倉林明子

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保護利用者への差別 資格確認の原則化で(2021/6/1 厚生労働委員会)

 日本共産党の倉林明子議員は1日の参院厚生労働委員会で、「高齢者医療費2倍化法案」に盛り込まれた生活保護法改定が医療扶助を利用する際のマイナンバーカードによる資格確認を原則とすることについて、「新たな差別になる」と追及しました。

 倉林氏は、医療機関を受診する際の同カードでの資格確認はそもそも任意だと指摘。2018年に医療扶助利用者だけに後発医薬品の使用を原則化した法改定の際も「差別だ」と批判したことに触れ、今回のマイナンバーカードによる資格確認の原則化でも、個人情報の漏えいなどが不安で「カードを持ちたくない」という人の生活保護の利用・必要な医療提供の阻害要因となる危険性や、受診のためカードを作らざるをえない状況が想定されるとして、新たな差別になるとただしました。

 田村憲久厚労相が「カードの取得は本人の役に立つ。丁寧に説明する」と弁明したのに対し、倉林氏は「『持ちたくない』という選択肢を奪ってはならない」と強調。利用者本人が同意しない場合は未取得のまま従来の医療券を使えるよう徹底すべきだと迫りました。田村厚労相は「同意いただくのが一番良いが、原則は発行させてほしい」と居直りました。


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○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 法案では、生活保護受給者に対し、マイナンバーカードによる資格確認が原則ということになります。医療保険一般では、オンライン資格確認はこれ任意になっているわけですよね。なぜ医療扶助利用者には原則とするのかと。そういうことで、本会議で医療費扶助利用者のマイナンバーカードの所持率について聞きましたところ、把握していないという答弁をもらっております。
 そうなると、一体、医療扶助にのみオンライン資格を原則とするということにしたのか、その立法事実について御説明をお願いします。

○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきましたように、医療保険制度におきましては、令和元年に医療保険各法の改正が行われまして、既にオンライン資格確認の導入が進められているところでございます。こうした中におきましては、医療扶助におきましてもオンライン資格確認を導入して、ほかの医療保険の被保険者と同じ形で資格確認を行えるようにする必要があるというふうに考えてございます。
 そういった事情を背景としまして、自治体や医療関係者等の参画する医療扶助に関する検討会を開催して議論の整理を行っていただいたわけでございますが、その中におきましては、医療扶助のオンライン資格確認の導入に当たりましては、医療保険と医療扶助の制度の違いということも踏まえて、一つは、毎月の医療券の受取を不要とするような、そういった生活保護受給者の利便性も考慮し、また、直ちに資格確認を行うことにより制度の適正、効率的な運営を確保する、こういったことのためにはマイナンバーカードによるオンライン資格確認を原則とする方向性がよいだろうということで整理をいただいたわけでございまして、この整理、議論の整理を踏まえて施行準備を今進めているということでございます。

○倉林明子君 要は、利用者である医療扶助を受けている方々から要求、要望があったんですかね。そこ大事だと思うんですけど。

○政府参考人(橋本泰宏君) 私ども、様々な御意見をいろんな団体の方から承る中で、そういった医療券の受取というふうなことについていろいろ御指摘をされるようなケースもないわけではございません。ただ、今申し上げましたように、このオンライン資格確認の導入というものは、まさに受給者にとっても、また医療機関にとっても、また福祉事務所にとっても様々なメリットがあるということを総合的に勘案しまして導入の方向性を整理したということでございます。

○倉林明子君 いや、要は、医療扶助利用者だけが原則これになるということで、選べないんですよ。嫌だと言えるのかという議論ありましたけれども、原則これになっていくと。要は、いろんなメリットあると言うんだけれども、マイナンバーカードをこれ促進するということが一番の動機ではないかというふうに言わざるを得ないなと感じました。
 そこで、二〇一八年なんですけれども、これ同様に、医療扶助利用者にのみ後発医薬品の使用を原則とする法改正がされたわけです。国民全体では相当進んだと、八割というような数字も出ていましたけれども、医療扶助における後発医薬品の使用状況、これどうなっておりますか。

○政府参考人(橋本泰宏君) 令和二年六月の社会保険診療報酬支払基金の審査分におきましては、生活保護受給者の後発医薬品の使用割合は八七・八%となってございます。

○倉林明子君 つまり、原則としているので、一般から見ると随分これ使用率高いという結果が出ていると思うんですね。
 これ当時、生活保護受給者にのみ医薬品を選ぶという権利を奪うものだということから、差別だといって私、指摘したんです。そうしたら、加藤厚労大臣は、先発医薬品と有効性、安全性が同等であり、製造、販売が承認されていると、必要な医療がしっかり提供されるとして差別には当たらないという答弁でありました。
 ところが、後発医薬品の大手の業務停止命令ということで相次ぎまして、本当にびっくりするような薬だったと、製造過程だったということも浮き彫りになりました。これ、有効性、安全性とは、安全性が同等とは言えない事態になっていたということがこれ見えてきたんじゃないかと思うんですよ。
 医療扶助利用者というのは安全な医療を受ける権利をその他の利用者よりも阻害されていたと、こういう可能性があったということじゃないかと思うんですが、大臣、認識いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) これ平成三十年の生活保護法改正の折に、もう委員も御承知のとおり、窓口負担が医療扶助の場合はないということで、動機付けという意味からしてなかなか働かないということで原則という形にしたわけであります。もちろん、それは医師、歯科医師等が必要と認めた場合であって、先発薬が必要と認めた場合には先発薬を使っていただくということでございます。
 その上で、今言われたのは、多分今般の違反事例だと思いますが、確かに、それは法令遵守体制が十分に整っていないでありますとか、また製造管理体制、これも不備があったということでございますので、こういうものに対してはしっかり指導して、二度とこのようなことがないように我々も対応していかなきゃならぬということで今やっておる最中でございます。
 そういう意味では、そういうようなものも、こういう例外的には出てきておりますけれども、一般的にですね、一般的に多くあるジェネリックという意味からすると、それは適正に製造され、そして供給をいただいておるということでございますので、同等程度ということでございますから、原則御利用いただくということでございます。

○倉林明子君 いやいや、原則同等と言うには余りにも大手のところで市場にも混乱出るほどの影響あったわけですよ。これが同等な安全性やその医療を受ける権利という点で阻害している可能性がなかったと言えるのかと、何かそれ答えてもらいましたっけ。

○国務大臣(田村憲久君) 一般の皆様方も多くがジェネリックをお使いをいただいているわけでございまして、そういう意味では今回のような事案はこれはあってはならないことでありますから、我々しっかりとこのようなことがないように対応しなきゃいけませんし、これから無通告の査察等々の強化をして、しっかり我々としてもこういうことがないような対応をしてまいりますけれども、多くの国民の皆様方が今なおジェネリックをお使いをいただいているわけでございまして、同等ということで御利用いただいております。
 医師等々の御判断の下でそのような形で使っていただいているわけでございますので、しっかりとこれからもジェネリックを推奨していくために我々としては進めてまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 ジェネリックが未来永劫とか、その安全性や、その安全性を担保するという面で無効だなんて言っているんじゃないですよ。安全性を高めるために、その安全性を高めるようなしっかり監視体制も含めて、それは厚労省の責任で高めていただきたいと。安くて安定した医薬品が供給されるということを否定しているんじゃないんですよ。
 こういうことが起こってみると、ジェネリックしか選べないということが結果としてはその医療扶助、医療扶助を受けている人たちにだけはそれしか使えないと、原則。もちろん、安全性を確認してもらってという上だけれども、結果としても差が出ているわけですよ。こういうところに対して、選べないということから不利益が起こっていた可能性までを私、否定できないと思うんだけど、さっきからそこに答えてくれへんさかいに先に進めない。

○国務大臣(田村憲久君) 今般の事案は、これは本当に許されることではございませんので、しっかりと我々も処分をさせていただいて、二度とこのようなことがないように業界全体挙げて対応いただくべくお願いもいたしておるところであります。
 その上で、上でですね、医師等々の御判断で先発薬という場合は、これは先発薬をお使いをいただくということでございますので、それ以外、原則は後発品をお使いをいただきたいということで、これは国民の皆様方も、まあ国民の皆様方は原則というよりかは自由意思でやっていただいておるわけでございますけれども、今なお多くの国民の皆様方がジェネリックをお使いをいただいておるということでございますから、しっかりとジェネリックの安全性、有効性というものをこれからもしっかり我々対応をさせていただきながらジェネリックの推奨の方も進めさせていただきたいというふうに思っております。

○倉林明子君 答弁がいただけなかったんですけれども、聞いていることを的確に捉え、そして答弁をいただきたいと思います。後発医薬品を原則使用したということで、こういう利用率に明確に差が出たと、それによって得たかもしれない不利益があったんじゃないかという指摘なんだから、正面から受け止めてほしいと思います。
 その上で、なぜ国民にマイナンバーカードの利用が進まないのかという問題ありますよ。そこの十分な分析をしないといけないんじゃないかということは言いたい。
 今回、なぜ医療扶助にのみこのマイナンバーカードによる資格確認の義務化ということになるのかと、必要な医療の提供の阻害要因にならないかと。つまり、マイナンバーカードを取得したくない理由、利便性よりも取得したくない理由、要は、なくすんちゃうかとか、情報が漏れるん違うかと、国民一般と同様に、生活保護受給者だってその不安持っているわけですよ。
 ところが、医療扶助利用ということになれば原則マイナンバーカードだけよということになるわけだから、そうすると、それが嫌なために必要な医療の阻害要因ということになったらいけないと思うのでどうですかと、こんだけ丁寧に聞いたらちゃんと答えてくれはりますか。いやいや、もうこれ、ちょっと。

○国務大臣(田村憲久君) これ、今、マイナンバーカードを保険証として代用できるようにということでオンライン資格確認というものを進めております。要するに、国民の皆様方も保険証代わりにマイナンバーカードをお使いをいただいて本人確認をしていただこうと。
 こういう制度に合わせて、今回医療扶助に関しても、特に医療扶助の場合は保険証がございませんので、医療券というものを発行していただかなきゃならないと。非常にここには、御本人もそうでありますし、もちろん自治体にとっても大変な負担があるわけであります。そういう意味で、これを機にマイナンバーカードをお使いをいただこうと、ましてや本人の身分証明にもなりますので、自立されるときには特にお役に立たれるということもございます。
 そういう意味でこれをお使いいただくということでありますので、中には、今言われたように、なかなかこのマイナンバーカード自体が信用が置けないと思われている方もおられると思います。そういう方々には丁寧に、情報が漏れることはないでありますとか、非常に便利でありますとか、そういうことをお伝えをさせていただいて、御理解をいただく中においてこれを同意をいただいてお使いをいただくということでございます。
 なお、どうしてもまだ了承を得られていない中において何かあった場合には、それはないわけでございますので、マイナンバーカードが、そういう場合は医療券やむを得ない場合ということもあるわけでありますが、基本は同意をいただくということが前提で、しっかりと御納得いただけるような御説明をそれぞれやっていただきたいというふうに思っております。

○倉林明子君 保護の要件ではないので強制ではないと局長も答弁しました。今、その趣旨の御説明だったと思います。
 本人同意が前提とはなっていないんです、でも、これ。要件にはしないんだけれども、本人が同意しない場合は医療券も使えますと、これまでどおりで結構ですと、そういう仕組みになっていないんですよ。そこが問題で、生活保護受給者には、マイナンバーカードを作りたくなくても作らざるを得ない状況がこれ想定されるんですね。お願いされるわけだから、生活保護受給者ですから、ケースワーカー等から指導されたり、お願いしますと、御理解くださいと言われたら、あんたにもメリットあるよというような説明をされるかもしれない。
 そうなったら、これ、作りたくないのにその意思が尊重されないということになりかねないから、これジェネリックのときと同様に押し付けになって、新たな差別と言われるようなことになるんじゃないですかと。どうですか。いやいやいやいや、どうですか。

○国務大臣(田村憲久君) ですから、そこは丁寧に御説明をいただく中で、結果、ああ、これは作ってよかったなというふうに思ってもらえるべく御説明をいただいて、結果、原則としてこのマイナンバーカードをお持ちをいただくというのが今回の改正でございますので、持っていただいて決して後で後悔していただかないようにしっかりと我々も説明をしてまいりたいというふうに思っております。

○倉林明子君 後で後悔しないように説明ができたらいいということじゃないんですよ。入口の話なんですよ。持ちたくないという選択肢が原則奪われるようなことあってはならないと、そのことを繰り返し申し上げているんです。
 やっぱり、本人が同意しない場合、医療券も使えると、こういうことがやっぱりきちんと伝わらないといけないと思います。
 最後、これ答弁もらって終わります。

○国務大臣(田村憲久君) それは同意をしっかりいただくというのが一番いいわけでありますが、同意をもらうべくいろんな説明をさせていただいた上で、原則は発行をさせていただきたいということでございます。
 ただし、ただし、いろんな形の中で物理的にマイナンバーカードが作れない場合があった場合には、それは医療券ということもあるわけで、これやむを得ない場合でありますから。しかし、前提としては、しっかりとこれはお作りをいただくというか、作らさせていただくということで御理解をいただければ有り難いというふうに思います。

○倉林明子君 御理解できないので、引き続きやらせてもらうということで、今日は終わります。