食品衛生監視員 増員を 倉林氏「小規模業者に支援必要」/ 「健康食品」被害の未然防止の措置要求(厚生労働委員会)
(資料があります)
日本共産党の倉林明子議員は12日の参院厚生労働委員会で、小規模零細業者に義務づける食品衛生管理が過重な負担とならないよう、食品衛生監視員を抜本的に増員し、きめ細かい支援を行うよう求めました。
今回の食品衛生法改定案では、すべての食品業者に、食中毒などを起こす危害要因を原料受け入れから製造、出荷までの全工程で監視、記録する「HACCP」(危害要因分析重要管理点)の手法による衛生管理を義務づけます。HACCPによる管理が困難な小規模業者や食品の種類が多い飲食店などは、業界団体などの手引書による簡易な衛生管理でもよいとしています。
倉林議員は「衛生管理に加え、記録の保存が求められると、小規模零細業者には相当な負担だ。記録がない、管理基準を満たしていないことだけを理由に営業停止や許可取り消しなどあってはならない」と主張。加藤勝信厚労相は、現行でも食中毒などの大きな問題が発生しない限り行政処分は行っていないとして、「こうした運用に変更を加えることはない」と言明しました。
また倉林議員は、現場で指導を行う食品衛生監視員を国の責任で養成、配置し「抜本増員をはかるべきだ」と求めました。
日本共産党の倉林明子議員は12日の参院厚労委員会で、いわゆる「健康食品」による健康被害の未然防止の法的措置に加え、被害全般の情報収集を行う仕組みとするよう求めました。
リスクの高い成分を含むいわゆる「健康食品」による健康被害で、現行法でも販売禁止措置がとられるものの、実際に販売禁止になった事例は2件にとどまっており、未然防止の法的措置は、政府の審議会「食品衛生法改正懇談会」からも提案されていたものです。
加藤厚労大臣は「様々なご意見を頂戴しているわけですが、今回の法改正では特に人に対する作用が相当で、かつ健康被害のおそれがあると考えられる成分等に対して規制を求めていくこととした」と答弁。業界団体の要望にこたえて対象を限定したことがあきらかになりました。
倉林氏は「対象は厚労大臣が指定することになり、指定していない成分等による健康被害情報は集めないという根拠になりかねない」と指摘。「健康被害を未然に防ぐためにも、対象を限定せず、被害全般の情報収集する仕組みとすべき」と求めました。
加藤厚労大臣は「告示改正で適切な製造管理を義務づける、成分等を指定する際には国内外の情報を踏まえたうえで指定を検討するなどを通じて、未然防止にとりくむ」と述べるにとどまりました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
勝田東京労働局長の降格処分というのは当然のことだというふうに思っております。しかし、これ暴言だけの問題ではなく、この問題は終わるということにはならないというふうに思うんですね。改めて、今日も質疑ありましたけれども、なぜあの十二月の時点で異例の行政手続がされたのかという点で引き続き解明すべき点が残っているというふうに思っています。今日は法案審査ということですので、また改めて質疑はやらせていただきたいと思います。
そこで、まず、HACCPの義務付けについて聞いていきたいと思います。
先ほども御紹介あったとおり、十五年ぶりの今回の法改正ということですが、全体としては、食品の安全性の確保、規制監視の強化、これを目的にしたものとなっております。問題は、やっぱりこの実効性をどうやって確保していくのかということになろうかと思います。HACCPを制度化し、その衛生管理システムを全ての食品関連業者に義務付けるということになるわけでして、本当にやっていけるのかというところが問題だというふうに思っているわけです。
平成二十六年に厚生労働省が調査をされております。これ見ましても、施設全体で導入していますという回答は八・四%にとどまっていると。これ、輸出企業であったり大企業はまだしもですけれども、小規模零細業者、これ少なくないわけですね。業界団体が作成する手引を参考に、簡易な基準Bで対応するというふうに伺っているわけです。簡易な方法だ、できるということですけれども、この基準Bの対象になる業種というのはどんなものが、主にで結構です、さらに規模、件数についてはまだこれからというところもあるんでしょうけれども、規模感としてはどの程度想定しているのか、お答えください。
○政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。
今般のHACCPに沿った衛生管理の制度化につきましては、御指摘のように、原則として全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理を求めるということでございますが、HACCPに基づく衛生管理を実施することが困難な事業者につきましては、取り扱う食品の特性に応じた衛生管理であるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を求めるものでございます。
お尋ねのHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の対象となる業種につきましては、その要件を政令で定めることとしてございまして、具体的には、一つ目、小規模な製造・加工事業者、二つ目には、併設された店舗で小売販売のみを目的とした菓子や豆腐などを製造、加工する事業者、三つ目は、提供する食品の種類が多く、頻繁に変える飲食店等の業種、四つ目は、低温保存が必要な包装食品の販売等、一般衛生管理のみの対応で管理が可能な業種、こういったものなどを想定しているところでございます。
これらの条件を満たす業者がどのぐらい存在するかということはなかなか現時点で申し上げることは難しいところでございますが、こういった小規模事業所の範囲につきましては、労働集約型の業種の事業者団体が策定する手引書が想定している規模等も踏まえまして、今後、判断基準を示そうということを考えているところでございます。
○倉林明子君 これからというところもあるということなんですけれども、八百屋さんとかお魚屋さんとか総菜店も対象になろうかと思います。夫婦だけで営業しているようなちっちゃい飲食店も対象ですよね。
これ、漏れなく対象になるということで、私、すぐ思い浮かびますのは、地元でもやっぱりシャッター通りになっているような商店街で、家族の頑張りで必死になってやっているという業者が浮かんでくるわけですよ。そういう人たちというのは、高齢化もこれ深刻なんですね。そういう人たちにやってもらわなあかん中身ということで、今紹介あったような業界団体のモデルというのはどうなっているかという、一つ、これ一般、小規模な飲食店の基準Bに該当していくだろうというものなんですよ。
これ、全部で四枚付けておりますけれども、まず今度は衛生管理計画を決めなければなりません。その項目というのは一枚目、二枚目になります。これ、ないとあかんというのが基本ですね。その後、毎日チェックする項目というのが二枚目、三枚目、一般的衛生管理の実施記録と重要管理の実施記録というふうにこれを毎日付けなあかんということになっていくわけですね。
通常やっていることを記録にしてもらうだけだという説明なんだけれども、ここまでやっぱりやらないといけないというふうになってくるんじゃないかと思うんです、このままだと。これ、業者にとっては本当に大変な負担だということは言うまでもないと思うんです。
衛生管理はこれまでどおりにやれているという方々の場合でも、記録がないと、衛生計画ないと、こういう場合は今度新たに義務化した下でどんな行政処分が最終的にされることになるか、どうですか。
○政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。
HACCPに沿った衛生管理の制度化に当たりましては、小規模事業者を含む食品等事業者が円滑かつ適切にHACCPに沿った衛生管理に取り組むことができるよう、事業者団体が作成する手引書の活用などによりまして、きめ細かい支援を行うとともに十分な……(発言する者あり)はい、分かりました。(発言する者あり)はい。支援をさせていただいた上でということでございます。
もし、その事業者の方が衛生管理の記録の保存を含めましてHACCPへの遵守状況が不十分であるということが確認された場合には、事業者にはまずは行政指導を行いまして、改善してくださいというそういうことを丹念にやっていくこととなります。それでもなお事業者が行政指導に従わずHACCPに沿った衛生管理の遵守をしない場合においては、改善が認められるまでの間、営業の禁停止などの行政処分を行うということになるということでございます。
こうした現場での処分手続や罰則適用につきましては、現行と同様のものでございまして、今回の法改正により強化されるものではないということでございます。
○倉林明子君 そこなんですよ。営業許可取消しという処分が出てくるというところが私は重要だと思っていて、こんなに面倒くさいことをしないと商売が続けられないと、こうなったら廃業加速という懸念が出てくるわけです。
そもそも、HACCPの制度化というのは、これは衛生管理の水準を上げるということが目的であるはずで、小規模零細業者に対しては、基準を満たしていないよというだけでこれ営業許可取り消すということがあってはならないんじゃないかと思うんです。大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(加藤勝信君) 現行でも衛生管理基準に基づいた運用が求められているわけでありまして、現行の運用について申し上げれば、食中毒事案の発生等大きな問題が発生しなければ、通常、行政処分まで行っていないということでありまして、行政指導により改善を促しているというのがこれ実態でございますので、今回制度改正を行ったからといってそうした運用に変更を加えるということは考えておりません。
○倉林明子君 運用上もそういうふうに指導を徹底していくんだということも十分に周知も必要だというふうに思うんです。やっぱり、許可取消しになるんじゃないかということが一つのきっかけになって廃業というようなことは本当に避けるべきだというふうに指摘をしておきたいと思います。
さらに、この業界団体の手引ということでいうと、本当にちっちゃいところがこれこのとおりできるだろうかということは非常に心配です。これ付けるというだけで抵抗感というか、出てくる可能性あるんですよね。私、現場のそういう本当に小規模零細業者のところの意見というのも踏まえた対応というのが求められる、より簡易な手法ということも検討を重ねて求めておきたいと思うわけです。
さきに紹介した厚労省の実態調査でも、対象となる事業者が、HACCPのことをよく知らないというのが一九・五%、導入する予定ない、これ二五%あるわけです。こうした業者に対して、HACCPの義務化の必要性理解してもらう、負担を軽減し、これならできるというふうに寄り添うような指導というのもとりわけ小規模事業者のところは必要だというふうに思うんです。
一体、その役割は中心的に誰が担うことになるのか、端的に。
○政府参考人(宇都宮啓君) 食品等事業者のHACCPに沿った衛生管理の実施の遵守状況につきましては、営業許可の更新時や地方自治体の食品衛生監視員による定期的な立入検査等の機会を通じまして、地方自治体の保健所が衛生管理の内容や実施状況等を確認することとしているところでございます。
また、施行前、施行後、いずれにおきましても、地方自治体の保健所や事業者団体等が事業者に対しまして衛生管理に関する講習会の開催、手引の配付など、きめ細かな支援を行っていくこととしているところでございます。
○倉林明子君 つまり、中心的には食品衛生監視員が担っていくと、役割大きいと思うんです。
そこで、先ほども答弁で御紹介あったように、研修、専門研修受けているというような指導員も既に五百七十二人だということなんですね。更にこれ拡大必要だと思うんですけれども、イギリスの経験というのは、私、教訓的だなと思っているんです。
一九九五年から全面導入を狙って始めたイギリスなんだけれども、実はなかなかうまくいかなかったというんですね。教訓から何やったかというと、四百を超える地方自治体に二千人を超える指導監視員を養成して配置したというんですよ。そこから、HACCPというのは繁栄や成長のためのツールなんだという考え方も理念も普及するという研修をいっぱいやったというんです。年に三千回を超えるようなことをやったというんですよ。そういうことも通じてやっと成果が実感できるようになったというんですね。これは本当に、これから、後からHACCP導入ということに踏み込んでいくわけですから、しっかり参考にする必要がある。
つまり、私言いたいのは、HACCPいいことだということで全体に掛けていくということになるんだけれど、付いていけないような業者を排除するということは駄目だと思うんですね。だから、国の責任で指導、監視できるこの専門家の配置というのは欠かせないと思う。
さらに、今の現状でいうと、この食品衛生監視業務というのは、担っているのは全国で八千人強、そのうち千人で二割強ということですから、極めてこの基本の体制の強化というのも欠かせないと思います。抜本的な増員、専門家としての教育、そこも大きく増やしていく、そういう取組必要ですが、いかがですか、大臣。
○国務大臣(加藤勝信君) 専門的な指導者、HACCPの指導者養成研修、今委員からも、二十八、二十九で五百七十二名ということの御指摘がありました。今年度と三十一年度で更に六百名を養成をする予定とさせていただいております。
また、監視指導等を実施するために必要な人員については各自治体において確保を図っていただくということになりますが、厚生労働省としては、関係機関と連携をしながら、都道府県等の体制整備に対する支援、これに努めていきたいと思っておりまして、各自治体の食品衛生監視員の増員など地方自治体の体制強化に関する地方交付税の措置、これもしっかり要求をしていきたいと考えておりますし、また、今委員から御指摘ありました、それぞれの事業者の方が今回のHACCP化等々の意味をしっかりと理解をしていただき、それは、その皆さん、事業にとっても大変プラスになっていくんだということ、そうした理解を求めるためにも、市町村あるいは関係団体を通じて、様々な機会を通じてよく周知啓発に努めていきたいと思います。
○倉林明子君 やっぱりこれ、専門家を育てていくということ、現場の体制を取っていくということで地方交付税措置要求しているということなんだけれども、地方団体のところでいいますと、行革で定数で縛り掛かってくるということでなかなか増員に踏み切るということが困難な状況も踏まえて、実効性ある対応ということで、現場の増員が図れるようなところまで見届けていただきたいというふうに、これは要望しておきたい。
相当時間掛かると思うんです、私。経過措置も含めたら三年あるからとおっしゃるけれども、これは本当に徹底していくということでいうと相当時間掛かるのに、何でオリンピックやパラリンピックまでということにしたのかと、これ一言で御説明ください。
○政府参考人(宇都宮啓君) 食品衛生法、前回の改正以来十五年経ているということもございまして、また、オリンピック・パラリンピックを迎えて、是非この機会に国際的な整合性を取れるような制度にしようということでございます。
○倉林明子君 HACCP宣言したと言うけれども、実態伴わないということでいうと、国際的にはマイナスの発信になりかねないということを指摘しておきたい。しっかり、HACCPが徹底するという実態をどうつくるかということにやっぱり厚生労働省としては責任持って取り組んでいただきたいということは強く申し上げたい。
次に、健康食品について私の方からも質問したいと思います。
いわゆる健康食品が健康被害をもたらす事案が問題になっているわけですが、これ、現行食品衛生法でも販売禁止措置がとれるということになっているかと思います。法六条、法七条によって販売禁止措置になった例は何があるか。
○政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。
いわゆる健康食品につきまして、食品衛生法第六条又は第七条に基づきまして販売禁止措置をとった事例は過去に二件ございます。
具体的には、平成十五年にアマメシバ加工品による閉塞性細気管支炎の事例が国内で三例、台湾で二百例報告されたことを受けまして、食品衛生法第七条第二項の規定に基づいて販売を禁止した例が一つ目でございます。
二つ目は、平成十六年にコンフリーによる肝障害の事例が海外で多数報告されたことを受けまして、食品衛生法第六条第二号の規定に基づきまして販売を禁止したということでございます。
○倉林明子君 現行法でもそういう処置とれるんだけれども、極めて症例少ないし、厳格に運用しているということだと思うんですよね。
最近でも、先ほど紹介あったように、豊胸効果、アンチエージング効果、これをうたった健康食品で不正出血とか月経不順の訴えが多数出たんだけれども、これ販売禁止措置までには行かなかった事例ですよね。食品衛生法改正懇談会、この取りまとめを見ましても、健康被害を未然に防ぐ法的措置による規制の強化、これも含めた実効ある対策の検討を求められていたものであるというふうに認識しております。
今回の見直しは、被害情報の収集ということにとどまっているんですね。これ、事後対策にとどまった、なぜか。
○政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。
今回の制度改正におきましては、法改正によりまして、厚生労働大臣が特別な注意が必要な成分等を指定しまして、健康被害情報の届出を義務付けるということになってございます。
それに加えまして、告示改正によりまして、適切な製造管理を義務付けることとしているところでございます。特別な注意が必要な成分等を指定する場合には、国内の健康被害だけではなくて、例えば、海外の注意喚起情報や毒性情報を踏まえまして指定を検討することから、健康被害の発生を未然に防止する観点も含まれているということでございます。また、適切な製造管理を義務付けることで、特別な注意が必要な成分を含む食品による健康被害の発生を未然に防止できるものと考えているというところでございます。
このように、今回の制度改正を通じまして、事後対策のみならず、未然防止にも取り組んでまいる所存でございます。
○倉林明子君 未然防止にも踏み込むということでは、一歩前進面であるということは私否定はしません。しかし、事後の対策ということにやっぱりなるんですよね、これ、中心的な制度、枠組みとしては。
骨子に寄せられておりました、一般財団法人食品産業センター、業界ですよね、この意見見ますと、法的措置の規制強化ではなくて現状把握をお願いしたい。結局、結果として、この業界要望に応えたという理由ではありませんか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今のお話でありますけれども、様々な団体から様々な御意見はもちろん頂戴をしているわけでありますけれども、今事務局からも説明いたしましたけれども、今回のことについては、特に人に対する作用が相当で、かつ健康影響のおそれがあると考えられる成分等に対しては、これに対して規制を求めていくということで、さらに、具体的には、成分等を指定をし、そして健康被害情報の届出を義務付け、さらには告示改正による適切な製造管理を義務付けるということにしているところであります。
また、健康食品、それ以外の健康食品については、現行の健康被害情報の報告内容の見直しや、消費者庁や医療関係団体等との連携による健康被害情報等の収集によって、食品による健康被害情報の情報収集、その強化を図っていきたいというふうに考えております。
○倉林明子君 いろんな団体からの意見というのは寄せられていた、それは否定しない。消費者団体とか様々な団体からも、やはりこの法的措置、未然防止の観点での取組強化と、要望も出ていたということは指摘をしたい。
そこで、確認したいんですけれども、そもそも健康食品の法令上の定義というのはどうなっていますか。
○政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。
いわゆる健康食品につきましては、健康の保持や増進に資する食品として販売、利用されるもの全般を指すものと一般に理解されまして、こうした食品についての法律上の定義はないところでございます。
また、いわゆる健康食品につきましては、食品の形態……(発言する者あり)よろしゅうございますか。使用される原材料等が多岐にわたることから、その定義を行うことは困難な面があると考えているところでございます。
○倉林明子君 先ほど紹介した懇談会の取りまとめでは、健康食品と、この呼称自体が消費者の誤解を生むんだと、この指摘はそのとおりだと思います。見直しと規制の強化ということでは強く求めておきたいと思います。
さらに、今回の情報収集ということですけれども、特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害、これに限定したものとなっているわけです。注意を要する成分、これ、大臣が指定すると先ほど紹介あったとおりです。
指定されていない成分による健康被害情報、これは集めないということになるんでしょうか。
○政府参考人(宇都宮啓君) お答えいたします。
人の健康に必要な栄養素を補給する目的で使われるものを始めとして、いわゆる健康食品として摂取されるものは、先ほど申しましたように多岐にわたるものでございます。
一方で、事業者の負担等も考慮しつつ、合理的な規制とする必要があるということでございます。このため、今回の法改正案では、特に人に対する作用が相当で、かつ健康影響のおそれがあると考えられる成分等を対象として、食品の摂取に関連した健康被害情報の報告を義務付けることとしたところでございます。一方、特別な注意を必要とする成分等を含む食品以外のものにつきましては、現行の健康被害情報の報告内容をより健康被害の防止に資する情報が得られるように見直しを行うことを考えているところでございます。
また、消費者庁と連携いたしまして、全国消費生活情報ネットワークシステム、PIO―NETと申しますが、これに寄せられた健康被害情報の入手や医療関係団体等から提供された情報等の収集体制の強化を図ることで対応してまいりたいと考えているところでございます。
○倉林明子君 対応が可能だという説明なんだけれども、やっぱり、いわゆる健康食品の健康被害ということでこの改正、注目もされていたと思うんですね。それに対して、大臣が指定したものについては、これいわゆる健康食品の健康被害扱いとして情報を集めるんだけれども、今の説明聞いていても、このいわゆる健康食品の健康被害情報ということでの集める仕組みにはやっぱりならないんですよ。だから、そういう意味でいうと、その枠もやっぱり広げながら対応していくと、情報収集についても努めることが必要だというふうに思うんです。
いわゆる健康食品というのは、次から次から出てくるわけです。そういう意味でいうと、健康被害というものが予測可能なものばかりではないという認識を持つべきだと思うんですね。だからこそ、限定せずに、いわゆる健康食品による被害全般の情報ということを集める仕組みとするべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 何か同じ答弁の繰り返しになって申し訳ないんでありますが、ただ、委員が御指摘の中において、やはり、よりリスクのあるもの、そこをまずしっかり管理していこうというのが今回の法律の改正のポイントであるということ、そこをどうこれから運用していくのかということにおいてこれから決めるべきものも多々ございますので、そうした中において、様々な関係者の御議論をいただきながら、より詳細な制度設計、これに努めていきたいと思います。
○倉林明子君 懇談会の取りまとめから見まして、やっぱりこの点で私は大きな宿題が残っているんじゃないかというふうに思っております。
法の実効性を本当に担保するという取組も、これから更にというお話もありました。食の安全、安心の確保に向けて対策強化を引き続き求めまして、終わります。