倉林明子

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大麻 厳罰化効果ない 取締法案 参考人主張(2023/11/30 厚生労働委員会)

(議事録は後日更新いたします)

 大麻取締法等改定案の参考人質疑が11月30日、参院厚生労働委員会で行われました。同改定案は、大麻草から製造された医薬品の使用を解禁するとともに、大麻の使用罪を新設するものです。

 立正大学法学部の丸山泰弘教授は、大麻の使用を厳罰化しても必ずしも乱用抑止の効果は見られないと指摘。国際的には「非犯罪化」に向かっており、それは「科学的根拠に基づき、(大麻の)問題使用を減らすにはどうしたらいいかを考えた結果だ」と強調しました。

 特定非営利活動法人川崎ダルク支援会の岡﨑重人理事長は、20年前に自身がダルクとつながり薬物使用をやめられたのは、そこで依存症から立ち直ろうとする人たちと出会い「一緒にやめていきたいと思えたからだ」と主張。「当事者や家族、支援者の声をもっと聞いてほしい」と訴えました。

 日本共産党の倉林明子議員は、刑事罰に頼らない薬物政策―「ハームリダクション」の考え方を質問しました。

 丸山氏は、当事者の健康など薬物を取り巻く問題の改善を目指して支援を続けることで、最終的に薬物の乱用を減らしていくサポートだと説明。2001年にほぼすべてのドラッグを非犯罪化したポルトガルでは、こうした取り組みにより薬物の乱用を減らしてきたと紹介しました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。
 今日は参考人の皆さん、お忙しい中、時間作っていただきまして、本当にありがとうございます。
 太組参考人には質問はしませんけれども、医薬品として使える道が開けるということについては、治療で安定した状態になるということで、本当にお待ちになられているところに応えるものであるということでは、我々反対の立場ではございません。大いに歓迎したいと思っているということだけお伝えしたいと思います。
 その上で、丸山参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、その非犯罪化、刑事罰に頼らない政策ということで、先ほど少しお触れになったハームリダクションっていう薬物政策での考え方ですね、これについて少し御説明をいただく、日本になじみがないと思うのでお願いしたい。同時に、それ進めておられるポルトガルなどでどういう実践や効果があるのか。時間が余りないので、簡潔に御説明いただければ。お願いします。

○参考人(丸山泰弘君) 御質問ありがとうございます。
 確かにハームリダクションという言葉が多分皆さん、日本の皆さんにはなじみが余りないんかなというふうなんですけれども、基本的にはアメリカが先導して、ゼロトレランスという厳罰主義ですね、あっては駄目という前提で世界中を一旦席巻したんですけども、駄目だといっても存在しますので、じゃ、いかにこれを害悪を減らしながら問題使用を減らすかということが大事だというふうに視点が変わっていきます。これがヨーロッパを中心として広がっていって、次にカナダとかこう広がっていくんですけども、となったときに、まず減らしたいのは問題使用のこの使用量が減らなくても、同時にその薬物を取り巻くものを一気に、一緒に減らしていかないといけない。
 例えば、問題使用が減らなくても、その人の健康が良くなっていくような方法を取るとか、社会的に偏見を受けているものを減らしていこうとか、掛かっていく医療費を減らしていこう、これって使用量が変わっていなくてもできるわけです。
 分かりやすい一つの例でいくと、例えば注射器を打ち回すことでHIVとか肝炎がどんどん回っていってしまうので、じゃ、使用量が減らなくても、ここできれいな針をあげるからここで打ってくださいと。そうすると、使用量は減っていないけど、ほかの病気に罹患していくことは減っていくわけですね。みたいにいろんなことを、使用量がまず減らなくてもこういうサポートをします。その次に使用量が減っていくようなサポートをしていくわけです。ここにナースであったり、ソーシャルワーカーであったり、ロイヤーであったりといろんな人がいまして、サポートにつなげていくというのがハームリダクションの基本的な考え方です。
 一緒に質問をいただいたの、じゃ、ポルトガルはどうなっていくのかというと、そこに例えば最前線のところにきれいな針とかきれいな水がありますよというようなことを支援して、じゃ、治療、回復にはつながりたくないけど、さっきいろいろ議論ありましたけど、本人がそんなことを望んでいないんだけど、針は欲しいとか、きれいな水は欲しいとか、そういう人たちがまず相談に来ます。ここで、最初は、今日食べ物ありますかとか、今日寝るところありますかとか、もし就職活動で郵便物を受け取るところがないならここを指定していいですよというようなことを支援します。
 最初はそのサポートなんか要らねえよと言っている人たちが、何度も来ると、いや、実は今日食べ物がなくて、三日間食べていないんですというような悩みを打ち明けてきます。そこでやっとソーシャルワーカーが、あっ、じゃ、フードのサポートをしましょうとか、今日寝るところを用意しましょうというようなサポートにつなげていく。
 これが先には問題使用は減らなくてもほかをサポートするという手なんだけど、最終的にはその問題使用を減らしていくというようなサポートにする。むしろ、駄目だといって、ゼロだといって刑罰にして隠れさせるのではなくて、サポートするのに向こうから来てくれるわけですね。さっきの、いろいろ議論ありましたけど、じゃ、自分から言ってこないのはどうするんだ、いや、向こうから来ますので、こういう実践をして、じゃ、ポルトガルは二〇〇一年にほぼ全ての、ソフトドラッグどころか、ヘロインやコカインを含めたハードドラッグも非犯罪化します。非刑罰化しました。これは世界中の薬物政策の学者が、大丈夫か、ポルトガルと、とても緊張が走ったんですけど、その後、問題使用は減らしたり、関連死ですね、薬物なら関連死を減らすというようなことの効果は出してはいます。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 先ほど、日本の生涯使用率の議論があり、丸山参考人に引き続きですけど、生涯使用率が低いんだという日本の特性のそのエビデンスについては、丸山参考人の方からどう見るのかという御紹介ありましたけれども、もう一つ、ゲートウエートドラッグになる、若者の蔓延ということに対して、これ実際のエビデンス、科学的に見た場合どうなのかということについて御所見あれば。

○参考人(丸山泰弘君) ゲートウエーだけに答えればいいということですね。
 これは、基本的には、今なぜか日本でも根強くゲートウエードラッグ説というのはよく語られますけど、結構、国際的な研究団体はほぼもうこれは批判し始めています。
 というのも、むしろ違法であるからこそより違法なものにつながっていって、先ほどどなたかのお答えの中に、今日お酒を飲みたいときに、きれいなショップじゃなくて、よく分からない路地裏からよく分からないところで買っていくとこういうものもあるよと渡されていくわけです、例えば、そこで購入することにより。そうじゃなくて、ライセンスを持ったきれいなところで手に入るようになるとそっちの方に進みませんということが一つですね。もう一つは、むしろゲートウエードラッグどころか、やめるとき、いろんな薬物を試したんだけれども、最終的には大麻に落ち着いてそのままやめていくという、イグジットじゃないかということも世界中の研究では言われるようになってきていますので、必ずしもこのゲートウエードラッグ説というのがなぜか根強いですけれども、それは世界的にはもう批判され始めているということです。

○倉林明子君 岡崎参考人に伺いたいんですけれども、大変苦しい葛藤を抱えながら出てきていただいて本当有り難いなと。当事者の声を聞けるというのはこの立法府においても非常に大事なことだというふうに思っているんです。
 そこで、お聞きしたいのは、当事者や家族ですよね、孤立して相談、孤立してしまうと、孤立の病だという御紹介あって、本当そのとおりだなと思うんですけれども、現状、やっぱり支援につながりにくいという状況が御紹介もあったと思うんですけれども、そのハードルになっている制度や仕組みというか、障害になっているものということでお感じになっているところ、御紹介いただけますか。

○参考人(岡崎重人君) ありがとうございます。
 そうですね、やはり世間体というか、家族の人たちは周りを第一に気にしますよね。
 私の母もそうでしたけど、親戚のおじさんにダルクに入るという話をしたとき、泣き崩れて、親戚の人にはその人にしか話せなかったんですけど、それと同じように、日本にいる家族の人たちは、やっぱり薬物を使う、使ってしまうということ自体がすごく罪という意識がかなり強いと思うので、それによる罪悪感みたいなものに、家族はずっとそれを抱えながら生活をしなきゃならない、それって日常生活を送っていく上でかなり大きな負荷だと思うんですよ。なので、それはかなり大きな部分なのかなというのはほかの御相談の中でもとても強く感じるところですかね。

○倉林明子君 今回、報道もいろいろされているんですけれども、大麻を少量なんだけれども所持していたということで、学生、若者が実名報道されていますよね。教育、就労、再起の機会ということでいうと、相当その若者の未来、人生が変わっちゃうようなことだと思うんですね。
 こういう報道の在り方について岡崎参考人がお感じになっていること、教えていただけますか。

○参考人(岡崎重人君) ありがとうございます。
 そうですね、やはり実名、薬物問題に関しての報道の在り方というのは、何年か前に薬物報道のガイドラインみたいなものを提出された民間団体の方たちもありましたけれども、もっと慎重にやはりしていくべき部分はあるかなというふうには感じています。私自身も、今日ここで話するのもすごく勇気が要ったことではありますので、その点、御承知おきいただければというふうには思います。

○倉林明子君 本当にありがとうございます。御家族も含めて本当に勇気の要ったことだと思います。感謝します。
 最後、大森参考人に御回答いただく時間ないと思うんですけれども、私も京都選出ということで、日本の文化がたくさん息づいている町ではあるんですけれど、特に麻、精麻を活用して、日本の打楽器である鼓ですね、あの締めている縄というのは精麻なんですね。(発言する者あり)そうです。その精麻が、今、日本のものが本当に手に入らなくて存続できなく、作り続けることができないんじゃないかと。中国のものではなかなか代替にならないというようなお話を聞いたこともありまして、文化の伝承というか、ずうっと大麻、日本と、日本の文化にもですけれども、生活全般に浸透しているものでもあるので、生産の応援になるように、この部分では大いに進めていくべきだと考えております。
 以上です。(発言する者あり)
 以上です。