接種被害 救済早急に 審査体制強化要求(2022/4/28 厚生労働委員会)
日本共産党の倉林明子議員は4月28日の参院厚生労働委員会で、コロナワクチン被害は、死亡や重篤な有害反応で因果関係が評価できない場合でも速やかに救済につなげるよう求めました。
コロナワクチン接種後の副反応疑いの死亡事例は1635件報告されていますが、救済制度による死亡一時金申請受理件数は109件で、救済された事例は1件もありません。
倉林氏は「死亡事例が救済されないことが積み重なると、国民がワクチン接種をためらうことにつながりかねない」と指摘。死亡しても救済制度で認定されない事態の改善への早急な手だてを求めました。
厚労省の佐原康之健康局長は「接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も救済の対象だ」と述べる一方で、「アナフィラキシーなどの事例の申請がまずきて、それらを審査しているのが現状だ」と答弁。倉林氏は審査体制を強化し速やかに救済につなげるよう重ねて要求しました。
倉林氏は、コロナ後遺症で学校に行けない、仕事を失うなど深刻な事例を示し、「適切な救済につなげるべく、十分な予算措置を講じ、本格的な後遺症研究に踏み出すべきだ」と迫りました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
緊急承認についてです。
これ、可能となる要件、代替性のところですけれども、当該医薬品等の使用以外に適当な方法がないことと、こういう規定で、答弁では、具体的な適用対象をガイドラインで示すと、こういうこと説明されているんだけれども、例えば現在のように、使用可能な幾つかのワクチンが十分以上に量的には確保できているという状況の下で新たなコロナワクチンの緊急承認申請というのがされた場合と、そのときの要件で、パンデミックがどうかとか、状況ちょっと違うとは思う、一緒になることはないとは思うんだけれども、仮定の場合ということで、これ審査の対象になるのかどうかと、いかがでしょう。
○政府参考人(鎌田光明君) 既存のワクチンがたくさんあって使用可能だという場合であっても、結局それ、今度ワクチンで、議論にありますように、変異株への効果がどうなのかとございますし、対象年齢もございます。さらに、モダリティー、いわゆるメッセンジャーRNAなのかウイルスベクターなのか、あるいは組換えたんぱくなのかという形での違いという意味でも代替性というのを考えなきゃいけません。さらに、追加接種どうするかということがございますので、そうした点を、個々に代替性というものは判断していかなければいけないと考えております。
そういったものについて、私の方で、私たちの方で、そのワクチンの特性とか申請された状況を踏まえて個々に判断していくというところでございます。
○倉林明子君 つまり、あり得るということだと思うんですね。
そこで、大事だなって、午後一番の古川委員からの指摘もありましたけれども、取消しを速やかにどうするかと、ここ大事になってくると思うんです。有効性が確認できない場合は速やかに承認を取り消す仕組みだということなんだけれども、中身が分からぬのですよね。
要は、御紹介もあったとおり、米国食品医薬品局、FDAは、オミクロン株の派生型BA.2株に対する有効性が低いということの判断から、コロナ治療薬のソトロビマブの緊急使用許可を取り消しているんですね。これ、三つ目になろうかと思います、取消し。株が変わるわけですから効き目も変わってくると。こういう場合の取消しというのは機動的にやられるべきだと思うわけです。
こういう二年の期限というのを定めているんですけれども、この期限内でも取り消すことはあり得るのかと、そして、何をもって有効性、これ評価するのかと、いかがでしょう。
○政府参考人(鎌田光明君) まず、米国FDAにおける中和抗体薬の取消しですが、最初にリリーは取り消しましたが、リリーのやつは、その後の二剤は形式には取り消してはいないということでございまして、我々の方でも使用を推奨しないと、似たような対応をしているところでございます。
それで、御指摘ですけれども、おっしゃるように速やかに取り消すことができる仕組みでございますので、まずは、一義的には第三相試験、求めている第三相試験で証明されるのかどうか、さらにはリアルワールドデータがどうなのかということございますし、実際に使っていただいて投薬による治療効果がないことが明らかになれば、それは有効性が推定できないと、認められないということになりますので速やかに承認を取り消すということで、いずれにしても迅速に対応してまいりたいと考えております。
○倉林明子君 有効性がないということがきちんと確認できるまでの間は使われ続けるんですよね、逆に、そういうことになるんですよ、立て付けが。それが速やかな取消しと言えるのかというふうに思って聞いているんですね。
再生医療品等とは異なって、接種の努力義務課すということになるのがやっぱりワクチンですよね。で、新たな変異株を繰り返すというのがウイルスの特性。今回、コロナは特にそうで、コロナのテンポはすごい速くて数か月単位で変わっていくということでした。何かそういうテンポで承認の取消しということが求められているというものだと思うんですよ。だから、この承認の取消し要件ということでいうと、私は、ハードル下げて取消しは速やかにできると、迅速にできると、こういう対応を運用の中ではしていくべきだと思います。
○国務大臣(後藤茂之君) 緊急承認制度では、緊急承認時に推定された有効性が認められない場合は速やかに承認を取り消すことができる仕組みとなっておりまして、承認の取消しに当たって、医薬品の有効性について、科学的エビデンスに基づいて、専門家の意見も踏まえ、判断を行うこととしております。
いずれにしても、緊急承認時に推定された有効性が認められない場合には速やかに承認を取り消し、薬事承認に対する国民の信頼を損なうことがないように、迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えております。
○倉林明子君 いや、さっきと変わらぬと思うんですけれども。
改めて確認します。大臣、パンデミックが終了すると、こうなったら第三相試験というのはできなくなるわけですよね。こういう場合、やっぱり速やかな、取り消すという場合にちゃんと入れると、いかがです。
○政府参考人(鎌田光明君) いろいろなケースが考えられまして、当然、全く試験が進まない、リアルワールドもデータがないという、証明されない場合などをおっしゃっているのかなと思いますけれども、実際には、何度か申し上げましたが、第二相試験が終わってもう直ちに並行して第三相を開始しているとか、そうすると、承認審査の間に第三相が進んでいるということございますし、そして、それが途中であっても、その間の投薬による治療効果というものも、市販後調査あるいは様々なアカデミアの研究であるというものなので、そういった情報を駆使して我々としては判断して、有効性が認められれば承認いたしますし、おっしゃるように有効性が認められなければ速やかに取消しということで、適切かつ迅速に対応するということを考えているところでございます。
○倉林明子君 ワクチンで三相ができないという状況になった場合、やっぱり選択肢として速やかに、速やかに取り消すんだというところで対応考えておくべきだということは重ねて強調しておきたいと思います。
リアルワールドデータもあるということをおっしゃるんだけれども、承認後の第三相試験に代わるものという位置付けもされているわけです。私、本会議だったと思いますけれども、答弁で、一部のデータは既に薬事承認に活用しているという御答弁ありました。
これ、具体的に活用された事例というのは何なのか、そして、これまで申請に、審査にリアルワールドデータ活用されたという件数、実績ですよね、これどのぐらいあるんでしょうか。
○政府参考人(鎌田光明君) まず、ワクチンについては何度か申し上げておりますが、緊急承認の場合は第三相、国内第三相と。恐らく御議論なのは国外で出された場合かなと思うんですけれども、まず、現時点で、ワクチンの承認審査において、有効性の評価においてリアルワールドデータを活用した、活用して承認した事例はございません。他方、治療薬についてはございます。
リアルワールドデータですが、国内でも様々なワクチンに関連した情報が存在します。各種疫学研究とか、そういったものでございますが、承認審査において、ワクチンの承認審査において、リアルワールドデータを有効性の評価、検証に活用した事例がないという段階でございますので、今後、他の医薬品の活用事例も踏まえて検討していくということでございます。
○倉林明子君 ワクチンはないというのはそうだと思うんですけれども、一部、一般的に言われたと思うんですね、これ、一部のデータは既に薬事承認に活用していると。じゃ、何なのかと私も照会掛けたんですよ、厚生労働省に。出てきたのは、大腸がんに対する臨床研究での活用実績だと。一件だけでしたよ、これ、あとはつかんでいないということでした。ほかにもあるのかもしれないけれども、実際には件数としてはカウントされないという報告でした。
そこで、改めて、今あるリアルワールドデータ、これ標準化されていないというものだと認識しているんですね。課題としては、不正確だし重複と、こういうものもあるので、実際に活用するにはデータクレンジングが必要になると。アメリカでは、実際にこのクレンジングに三兆円規模の費用が掛かっているというような指摘もありました。これ、ワクチンのですよ、ワクチンの有効性の評価や検証に直ちに使えるようなリアルワールドデータ、これ存在するんでしょうか。
○政府参考人(鎌田光明君) まず、データクレンジングというふうに御指摘いただきました。確かに実臨床のデータは様々な状況で使われておりますので、それを背景を統一することも必要でしょうし、また、それが仮に医療機関の先生方に書き込まれた情報の場合には、その書き込みに際しての判断ですね、この人、この疾病はこう、薬の効果はこう書くというような統一もしなきゃいけませんので、そういった意味でのクレンジングが必要でございますが、一方で、その症例研究ですとか、であれば、ある程度統一されているんじゃないかということですが、様々なので、一概に時間とお金を要するというわけに、ふうにはならないと思っております。
ただ、実際にあるのかということなんですけど、先ほどちょっと申し上げましたが、リアルワールドデータは様々なものがございます。医薬品、異なるし、ワクチンでも異なりますので、あるのかないのかという意味においてないとは言えませんけれども、今後その堪え得るものかということについては、まさに出されて、一緒になってこれから、今ガイドラインも出しておりますけれども、それに応じて体系化するのはどうかということを学会あるいはその企業とも相談して活用方策を考えていくということで考えております。
○倉林明子君 要は、ここのリアルワールドデータというのが評価や検証をしっかりできる根拠となり得るのかというところがやっぱり問われるわけで、そこのエビデンスを上げていくために、アメリカ等でのクレンジング費用というのが掛かっているという話なんです。だから、今あるものをそのまま使うということになると、エビデンスは物すごい弱まる可能性あるわけですよ。それはもう御承知のとおりだと思うんです。そういうものが確立されていない中で、これ第三相試験に代わるような、ワクチンでは使わないということですけれども、第三相試験に代わるようなものにはならないということを、現状ではですよ、将来的にそういうことができるかもしれないけれど、この法ができて、その時点で直ちにリアルワールドデータが、夢のような世界があるわけじゃないということを、これ指摘したいと思います。
そこで、次は被害救済制度、議論もありましたけれども、私からも聞きたいと思います。
これ、健康被害救済制度についての考え方をまず確認したい。疾病・障害認定審査会の審査方針はこうなっています。厳密な医学的因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするとしているわけですが、その理由は何でしょうか。
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
主に二点ございます。一点目は、予防接種の副作用による健康被害は、極めてまれであるが不可避的に生ずるものであることを踏まえて、過失に係る、あっ、失礼しました、接種に係る過失の有無にかかわらず救済するという健康被害救済制度の趣旨、そしてもう一つは、疾病と予防接種との間の因果関係の完全な医学的証明を求めることは事実上不可能な場合があること、この二点を踏まえているところでございます。
○倉林明子君 予防接種というのは法に基づいて行われると、重要な予防的措置ということで、そのリスクに対してやっぱり特別な配慮、これ必要だからこそ設けている制度であると思うわけですね。
コロナ前のこの救済の実績について確認をしておきたいと思うんです。
申請件数、認定数、否認数、そのうちこの特別な配慮でやっている予防接種に起因することが否定できないと認定したもののうちに、そういうのはどのぐらいになっているのかと。件数、割合、分かるところで教えてください。
○政府参考人(佐原康之君) 新型コロナワクチンに係る健康被害に関する審査が行われる以前のデータでございますけれども、令和元年度及び令和二年度に開催された審査会において審査された件数は合計で二百三十七件、そのうち認定された件数は百四十五件、否認された件数は八十七件となっております。また、令和元年度及び二年度に認定されたこの百四十五件のうち、因果関係が否定できないとして認定された事例の割合は五五%となっております。
○倉林明子君 だから、申請されて認定されたもの、認定された、認定率は五五パーと、あっ、違うわ、間違えた、済みません、認定したもののうちで予防接種に起因することが否定できないという方が五割を超えてあるということなので、一定の配慮がやっぱりされて救済されているということになっていると思うんですね。やっぱりこういう機能が、国民がワクチンを接種受け入れると、リスクを受け入れるということで大切な役割を果たしている制度だと思うわけですね。
そこで、先ほどの議論も踏まえて質問しますけれども、新型コロナウイルスワクチンで見てみるとどうかということなんです。これ、副反応疑い報告、これは安全対策のためにやられているものですよね。ここでいうと、死亡事例は直近千六百三十五人だということになっていました。このうちかどうかは分からないけれども、ワクチンによる死亡例から、この救済、健康被害救済制度での申請件数、死亡者、これが百九件あったという先ほど答弁ありました。
この百九件、さっき私、きちんと聞き取りできなかったのでもう一回確認したいんだけれども、百九件のうち、死亡例、救済された例はあるのかないのか、それ以外、否認されたもの、保留されたもの、これは何件だったのか、確認です。
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
百九件につきましては、これはまだ認定されたものはございません。うち、現在七件審査がされておりまして、七件は全て保留というふうになっております。
○倉林明子君 それ、七件が保留ということですけれども、それ以外については、認定は継続、審査は継続中ということですか。
○政府参考人(佐原康之君) いえ、それ以外の件につきましては、まだ審査に入っていないという状況でございます。
○倉林明子君 ちょっと副作用や亡くなる方も多いということで、体制どうなのかなとちょっと心配になりますけれども、やっぱり救済の審査にも入れていないという段階は非常に問題あると思うわけで、ここ、体制の強化もして迅速な救済につなげていくということが極めて重要だということは申し上げたい。
それと、千六百三十五人が亡くなっているんだけれども、救済の申請に至っている人たちは百九人ということだから、極めてこの救済制度の活用につながっていないと思われるわけです。
この背景には何があると思いますか。
○政府参考人(佐原康之君) 背景の分析はちょっと十分できていないかもしれませんけれども、救済制度自体につきましては、予防接種を受ける方々に対して、予防接種の場面で、あるいは予防接種を受けるときのリーフレット等で周知を行っているところでございます。
○倉林明子君 決して十分じゃないんじゃないかと思うんですよ。
副反応のところで、お医者さんは副反応だということで申請しても、これほとんど因果関係なし、因果関係が評価できないと、情報不足で評価できないということではじかれちゃっているわけですよね。その先に救済があるんだということが知られているんだろうかと思うわけです。
これ、平成三十年度のアンケート調査されているんです。この救済制度を、健康被害の認定を受けた人たちに対して。これで見てみても、これ、受けた人なんですよ、健康被害で救済制度を受けた人が申請時に困ったことということで挙げているのが、申請するための書類をそろえるのが大変だった、救済制度の概要が難しくて理解するのに苦労した、こういうの多いんですよね。
どんな改善されていますか。平成三十年以降、どんな改善がされているのかな。分かる範囲で結構です。
○政府参考人(佐原康之君) 救済制度につきましては、この周知をするということが非常に重要だと考えておりますので、これは繰り返しになって恐縮でありますけれども、予防接種を受ける方に対するリーフレット等でのお知らせを徹底するということ、また、厚生労働省のホームページ、あるいは市町村からのお知らせというところを強化しているところでございます。
○倉林明子君 それでも、死亡された人がこれだけあっても救済の入口にも立てていないという方がこれだけあると。そして、新型コロナワクチンや新型コロナを経験して、今、三回目の接種がなかなか進まないと。四回目も広げてやっていくということありますよ。死んでも救済されないというような、立て付けはそうじゃないんだけれども、結果としてそういうことが積み重なっていくと、ワクチンに対する、ワクチンを接種しようということに対して、国民はやっぱり一歩ためらうということにつながりかねないと思うんですね。
大臣、ちょっとこれ通告していないんだけれども、死亡の場合でも救済制度で認定されないと、こういう事態は一刻も早く改善されていくべきだと思います。いかがでしょう。
○国務大臣(後藤茂之君) 副反応疑い報告制度と救済制度、趣旨、元々、この健康被害救済制度というのは、接種に係る過失の有無にかかわらず、予防接種と健康被害との因果関係ということを議論して迅速に救済するものというのが制度の趣旨でありますから、必要な方に必要な救済が行われることは必要だと思います。
○倉林明子君 当然なんだけれども、それが現状、新型コロナで亡くなった方々に対しては救済が現状でも届いていないわけですよ。これ、速やかに救済されるような手だてが要るということでの指摘ですので、しっかり受け止めていただきたいと思います。
そこで、死亡、重篤な有害な反応について、この因果関係が評価できないという場合でも、これは速やかに救済するという趣旨を更に広げて、やっぱり特別な配慮、仕組み、体制もそうですけれども、これ必要だと思います。評価が必要だと思います。いかがですか。
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
予防接種法に基づきます健康被害救済制度は、繰り返しになりますが、接種に係る過失の有無にかかわらず、予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を迅速に救済するというものでございます。
救済制度につきましては、ちょっと繰り返しになりますが、四月十八日に開催された審査会の時点でも、市町村から国に進達され受理された件数千四百八十七件でありまして、そのうち審査され認定された件数は六百五十件というふうになっております。
死亡の件数の、死亡事例についての進捗が遅いのは、一つには、この審査は受理したものから先にやっているということになる、という状況になっておりまして、死亡というよりはもっと急性の副反応、副反応というか、例えばアナフィラキシーと、そういったようなものについての申請がまず来て、それらについての対応が行われているという現状もございます。
また、審査会におきましては、請求された疾病等と、それから予防接種の因果関係については厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするという考え方に基づいて審査を行っているところでございます。
事実関係がなかなか把握できない場合もございますけれども、できる限り情報、因果関係に疑義があるものを救済するということも含めまして、できる限り情報収集を行いながら、引き続き迅速な救済に努めてまいりたいと考えております。
○倉林明子君 やっぱり亡くなった人たちに速やかに応えられるような結果が出せる体制を私つくっておかないと、ワクチン行政を進める上でやっぱりバランス悪いよと言いたいと思うんです。順番、順番で回ってきてへんみたいなことで、大分たっているわけですよ。本当に迅速な対応ができるような改善、強く求めておきたいと思います。
もう一点は、救済が必要だと思っているのはいわゆる後遺症についてです。コロナは軽症だったけれども後遺症によって学校に行けなくなるとか、もう仕事を失うというような深刻な事案も出てきております。これについては、実態をしっかりつかんで救済が必要だと思うわけですけれども、この点どうなっているでしょうか。
○政府参考人(佐原康之君) 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症につきましては、実態や病態を明らかにするために、令和二年度から実態把握や原因究明に関する調査研究を実施しております。現在、令和三年度に実施した二つの厚生労働科学研究については昨年六月に研究班より中間報告をいただいており、本年五月末に最終報告が出る予定となっております。また、今年度におきましても、罹患後症状の実態の把握や病態解明のための調査研究の予算を確保しておりまして、引き続き科学的知見を集積していくとともに、臨床現場の意見や新たな知見も踏まえながら診療の手引きの改訂を行うなど、罹患後症状に悩む方が必要な医療を受けられるよう努めていく予定でございます。
また、自治体におきましては、罹患後症状に悩む方が必要な医療につながるよう専門の外来や相談窓口の設置などを行っておりまして、こうした取組事例については、厚生労働省から各自治体に周知をしているところでございます。
また、業務により新型コロナに感染しまして罹患後症状があり、療養等が必要と認められる場合には労災保険給付の対象となるほか、業務外の事由による療養のため労務に服することができない場合は、健康保険制度の被保険者は、要件を満たせば各保険者から傷病手当金が支給されます。
厚生労働省からは、自治体や関係団体を通じまして医療機関に診療の手引きの周知を行うとともに、都道府県労働局を通じまして、労働基準監督署に対しても、新型コロナの罹患後症状について労災保険給付の対象となり得る旨を周知しております。
医療現場において、罹患後症状を有する方に対する適切な診断と症状に応じたアプローチ、そして適切な労災認定や相談対応が行われるよう、厚生労働省としても、必要な指導、助言に努めてまいりたいと考えております。
○倉林明子君 診断していただければ、労災にもつながるし傷病手当も出るんだけれども、手引きも作ってもらったということだけれども、現場でその診断がもらえないということから次の補償につながらないということ、たくさん出ているんです。
研究も令和二年からやっているということで、今御説明もありました。しかし、その研究成果が実際に生かしていけるということについては、ちょっとまだまだ先になり得るんじゃないかと非常に心配しているんです。HPVでも、本当に詐病扱いされて一生がもう本当に狂ったというようなことになっているんだけれども、副反応ということでは認められない。だから、障害というようなことで救済されているけれども、健康を取り戻せないですね。治りたいわけですよ。そのためには、やっぱり研究を本気でやるということが必要だと思うんですね。
これ、NHKの調査ですけど、日本は二億円だということで報道していました。ところが、一方で、アメリカは四万人、対照群と非対照群ということで四万人を対象にして一千三百億円ですよ、予算を付けてやると。こう本格的な後遺症研究に踏み出しているわけです。イギリス、三十億です。
大臣、最後にお聞きしたい。こういう研究のところにもしっかり予算付けて、私は、後遺症対策、救済につながる、こういう取組強めていただきたい。いかがでしょう。
○国務大臣(後藤茂之君) 今御紹介いただいたように、二億円の調査研究ということでございますけれども、これでは足りないだろうという委員からの御指摘でありますが、しっかり努力していきたいと思います。
○倉林明子君 努力は、予算を積んで成果を出していただきたい。
以上で終わります。