天引き徴収の撤回要求 倉林氏 過誤払い保護費で批判 / 厚労相面会後に実現 倉林氏 「加計」面談働きかけか(2018/5/22 厚生労働委員会)
(資料があります)
日本共産党の倉林明子議員は22日の参院厚生労働委員会で、生活保護法改定案が「払いすぎた保護費」を不正受給の場合と同様に保護費からの強制徴収を可能としていることを批判しました。
生活保護法は63条で、急ぎ保護を適用し「払いすぎ」が生じた場合など、返還を求める規定があります。その場合でも家財道具など自立更生にあてる費用は柔軟に返還が免除されます。
倉林氏は、福祉事務所が自らのミスで過払いした保護費についても同63条を適用し、資力のない利用者から強制的に徴収しようとする例が多発していることを紹介。「保護実施機関の過誤払いが、不正受給と同等の徴収処分がされることはあってはならない」と主張しました。
厚労省社会・援護局の定塚由美子局長は、行政の算定誤りが原因で返還する場合は、厚労省令で不正受給の場合と同等にしないよう検討していると答弁しました。
倉林氏は「払いすぎた保護費」の返還を天引き徴収で行うことは、禁じられた差し押さえと同じだと指摘。「最低生活基準を下回る給付で良いことになり、憲法25条(生存権)にもふれることになりかねない」と撤回を求めました。
日本共産党の倉林明子議員は22日の参院厚生労働委員会で、「加計学園」の獣医学部新設をめぐる愛媛県新文書で、2015年2月14日の加計側と加藤勝信厚労相(当時・官房副長官)の面会後に、安倍首相と加計孝太郎理事長の面談(同25日)が実現していることをあげ、加藤氏に対して「総理に『(加計側から)面会の要望があった』と伝えたとしか思えない」と迫りました。
加藤氏は、自身と加計側との面会では「具体的な要請はなかったと記憶している」と否定。当時の面会メモを残しておらず「細かいやりとりまで記憶にございません」とも述べました。
倉林氏は、愛媛県新文書によると、加計側は官邸への働きかけをすすめることを目的に加藤氏と面会していると指摘。「この記録は、あなたがきっかけとなり安倍首相と理事長との面談が成立したと受け止められるものだ」と追及しました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
予算委員会に提出されました愛媛県の資料に関連いたしまして、先ほどの質疑を聞いておりましてどうも腑に落ちないというところを確認したいと思うんですね。
提出された資料によりますと、二月十二日、県、今治市との間で加計学園関係者と意見交換会を行ったと。この記載はどうだったかというと、安倍首相と同学園理事長との面会が実現していないと、だから、官邸へ働きかけを進めるために、二月中旬、加藤内閣官房副長官との面会を予定している。
先ほど、大臣は、ぼやきみたいなことで、ぼやきのような話を聞いたという印象を受けたんです。せやけど、目的はっきりしていて、安倍首相と加計学園理事長と面会が実現しないから官邸への働きかけを強めたんだと、その相手があなただったんだということだと思うんですよね。そして、それが二月十四日に実現して、あなたはお話を聞いたという経過だったと思うんです。
その際、お話を聞いただけだということだったんだけれども、この流れからいえば、安倍首相と同学園理事長の面会を頼まれたことはなかったのか。どうですか。
○国務大臣(加藤勝信君) その場において、今のお話も含めて具体的な要請はなかったというふうに記憶をしております。
○倉林明子君 二月十四日、お会いになって、このときにぼやいたのは加計学園と違うんですよね。加藤内閣官房副長官が大変困難な事態だということで、四つ、はっきり言えば三つですけれども、述べているんですよ。困難だということで述べたのはあなただったというふうにこの愛媛県の文書を見るとよく分かります。
その上で、その後、二月二十五日、間を置かず首相と理事長の面談が成立した。困難な、なかなか忙しいという総理に結果として会えているんですよ。総理に面会の要望があったと、これ伝えたとしか思えない。事実もう一回確認したいと思いますが、どうでしょう。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、このやり取りで、済みません、私の方でメモを残していないんで、当時の記憶、どういうやり取りがあったかというのをつまびらかにすることはできませんが、今委員御指摘のは、まさに伝聞の話ですよね。加計学園からこう聞いたということが書かれていたということをもって言っておられると思いますけれども、基本的には、加計学園の方から、これまでやってきたけれどもこれが大変厳しかったと、そういったお話があって、それに対して、それをベースに話をさせていただいたということでありますので、あと、細かいちょっとやり取りまでは正直記憶にはございません。
それから、今、総理への、それは先ほど答弁したような気がしますけれども、それに対して、加計学園の方から具体的な要請、今お話があった総理と加計理事長との面会等々含めて一切ありません。
○倉林明子君 あとは本当に総理の質疑の中で真実を明らかにしていく必要があると思います。
メモ、記録を見れば、経過は、あなたがきっかけとなって安倍総理の面談が、理事長との面談が成立したと、これ見れば自然にそう受け止められる記録になっているということは重ねて指摘をしておきたいと思います。
それでは、法案の質疑に入りたいと思います。
私、本法案を審議するに当たって、忘れることができない事件があります。それは京都で起こりました事件で、二〇〇六年、認知症の母親殺害、心中未遂事件であります。母親を殺害した息子さんというのは、京友禅ののり置き職人さん。もう不況で、やっぱり仕事を、失業するということになりまして、派遣会社で勤めながら認知症のお母さん見ておられたということです。ところが、認知症進むということで、介護と仕事の両立が困難となりまして保護申請ということになったんだけれども、この保護利用が結局断られてできなかった、挙げ句の果てにこういう事件を起こしたというものだったんです。
これに対して京都地裁は、判決文で、結果は重大だが、行政からの援助を受けられず、愛する母親をあやめた被告の苦しみ、絶望感は言葉で尽くせないというふうに言いまして、日本の生活保護行政の在り方が問われていると言っても過言ではないと言ったんですね。私、政治家の一人として、市会議員しておりました、この当時。二度とこんな事件、あってはならないと強く思いました。
ところが、この事件の八年後です。社会復帰された彼が、事件から失業を契機として再び生活困窮に陥って、そして自殺ということになったんですね。行政や親族にも相談することなく亡くなっていたということが分かりました。余りにも悲しい人生の結末だと、言葉を失いました。
生活保護行政を所管する大臣として、この事件についてはどんなふうにお思いでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) そもそも、そうした生活保護申請を受給できない等々があって、愛するお母さんを自らの手で殺すというか、心中、殺害をするということ、そして、御本人も心中をしようと思ってもそこまでは至らなかったという、そこでも、それだけでも大変な痛ましい事件だというふうに思いますけれども、今委員からお話がありました、それから八年、復帰をした、しかし、残念ながらそれがうまくいかずに、そしてまた最終的には御本人も自殺をされてしまうということ、これ本当に二重、三重の意味で痛ましい事件だというふうに思います。亡くなられたお母様、そして御本人の方のお悔やみを申し上げたいというふうに思います。
生活保護に携わる者、これは制度が適切に運営していくというためにも、常に保護を受ける方の立場や心情、あるいは状況、そうしたことをしっかりと理解をし、把握をし、そして支援が必要な人に確実に保護を実施をしていくんだと、こういった姿勢が大切であるというふうに思いますし、また、そうした皆さん方は自ら申請をし得るという状況にない場合もあるわけでありますから、民生委員等と関係機関との連携によって、生活に困窮する者の情報が福祉事務所につながるよう、要保護者の発見、早期の発見、これに努めていくことが必要だというふうに思います。
平成二十五年に、まさに今御審議もいただいております、断らない支援を目標に生活困窮者自立支援法が成立をして、これは生活保護と、そしてこの生活困窮者自立支援制度、この重層的なセーフティーネットという形で構築をされたところでございますし、今回の改正でも、生活保護の実施機関と、また生活困窮者自立支援の実施機関、この連携をということが規定をされ、そしてその連携をしっかり図り、情報の適切な共有を図っていくということにもされているところでありますので、こうした取組を通じて、保護や支援を必要としている方に確実に支援の手が届くように、また、先ほど御指摘があった、そうした事件が二度と起きないようにしっかりと取り組ませていただきたいと思います。
○倉林明子君 二度と起きないように、そういう取組にしていく必要があると私も思います。
二〇一三年の生活保護法の改正では、親族の扶養義務の強化が盛り込まれると同時に、不正受給に対するペナルティーの強化ということで、最大不正額の四割の加算が可能になったわけです。保護費からの天引きができるようになりました。取扱いは国税徴収法によるということになりまして、これ自己破産しても免責されない。不正受給に対しては厳しく対応するということが強まったわけです。
これ現場にどういうことをもたらしたかというと、不正受給者の発見、さらには不正額の徴収努力と、こういうことが求められるようになったわけですね。職員と利用者、この対立関係が起きやすくなっているんじゃないかと、こういう指摘もあるんですけれども、この実態つかんでいるでしょうか。どうぞ短く端的にお願いいたします。
○政府参考人(定塚由美子君) 今御指摘いただいたように、二十五年の法改正においては、不正受給対策の強化という形で、生活保護法七十八条一項に基づき不正受給分を費用徴収する場合に徴収額の上乗せを可能とするとともに、保護費と調整、相殺できるという規定を設けたところでございます。
この改正について、改正を機に職員と利用者の対立関係が起きやすくなっているというような声、当方で聞いたことはないところでございます。
○倉林明子君 よくつかむ必要あるなと思うんですね。
さらに、今回の変更というのが、現場のケースワーカーと利用者との関係ということでいうとかなり影響も出るんじゃないかということ懸念しているんです。
現在の返還規定に加えまして、不正受給と同等に、払い過ぎた保護費が判明した場合、これについても、本人同意は前提とするということになっていますが、強制的な徴収、これ可能とする規定になっております。
確認したいと思います。法第六十三条に基づく返還で免除が認められているものは現在何か。そして、これ、なぜ認めているのか。
○政府参考人(定塚由美子君) 生活保護法第六条の費用返還でございますけれども、急迫の場合や、資力はあるものの直ちに活用できない場合に保護を開始して、その後、資力が換金されるなどして最低生活に充当できるようになった場合に、当該資力を限度として支給した保護金品の返還を求めるという規定でございます。
この費用の返還額でございますけれども、原則として支給した保護金品の全額を返還額とすべきでありますが、こうした取扱いを行うことが当該世帯の自立を著しく阻害すると認められるような場合については、本来の要返還額から自立のためのやむを得ない経費を控除して返還額を決定する取扱いとして差し支えないこととしておりまして、具体的には、家屋の補修など申請があれば保護費の支給対象となるもの、また、当該世帯の自立更生のためのやむを得ない用途に充てられたものであって社会通念上容認される程度のものなどを示しておりまして、保護の実施機関において各被保護世帯の状況に応じ適切に対応されているものと考えてございます。
○倉林明子君 つまり、不正受給とは異なる対応が可能ということになっているんですね。資力がある、あるいは調査が間に合わない、そういう場合でも急迫な事態には保護を掛けるということをそういう意味では担保するという機能もあると思うんですよ。自立更生のためにそういう柔軟な対応を可能とすることができているということだと思うんです。
この六十三条の適用をめぐって、保護の実施機関の間違いによって過払いされた保護費の返還、これの根拠にしているという場合が大変問題になっております。生活保護費の過誤払について、資力の確認、免除の検討がないまま全額返還の決定、これ六十三条を根拠にしているという実態はどれだけつかんでいるんでしょうか。
○政府参考人(定塚由美子君) 現在、福祉事務所の算定誤りにより過誤払があったという場合、生活保護費が多く支給されたという場合も、基本的には法六十三条に基づく返還を求めているところでございます。
この場合も、先ほどお答えしたとおり、原則として支給した保護金品の全額を返還額とすべきでございますが、こうした取扱いを行うことが世帯の自立を著しく阻害すると認められるような場合については、当該世帯の自立更生に充てる費用を控除して返還額とするという取扱いとしているところでございまして、この点、事務監査も行っておりまして、算定誤りなど福祉事務所の瑕疵と想定される理由により返還金の徴収を行っている場合には、この自立更生に充てる費用の免除の状況を含めて確認を監査においてしているところでございます。
○倉林明子君 実は、機械的に、六十三条を根拠にしているんだけれども、機械的に全額返還、この一番最初の対応をしているということが問題になりまして、裁判で負けるというケースが相次いでおりますね。
保護の二〇一六年の和歌山市の事例ですけれども、障害児四人を含む五人の子供を持つ母子家庭、ここが、児童手当、特別児童扶養手当ということで、本人は正しく申請していたんですよ。ところが、役所の方が五年間これ見落として収入認定していなかったと、時効が成立した分除いて三百六十八万円超える過誤払額、これ全額の返還決定処分やったんです。これ二回にわたって処分の取消し裁決という判断が下っております。
保護実施機関の過誤払について、不正受給と同等の徴収処分がされることはあってはならないと思いますけれども、参考人、短く、あってはならないかどうかだけお願いします。
○政府参考人(定塚由美子君) 今回の改正におきまして、生活保護費の返還債権がいわゆる破産管財人によるへんぱ行為の否認権の行使の対象となって、他の債権に優先して福祉事務所が回収することができない事例が生じているとされたことを踏まえまして、法七十七条の二を新設をして、六十三条の返還金を国税徴収の例により徴収することができることを規定することとしたところでございます。
しかしながら、審議会の報告書も踏まえまして、厚生労働省令において、今申し上げました七十七条の二により国税徴収の例により徴収できる場合から福祉事務所の算定誤りによる返還は除外する方向で検討しているところでございます。
○倉林明子君 いや、できる規定、今のその債権については、国税徴収法に基づくような強制的な返還をできる規定を法律で作るわけですよね。ところが、省令で変更も可能。要は、除く規定は省令だということになるわけですよ。
確認したい。そもそも生活保護法第五十八条では、生活保護費は差押禁止となっているはずであります。生活保護費からの天引き、これやることになるわけですけれども、禁じられた差押えに当たるんじゃないですか。
○政府参考人(定塚由美子君) 生活保護法については、御指摘いただいたように、既に給与を受けた保護金品やこれを受ける権利を差し押さえることがないという規定が置かれているところでございます。
一方、生活保護費の給付は全額公費で賄われており、公費を負担する国民の制度に対する信頼を確保するためにも、生活保護費に係る返還金債権について確実に徴収するということは必要でございまして、今回の改正案により、資力等がある場合に受けた生活保護費に係る返還金については、被保護者の申出に基づき、保護の実施機関が生活の維持に支障がないと認めた場合に限り、保護費との調整を可能としたものでございます。
この差押規定との関係という御質問でございましたけれども、この今回の効果が及ぶ範囲はあくまで資力等がある場合に受けた保護費の返還金であって、かつ自ら申出をした生活保護受給者であるということ、また、こうした方から確実に費用を徴収することは全額公費で賄われている生活保護の適正な運用の一環として必要不可欠であること、保護費から差し引く金額についても保護の実施機関が最低生活の保障に支障がないと個別に判断した範囲にとどめること、また行政争訟の道もあること等の理由から、差押禁止規定との関係においては問題がないと考えているところでございます。
○倉林明子君 いろいろ言うんだけれども、要は、生活保護費から前もって天引きするということは、最低生活基準という、また最低生活の基準というのは何なのかという議論を改めてしたいと思うんだけれども、その最低生活基準さえ下回る給付でよいということになるんですよね。それは、私、憲法二十五条、これにも触れるようなことになりかねないと。今でさえ六十三条を機械的に運用して裁判で負けるというような運用がまかり通っているからこそ懸念しているんだということをしっかり受け止めていただきたいと思います。
更に確認したいのは、生活保護を利用している者に対して、この保護で認められた居住用の不動産、あるいは通院、通勤のための自動車に対してもこれ差押えということでやるのかどうか。更に懸念されているのは、保護廃止された者に対しても差押えの対象ということあり得るのか。簡潔にお願いします。
○政府参考人(定塚由美子君) 現行の不正受給に係る費用徴収、第七十八条関係でございますが、これにつきましても、被保護世帯の保護金品及び最低生活を維持するに当たって必要な程度の財産の徴収は行わないということとしております。
今回の法第六十三条の返還金の費用徴収に当たっても、これと同様の対応とするということを考えております。このため、御質問いただいたような生活保護受給者が保有を認められている動産であるとか不動産については、これは最低生活の維持に必要なものであることから、滞納処分を行う対応とすることは考えていないところでございます。
また、生活保護を脱却した方についてどうかということでございます。これ滞納処分の対象となり得るわけでございますけれども、滞納処分の執行などをすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときには、国税徴収法により、滞納処分の執行停止を行う対象となり得るということでございます。
こうしたことについては、これからしっかり保護の実施機関に対して必要な周知徹底図ってまいりたいと考えてございます。
○倉林明子君 大事なところなんですね。国税徴収法では生活困窮に陥るような差押えやってはならないと、これ議論もした経過もありますけれども、生活保護の払い過ぎた分を取り返すというときに、これ徴収するとき一番現場には徹底してほしいのは、国税徴収法の例によればきちんと生活困窮に陥ることがないような取扱いが必要なんだと、この考え方についてはくれぐれも現場に徹底をしていただきたいと思う。
法律でできるという、差押えもできるというような規定を拡大するということに結果としてはなるんですね。私、いろいろ慎重に運用するとしても極めて危険が大きいということで問題だということは指摘しておきたいと思います。
次に、生活保護行政をめぐって昨年一月発覚した小田原市のジャンパー事件、社会問題にもなりました。小田原市では、有識者と市職員から成る生活保護行政のあり方検討会、これ立ち上げられまして、昨年四月に報告書を提出されております。この検討会の目的を、生活保護利用者の権利を守ることにある、これ前提として確認されて議論が重ねられました。そして、具体的な五つの改善策と、その先も見据えた報告になっております。
報告書では、ジャンパーこそ作らなくとも、同種の問題が全国のあちこちで起きているかもしれない、この指摘はそのとおりだなと思って読ませていただきました。今後の生活保護行政の在り方としても、厚労省も大いに私参考にすべきじゃないかと思います。大臣、どうでしょう。
○国務大臣(加藤勝信君) 御指摘の小田原市の検討会の報告では、ケースワーカーについて援助の専門性を高める研修、利用者の視点に立った業務の見直し、ケースワーカーが職務に専念できる体制づくり、自立支援の取組の強化など改善策が述べられ、示唆に富む内容になっているというふうに思います。
特に、支援が必要な人に対して確実に保護を実施し、生活保護制度を国民の信頼に応えるものにするには、福祉事務所において中心的役割を担うケースワーカーの資質の向上と、またケースワーカーを支える組織的な体制の確保が課題であるというふうに思います。
厚生労働省においても、全国的規模でケースワーカー、あるいはケースワーカーを指導する立場にある者への研修を実施していく、また必要なケースワーカーが適切に配置されるよう地方交付税上の算定人員の増員を図っているところでありますけれども、今後とも、ケースワーカーの皆さん方が意欲と誇りを持って職務に当たっていただけるよう、適正な実施体制の確保、そして資質の向上、取り組んでいきたいと思います。
○倉林明子君 取組は強化しているということですけれども、このケースワーカーの問題で確認したいと思うんです。
検討会の中でも、生活保護担当職員の置かれた環境に焦点を当てて、不正受給の摘発が目的していた、こういう指摘していること重いと思うんです。加えて、ケースワーカーの標準数が充足していないということについても言及している。全国に通ずるんですよね、この課題は。だからこそ取組もしているということで、今お話あったと思います。
総務省がこの問題についても調査を、行政評価局が行っているということです。生活保護に関する実態調査、二〇一四年にされていますが、標準数を満たさない福祉事務所、全体で何か所で、充足率の状況というのはどういう結果だったんでしょうか。
○政府参考人(泉宏哉君) お答えいたします。
総務省が平成二十六年八月に公表いたしました生活保護に関する実態調査の結果では、平成二十四年において現業員数が配置標準数を満たしていない福祉事務所は、調査対象としました百二事務所中六十七事務所あり、全体の充足率は八〇・九%でございました。
なお、六か所の福祉事務所におきましては現業員の充足率が五〇%以下でありました。
○倉林明子君 そうなんですね。全体八〇ということだけれども、五〇パー以下のところもあった、こういう実態があると思うんです。
そこで、厚生労働省は二〇一六年、福祉事務所人員体制調査というのをやっているわけですが、ここで充足率九〇・四%というのが出ているんです。そういうふうにトータルで見れば高いんだけれども、今の総務省の調査のように、半分を下回っている、五〇パーだ、六〇パーだと、こういう福祉事務所がどのぐらいあるのかというのは厚生労働省はつかんでいますか。
○政府参考人(定塚由美子君) 私どもの方で二十八年十月現在での調査を行っております。その内容、その中では、今御紹介いただいたように、充足率は全国平均で約九〇%ということでございますが、福祉事務所ごとの充足率の分布などの集計はしておりませんので、標準数の五、六割の福祉事務所がどのぐらいあるかという点においては把握していないところでございます。
配置標準数に満たない福祉事務所の割合、これは約三割となっているところでございます。
○倉林明子君 全国で、先ほど裁判で負けているというふうに紹介もしたけど、過誤払が問題になって、その要因として指摘されているのは、やっぱりケースワーカー足りないということ。日野市や多摩市、この報告書でも指摘がされております。
ケースワーカーの増員が自治体で確保されるよう努力をしているんだという大臣の答弁ありました。私、国の責任、極めて重いと思います。生活保護行政をしっかり必要な人が必要に応じて受けられると、孤立しない、そういう支援をする要となるものですから、その責任を十分に果たしていただきたいと思います。
そこで、小田原市の検討会が改善策の一つとして提言したのが保護のしおりの見直しなんです。これ一枚物でそのページだけ付けましたけど、全体では八ページ立ての簡単なパンフレットになっているわけです。これ見ていただきますと、利用者の義務の前に利用者の権利、これが記されているんです。私、様々なところでしおり見ていますけど、こういう権利が明記されたというしおりは、不服審査のことまで書いてあるんですね、こういうことも含めて書かれているって画期的なものだなというふうに受け止めました。
改めて、これ全国のスタンダードモデル、参照とすべきじゃないかと思うんです。いかがでしょう、大臣。
○国務大臣(加藤勝信君) こうした保護のしおりのお話がありましたけれども、生活保護の相談時に丁寧な説明をするということは大変大事だというふうに思います。
窓口対応の適切な実施については、これまでも毎年開催される全国都道府県会議等を通じて周知をしていく、あるいは国や都道府県等の監査においても適時確認し、適切な対応がなされていない事例があった場合には是正改善指導を行う、こういったことで引き続き保護が適正に実施されるよう努めていきたいと思います。
保護のしおりについては、これは各自治体、まさに小田原がそうであるように、独自の工夫でいろいろしていただいておりますから、全国一律で見直すということ、これは慎重な検討が必要だと思いますが、ただ、こうした適切な事例を必要に応じて共有していくということ、そして保護の確実な実施が図られるようにしていくということ、これは大変大事だと思っておりますので、こうした事例も含めて周知等に努めていきたいと思います。
○倉林明子君 生活保護は恥だという、これが保護利用の大きな抑制、自殺に行ってしまった最初の京都の息子さんの話もそういうところあるんですよ。そういう生活保護は恥だという国民感情を助長することにつながるんじゃないかと思ったのが、今度の薬剤の、後発薬の使用原則化というやつなんです。私は、こういう観点からも、選択する機会を奪ってしまうようなことにつながるし、やっぱり差別にほかならないと思っております。この点は、時間なくなりました、撤回を求めて、終わります。