国は暮らしに責任を 倉林氏、一律休校の責任問う(2020/3/4 予算委員会)
(資料があります)
日本共産党の倉林明子議員は4日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス感染症対策で安倍晋三首相が要請した全国の小中高校・特別支援学校の一律休校の影響から国民の暮らしを守るため、国が責任を果たすよう求めました。
政府は、休校により保護者が仕事を休んだ場合は通常の年次有給休暇とは別の特別休暇とし、賃金を全額支払った企業に助成金を出す制度を創設しました。
倉林氏は、小学生と中学生の母親から「会社から自分の(通常の)有休を使ってくれと言われた」との声が寄せられたことをあげ、「確実に制度を使えるよう周知徹底を急ぐべきだ」と指摘。さらに、同制度は直接労働者に補償する仕組みではなく、事業主次第で救済されない労働者が出てくると強調し、弾力的運用を求めました。
倉林氏は、学校で非正規雇用職員として働くシングルマザーが休校で「3月から来なくていい」と言われた実態も紹介。困窮世帯が生活費を確保できるよう、生活保護を自治体が職権で行う「職権保護」の緊急措置を検討するように求めました。
加藤勝信厚生労働相は「現時点で職権保護の要件を緩和することは考えていない」と答弁。倉林氏は、首相が「一斉休校の政治判断に責任をとる」と述べたことをあげ「『責任取る』と言うなら、影響を最小限にとどめ、国民の暮らしを守る、(一律休校で)生じたことには国が救い切るという立場にたつべきだ」と主張しました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
総理の突然の休校要請によりまして、再々話出ておりますけれども、必死で子供の居場所を探す、どうしても確保できないまま月曜日を迎えたと、働く保護者、どれだけ多かったかと思うんですね。何とか確保できた人もある一方で、確保できずに休まざるを得なかったという労働者、これ多くはやっぱり母親だったと思うわけです。これ、仕事休めばたちまち生活困窮という世帯も出ております。
政府は一斉休校によって仕事を休まざるを得なくなった保護者に対し新たな助成金をつくったと。これ改めて、資料も付けておりますので、制度の説明、概要説明を求めたいと思います。
○国務大臣(加藤勝信君) まさに添付した資料、我々も周知をさせていただいておりますが、二月の二十九日に総理が示された方針を踏まえて、新型コロナウイルス感染症拡大防止策として、臨時休業した小学校等、これは小学校、義務教育学校の小学校課程のみ、特別支援学校、これは高校まで、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等が入るわけでありますが、に通う子供さん、それとは別に、風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある子供さんの世話を行うために保護者が二月二十七日から三月三十一日までの間に取得した休暇について、非正規雇用の労働者の方も含め、賃金を支払った企業に対する助成金、これは上限が日額八千三百三十円でありますけれども、これ全て十割を支給する、その上限の中において十割を支給する、こういう助成金制度を創設をしたところであります。
○倉林明子君 要は、企業負担を軽減して、年休、年次休暇、年次有給休暇とは別に特別に休暇が取れるよという、そういう仕組みだと思うわけです。
これ、早速小学生と中学生の母親からお声が上がりまして、自分の年休使ってくれというふうに会社に言われたというわけです。ああ、本当に、そういうこと起こるだろうなと思いましたけれども、そうなっています。有休は年度末でこの時期残っていないというお母ちゃん多いんですよね。そういうことで、そうしたら事業主はこう言ったというんです。政府が何も言ってきていないので特別にはできないと、こう答えられたと。
必要な人が確実に使えるように、これ事業主にも労働者にも周知徹底急いで行わないと、三月三十一日までの制度に、一応制度建てになっておりますので、直ちにやるべきだということと、難しくしないで弾力的に使えるように、これは本当に強く要望しておきたいと思います。
あくまでもこの制度は、助成の対象は事業主ということになります。労働者に直接賃金を補償するという仕組みにはなっておりません。事業主が特別休暇である今回の新たな有休は取得させない、さっき紹介したような例ですけれども、こういう場合はどうなりますか。確認です。
○国務大臣(加藤勝信君) 今回創設する助成金は、小学校等の臨時休業等により子供の世話のために仕事を休まざるを得なくなった労働者に有給の休暇を取得させる事業主に対する言わば助成制度であります。
国としては、こうした支援措置を講ずることを少しでも早く国民の皆さんにお知らせをして、多くの事業主に取り組んでいただけるよう、制度が、その紙がそうなんですが、まだ、本来であれば詳細が出てからした方がいいわけでありますが、まず骨格の段階で周知を図り、そして今、経済団体にも、こういうことをしているのでしっかりこうした仕組みを使って休暇を取っていただく。先ほど、年次休暇の取得、これは本来別で、本人の意思によって行われるべきものでありますから、その点をしっかりと周知を図って、労働者が希望に応じて有給の休暇が取得できるように、その環境もつくっていきたいと思います。
○倉林明子君 だから、聞いたように、有休、これ、まだ知られていないということももちろんあると思うんだけれども、特別休暇である今回の新たな有休は、取得させないというふうに事業主が判断したら取得できないと、こういう仕組みになっているんです。立て付け、そうでしょう。
だから、こうした制度が使えるようにするには、事業主がきちんと対応できないと駄目なんです。労働者が言ってもそんなのないという対応、紹介したとおりなんですよ。だから、そこがきちっと回るように、もう本当これ急いでやらないといけないということです。
で、こうした制度を使えないままに失職という場合も出てきています。所得補償、再々議論もあるけれども、これどうなりますか。
○国務大臣(加藤勝信君) 私どもは、まずは先ほどの制度、今委員からも御指摘があるように、しっかりと周知をし、事業主にも理解をいただいて、こういう制度を使うことによって雇用を守っていただく、これがまず第一であります。
今、しかしながらということで、仮にそういうことが起きれば、それは離職されたということでありますから、雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付、これの受給をしていただく、こういうことになるわけであります。
○倉林明子君 制度で引っかかる、一斉休校によって学校で働く非正規の雇用が奪われると、こういう、実際出ているんです。先ほどもちょっと紹介ありました。学校で非正規のシングルマザーが、三月一日から来なくていいよと、この一言で首になっているんですね。たちまち生活困窮という御相談でした。
これ、子供が小学生でいれば使える制度、高市さん、高市大臣も徹底するということをおっしゃっていたけれど、学校で子供がいなくなったことによって首を切られる非正規がいると、これ現実なんですよ。一日のうちで給食が子供の栄養を支えているというような実態もあると。たちまち困窮と。こういうところに手だてがないんです。それは、引っかかる人はいいんですよ。引っかからない人が出てきているということが深刻だと思っております。この緊急措置等が必要なんだろうと思うんです。
そこで、これは総理にお聞きしたいんです。この生活困窮に陥っているというようなことを本当に助けるためには、これ、生活保護、職権保護ということも私は検討必要だと思う。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 生活保護の要件については厚生労働大臣から答弁させたいと思いますが、議員が御指摘のような事態とならないように、必要な場合は積極的に保護申請を促すなど、今回の休校要請に伴って生じる様々な課題に対して政府として責任を持って対応していく考えであります。
その際の要件について、厚労大臣から答弁させたいと思います。
○国務大臣(加藤勝信君) 委員御承知のように、生活保護は申請保護が原則であります。職権での保護は病気等で急迫した状況の場合に例外的に認めるものでありますので、現時点においては生活保護の職権保護の要件、これ自体を緩和をするということは特に考えてはおりません。
○倉林明子君 いや、一斉休校は政治判断でやったんだと総理言っているわけですよね。責任取ると言っているわけですよ。これ、影響を最小限にとどめて国民の最低限の暮らしを守る。このことによって生じたことについては国が本当に救い切るんだという立場に立たないと駄目だと強く指摘したい。
ほんでね、これ、休校に伴って学童保育での開所時間延長ということも対応されております。で、交付金の加算対応。じゃ、加算単価、そしてその積算根拠、先ほどありましたけれども、もう一度確認。
○国務大臣(加藤勝信君) 今回の加算単価については、保護者負担分を求めず国庫負担割合を十分の十として措置するとの考えの下、通常の放課後児童クラブ運営費の単価に沿って、午前中から運営すると、要するに午後からの分を午前中にやっていただくという場合については一日当たり一万二百円。この考え方は、日額の非常勤で働く方の単価約七千円を基に、午前中、人件費が三人必要と見込んで、七千割る八時間、で、これ日給ですから、それを、八時間を四時間にして三人掛けると一万二百円ということであります。
それから、小学校の臨時休業に伴い、支援の単位を新たに設けて運営する場合については一日当たり三万六千円となっておりますが、これは日額の常勤職員約一万三千円、非常勤職員約七千円のそれぞれの人件費及び諸雑費として約一万六千円を見込んで積算をしているところであります。
○倉林明子君 結局、これ三人分ということで計算すると、午前中八時から預かるというケースも出てきています。これ時給換算したら八百五十円と違いますか。それ、あんまりやと、低過ぎると、引き上げるべきだと。どうです。
○国務大臣(加藤勝信君) 今の御指摘は、これまでも放課後児童クラブで働く方の処遇改善ということはいろいろ指摘を受けているわけでありますけれども、現実、今の非常勤の単価ということで約七千円を基にこれまでも計算をさせていただいておりますので、その延長、それを踏まえた上で今回単価を積算させていただきました。
なお、先ほども申し上げましたけれども、今回は新型コロナウイルスに伴ってマスクとかアルコールとかいろんなものが必要になってきている、そういったことについてはどういった手だてができるのか、今、中で検討させていただいているところであります。
○倉林明子君 全体引き上げるべきだと強く指摘したい、求めたい。
で、利用者負担のところもあるんですね。これまでの保護者だけでなく新たな利用者からも、これ、保護者負担求めないということでよろしいですか。
○国務大臣(加藤勝信君) ふだんからの利用の有無にかかわらず、今般の学校の臨時休業に関して追加で子供を預けることになった部分の経費については保護者負担を求めないということであります。
○倉林明子君 新たな利用者に負担を求めるということも発生しておりますので、これ、周知求めるということで、周知を徹底していただきたい、新たな利用者について、確認しておきたいと思います。
私、総理、総理に聞きたいと思うんです。一般論として、感染症拡大防止、このためには国民と自由と権利、これに制限を加える必要が生じてくると。しかし、そうした場合であったとしても国民の基本的人権は尊重されるべきだと、これ当たり前だと思うんです。権利の制限、これは必要最小限のものでなければならないと思うんですけれども、これ、基本的な認識としてちょっと押さえておきたい。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは緊急事態宣言を発出したときとの関連でもしかしたら質問しておられるんだろうと思いますが、基本的に、基本的な人権の尊重、これは極めて重大な、重要な権利でございますから、それを尊重することは当然のことであろうと、このように考えております。
○倉林明子君 そこが本当に大事だと思うんですね。この基本的人権の尊重を本当に大切にしながら、どうやって制限を掛けていくのかということになると思うんです。
そこで、ちょっとたくさん通告していたんですけれども、時間が来てしまいましたので、今日はここで終わらせていただいて、改めてやらせていただきます。済みません。