が行われることが重要な要素となるという点を指摘するための、説明のための資料でございます。
○倉林明子君 ありがとうございました。