倉林明子

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「保険診療」を確実に 改定マイナ法(2023/6/8 厚生労働委員会)

(議事録は後日更新いたします)

 日本共産党の倉林明子議員は8日の参院厚生労働委員会で、改定マイナンバー法による健康保険証の廃止で、資格がありながら現物給付(保険証の提示により3割などの自己負担で診療を受けられる給付)による保険診療が受けられないことはあってはならないとし、対策の徹底を求めました。

 倉林氏は、マイナンバー保険証のオンライン資格確認のトラブルが拡大していることを指摘し、マイナンバーカードを持たない人に発行されるとする「資格確認書」を「当分の間、一律かつ無条件に申請によらず交付する運用」を提案。加藤勝信厚労相は、申請に基づく交付が前提だとする一方、改定健康保険法の規定で「保険者が必要と認めるときは、本人の申請によらず職権により交付できる」と答弁しました。

 倉林氏は「申請前提ではなく、できる運用があることを自治体にも保険者にも知らせていくことが必要だ」と強調しました。

 また、健康保険証の廃止に伴い保険料滞納者に発行されている短期被保険者証(短期証)も廃止される問題を取り上げ、「マイナンバー保険証か資格確認書によって、現物給付が行われ、これまで通りの受診が可能になるか」と質問しました。

 厚労省の伊原和人保険局長は、該当者にはマイナンバー保険証か資格確認書によって3割負担による受診などを可能とし、「必要な保険診療が確実に受けられるよう、市町村に対し周知徹底していきたい」と述べました。



議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 マイナンバー法案、これ可決されました、可決されたものの、国民の不安が一層拡大するという深刻な事態は収まっておりません。このまま健康保険証が廃止されれば、オンライン資格確認におけるトラブル、これ更に拡大するようなことも想定されるわけです。資格がありながら、資格がありながら被保険者の現物給付による保険診療が受けられないと、こんなことはあってはならないわけです。
 そこで、当分の間ですね、当分の間、資格確認書を一律かつ無条件に申請によらず交付する運用、これが現実的じゃないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) まず、このマイナンバーカードとこの健康保険証との関係について、誤った方に結び付けているなど、様々なことが生じ、国民の皆さんにも、御不安を抱く状況になっていること、大変深く反省をしているところでございます。やはり大事なことは、そうしたことを一つ一つ解決し、廃止後において現場の混乱が生じないよう努めていくこと、これが第一だというふうに考えております。
 その上で、この資格確認書については本人からの申請に基づいて交付する仕組みとなっているところでございますんで、こうした申請を忘れて資格確認書がなく、保険診療を受けることができないといった事態を防ぐことが必要でありますんで、廃止について、様々な手段を通じて柔軟な対応を行っていく、また医療保険の加入手続の際にもそうした周知徹底を図る、こうしたことを通じて空白の生じないきめ細かな対応に取り組んでいきたいと考えております。
 また、資格確認書の職権交付の仕組みについては、マイナンバー法等の一部改正法の附則十五条の規定に基づき、保険者は必要があると認めるときは本人からの申請によらず職権で資格確認書を交付できるとされており、法制上、保険者が職権交付の必要性を判断した上で交付するということとされているところでございます。

○倉林明子君 それ、二問目の回答までしていただいてありがとうございます。
 つまり、今どうなっているかっていうことを改めて言うまでもないと思うんですけれども、マイナンバーカードだけでは、現場では顔認証、マイナンバーカードによる資格確認ができないという事案が更に広がっているっていう状況があるんです。実際に、その資格確認をしている、する手段として現行の国民健康保険証を持っていることでスムーズな確認ができたという事案が報告あった。
 で、今、二問目にしようと思っていた問いかけのとおり、マイナンバー法附則第十五条、これによりますと、経過措置としての記載ではあるんだけれども、保険者が必要と認めるとき、つまり、これ資格確認書がないと資格確認の現実的な障害が起こっているというのは今ですから、そういうときは、当分の間、求めがなくとも資格確認書を交付できると、今御説明あったとおりなんです。
 つまり、私がこれ提案したい、申請によらず当分の間できる規定もあると。混乱を避けるためにも、私は改正法の規定でも十分運用可能だと思うんです。いとまもありませんし、来年秋ということになりますと。実際には、保険者にとっても、何よりも国民にとっては資格確認がまずきちんとできると、これ保障することになると思うんですよ。運用検討すべきだと思います。はい、二問目。

○国務大臣(加藤勝信君) 同じ答弁になって申し訳ないんですけれども、まず、大事なことは、委員御指摘のように、マイナンバー確認、マイナンバーカードを使った資格確認がきちんとなされる、こうした仕組みをつくっていくということが必要であるということでございますので、来年の秋に向けて、更に様々な検討を重ねさせていただきながら、そうした混乱が生じることのないようにまず取り組んでいくことが我々の責務だと考えております。
 その上で、その職権の話がございましたが、この法文の書き方からして、まずは御本人が申請をしていただく、これがベースになっているということは改めて申し上げておきたいと思います。

○倉林明子君 できる規定があるということで、やっぱり国民に迷惑掛けないと。制度を始めるということで言うたら、今でもこの準備状況なわけで、総点検は八月から掛けていくというふうな事態なんだから、余り殊更に申請が前提だということではなくて、できる運用があると、こういうことを自治体にもしっかり知らしていくと、保険者にも知らしていくということ必要だと、できるんだから。よろしくお願いしたいと思います。
 で、ずっと質問をしていました保険、短期証の問題なんです。これについて確認しますね。保険料滞納者には、特別な事情によるなど確認した上で、マイナンバー保険証か資格確認書によってこれまでどおり現物給付は受けられるということでよろしいでしょうか。

○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
 今回、短期保険証につきましては法律で来年の秋に廃止するということにしておりますけれども、今御指摘、先生から御説明があったように、短期保険証については、これまで、保険料の滞納者ではあるものの長期にわたる保険料滞納者でない場合や、保険料の納付が困難な特別な事情がある場合に該当する保険証に、被保険者に交付されてきました。
 で、短期保険証廃止後においても、こうした場合に該当する被保険者については、マイナンバーカード又は資格確認書により三割負担などで引き続き医療機関等を受診できることとし、必要な保険診療が確実に受けられるよう、市町村に対し周知を徹底してまいりたいと考えてございます。

○倉林明子君 これ、法では、保険証も短期証も廃止するということを規定しているし、一年以内の滞納であっても特別給付の対象とできることも可能になっているんですね、条文上は。だから、最後におっしゃっていただいたけれども、市町村への徹底ということが非常に重要だと思うんです。これまでどおりに、条例での規定は市町村でそれぞれ、それぞれですよ、様々な条例での規定があります。要綱だったりするところもあります。短期証に代わるものと、代わるものとしてというか、短期証の機能はマイナンバーカードか資格確認書かで担保できるんだということに漏れがないようにしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そしたら、この後の提案があります。ゲノム医療について私の方から質問もしたいと思います。
 これ、医療情報という機微な個人情報の保護がいかにずさんだったかということ示したのがマイナンバー法、マイナンバー保険証だったと私は言わざるを得ないと思うんですね。遺伝、ゲノム情報ということになりますとこれ桁違いのレベルで守られるべき個人情報だと思うんだけれども、大臣の認識はどうか、もう一つ、遺伝情報に基づく差別的な取扱い禁止、この必要性について考えをお示しください。

○国務大臣(加藤勝信君) ゲノム情報については、生まれながらに固有で子孫に受け継がれ得る個人情報であります。また、それによって当該個人はもとよりその家族についても将来の健康状態を予測し得る等の特性があるため、十分に保護されるべきものと考えております。また、個人の権利利益の擁護や人の尊厳の保持の観点から、ゲノム情報に基づく不当な差別や取扱いなどについて適切に対処する必要もあると認識をしております。
 国民が安心してゲノム医療を受けられるよう、科学的根拠に基づいた正しい情報発信を行うとともに、ゲノム情報の管理、また患者の立場に立った情報の適切な伝え方に関するガイドラインを作成するなど、引き続き、関係省庁とも連携を図りながら、必要な取組を行っていきたいと考えております。

○倉林明子君 今回ね、議員立法という形で、この差別禁止の規定がないままにゲノム医療が進展しているということに対して患者団体等から本当に法律作ってほしいという声を受けて、今回、提案に至ったということなんですね。
 厚労省は、既に二〇一九年には全ゲノム解析等実行計画ということで、がんや難病患者の全ゲノムを解析し、そして遺伝情報のデータベースを構築すると既にしているわけですね。また、がんに関する複数の遺伝子を一度に解析するがん遺伝子パネル検査、この保険適用がされたのは、これも既にされているんですよね。で、遺伝、ゲノムの情報活用の前に、活用既に進んでいるわけですよ、活用の前に政府の責任で私は整備すべき法案だったというふうに思っているわけです。遺伝情報に基づく不利益が生じないこと、遺伝的プライバシー保護が進むこと、これは遺伝情報活用の大前提となるものだと思うんですね。
 政府による法案提出がここまでされなかったと、理由は何でしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) ゲノム医療については、それに対する期待が高まっている一方で、今委員御指摘のように、ゲノム医療、ゲノム情報による不当な差別を防止するための法的整備がなされていないこと等の懸念の声もあったところでございます。現状において良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるような環境が必ずしも十分に整備されているとは言い得る状況にはないと承知、認識をしております。
 差別の防止を含む様々な課題に対処し、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするために、政府全体として幅広い施策を総合的かつ計画的に推進する必要があるところでございます。
 厚労省内でも様々なこれまでも議論も重ねてきたところでありますが、今回、超党派の議連において議論が行われ、それを踏まえた対応をさせていただきたいと考えているところでございますので、この今回提出されたゲノム医療法案の基本理念、そして、それを踏まえ、国はゲノム情報による不当な差別等への対応を確保するために必要な施策を講ずるものとするとされているところでございますので、それらを踏まえた対応を関係省庁連携しながら取っていきたいと考えています。

○倉林明子君 いや、何で法整備が政府の責任でできなかったのかと、活用の前にやるべきじゃなかったのかという趣旨で聞いたんですけど、答えてましたかね。

○国務大臣(加藤勝信君) いや、私どももこうした様々な党内、失礼、省内でも議論をさせていただきましたが、並行して国会の方で超党派で御議論されているということでございますので、それを踏まえて今回、今委員会で御議論をいただいた上で成立が図られれば、それにのっとって対応していきたいと考えています。

○倉林明子君 あのね、今から二十六年前、一九九七年、ユネスコがヒトゲノムと人権に関する世界宣言を採択しているんですね。今から二十六年前です。何人も、その遺伝的特徴のいかんを問わず、その尊厳と人権を尊重される権利を有するという規定をしております。
 遺伝情報活用に当たって、私は、この人権、尊厳と人権を尊重される権利と、これを踏まえて本当に取り組んでいくことが求められると思っているんですけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 御指摘の宣言において、人間の尊厳や人権、遺伝的特徴に基づく差別の禁止について尊重することを規定するものと承知をしております。
 この宣言の内容は、今回提出されておられるゲノム医療法案に定められている人間の尊厳の保持、ゲノム情報の保護を通じた個人の権利利益の擁護、また差別等への適切な対応の確保といった課題への対処と共通するものと考えており、厚労省としては、先ほど申し上げましたが、法案が成立した場合に、その規定に基づき、関係省庁と連携しながらそれに沿った対応をしていきたいと考えております。

○倉林明子君 いや、しっかり宣言踏まえてやってほしいということなんです。
 患者の健康情報というのは患者の権利として保護すると。で、人の遺伝、ゲノム情報は人の固有の権利として守られるべきものであると。そして、より桁違いにその保護の度合いは高く求められているんだと。それ、世界水準があるから、しっかりそれも参考にしていただきたいと思います。
 本人の明確な同意が必要だと、活用に当たっては。間違ったひも付け、今起こっていることですよ。日本の本当に個人情報保護に対する人権意識が本当に問われた問題がマイナンバーで露呈したと思っているんですね。
 こうした誤りが断じて許されない情報であると、ゲノム情報はということを改めて強く指摘しまして、終わります。