改定精神保健 差別や偏見助長する 撤回を(厚生労働委員会)
日本共産党の倉林明子議員は25日の参院厚生労働委員会で、審議中の法案の説明資料にある改定趣旨を削除するという異例の対応を行った精神保健福祉法改定案について、「法案の目的を途中でねじ曲げるやり方は国会も国民も愚弄するものだ。精神障害者への差別や偏見を助長することにつながる本法案は撤回するべきだ」と迫りました。
政府は、相模原市の障害者施設での殺傷事件の容疑者に措置入院歴があったことを受け、「再発防止検討チーム」を発足。同法改定案には措置入院の見直しや退院後の支援、警察への情報提供などが盛り込まれました。
倉林氏は、検討チームの中間とりまとめが「措置入院」の見直しありきとなっており、犯行声明などへの警察対応の検証が不十分だと関係団体から指摘されていること、容疑者の措置入院と事件との因果関係も明確になっていないことを強調。「この因果関係をはっきりさせないままの法改定では差別や偏見を助長するものになる」と批判しました。
さらに「首相の施政方針演説によれば法改定は“事件の再発防止”で誤解の余地はない。大臣の説明と矛盾する。首相の説明は間違っていたのか」と追及。
塩崎恭久厚労相は、改定趣旨を削除した理由を「結果として再発防止に資する」と説明しながら、「犯罪防止を目的とするものではない」と矛盾した答弁を繰り返しました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
審議途中で法案の改正趣旨が変更になる、これもう前代未聞の事態が起こっているわけです。前回質疑後に最終的な書き直しの説明ということになったわけですけれども、そこで大臣は、混乱させたと謝罪はされ、改正趣旨を変えた説明がされた。しかし、中身は変わらないという説明だったと思うんですね、法案の。しかし、この法案の中身でも大きな問題があると。先ほど警察庁の審議官答えていましたけれども、グレーゾーン事例など個別のケースでは警察との情報共有のことにも触れていたと思うんですよ。これ、この警察との情報共有というのが精神障害者の人権に大きな侵害しかねないということで、中身に大きな問題があるということも指摘しているということは改めて申し上げておきたいと思うわけです。
そこで、四月十三日の委員会の質疑を振り返ってみますと、そのとき、立法事実の議論をさせてもらいました。大臣はおっしゃいました。法案提案理由は別にしっかり出していると、そして、それこそが提案の理由だというふうに私、答弁いただいたわけです。
それでは、確認したいと思うんです。ここで言いたかった、そもそも、しっかり出しているという改正理由は何だったんでしょうか。
○政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。
今回提出いたしました精神保健福祉法の改正法案の理由につきましては、「精神障害者の社会復帰の促進を図るため、都道府県が入院措置を講じた者に対する退院後の医療等の援助を強化するとともに、精神障害者の支援を行う地域関係者の連携強化を図るほか、医療保護入院に必要な手続、精神保健指定医の指定制度等について見直しを行う必要がある。」というふうに記してございます。
○倉林明子君 改正理由には相模原事件のサの字も出てこないんですね。ところが、四月十一日の委員会、この大臣の説明はどうだったかと。相模原市の事件は検討の契機ではあるが、今回の法案は犯罪を防止することを目的としたものではないと、こう説明しているわけですね。
じゃ二十日、この訂正された改正趣旨、これについての大臣説明はどうだったかと。これは、本法案は、退院後の医療や地域福祉、就労支援等の支援の充実を図り、結果として再発防止に資するものと、また再発防止出てくるんですね。
結局、改正の理由のところには出てこなかった。しかし、概要の改正の説明資料では二行を抜いて、相模原事件の再発という文章は消した。しかし、やっぱり改めての大臣説明は犯罪防止が結果的な目的になっているんじゃないですか。
もう一回整理してもらえますか、大臣。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今お読み上げをいただきましたけれども、四月二十日の委員会の場で私の方から、本法案は、退院後の医療や地域福祉、就労支援等の支援の充実を図り、結果として再発防止に資するものであると、こう発言をいたしました。
この経過として申し上げますと、昨年八月以降、検証チームにおいて検証を行った結果、被告人は措置入院から退院した後に、医療機関や地方自治体から必要な医療等の支援を十分に受けることなく孤立をしていたということが明らかになってまいりました。これを受けまして、厚生労働省で調査をいたしました結果、現行の精神保健福祉法第四十七条に基づく相談、指導、これについて各自治体の取組にばらつきがございまして、退院後の患者が医療、地域福祉、就労支援などの支援を確実に受けることができる状態ではないと、こういう課題も浮き彫りになってまいったところでございます。
このことから、措置入院者が退院した後に社会復帰に向けた医療、福祉、就労支援などの地域での支援を確実に受けることができるようになり、地域で孤立することを防ぐ観点からこの法案を提出したと、こういうことでございまして、本法案の内容は今回のような事件が発生するに至った様々な要因への対策のうちの一つでありまして、直接的に犯罪防止を図るものではないと。しかし、事件の背景にあった様々な要因、今申し上げましたが、その一つに対応することで結果として再発防止に資するものではないかということを申し上げているところでございます。
○倉林明子君 いや、いろいろおっしゃったけれども、結果として犯罪防止に資するものと、再発防止に資するもの、相模原事件のような犯罪の再発防止ですからね、言っておきますけど。資するものというのは、これ辞書引いたら、役に立つということなんですよね。
法案の改正理由でも、概要の説明資料でも、相模原事件再発防止という言葉は消えている。しかし、改めて説明している中身でトーンはちょこちょこ変わっています。ちょこちょこ変わっているんだけれども、やっぱり再発防止に役に立つ法律としてあなた方は提出したんじゃないのかと。再発防止が目的ではない、どっちなのかがよく分からなくなっているんですけれども、もう一回ちゃんと短めにはっきりと明確に答えてください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど明確に申し上げたと思いますが、今回のような事件が発生するに至った様々な要因があったんだろうと思います。今回のような事件を二度と起こしてほしくないと思うのは、これひとしく全ての人が思っていることだろうと思います。それはしかしそれとして、私どもはこの様々な要因への対策のうちの一つとして、直接的には犯罪防止を図るものではないけれども、事件の背景にあった様々な要因の一つに対応することで結果として再発防止に資するものと考えているということを申し上げたわけでございますので、御理解をいただければと思います。
○倉林明子君 いや、御理解いただけません、今の説明ではね。
改めて、今回の法改正に至る経過というのを振り返ってみたいと思うわけです。
昨年、相模原事件発生直後、七月二十八日に総理は、事件を徹底的に究明し、再発防止、安全確保に全力を尽くすというふうにおっしゃった。そして、施設の安全管理、措置入院の見直しについて早急に検討するように指示を出された。これ指摘したとおり。そして、八月八日、直ちに相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策の検討チームが立ち上げられたわけですね。同月十日、第一回の検証・検討チームが開かれました。ここで大臣は、今後の再発防止策として提案していくことが重要だというふうに発言されて、初回の会議に既に論点が示されています、こういう方向で検討していこうと。その論点って一体何だったんでしょうか。端的に。
○政府参考人(堀江裕君) 二十八年八月十日に開催されました第一回検証チームでは、検証・検討に当たって想定される論点案といたしまして四点、福祉施設における防犯対策について、精神保健福祉法の措置入院に係る手続について、退院後のフォローアップについて、そして警察等の関係機関との情報共有の在り方についてというふうに論点を示してございます。
○倉林明子君 私、最初の質疑でも申し上げたとおり、この相模原殺傷事件というのは戦後の殺傷事件の中でも本当に未曽有の事件だったわけですよね。ところが、論点、たった四つ。この論点に沿ってその後の検証の議論が進められて、たった三回の会議の後に、たった一か月後の九月八日に事件の検証、これ中心とした中間取りまとめということになっているわけですね。この展開というのは、本当に十分な検証、検討がされたのかどうかということを改めて立法府としても我々は検証する必要があるというふうに思うわけです。
そこで、先ほども議論がありましたこの中間取りまとめ案について、第七回十月三十一日になって初めて関係団体からのヒアリングを行っていますね。このとき、全国「精神病」者集団の意見書では、神奈川県警、警察本部が何ができて何ができていなかったのか検証がほとんどされていない、こういう指摘がされております。また、全国手をつなぐ育成会は、容疑者の犯行声明にどう対応したのか、離職後の容疑者の犯行予告、これにどう備えてきたのか、情報は十分ではないと、検証が不十分だという指摘があったんですよ。
こうした声を受けたら、当然なされるべきは警察の対応に対する検証だったと思う。これ、やったんでしょうか。どうですか。
○政府参考人(堀江裕君) 相模原市の事件の検証・検討チームは、警察庁も参画の上、神奈川県警における被告人の情報を把握してからの対応を含めた事実関係全般について議論が行われたものというふうに考えてございます。
また、第七回の検証・検討チームにおいて、村上構成員が、医療や保健の現場において精神保健福祉法第二十三条の警察官通報が行われる場面で医療と警察のいずれが対応すべきか判断が困難な事案がある、そのような事案が発生し、措置診察など限られた時間で判断を求められるときに医療と警察のどちらで対応すべきかについて、医療と警察の間で日頃から信頼関係が構築された上で意見交換できることが重要であるという趣旨の発言がございました。
これは、精神科医療と警察の本来の役割に沿って個別の事案への対応を行うべきであり、警察で対応すべき事案まで精神科医療において対応すべきでないというふうに考えてございまして、こうした課題に対応するため、本法案において精神障害者支援地域協議会を新たに保健所設置自治体に設置することとして、代表者会議において地域の精神障害者の支援体制に関し、自治体、警察、精神科医療関係者等の関係者でいわゆるグレーゾーンが発生した場合の情報提供の方法等について協議を行うこととしてございます。
○倉林明子君 いや、だから、措置入院の枠組みで論点まとめてきているからそういう検証になっているんですよ。
そもそも、この事件の警察の対応、犯罪に対する警察の対応というのがどうだったのかという検証が不十分じゃないかという指摘に対して、検証したのかどうかと聞いたら、答弁ないわけですよ。それが問題だと思うわけですね。
さらに、指摘されていた中身で、容疑者が措置入院していた事実、これがあるからこういう検討になったんだけれども、じゃ、事件との因果関係というのははっきりしていない、私もそうだと思いますけれども、それについての解明は何がどこまで進んだんですか。短くお答えください。
○政府参考人(堀江裕君) 昨年、今回の事件の検証チームにおいて事実関係の検証を行いましたが、お尋ねの被告人が措置入院等となっていたという事実と事件との因果関係については明らかとなってはおりません。
検証チームの検証結果では、昨年二月の措置入院時には精神障害と診断されましたが、措置入院から退院した後に被告人が医療、地域福祉、就労支援等の支援を十分に受けておらず孤立していたとの課題が明らかとなりました。こういった課題に対応するために、今回の法改正において措置入院者の退院後支援の規定を設けるに至ったものでございます。
○倉林明子君 もう明確に、今おっしゃった、措置入院していた事実と事件の因果関係は明らかではないと、私、それはそのとおりじゃないかと思うんですね。これから裁判も始まるという中です。因果関係について明らかでないということが分かっていながら、じゃ、なぜ措置入院を見直すことで結果として再発防止に資する、こういうことになるのかと。精神障害による事件でなければ、私、立法事実というのは極めて不安定、ないと言っていいんじゃないかと思うわけですよ。ここの因果関係をはっきりさせないままの法改正になっているから、精神障害者に対する差別や偏見を助長するんじゃないかという大きな不安が広がっているわけですよ。
そこで、もう一点確認したい。容疑者の精神鑑定が時間掛かって、二月二十四日に出ました。責任能力が問えるということで起訴されるということになった。裁判はこれからですけれども、容疑者は措置入院の対象じゃなかったという可能性も出てきた。
この鑑定結果というのは極めて重要だと思うんですね。重要だと思うんですよ、退院もしているわけだけれども。この鑑定結果というのを法案の重要な局面でどんなふうに受け止めて閣議決定に出そうということになったんでしょうか。その判断についてお聞きしたい。
○国務大臣(塩崎恭久君) この相模原市で起きました事件の検証・検討チームにおきまして検証を行った結果、被告人は措置入院から退院した後に医療機関や地方自治体から必要な医療等の支援をこれは十分に受けていなかったということが分かり、孤立をしていたという事実が分かりました。
こういう状況を改善するために、措置入院者が退院した後に社会復帰に向けた医療などの支援を確実に受けられるようにすることが、退院後に精神障害者の方々が地域で孤立をするという状況の防止を図るものとして本法案を提出したことは申し上げてきたとおりでございまして、相模原事件の被告人の横浜地検における鑑定結果、これを踏まえて起訴をされているものと承知をしているわけでございますが、この鑑定結果にかかわらず、措置入院者が退院後に必要な医療等の支援を受けられるようにするための対応として今回の法改正が必要であると考えているところでございます。
○倉林明子君 鑑定結果は関係ないということだったんですか、大臣の認識は。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたとおり、なぜこの法律を出したかというのは先ほど法改正の目的で申し上げたとおりでありまして、様々な要因がこのような事件が発生するにはあったうちの一つとして、地域で孤立をするという措置入院退院後の精神福祉の在り方について私どもは法改正をすべきということを考えたところでございます。
○倉林明子君 法案閣議決定された、二月の二十八日だったと思います。その後、三月十八日、日本精神神経学会が、精神保健福祉法改正に関する学会見解、これ公表されております。そこでは、精神科医療の役割は、病状の改善など精神的健康の保持増進であり、精神保健福祉法の改正もこの視点に立って行われるべきものですと、犯罪の防止を目的として精神保健福祉の改正を行うべきではありませんとしているんですね。
私、そのとおりだと思います。これに対してはどう答えますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今の日本精神神経学会の意見書でありますけれども、今御指摘のとおり、精神科医療の役割というのは症状の改善など精神的健康の保持増進であって、精神保健福祉法の改正もこの視点に立って行われるべきという今の御指摘がございました。それから、犯罪の防止を目的として精神保健福祉法の改正を行うべきではないということ、この御意見も私どももしっかり把握をしているわけでありまして、また、有識者や当事者家族などから成っておりますこの検討会の取りまとめにおきましても、同じように、医療の役割は患者の治療、健康維持推進を図るものであって、犯罪の発生防止ではないということを十分に踏まえて、措置入院から退院した患者に対する医療の充実を図ることが重要と、こういう御指摘をいただいています。
精神科医療の役割は、もう言うまでもなく、精神障害者に対する治療や健康の維持増進を図る、そういうものでありますから、犯罪の発生防止では決してないわけでございます。厚生労働省としても、この点を十分に認識をした上で、相模原事件の検証と再発防止策の検討を行ってきて、本法案では、もう何度も申し上げているとおり、国、地方公共団体が精神障害者に対する医療を、その健康の保持増進を目的として行われるべきことを認識しなければならない旨を法律上明確化する、そして、措置入院者が退院した後に医療、福祉などの社会復帰に向けた支援を確実に受けられるように退院後支援計画の仕組みを創設をするなどの対応を図って本法律で御審議をお願いしていると、こういうことでございます。
○倉林明子君 端的に、じゃ堀江さんにお聞きしたいと思うんですけれども、堀江さんから紹介いただきたいと思うんですけれども、今回の改正、これで第二条二項を新設されています。中身読み上げて紹介してください。
○政府参考人(堀江裕君) 改正法案におきます改正後の法第二条第二項は、「国及び地方公共団体は、前項の施策を実施するに当たつては、精神障害者に対する医療はその病状の改善その他精神的健康の保持及び増進を目的として行われるべきものであることを認識するとともに、精神障害者の人権を尊重するほか、精神障害者の退院による地域における生活への移行が促進されるよう十分配慮しなければならない。」と規定されてございます。
○倉林明子君 今度の法改正ではそういう共生の理念というのを新たに盛り込むことになっているんですよ。それなのに、警察との情報共有という、治安の目的ではないかと精神神経学会からも誤解されるような改定の中身になっているんですよ。それが問題なんですよ。
そこで、そもそも、一月二十日、総理の施政方針演説について先ほども議論ありました、この精神保健福祉法について説明どうだったか、これも読み上げて端的に御紹介ください。
○政府参考人(堀江裕君) 今回の改正案に関しまして、一月二十日の第百九十三回国会におきます施政方針演説において、総理から次のように述べられてございます。
「昨年七月、障害者施設で何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります。」と発言されてございます。
○倉林明子君 これ、安心、安全の国づくりの一つとして総理は演説しているんですね。
じゃ、その前に何があるか。糸魚川の火災、テロ対策、こういうものと並んで相模原事件の再発防止などって、などに何でも含まれているみたいな説明したらあきませんよ、はっきりしているんですから。これ、主なものはこれ、これを再発防止策しっかり講じてまいりますとはっきり言っているんですよ。誤解の余地は総理の説明には私全くないと思います。
総理の施政方針演説によれば、ずばり事件の再発防止なんですよ。大臣の説明と違うんじゃないですか。大臣、どうですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 総理の施政方針演説は、先ほど御自身もお読み上げをいただいたとおり、「措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります。」ということで、あのような事件が繰り返されるということはやっぱり望ましくないことと思うのは皆等しい思いだと思います。
それで、総理はやはりこの様々な再発防止対策にしっかりと取り組むという決意を申し上げたわけで、その一つとしてのこの今回の法改正で、決して本法案は犯罪防止を目的としたものではないということでありまして、何度も申し上げますけれども、継続的な退院後支援の仕組みを、今の状態では全く欠けているので、それをしっかりと組み立てていこうということで、今後、精神障害福祉がちゃんとなされるようにしていこうということでございます。
○倉林明子君 ということは、私たちは再発防止という説明を受けて、聞いていたけれども、それは大臣の言うところ、誤解だったという説明ですよね、改正趣旨の説明は。誤解だったからその二行を抜いて説明のし直しをしましたと。だけど、再発防止に資するというわけでしょう。
そもそも一月二十日の総理の演説というのは、誤解の余地なく再発防止なんですよ。総理が一番誤解しているんじゃないですか。どうですか。間違っていますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) やはりそれは正確ではないわけでありまして、さっき申し上げたとおり、総理は、施政方針演説の中で申し上げているのは、様々な再発防止対策に取り組まなければいけないということで、先ほど申し上げたように、福祉施設の防犯体制もありますし、そもそも共生社会づくりについての言ってみれば教育の中でもこういうことをしっかりと伝えていく。もちろん学校教育の中で心のバリアフリーについてもやらなければいけないということが検討会の報告書の中で、いや、検証チームの中で語られているわけで、提案されているわけでありまして、そういうことが検証チームの言ってみれば結論として出てきて、対策として今後はこういうことをやっていかなきゃいけないというパッケージで省庁横断的な提案として出てきているわけでありまして、独り厚生労働省の所管をしている法律だけの問題を言っているわけでは決してないわけでございまして、繰り返して申し上げますけれども、本法案は犯罪防止を目的としたものでは決してないということであります。
○倉林明子君 もう一回読み上げましょうか。総理はどう言っているか。
昨年七月、障害者施設で何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止策をしっかりと講じてまいります。
これをテレビで聞いていた国民、そして精神障害者はどう思ったでしょうか。総理が精神保健福祉法を改正することで再発防止をするんだ、素直に聞いたらそうしか聞こえないんじゃないですか。どうですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 何度も申し上げているように、総理はこの検証チームの報告書を受けて対策を考えなければいけないということで、さっき申し上げたとおり、共生社会の推進、学校教育における心のバリアフリー、社会福祉施設の防犯対策の強化等々、提案をされた各省横断の課題、これを受けて、その中の一つである今回の精神保健福祉法の改正というものを提案をしているわけであって、これは、何度も申し上げますけれども、その一つとして退院後支援の仕組みを強化することがこれは結果として再発の防止に資するということを申し上げているわけでございまして、今回は、何度も申し上げているように、相模原での事件が一つのきっかけで、我々は、措置入院から退院後の言ってみればその方々の地域での扱いというものを我々は検証しました。そこでいろいろな欠けているものがあった、それを今回提案をさせていただいて、支援計画としてまとめて、医療あるいは福祉の支援を提供することによって孤立することがないようにしていこうということでございます。
○倉林明子君 私、やっぱり官邸主導でこれ、この法案改正というのは動いてきた経過があるし、本来の法改正の目的、二条二項改正になったというところに沿った中身になるべきなんですよ。
説明を途中でねじ曲げるというようなやり方というのは、本当に国会も国民も愚弄するものにほかならないと思います。この法案の中身そのものが精神障害者への差別や偏見を助長することにつながっていく。私は、本当にこの法案、撤回して、きちんと法の趣旨を立て直して出直すべきだと思います。
撤回を求めて、終わります。