倉林明子

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マイナ保険証義務化は顔認証を強制するもの(2023/3/17 予算委嘱審査)

(資料があります)
(議事録は後日更新いたします)

 日本共産党の倉林明子議員は17日の参院厚生労働委員会で、2024年秋の健康保険証廃止と、それに伴う短期証廃止の問題を追及しました。

 倉林氏は、マイナ保険証義務化は顔認証を強制するものだと批判。欧州連合(EU)では原則禁止、米国では州レベルで顔認証データに規制をかける法整備が進んでいると紹介し、「プライバシーを不当に侵害されることがないよう規制する法律がない。顔認証の利用拡大はやめるべきだ」と主張しました。

 さらに、現行の保険証によるオンライン資格確認が全体の98・3%を占めており、マイナ保険証でなくても保険証番号でのオンライン資格確認が可能であることを明らかにしました。また、顔認証カードリーダーを導入している医療機関で、正確な資格確認ができないなどのトラブルが起きている問題を示し、マイナンバーカードの強制に他ならない健康保険証の廃止はやめるよう迫りました。

 保険証廃止に伴い、国民健康保険料滞納者に発行されている短期証も廃止されることについて、「自治体の判断次第で直ちに10割負担となる可能性も否定できない」と懸念を示し、医療にアクセスできない無保険者を増やすことがあってはならないと主張しました。


運用開始施設における資格確認の利用件数


マイナンバーカードの様式


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 マイナンバー法等の一部改正案が三月七日に閣議決定されております。保険証の廃止を含みます十三本の法案をまたもや束ねての決定となっておりまして、これには断固抗議したいと。
 特別委員会への付託が想定されておりますけれども、国民の医療を受ける権利にも重大な影響があります。連合審査を実施して、十分な質疑時間の確保、先の話にはなりますけども、まず協議をお願いしておきたいと思います。

○委員長(山田宏君) 後日理事会で協議いたします。

○倉林明子君 マイナンバー保険証の義務化ということで、これ顔認証を強制することになるということだと思うんですね。現在の保険証でも本人確認に支障はないわけです。
 そもそも、健康保険証の資格確認に顔認証システムがなぜ必要なのか、御説明ください。

○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
 これまでの医療保険における資格確認は、主として、先生御指摘のように健康保険証により実施されてまいりました。
 券面上は、氏名、生年月日、性別等が記載されておりますけれども、写真がないため、どうしても成り済ましのリスクというものが存在しております。
 一方、マイナンバーカードを利用してオンライン資格確認を実施した場合には、マイナンバーカードの顔写真と顔認証付きカードリーダーで撮影した本人の顔写真を電子的に照合する方法、あるいは四桁での暗証番号を入力する方法など、成り済ましを防ぎ、電子的かつ確実な本人確認を行うことが可能となっております。
 加えまして、マイナンバーカードによる確実な本人確認を基に患者御本人の健康医療情報の閲覧も可能でございまして、これによりまして、健康医療に関する多くのデータに基づいたより良い医療の提供が可能と、このように考えております。

○倉林明子君 リスクはあるけど、成り済ましが常時問題になるような実態というのはないですよ。
 日本では、顔認証データベース、顔認証システムの利用が、これ行政にとどまらず民間でも広がっている。にもかかわらず、市民のプライバシーを不当に侵害されることがないように規制する法律はないんですね。
 日弁連は、繰り返し、法整備の必要性を求める意見書を出しております。そして、昨年の九月の意見書では、マイナ保険証について、顔認証システムを利用しなければならないほどの厳格な本人確認は行政上の必要性に欠けるという指摘をしているんです。
 マイナンバーカードにひも付けることで逆に第三者に不正利用されれば、個人が特定される危険性が高まると、顔認証システムとつなげれば、更にそのリスクは高まると、そういう認識はおありでしょうか。これ大臣に聞いています。

○国務大臣(加藤勝信君) マイナンバーカード自体の安全性と顔認証に係る話と二つあったというふうに思いますが、まず、マイナンバーカードの安全性については、カードの紛失、盗難等により個人情報が流出しないよう、医療保険の資格情報や本人の健康医療に関する情報はマイナンバーカードの中には存在、仕組みとしております。
 また、マイナンバーカードを利用する場合には、暗証番号を必要とし、一定回数間違えるとロックが掛かるほか、ICチップから情報を無理に取り出そうとするとチップが壊れる、こういった仕組みを採用するなど、高いセキュリティー対策を講じているところであります。
 また、医療機関等で顔認証付きカードリーダーを使用し顔認証を行う場合には、マイナンバーカードの顔写真データと窓口で撮影された本人の顔写真を照合して本人確認を行うわけですが、この際、患者の顔写真、今申し上げたマイナンバーカードの顔写真あるいは窓口で撮影された本人の顔写真が資格確認の端末やカードリーダーに保存されることはなく、患者の資格情報などとひも付くこともございません。
 こうしたマイナンバーカードの健康保険証利用について国民の皆さんによく御説明をし、理解、安心をいただけるよう、更に努力をしてまいります。

○倉林明子君 EUでは、顔認証というのは原則禁止されております。自由の国アメリカでも、表現の自由非常に重んじるところですけども、カリフォルニア、テキサス、イリノイ、ワシントン、それぞれの各州段階でこの顔認証データに規制を掛ける法整備がこれ進んでいるんですね。マイナンバーカードの利用拡大、マイナンバーカードで顔認証を広げるということについては、これ世界の流れとも私は逆行する動きと言わざるを得ないと思うんですね。
 そこで、改めて、このオンライン資格確認システムの方ですけれども、現状どうなっているかということを、運用から開始一年半になりますので、利用状況を確認していきたいと思うんです。
 それで、先ほど紹介もありましたけど、資料としてお付けをしております。これ、利用件数がだんだん伸びているという状況を示しているものですが、直近一か月の受信回数に、受信回数を母数に置いた場合、オンライン資格確認は利用何割ぐらいになっているのか、そして、オンライン資格確認のうちマイナンバーカードの利用というのは何%か、改めて確認。

○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
 まず、直近の令和五年二月、先月ですけれども、先月のオンライン資格確認の利用件数は九千万件でございました。それから、医療機関受診回数でございますけれども、これは把握が、この外来のレセプト件数が多分数字になると思いますが、これの直近のデータで把握できますのが昨年十月のデータでございまして、約一億七千万件でございました。ということで、その比率を機械的に算出いたしますと、オンライン資格確認の利用件数の割合は五〇%強となっております。
 それから、直近の五年、先月のオンライン資格確認の利用件数約九千万件のうち、マイナンバーカードでの利用件数は百五十七万件となっております。割合は約一・七%。ちょうど一年前の令和四年二月のマイナンバーカードでの利用件数が十万件でございましたので、前年比で約十六倍となっております。

○倉林明子君 つまり、九八・三%、今のオンライン資格確認の状況でいいますと、この赤いところですよね、グラフで、この赤いところは今の保険証によるものなんですよね。オンライン資格確認というのは今の保険証でも利用できるし、活用も実態として伸びている。つまり、マイナンバーカードの保険証がなくともオンライン資格確認はできるということでよろしいですね。

○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
 健康保険証による資格確認を行う場合におきましても、その医療機関等がそのオンライン資格確認システムを導入している場合には、被保険者等記号番号、これらを入力することによりオンライン資格確認等システムにアクセスして、その健康保険証に記載された被保険者の資格が現在有効かどうか、これの確認は可能でございます。一方、マイナンバーカードでございますと、転職等で新しい保険証に切り替わっている場合でも最新の資格情報がリアルタイムで確認できます。
 それから、先ほど申し上げましたように、各種医療情報、服薬情報、こうしたこともマイナンバーカードの場合には確認できますが、健康保険証で利用した場合には、やはり本人確認が十分そこまでの域に達していないということから、現在、医療情報の閲覧はできないと、こういうことになっております。

○倉林明子君 現状でも、医療機関がオンライン資格確認につながっていれば、最新の場合というのは保険証の提示も必要ない、もうそういう運用が大体されるようになってきています。で、再診の患者については一括照会をするということで非常に効率化も進んでいると、ほとんどこれでオーケーだというんですね。
 初診でも保険証番号を入力すれば資格確認はできるわけです。いろいろできないこともあるよという御説明なんだけれども、オンラインで資格確認をするということについて言えば、マイナ保険証がなければできないというものではないわけですよね。
 オンライン資格確認は保険証番号があれば可能なのに、なぜ顔認証付きカードリーダーの導入まで、これ事実上の義務付けになっていると思うんですけれども、なぜそこまでするんでしょうか。

○政府参考人(伊原和人君) 先ほども答弁させていただきましたけれども、現行の資格確認の中心的な方法であった健康保険証、これではやはり成り済ましのリスクが存在しているということが一つございます。それに対してマイナンバーカードで使って資格確認をすれば、そうしたことが防げるということがございます。
 それからもう一つが、資格確認に加えまして、御本人の健康医療情報をしっかり過去の分も見て医療を提供できると、こういう国民にとっての医療の向上、ここにもつながるということで、我々としては、そういうマイナンバーカードを健康保険証と一体化すると、こういう取組を進めているところでございます。

○倉林明子君 いや、成り済ましリスクのことを繰り返しおっしゃるんだけれども、実態として成り済ましリスクで被害出たということについてはどれだけの実態があるんでしょうか、確認です。

○政府参考人(伊原和人君) お手元に、ちょっと手元に具体的な資料ございませんけれども、成り済ましの問題につきましては、度々医療現場で問題になっておりまして、厚生労働省からも必要な場合には健康保険証以外にも本人の確認書類の提示を求めると、そういうこともお願いして対応しているところでございます。

○倉林明子君 その確認で行けているはずなんですよ、免許証の御提示を願うとかね。実態としての被害とか、それだけ成り済ましリスクが実態として非常に問題になっているということは確認できるのかと。確認できるデータについて、後ほどで結構ですので御提示いただきたいと思います。
 で、マイナンバーカードをこれ保険証として使おうとするから、逆にカードリーダーが要るようになるんですよね。なぜならということで、これ二枚目に付けましたけれども、マイナンバーカード、これには保険証番号ないんですよ。そうなんですよ。
 保団連の調査によりますと、カードリーダーの導入が補助金足らぬけれども、補助金ももらって一生懸命付けていると。しかし、このカードリーダーがトラブル多いと。きっちり正確な資格確認ができないということが引き続き起こっているわけですね。今なお解消されているとは言い難い。これ決定的、資格確認のための読み取り機なのに、そういう意味でもシステム上もまだ大きな不安を現場には残っているという実態は指摘したいと思うんですね。
 私、マイナンバーカードの、これ任意の制度であるにもかかわらず、強制にほかならないようなこうした健康保険証の廃止、秋、それも来年の秋ありきというふうな廃止はやめるべきだと強く申し上げたいと思います。
 そこで、保険証の廃止に伴って重大な変更が法案の中身には盛り込まれていると思うんです。それは、国民健康保険料を滞納している被保険者に対して発行していた短期証を廃止すると、資格証明書も廃止になるわけですけれども、廃止するということになるわけです。
 で、短期証発行件数というのは、令和二年度で五十七万世帯に上っています。短期証が廃止された場合ですね、これ窓口負担十割になるということじゃないでしょうか。

○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
 まず、健康保険証につきましては、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めておりまして、その中で、来年秋には新規の保険証の廃止を予定してございます。
 こうした中、先ほど先生から御指摘ございました短期被保険者証につきましても、この短期被保険者証は、国民健康保険法の規定に基づきまして健康保険証に特別な有効期間を設定したものと、こういう位置付けになっておるものですから、当然、健康保険証の廃止と併せて短期被保険者証についても来年の秋に廃止を予定してございます。
 この短期被保険者証の交付対象者は保険料の滞納者ではございますけれども、償還払いとなる被保険者資格証明書の対象者とは異なることですから、マイナンバーカードと健康保険証が一体化された後においても、保険料を納付している方と同様、三割負担などで医療を受診できるということになると考えております。

○倉林明子君 ごめんなさい、最後のところがちょっと不明瞭だったので答弁確認したいんですけれども、短期証は廃止するけれども、三割負担でいけるということですか。十割負担にならないのかということで問うたところの答弁が聞き取りにくかったので、お願いします。

○政府参考人(伊原和人君) 現行の短期被保険者証自身も当然三割負担でございますけれども、三割負担など定率負担でございますが、今後廃止された場合にはこの仕組みなくなりますけれども、それと該当する同じような対象者の方がもし仮にいるとすれば、いるとすればですけれども、三割負担の対象になるということでございます。

○倉林明子君 保険料が滞納している場合と、そして、一年以上の滞納があれば、これまでの資格証明書と同様に、十割負担という特別療養の支給の対象になると、これが法で定めた変更ですよね。
 そして、一年以内の滞納がある場合、これについても規定があって、特別な事情がある場合は特別療養の給付とすることも可能と書いてあるんですよ。だから聞いているんですよ、だから聞いているんですよ。一年以内でも、短期証、一年以内でも特別療養の給付の対象ということになったら十割負担になるんじゃないですか、これまで短期証もらっていた人でも同じ条件で規定が変わるんだから、そういうことなんですけど。

○政府参考人(伊原和人君) お答え申し上げます。
 今申し上げましたように、先生からも御説明いただきましたが、今後、資格証明書、短期被保険者証じゃなくて、資格証明書は廃止いたしますが、それに代わる措置として特別療養費の支給という制度を新たに設けることを考えております。
 この特別療養費の支給の対象となった場合には、先ほど先生がお話しいただいたように、償還払いとなりますので、一度その医療費全体を御負担いただくと、こういうことになると考えております。

○倉林明子君 私、ようよう読みましたんや、ここ。資格書一本になるという説明なんですよ。
 短期証というのは、これまでも独自に市町村の判断で一年以上たっていても短期証を発行すると、まあ一か月だったりというような発行の仕方あるけれども、でも、短期証と資格証明書の決定的な違いは窓口負担が十割か三割かと、こういう決定的な違いがあるので、今の答弁ぶりはちょっときちんと整理して返していただきたい。三割が可能となるような最初の答弁だったんですよ。それが三割、要は、一年以上、つまり特別、十割負担しないといけない人しかいなくなるんじゃないのと、短期がなくなれば。そこについての明確な答弁がいただきたいというので、ちょっと時間なくなってしまうので、時間残ったらもう一回整理して答弁してもらうと。
 そこで、こんな例があるわけですよ。アルバイト中に脳出血起こしたと、実際の患者さんです、無収入になりましたと。これ、国保税も滞納していたという人だったんだけども、短期証が発行してもらえたんです、滞納でも発行できる条文もあるので。そのために、治療費も全額免除ということで手続して治療受けられた、もちろん最初は三割負担だったんですけれども。これ、短期証がなかったら、治療の継続ということにつながらぬ、要は医療費の自己負担十割をまずしないかぬという、お金がないので治療できなかっただろうと。治療費も全額免除、短期証も出たということで、命つなぐことができたんですよ。だから、そういう、短期証がいいって言いませんよ。だけども、短期証があることで救える命があったわけですよ。
 何で短期証を廃止する必要があるのか。大臣、これ合理的な根拠の説明をお願いしたい。

○政府参考人(伊原和人君) ちょっと技術的に御説明させていただきます。
 先ほど私の方から御説明させていただきましたけれども、今回、特別療養費の支給という形の制度をつくりますが、今回の国会に提出をさせていただいた法案では、この特別療養費の支給を御本人に事前通知するということにしております。
 ただ、この事前通知を行う際の要件として、法律では、保険者が保険料納付の勧奨や相談等、保険料納付に資する取組を行うということを明確に位置付けておりまして、一足飛びにこの特別療養費の支給というところを、この仕組みを発動すると、こういう仕組みにはなっておりません。これによりまして、滞納者の方と十分接触の機会を確保しながら保険料の徴収をお願いしていこうと、このように考えております。

○倉林明子君 短期証をなくした説明としてはちょっと今納得できないので、また改めて詰めていきたいと思います。
 最後に申し上げたいと思うんですけれども、国保は国民皆保険制度で最後のとりでですよ。マイナ保険証の義務化ということに伴って、この短期証、特別療養の給付の支給というようなことで十割負担にならざるを得ないということになったら、無保険者を生むということにつながりかねないんですよ。
 こういう重大な懸念があるということを今日は指摘をして、続きは連合審査なりでやれたらと思いますので、終わります。