倉林明子

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消費税増税中止迫る 地域経済を破壊(総務委員会 政府質疑・反対討論)

(ページ下部に資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は19日の参院総務委員会で、安倍政権の「地方創生」の実態を示し、地域経済を破壊する10%への消費税増税の中止を迫りました。
 倉林氏は、総務省が「地域経済好循環推進プロジェクト」として2012年度に始めた「地域密着型企業の1万社立ち上げをめざす事業」について、活用した自治体が全体の1割にとどまり、地域間格差も大きいことを指摘。これから本格実施であるにもかかわらず予算が激減しているとして、事業計画に見合う予算の裏付けを求めました。

 倉林氏は、1986年から2012年の間に、小規模事業者の3割にあたる143万者が休廃業し、直近3年では年間11万者も減少している資料を示し、「創業支援とともに、小規模事業者の減少に歯止めをかけることが地域の景気回復に欠かせない」と強調。高市早苗総務相は「認識は同じ。中小・小規模企業は地域経済の担い手で非常に重要な存在だ」と答えました。

 「事業者に追い打ちをかけているのが消費税だ」と迫った倉林氏。消費税が払い切れず売掛金の差し押さえで廃業、事業停止を迫られている業者からの相談が相次いでいるとし、「地域経済、地域社会を支える観点からも10%への増税はきっぱり中止すべきだ」と強く求めました。

議事録を読む(政府質疑)
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
地方交付税法一部改正案及び補正予算に関連して質問したいと思います。
大臣は、今年の年頭所感の中で、地方の再生なくして日本の再生はありません、日本列島の隅々まで活発な地域活動が行き渡り、一人一人が暮らしの中で景気回復を実感できるように、地方創生に取り組んでまいりますと、こう決意を述べておられます。
つまり、景気回復が現状では地方で実感できていないという御認識だと受け止めましたけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 我が国の現状を見ますと、アベノミクスの成果は現れておりまして、デフレ脱却まであと一歩というところに来ていると認識はしております。

地方において有効求人倍率、完全失業率、これも大きく改善していますけれども、回復具合が地域によって一様というわけではないと思っております。ここ三年間で有効求人倍率が〇・八二倍から一・二五倍に、完全失業率が四・三%から三・三%にということになりましたけれども、県別に見ますと、例えば有効求人倍率、全国で一・二四倍だった二十七年の十月、宮崎県では一・一一倍、鹿児島県では〇・八七倍といった形で、やっぱり県によって差がございます。完全失業率も同様でございますので、これからやはり持続可能な地域を形作るためには地域の経済構造改革をしっかりと進めて、地方での雇用の創出などによって地域経済の好循環の拡大をしっかりと進めていかなければならない、そう考えております。

○倉林明子君 なかなか景気良うなっているなんという声は、私は京都ですけどね、余り聞くことはありません。特に、地域によっては良くなっていないところもあるということですけれども、どっちかいうとアベノミクス不況やという厳しい声が上がっているということは紹介したいし、やっぱり厳しいという実態を踏まえた対策を本気で取り組むということがないと私は地方創生へつながっていかないというふうに思います。

そこで、どうすれば地方の景気回復図れるのか、具体策が有効かどうか。総務省それから中小企業庁一緒になりまして、ローカル一万プロジェクトという取組が既に始まっております。私、これについて質問していきたいと思います。
市町村が作る創業支援事業計画、これが作られないと補助金等付いてこないというものなんですけれども、地域密着型の一万の企業を立ち上げようということで中小企業庁と二〇一二年から事業開始というものです。

そこで、中小企業庁にまず確認したいと思います。

総務省の地域経済循環創造事業交付金、この要件となっております創業支援事業計画を認定した自治体の数はどうなっているか。さらに、創業支援事業者、商工会議所、地域金融機関等が指定されておりますけれども、これに対する創業支援事業者補助金、これと創業・第二創業補助金、これらの実績の件数及び金額について、総額をそれぞれお示しいただきたいと思います。

○政府参考人(土井良治君) 私ども、産業競争力強化法に基づきまして、市区町村による創業支援体制の整備を進めております。昨年十月まで第六回の認定まで行っておりまして、ここまでで七百七十一市区町村による計画を認定しております。また、ちょうど先週十三日に第七回目の認定を発表したばかりでございまして、直近ではこれは一千市区町村に広がってきているところでございます。

それから、創業支援事業者補助金についての御質問がございましたけれども、これまでの採択件数の累計は百九十二件、予算額は累計で約十億円でございます。(発言する者あり)

○委員長(山本博司君) もう少し大きい声で。

○政府参考人(土井良治君) はい。

創業支援事業者補助金につきましては、これまでの採択件数の累計は百九十二件、予算額の累計は約十億円でございます。

一方で、創業・第二創業補助金につきましては、これまでの採択件数の累計が一万一千八百六十七件、予算額の累計が約二百九十億になっております。

○倉林明子君 なかなか件数としても一万件超えるということで、まとまって出てきていると思うんですね。
じゃ、今御説明になった創業支援事業計画、この認定状況がどうなっているのかというのを地図で落としたものを資料として提出させていただいております。

全国一千七百四十一の市区町村のうち支援事業計画が認定されました七百七十一市区町村ということで、特徴は、一〇〇%認定割合が出ている県もあれば、一%から二〇%未満ということで、非常にばらつきが多いという特徴が見て取れるかと思うんですね。

そして、二枚目に資料を付けております創業・第二創業促進補助金、これ、直接事業者、新規事業者のところに行くという補助金で、これで創業支援を促していこうというものですけれども、この予算の経緯と採択実績を見てほしいんですが、二十四年度補正から二十七年まで、額は激減、件数も激減、桁違いに減少しているというのが特徴だというふうに思います。

そこで、総務省にも実績を確認したいと思います。

地域経済循環創造事業交付金というのを総務省ではやっていると。じゃ、この実績と件数、金額の総額はどうなっているでしょうか。自治体総数と交付自治体数、いかがでしょうか。

○政府参考人(原田淳志君) お答えいたします。

地域経済循環創造事業交付金は平成二十四年度に創設されたものでございますけれども、これまでの実績は、事業数二百八十七事業、交付金額は九十四億七千万、交付した自治体の数は全国千七百八十八団体中百九十三団体となっているところでございます。

○倉林明子君 三枚目にその一覧を都道府県別に資料として、交付決定状況、合わせて一覧にして提出してもらった資料です。色を付けております黄色いところが交付件数が一件しかないというところ、片や兵庫県、真ん中辺にオレンジで示しております、三十件ということで、これもすごくばらつきが多いという特徴が出ているんですね。
私、大臣所感で述べられていたように、全ての地域で景気回復実感できるためにということで取り組むことが大事だというふうに思うわけで、こうした現状起こっている地域間格差、これは当然解消されるべきではないかと考えます。いかがでしょう。

○国務大臣(高市早苗君) この地域経済循環創造事業交付金は創業支援事業計画の策定を交付の要件としていますので、地域ごとの認定状況に差があるという現状にあって、交付実績にも地域差が生じています。
今後、まず中小企業庁としっかり連携して、全国の市町村でこの創業支援事業計画の策定をまずは進めていくということが大事だと考えています。その上で、この交付金について更に制度の周知をしっかりと図って、できるだけ多く活用していただいて地域密着型企業を立ち上げていく、そういう思いでおります。

○倉林明子君 全体に行き渡らせる方向での答弁があったかと思います。
この創業支援事業計画というのは五年間で、本格的なスタートは来年度からというふうに説明を受けております。そこで、本格実施となります今年度の補正、来年度の予算案について、それぞれ総務省、中小企業庁、額はどうなっているのか、御説明ください。

○政府参考人(原田淳志君) お答えいたします。

地域経済循環創造事業交付金につきましては、平成二十七年度補正予算案においては計上しておりませんけれども、平成二十八年度当初予算案におきまして十六億一千万円を計上しているところでございます。

○政府参考人(土井良治君) 創業支援者補助金、創業・第二創業補助金につきましては、平成二十八年度予算案におきましてそれぞれ約三億円及び約四億円を計上しているところでございます。

○倉林明子君 これ、先ほどもやり取りさせていただきましたけれども、総務省の方で見ると補正はゼロだと、来年度は十六・一億円だと、じゃ、これまでどうだったのかと。これまで助走期間と言っていいのかと思いますけれども、これまでは総計すれば九十四億七千万円と、先ほどあったとおりです。私、本格スタートにふさわしいとは到底言えないなと思うんですね。

さらに、中小企業庁、こちらはこの創業事業支援計画が立たないとこれ補助付かない、交付もされないということの立て付けになっておりますので、今説明ありましたところを見ますと補正はゼロだと、来年度も桁違いにこれ額が小さくなっているんじゃないでしょうか。私、本気度が問われるんだというふうに思っているわけです。

現在策定されている計画、事業計画がございますが、これ合計すると年間二万五千件の創業が見込めるというふうに中小企業庁は言いました。しかし、これ担保するのはしっかりした予算の裏付けだと思うわけです。私、こういう事業計画を立てて創業支援をしていこう、本気でやろうと思ったら、この裏付けをしっかり付けていく、ここが求められるんだということを重ねて申し上げたいと思います。

今の話は創業の支援なんですね。新しく企業をどうやって起こしていくか。しかし、一方、中小企業・小規模事業者の休廃業、これは大変急増しております。資料の四枚目にピーク時からの減少状況を、これ中小企業庁が作成したものを付けております。

全企業数が減少しているんですけれども、そのうちの減少、最も大きいのが小規模事業者であるということがこれ一目瞭然かと思います。ピーク時一九八六年に四百七十七万者が、二〇一二年には三百三十四万者になっていると。年間五万五千者が減少しているわけです。この年間の減少比率が直近三年で見ると年間十一万者という加速状況にあるわけです。

私、年間、予算措置もしっかりとれば、二万五千の新たな創業に成功するということ考えられると思うんですけれども、二万五千件、年間、事業者が誕生しても、一方で十一万の中小企業が、小規模事業が減少していくと、こういう状況が今の地方の経済や地域の疲弊というものを引き起こしているんじゃないかと思うわけです。

中小企業・小規模事業者は地域経済の担い手だ、これは言うまでもありません。それだけにとどまらず、自治会、民生委員、消防団、PTA、さらには地域社会、本当に地べたで支えていただいている大切な担い手となっております。まさに地域経済に欠かせない、地域に欠かせない存在であります。こうした減少に今歯止めが掛からない、これが本当に喫緊で解決していく問題ではないかと思うわけです。

私、ここが歯止め掛かってこそ景気回復の実感というのが地域の隅々でも見えてくるんじゃないかと思うんですけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 認識は同じだということでございます。中小企業、小規模企業というのは地域経済の担い手であります。非常に重要な存在であると認識しています。

現在、休廃業の企業数が長期的に増加傾向にある中で、やはりこの地域経済の好循環を拡大するためには、中小企業の起業、創業、これを更に増加させて、開業率が廃業率を上回る状態を持続させるということが重要であります。具体的にはローカル一万プロジェクト、しっかりと手堅く進めていって、地域密着型の企業の立ち上げを応援してまいりたいと考えます。

○倉林明子君 私、今、中小企業・小規模事業者が本当にしんどなってきているんですね。円安が原材料高を招きました。消費税の増税が利益率を圧迫しております。消費税の負担が丸々八%分……

○委員長(山本博司君) 時間が来ておりますので、まとめていただければと思います。

○倉林明子君 はい。
納税時期も迫っておりまして、売掛金の差押えというような状況で廃業を考えざるを得ない、事業停止せざるを得ないという相談が私のところにも来ています。こういう事態になっている下で更に一〇%の増税などとんでもないと。しっかり地域経済を進める、地域支える観点からも、中止、撤回の立場に転換すべきだと求めて、終わります。

議事録を読む(反対討論)
○倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
反対する第一の理由は、地方交付税が年度途中で増額となった場合、その全額を速やかに特別交付税として地方自治体に配分すると定めた地方交付税法第六条の三第一項に反するからです。
本法案は、地方の財源不足を理由に、二〇一五年度途中で増額となった地方交付税一兆三千百十三億円のうち、調整額の復活分四百六十九億円以外の一兆二千六百四十四億円を二〇一六年度の地方交付税総額に加算するとしています。
そもそも地方の財源不足が生じた要因は、三位一体の改革による地方交付税の大幅な削減にあります。地方自治体は、行革と歳出削減を迫られ、住民サービスの財源を抑制、削減に追い込まれました。歴代政府の責任こそ厳しく問われなければなりません。
地方の財源不足を解決するには、地方が必要とする財政需要を見積もり、それに見合う地方交付税を確保するために法定率を抜本的に引き上げるべきです。
第二の理由は、二〇一五年度分を繰り越したにもかかわらず、二〇一六年度の地方交付税総額は昨年度と同規模の十六・七兆円に抑え込み、住民サービスを切り捨てざるを得ない一層深刻な状況に地方自治体を追い込んでいるからです。
社会の主役として、地域社会と住民生活に貢献する存在として中小企業・小規模事業者は、自治会や消防団など住民を見守り、地域社会の支え手として地域の活性化、再生になくてはならない役割を持っています。また、利益を還元し、域内循環の中核を担う地域経済の主役でもあります。
中小企業・小規模事業者がその役割や地域経済の主役として能力を発揮できるよう、地方自治体が果たす役割は重大です。本来、地方の財源である年度途中で増額した地方交付税は地方自治体に還元すべきです。
政府は、軍事費の過去最高額を確保し、法人税は軽減する一方、社会保障費も地方自治体の財源も圧縮したままであり、地方の活性化の展望は見えません。ローカル・アベノミクスの具体策は効果を見る前に予算が削減されるなど、地方の声を踏みにじるものだと厳しく指摘をいたしまして、反対討論といたします。