倉林明子

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福祉 全国一律基準を  参考人質疑(2023/2/6 行政監視委員会)

 参院行政監視委員会は6日、国と地方の行政の役割分担に関する参考人質疑を行いました。参考人からは福祉充実には全国一律の基準が「一番大事」だとの意見が出されました。日本共産党の倉林明子議員が質問しました。

 倉林氏は、参考人の木野隆之・岐阜県輪之内(わのうち)町長に対し、同町の実施する18歳までの医療費無償化や、こども園での給食費の実質無償化、国民健康保険料の据え置きなどの施策をめぐり、国に求めることがあるかと質問しました。

 木野氏は「ナショナルミニマム(国家が保障する最低限度の生活)のレベルをどこに置くかに尽きる」として、「どこに住んでも同じ子育て、医療の給付を受けられることが一番大事だ」、「(国財源の)後押しがあればもっと早く実施できた」と述べました。

 また、倉林氏は、福祉施設での職員の資格要件や配置人数などについて国が定めた市町村の最低基準(「従うべき基準」)について、「福祉人材は地方ほどひっ迫している」と指摘。全国市長会が求める「従うべき基準」の廃止や「参酌(十分に参照すべき)基準」への緩和を行えば、「安全や福祉の質を保てない。国の責任の後退があってはならない」と主張しました。


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○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 最初に、木野参考人に質問したいと思います。
 高校生までの医療費の無償化、あるいはこども園での給食費の実質無償化、さらには国民健康保険料でも保険料の据置き等様々な取組がされているということで、このような取組に充てる財源をどんなふうに確保されているのか。まあ優先的に配分しているんだということなのかもしれませんが、どう確保しているのかということをざっくりでいいんですがお聞かせいただきたいということと、あと、国に対して財政支援の要望ということで出ているんです。充実を図ることという御要望あるわけですが、具体的な財政支援の中身についてもう少し御紹介いただければと。
 で、自治体間の格差解消のために、格差の解消を図ってほしいという御要望もあるんですけれども、そのために何をすれば解消が図れるとお考えか、まず教えてください。

○参考人(木野隆之君) ありがとうございます。
 まず、私どもがやっていることについて財源は何かという話ですが、これは当然のことながら私どもが一生懸命捻出した一般財源から出しているということになります。要は、これはどういうふうに言っても、要は施策のその重点をどこに置くかということに尽きるわけで、私ども、財源に他市町に比べて余裕があるわけでは決してありませんが、それを重点的にやっているということでございます。
 それから、財政支援についてですが、これについて、まあこれも結局国が重点をどこに置くかということにつながってくるとは思いますが、ただ一方で、先ほど申されましたことについては、結局のところは、国としてどの辺のレベルで、そういった子育てにしても医療にしても介護にしても、いろんな部分でナショナルミニマムとしてどの辺にレベルを置くかということに尽きてくるのかなという気がしております。
 そういう意味で、どの部分を、先行的にやっている部分、地域が先行的にやる部分、それから最終的にどこかが責任を持って全国一律にやるべきなのか、そういう議論がどこかで整理されてくることは必要かなと思っております。
 私どもは決して先行してやることをちゅうちょしているわけではありませんので、そういった部分は残しながらも、最終的にはやっぱりどこに住んでも同じような、特に子育てとか医療とかそういったものについての給付は住民の方がどこに住んでも同じような給付を受けられるのが一番大事だろうと、そんな思いをしながら日々行政を執行しております。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 国のレベルでナショナルミニマムどこに置くのかと、そういう合意づくりに我々も貢献していかないといけないというふうに改めて思いました。
 続いて、重ねて木野参考人にお伺いしたいんですけれども、これ十年前の全国市町村会のホームページで町長がおっしゃっていることが紹介されていたんですけれども、地方の時代と言われながらも、残念なことに地方自治体の在り方について制度対応が追い付いていないと感じていると。まあ、あれから十年ということなんですけれども、進んだ部分はあるのか、追い付いていないと感じたところは具体的にどういうところだったのかと御紹介いただければと思います。

○参考人(木野隆之君) ありがとうございます。
 多分どこかでお話ししたことが何かに載っていたと思うんですけれども、私もちょうど、この仕事に就かせていただいて今年ちょうど十六年目になりますか。ちょうど十年前というと、大体全体が分かってきてその限界を分かってきた頃に発した言葉だろうと思っています。
 そういう意味では、先ほど来の権限移譲の話と絡んできますけれども、やりたいと思ったことがなかなかいろんな制約の中でできない。例えば、まあこれ、もう少しその財源の裏付けがあればできるかなと思いながらなかなかできなかったこと、例えば医療費の十八歳までの無償化にしても、財源どうするかという中で、頭の中で苦労しながら、特に国や県の医療費の無償化についてのなかなか壁は固くて、裏財源の拡大というのがなかなかできない中で十八歳までやったと。そういうものを考えてきますと、やっぱりもう少し、そういう後押しがあるともう少し早くほかの事業も含めてできるのかなという思いの中で発した言葉だろうと、そんなふうに思っています。

○倉林明子君 言いにくいところをありがとうございました。
 私も京都で地方議員を五期プラスアルファぐらいやっていまして、ちょうど三位一体の改革ということで地方の財源が一般財源化すると、補助金が。そういう中で、地方交付税で来るのは来る、来ているんだけれども、総額減らされるということで財源確保が本当に大変になったという記憶があります。財源確保ということでの裏付けという町長の声はしっかり受け止めないといけないと改めて思いました。
 続いて、伊藤参考人にお伺いしたいと思います。
 全国市長会から、特に福祉施設等の従うべき基準の速やかな廃止又は参酌基準化を求めるとともに、地方が担うべき事務と責任に見合う税源移譲ということで提言があると。で、今日もお話の中で、改めてこの問題についても御説明が、御説明というか、お話ありました。
 私ね、ちょうど学童保育が地方からの提言によって従うべき基準から参酌すべき基準へと見直しがされたと。そのときにたくさんの署名も寄せられまして、これを従うべき基準として守ってほしいという声が国会にも届けられたという経過もありました。
 そういう意味でいいますと、これ地方ほど福祉人材確保の困難さが逼迫しているので基準が守れないという事態があると思うんですね。配置しなければならないけれども確保ができないというような実態が地方ほどあると。特に福祉の現場、まあ介護もそうですけれども、そうだと思うんですね。基準の廃止と、基準を廃止して参酌基準となった場合、そういう状況をつくると安全とか福祉の質が保てるのかというところが本当に問われると思うんですね。
 地方からの提案だからということで、地方自治というようなことで、これ本来国として果たすべき責任の後退があってはならないんじゃないかという思いを持っているわけですけれども、その点については改めて伊藤参考人の御意見伺いたいと思います。

○参考人(伊藤正次君) ありがとうございます。
 今御指摘の点は、私の提出資料の一のところの例一というものに関わるところかと思います。
 この間、私も提案募集方式に関わらせていただく中で、放課後児童クラブの参酌基準化というものにもコミットしたということでございます。もちろん、全国一律の基準によって安全などの質が担保されるという考え方は私も理解できる部分がございます。ただ、やはりその地域の実情に応じてその全国一律の基準では対応できない部分というのがどうしてもあって、その部分は自主的に判断させてほしいという自治体が幾つか提案を寄せてきているという実情がございます。
 私個人の考え方といたしましては、やはり全国一律の基準で質を保証するという考え方からはむしろ脱却すべきだと思っております。これ、参酌基準にしたとしても、例えば自治体がそれによって質を低くするということであれば、やはり地域の住民は当然許さないということでありまして、その自治体の自主的な判断は常に住民から見られているということが地方自治、地方分権ということの趣旨でもございます。ですので、基準を緩めたからといって質が直ちに低下するということは言えないと思いますし、また、自治体の担当の方々、職員の方々、首長さんや議員の方々も、そうしたことがないように、住民から見られているということは認識して日々行政に携わっていただいているというふうに認識しております。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 そうあるべきという御指摘はそのとおりだと思うんですけれども、やっぱり、その従うべき基準ということについてのやっぱり財政的な裏付けもあるのかと。そこ、とっても大事で、財政的な裏付けがないために処遇の改善とかができずに必要な人材確保ができていないという実態もあるということで、そこでやっぱり国の責任はどう果たすのかということが問われるのではないかなということも併せて考えていきたいと思います。
 最後に、最後になると思いますが、谷参考人に伺いたいと思います。
 先ほど来、行政計画の問題が議論になっています。行政計画を作らないといけないという法律を作っているのが我々立法府であるわけですけれども、その立法、要は議員立法のところでの計画が減らないと。減らないというか多くなっているという御指摘だったかと思うんですけれども、やっぱり議員立法を作る場合も、やっぱり縦割りに我々もなっているんじゃないかなと改めて思ったんですが、そういう地方レベルで、計画の負荷とかも含めて、総合的に見える化というのもしていかないと認識にもなっていかないんじゃないかと。今の立法目的を達成するために、やっぱり計画で担保取りたいよねという議論になりやすいと思うんです。
 町村の併任とか専任ができないというような、専門家確保しにくいというような状況をいかに見える化しながらその実効性、法の実効性を担保していくのかということと、あわせて、その計画が乱立すると、それがすごい負担になるだけじゃなくて、コンサルに丸投げになっちゃって、自分のところの自治体にとって必要な計画、適切な計画になっているのかという点でもずれてくるというようなことはやっぱり避けるべきだというふうに改めて思いました。
 で、立法府のところでのそうした重複や自治体の負担が見えるようなことも努力としては必要なのかなということを改めて思ったんですけれども、谷先生、谷参考人から、こういう工夫やこういう努力がもっとできるんじゃないかと、立法府に対する議員立法するときの御意見、御提言ございましたらお願いしたいと。

○参考人(谷隆徳君) ありがとうございます。
 おっしゃられたとおり、見える化というのがとても重要だと思います。そして、議員立法の場合、いわゆる閣法と違うのが、自治体に伝わるのが遅いというか、最後の段階で、また、自治体側から意見を吸い上げるというプロセスが、一般的な閣法に比べると、もしかするとしっかりとないのかなと。事前情報通達制度みたいなもの、地方自治法上ございますけれども、議員立法でもそういう、なるべく早い段階で、私たちはこういうことを考えていますと、それに対して自治体はどう考えるのかというようなやり取りをすると随分違うのではないのかなというふうに私は思います。

○倉林明子君 広域化の問題で水道とか消防とか動きもあるので、本当はお聞きしたかったんですけれども、時間が参りましたので終わります。
 ありがとうございました。