倉林明子

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フリーランスを守れ 保護へ法整備を要求 / やみくもな推進やめよ マイナ保険証利用 批判(2023/11/16 厚生労働委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は16日の参院厚生労働委員会で、労災保険の特別加入制度の対象業務拡大の議論が進んでいることについて、フリーランスとしての保護だけでは不十分だとして、広く労働者として保護する法整備を求めました。

 現在、労政審では、フリーランス新法の附帯決議や「成長戦略等のフォローアップ」で新法の対象となるフリーランスを労災保険の特別加入制度の対象に追加するよう求められていることを受けて、対象拡大の議論が進められています。しかし同制度は、加入は任意で保険料も加入者負担です。

 倉林氏は「一般の労働者保護との格差はあまりにも大きい」と指摘。その上で、フリーランスは、週の就業時間が60時間を超える割合が一般の労働者と比較して高い傾向があるなど、より保護が必要だと指摘し、対象拡大だけでは十分に救済されないと主張しました。

 さらに、特別加入制度の対象拡大はフリーランスとしての保護であり、実態は労働者なのにフリーランスとして働く、偽装フリーランスは二重に救済されないと指摘。「フリーランスを実態は雇用として労災認定する事例も増えている。偽装フリーランスを救済するためにも、広く労働者と認めて保護する法整備こそ急いでやるべきだ」と迫りました。


 日本共産党の倉林明子議員は16日の参院厚生労働委員会で、2023年度補正予算案に盛り込まれたマイナ保険証利用促進予算を批判し、来年秋の健康保険証廃止方針を撤回するよう迫りました。

 倉林氏は、マイナ保険証の利用率が6カ月連続で低下していると指摘。「医療機関にとっては時間も手間もかかり、誤ったひも付けや情報漏えいの不安も払拭できていない。デメリットの方が大きいからこそ利用率が伸びないのではないか」と迫りましたが、武見敬三厚労相は「医療DXを進めるうえで確実にメリットは増える」と強弁しました。

 倉林氏は、同補正予算案でマイナ保険証利用促進に887億円も計上しているが、「マイナ保険証利用促進よりも、ケア労働者の処遇改善にこそ予算を回すべきだ」と厳しく批判。利用率が増えた医療機関への支援金交付は「メリットが実感されれば利用率が伸びるという説明の破綻を自ら認めるもの」だと指摘しました。

 そのうえで、情報システム学会が根本的な再設計の必要性を提言したことを示し、「やみくもに推進するのではなく、いったん立ち止まるべきだ」と主張。来年秋の健康保険証廃止方針は撤回すべきだと迫りました。


「マイナ保険証、一度使ってみませんか」キャンペーンの実施状況について


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 まず、フリーランスについて伺います。
 内閣官房の調査によりますと、二〇年時点で全国四百六十万人と、更に増加傾向にあるということかと思います。
 現在、労政審では、来年秋の施行を目指して、フリーランスも労災保険に加入できるよう検討しているというふうに伺っております。これまでも、業種限定で特別加入ということが認められてきたわけですけれども、これ、現在の検討状況を確認したいんですが、加入要件はどうか、保険料率あるいは負担の仕方、対象人数の見込み、御説明を。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 委員御指摘のように、本年の十月から、労働政策審議会の労災保険部会におきまして、フリーランスの労災保険の特別加入の拡大について議論を開始したところでございますけれども、まさに、御指摘の内容については、今現在検討している段階でございますので、まだ特段お答えできるものはございません。
 早期に結論できるよう頑張ってまいりたいと考えてございます。

○倉林明子君 始まったばっかりだということなんですけど、検討の段階での案が示されている分についての報道もありまして、それも見させていただきました。そもそも、特別加入の拡大ということでの検討になっていますよね。特別加入というのはそもそも任意で加入するということになりますし、枠組みでいいますと、保険料も労働者持ちと。さらに、一般の労働者との保護の格差というのもあると、これ言いたいと思うんですね。
 そこで、フリーランスの働き方について、これ確認したいと思います。
 報告書も出ておりますので、フリーランスが行う危険有害作業、これに従事している者に対して、一つは、説明や教育を受けた割合はどうか、二つ、特殊健康診断の受診率はどうなっているか、三つ目に、一般のフリーランスで健康診断を受けていない者の割合はどうか、四つ目、週の労働時間、就業時間が六十時間を超える割合、これは一般労働者と比較してどうなっているでしょうか。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 委員御指摘のフリーランスに対します様々なデータにつきましては、労働安全衛生法に基づいて義務が課されておりませんので統計調査等ございませんが、御指摘の点は、私どもの検討会において示されたデータかと思います。
 サンプル数が少ないんで、精度が低いことを前提に申し上げますと、まず、危険有害業務に従事しているフリーランスのうち、有害物質について教育又は説明を受けたことがある方については約二八%でございます。また、特殊健康診断を受けたことがある者の割合につきましては、これは業務の種類によって異なりますけれども、おおむねいずれも三%以下という状況でございます。また、一般のフリーランスにつきまして、市町村で実施している健康診断なども含めました健康診断を受けていない者の割合につきましては約三五%、週の就業時間が六十時間を超える者の割合は、通常期で一三・七%、繁忙期で三七・八%と、いずれも健康診断等は受けている者が労働者よりも少なく、また労働時間等は高い割合ということになってございます。

○倉林明子君 確かに精度は低いというものの、傾向や特徴が出ているかなと思うんです。その特徴を踏まえますと、より保護が必要な働き方をしていると、労働安全衛生法上もということは明らかじゃないかなと思います。
 そこで、建設業の一人親方についてですけれども、現在でもこの方々は特別加入の対象ということになっているわけですよね。加入率は実態として何%になっているか、一人親方の死亡災害というのは実際年間何件発生しているのか、災害内容の特徴についても御紹介いただきたい。

○政府参考人(鈴木英二郎君) 建設業のいわゆる一人親方で労災保険に特別加入をしております人数につきましては、令和三年度で約六十四万人でございますが、一人親方全体の総人口、総人数が網羅的に把握したものはございませんけれども、平成三十年度にアンケート調査で調べましたもののうち、回答者の約八割が、労災保険の特別加入に加入している又は加入予定と回答しているところでございます。
 また、建設業における一人親方等の死亡災害につきましても、これまたこちらも網羅的に把握しているものではございませんけれども、監督署等で個別に把握したものを集計いたしますと、令和四年では七十二件、特徴としましては、墜落、転落による災害が全体の約六割、また、工事の種類としては、建築工事の割合が約七割という状況でございます。

○倉林明子君 特別加入制度加入率についても御紹介あったんだけれども、十分に救済されているかというと決してそうじゃない、任意ということもありますので。そもそも特別加入制度の対象拡大ということでいいますと、フリーランスとして保護するということですよね。
 問題は、問題として今日提起したいと思うのは、実態は労働者なのにフリーランスとして働いているいわゆる偽装フリーランス、ここについて言うと、二重に救済されないということが言えると思うんです。
 そこで、大臣に質問します。
 先日、石橋さんの質疑に対して、フリーランスという仕組みが悪用されて、実際にその健全な労働環境が整備されていなかったら極めて深刻な問題だとして、労働者に該当する方なら、労働基準関係法令による保護を受けられるようにすることが重要と、こういう認識を示されました。
 今、アマゾンの配達員を始めとして、フリーランスは実態は雇用だということで労災認定が相次いでされております。画期的だということでの評価もありました。そのとおりだと思います。
 そこで、偽装フリーランスをなくすことはもちろんなんですよ、なんだけれども、積極的に、積極的に労働者として認定すると、入口から。だから、こういう保護する基準ということが必要じゃないかと思います。
 労働保護法制を、労働者として保護を受けられるようにするという答弁踏まえれば、そちらの方向を目指すべきじゃないかと思います。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(武見敬三君) これ、基準法上の労働者に該当するかどうかというのは、使用従属関係があるかどうか、事業に使用される者であるか否か、その対償として賃金が支払われるか否かについて、個々の働く方がそれぞれ異なる状況に応じて判断する必要性が現実にはございます。
 全てのフリーランスの方について一律に労働者性を認めることは難しいんですけれども、他方、実態として労働者に該当する方が労働基準関係法令による保護を適切に受けられるようにすることは、これは非常に重要だと考えています。このため、こうしたことについて、働く方への周知を図るなど、適切に対応していきます。
 なお、フリーランスなどの労働関係法令の適用対象外とされる働き方をする方の就業者保護の在り方については、本年四月に成立した特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の附帯決議の中で、本法の施行状況等を踏まえて検討をし、必要な措置を講ずることとされておりますので、この趣旨に沿って適切に対応していきたいと思います。

○倉林明子君 結局、労災で申請して初めて今判断されているんですね。私が言いたいのは、働く方にそういう申請してもらったら、あなた労働者かもしれないということがきちっと労災認定ではされますよということが起こっているんだけど、働く方が動かないと、これ労災申請さえできないし、できる権利があるということも知らないだけじゃなくて、しないということも起こり得るんですね。
 私、既に労災、本来であれば労災が認められるような労働事故が救済されていないという実態を広くやっぱり防いでいくという考え方必要で、実態、既に深刻だというふうに思っているんです。だから、この働く方じゃなくて使用者側を縛っていくという規制が要るんですよ。
 これ、EUでは、プラットフォーム労働者の労働者性を認める基準づくり、そして、プラットフォーム側が雇用関係ではないと主張する場合は、立証責任は労働者にあるんじゃないと、これはプラットフォーム側に課しますという制度整備がこれ進んでいるんですね。日本でも、これ広く労働者と認めて保護する法整備こそ私は急ぐべきだということをこれ強く指摘して、今後引き続き議論させていただきたいと思います。
 次、マイナ保険証について伺います。
 改めて思い出したいんですけれども、繰り返し繰り返し河野大臣中心におっしゃってきたことは、マイナ保険証の利便性を実感してもらえると、これ利用率は伸びるということの説明でした。
 「マイナ保険証、一度使ってみませんか」キャンペーンというのを今やっているんですね。これ資料に入れておきました。八月からやっている中身だということです。このキャンペーンについては、一体どのぐらい費用、ポスターなんかも作っています、今から送付するというようなことですから、一体このキャンペーン全体の費用というのはどのぐらい掛かっているのか、そして、効果はどうだったのか。

○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
 今現在、「マイナ保険証、一度使ってみませんか」キャンペーンと、こういうのを実施してございまして、関係団体との意見交換会、それから公的病院、公立病院に対して利用促進を要請する、あるいは医療機関向けのマイナ保険証活用セミナーを配信すると、こういう取組をしてございます。
 具体的に、そういう取組の結果、例えば十月からは、日本保険薬局協会に加盟する全法人の薬局で、現場で今までは保険証を見せてくださいと言っていたのを、マイナンバーカードをお持ちですかという声掛けなんかが一斉にスタートしてございます。その結果としまして、十月の利用件数は七百七十九万件と前月比で四十三万件増加するなど、徐々に効果が上がってきていると考えています。
 費用につきましては、このキャンペーンの費用につきまして、厚生労働省におきましては、主にポスターの印刷経費を検討してございまして、約五百万円程度を現在想定してございます。

○倉林明子君 いや、今、件数で伸びているという話なんですけれども、率で見たら、これ六か月連続マイナスですよね。十月のマイナ保険証の利用率四・四九%ということですから、ピークの四月から、四月は六・三%、ずっと下がっているんですよ、率で見ると。そこもしっかり見る必要あると思いますよ。
 十一月十日の中医協で報告された調査結果によりますと、マイナ保険証による診療情報、薬剤情報、健診情報、活用していない病院が六八・二%、活用している病院の半数が、メリットが特にはない、分からないという回答ですよ。これ、皆さんのアンケートですよ。
 利用率が伸びない要因ということで、メリットが実感できないからだろうかと。いや、それよりも、医療機関にとっては時間も手間も掛かると。患者さんにとって誤ったひも付けや情報漏えいの不安というのが払拭できていないわけですよ。こうしたデメリットが大きいことが普及の障害になっているんじゃないですか。認識いかがでしょう。

○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
 マイナ保険証につきましては、先ほど御指摘いただきましたひも付けの問題とかございまして御不安ございましたけれども、現在、その解決に向けた取組を進めてございます。
 登録済みデータにつきましては、全保険者による自主点検をほぼ完了しまして、現在、入念の取組として、システム全体の登録済みデータを住民基本台帳の情報と照合すると、こうした取組を進めておりますし、新規のデータにつきましては、もう誤りが起こらないよう、資格取得届出においてマイナンバーの記載義務を法令上義務化する、さらには、十二月からは、健康保険組合における資格取得時の住民票上の住所情報の把握を必須化する、こうした取組を進めておりまして、まず、そういう問題解決の解消に努めているところであります。
 そもそも、やっぱりマイナ保険証は今後の医療DXの基盤となる基本的な仕組みでございまして、しっかりと安心して使っていただける環境を進めていきたいと、このように考えてございます。

○国務大臣(武見敬三君) 今保険局長からも詳細な説明をさせていただきましたけれども、やはり医療DXをこれから進める中で、より確実に更なるメリットが増えていくわけです。その今入口にあると私は思います。
 したがって、そのためのパスポートとして、このマイナ保険証というものをまず一度使ってみていただけないかと。私自身も、せんだって慈恵医大の方に行ってやりましたけど、キャンペーンやりましたけれども、もう実際に本当に便利だと。特に高額療養費の方なんかは、直接、これは物すごく便利ですよということをおっしゃっていました。
 以上です。

○倉林明子君 それだったら伸びていくと思うんだけれども、これ景気対策、総合景気対策、補正予算出まして、マイナ保険証推進の予算がすごい付いているんですよ。八百八十七億円の計上です。これ、ケア労働者の賃上げ何ぼか言うたら五百三十九億円ですよ。これよりもこんだけ乗せて利用促進を進めるというわけですよね。利用件数が伸びた医療機関に補助金を出すと。こんなことに回すんやったら、もう人件費、賃上げに回してくれと。私は開いた口が塞がりませんでした。
 メリット実感されれば利用伸びると一貫してやってきた説明が、伸びないということを、この説明の破綻を自ら認めるものにほかならないと申し上げたいと思います。
 さらに、補正予算には、システム改修ということで三百六十七億円の計上がされております。これ、本格運用から僅か五か月での改修になっているんですね。準備不足だと厳しく指摘したい。その上で、改修の内容も、起こったことに対し、トラブルに対して、じゃ、場当たり的な改修の手当てになっていると言いたいと思うんですね。
 制度設計を、制度設計をこれ根本から見直すべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょう。

○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、マイナ保険証は、まさに今後の日本のデジタル化、医療のデジタル化において非常に欠かせないものでございますし、まさに、さっき大臣も申し上げましたように、今後、電子処方箋を始めとして、次へのステップ、進むための基本となるパスポートでございます。したがって、それを運営していくためにしっかりと基盤を整備しなければいけない時期だと考えてございます。
 それで、システムの改修の御指摘をいただきましたけれども、二つございます。確かに見直すべきところについては改修をしっかりやっていくということと同時に、訪問看護を始めとして、あるいは柔道整復、あはきとかいったその他の、今までの通常の医療機関以外のところでもしっかりと、オンライン資格確認をしっかり入れていただくと、こうした整備も必要でございまして、投資をお願いしているというところでございます。

○倉林明子君 いや、このマイナンバーカードがデジタルのそのパスポートだという説明されているんですけど、このマイナ保険証の目的には賛成だけれども、デジタル化は進めるべきだ、私、デジタル化は進めていくべきだと思っているんですね。
 そういう、基本的にデジタル化賛成ということで、情報システム学会、これ基本の立場なんだけれども、システムの根本的な再設計の必要性をせんだって提言されております。マイナカードに身分証明や健康保険証などの多くの機能を詰め込み過ぎていると、それらを分離した制度に再設計すべきだという、もう根本的な提案になっているんですね。見直しの提案になっているんです。
 私は、デジタル化が真に利便性の向上に資するものにすると、その上で、国民が安心して信頼して情報を預けられるようなものにすると。そういうものにするためにも、やみくもに補助金まで出して推進していくというようなことはきっぱりやめるべきだと、一旦立ち止まるべきだと思います。これは、大臣。

○国務大臣(武見敬三君) 実際に、この医療DXの推進に関しては、我が国は他の主要先進国と比べても物すごく遅れています。したがって、一次利活用、二次利活用含めて、我が国が早急にお一人お一人の国民の健康データというものを全国的なプラットフォームをつくってきちんと結び付けて、そしてきちんと管理運営するというのは、もうまさに必須の課題になってきていると思います。その点は委員と共通認識があるんだろうと思います。
 その上で、その上で、実際にこの一番の入口は、国民の皆様方に、従来大変使い慣れてきた保険証というアナログの一つのやり方に対して、このマイナ保険証というデジタルなやり方にやはり発想を転換して参加していただくことの必要性があるわけでありまして、そのための仕組みを今我々はこれからも丁寧に説明をし、そしてそれを実施していきたいと考えています。

○倉林明子君 いや、期限があるからこんなに慌てた推進策で予算の上乗せして強硬に進めるというようなことになるわけですよ。私、きちんとこういう情報システム学会等の指摘も踏まえたら、二四年秋に健康保険証を廃止すると、このゴールを一回撤廃するということでの作業に転換すべきだと。
 終わります。