倉林明子

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在宅死リスク高める 「入院制限撤回せよ」(2021/8/5 厚生労働委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は5日の参院厚生労働委員会で、政府が新型コロナウイルス患者の入院を制限し、重症患者や重症化リスクのある患者以外は自宅療養を基本とするよう方針転換したことについて「在宅死リスクを高めることになる」と述べ、撤回するよう迫りました。

 倉林氏は、第3波の首都圏や第4波の関西では、自宅療養を余儀なくされた多くの人の命が失われたことを指摘しました。田村憲久厚労相は「(病床を)適切に配分できる形をつくりたい」などと方針転換を正当化しようとしましたが、倉林氏は、東京では必要な患者が入院できず、保健所もパンクし、救急車を呼んでも搬送先が決まらない実態が生まれていることを強調。「(政府の方針転換は)こういう“医療崩壊”寸前の現状を政府が容認していることに他ならない」と批判しました。

 そのうえで、倉林氏は「政府が緊急にやるべきは、検査の抜本的な拡充によって新規感染者数を減らすことだ」と指摘。検査体制整備計画によれば、1日当たりの検査能力は通常で61万件、緊急最大時は77万件を見込んでいるにもかかわらず実施されていないとして、「感染拡大の予兆をつかむためには検査拡充の戦略が欠かせない」とただしました。

 ところが、田村厚労相は「検査が根付く文化をつくっていかなければならない」などというだけ。倉林氏は「デルタ株の感染力が高いことがはっきりしてきた。いかに早く感染者を見つけ、隔離・保護していくかが、新規感染者を抑える道だ」と強調しました。


広島県のリーフレット


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 昨日来、原則在宅の方針転換だというふうに指摘も重ねて出ております方針転換について、私の方からも質問したいと思います。
 今日の議論聞いていて改めてよく分かりましたのは、感染拡大が急増している、爆発的に広がっている下でキャパが、受入れキャパが本当になくなっていると、宿泊療養施設もいっぱいなんだと、だから出てきたという背景はよく分かりました。
 しかし、この結果どうなるかといいますと、在宅で管理せざるを得ないという患者、感染者がやっぱり増えるんですよね。それは間違いないことです。そうなるとどうなるかといいますと、いろんな違いはありますけれども、全体が急増しておりますので、同様のことが懸念されるということで申しますと、第三波の首都圏、第四波の関西で一体何が起こったかということです。結局、自宅療養を余儀なくされた多くの命がやっぱり失われているんですよね。これ現実です。京都では、既往歴もない、基礎疾患もないような二十代の方が自宅で亡くなりました。大阪では十九人、全国で百十九人ということでつかんでおられるものの在宅死があったんだということです。
 これ、在宅が原則基本、自宅療養を基本ということが明記されているんですね。そうなりますと、これ、在宅死リスクは確実に高まることになるというのは、私はこれ事実として押さえておく必要あると。いかがでしょう。

○国務大臣(田村憲久君) 今回の考え方いかんにとらわれず、感染者が増えるとそうなるという話でございます。
 我々、今回の考え方は、そのときに、状況としては、ある資源は変わらないわけです。もちろん徐々に増やしていきたいとは思っていますけれども、変わらない中で、そこをうまく最適化をするためにはどうすればいいかということの御提案をさせていただき、各自治体の御判断でやっていただきたいということであるわけで、感染が増えれば、どういう状況であれ、今回のこういうような通知を出そうが出すまいが、病床は当然いっぱいになる、ホテルの宿泊施設もいっぱいになる、あとは在宅になる。そして、ホテルの重症化したときの病床が確保できていなければ、仮にお訴えになられてもそこに入れなくなるということでございますので、そこはやはり感染をどのように防いでいくのか、これを抑えていくのか、これ以上の伸びというものを、伸び方を、少なくとも伸びるにしてもどう抑えていくのか、こういうことをやっていかなければならないということであるというふうに考えております。

○倉林明子君 そこが具体的に、じゃ、どうなんだというところ見えていないと、伝わっていないと思いますね。私は見えていないと言いたいと思います。
 やっぱり在宅、自宅療養基本ということになった場合、三波、四波で起こったこと指摘しましたけれども、早期発見、早期治療ということでやっぱり漏れが出て、重症患者を増やしかねないということなんですよね。そこに対する明確な手だてという点でも一緒に出されているとは言い難いと思うんです。こうしますから自宅療養でも医療につなげていきますというところが手だてが見えていないですよ。
 重症者以外は自宅が基本ということについては、大臣説明されています、病床の余力を確保するためなんだと。この方針によって、方針変えたことによって重症病床が増えるわけでもないですよね。中等症や軽症用の病床を増やすものでもないということになると思うんですね。じゃ、どうやってこれ余力を確保することになるんでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) これ、今まだ確保病床に対して満杯までは東京都は来ておりません。五十数%だと思いますけれども、もちろんこれ五〇%を超えてくるとなかなかミスマッチが生まれてきますので、入りづらくなってきます。どんどんどんどんそれが加速していって、最終的には先ほど委員がおっしゃられたような形になって、在宅で急に悪くなっても病院に入れないという形が生まれてきます。
 そこで、そこの病床の中に入っていただいている患者の中において、在宅で対応できる方、自宅で対応できる方はそこに、自宅に療養いただく。それに対してのいろんなフォローはしていきます。それは今まで東京も体制を整備してきました。で、悪くなられれば、本当に急変されれば、それは当然入っていただく。そういう意味で、適正化をしていくといいますか、適切に配分できるような形をつくりたい。
 ただ、これも、先ほど来申し上げておりますとおり、今のような感染状況が続きますと、もう本当に病院に入らなきゃいけない人ばっかりになっちゃえばもう病床が埋まっちゃいますから、やはりもう自宅で急変された方が入れなくなっちゃう。だから、あくまでもこれは、それまでの間、何とか病床を確保していく、急に悪くなられた方々が入っていただける、そういう対応をお願いをさせていただいていることでございますので、元に戻りますが、やはり感染状況を何とかしていかないと、どこかでは早晩、今委員が言われたような状況が起こらないとも限りませんから、それも踏まえた上で我々としては検討させていただいているということであります。

○倉林明子君 今、その数字の上では五〇パーという、超えたところだと思いますけれども、じゃ、余力が今あるのかということを言いたいと思うんですね。
 今、東京の現状どうかと。入院の必要な人が入院できていますかという状況は起こっていますね。保健所もパンクしていますよ。救急車も呼んでも搬送先見付からないと、こういう状況、既に起こっていますから。在宅の方がどんどん増えています、方針転換にかかわらず、有無にかかわらず。そこには食事さえ届いていないという状況が、急激にやっぱり悪化しているんですよね。
 こういう状況があるのに、まるで余力があるような方針になっているんです。方針として受け止められたんです。そこはしっかり認識してほしいと思うんです。医療崩壊、要は、今でもぱんぱん、今でも余力どこにもないと、在宅になっている人には御飯さえ届かないと。こういう状況を医療崩壊寸前と、もう医療崩壊入りつつあるということになっているということを認識すべきだと私は言いたいと思うんですね。
 こういう状況を逆にこの方針出すことによって政府が容認しているということにほかならぬということが現場での受け止めになっているから、物すごい反発出ているわけですよ。乖離があります、余力という受け止めについては。現場を見るべきだと、現場の実態をよく踏まえた方針とすべきだと。
 改めて私からも、この方針については一旦撤回をすべきだということを強く申し上げておきます。
 医療機関は、もう既に第五波の前からワクチン、通常のコロナの対応もしてきました。ワクチン接種に一生懸命協力してもらってきました。その上、オリンピックの要請にも応えて派遣しています。ボランティアで行こうと思っていたけど行けなくなったという人たちもいます。医療従事者に対する負荷はずうっと継続しているし、ワクチンに加えて、そしてオリンピックというものが現場に与えている負荷ということにつながっているんですね。
 私、改めて、このオリンピック、パラリンピック続けてあります、こういうところで負荷を掛けているということから見ても、オリンピック中止ということを今からでも判断すべきだということは申し上げておきたいと思います。
 先ほど来、田村大臣からもおっしゃいました。いかに感染を抑えていくのか、そこでどう具体的な手だてを見えるように、伝わるようにしていくのか。私は、やっぱり検査をどうするのかという点で、見える化、こういう方針でやっていきますということを示すべきだと思うんですね。
 これ、七月三十日に総理が記者会見されました。そこで尾身会長おっしゃいました。検査のキャパシティーも去年と比べると圧倒的に増えているということです。PCR、抗原、圧倒的に増えたという御発言だったので、確認をさせてください。PCR、抗原定量、抗原定性、簡易キットのことですね、これ含めて現在の一日の最大のキャパ、検査の可能数というのは何件になっているでしょうか。

○政府参考人(正林督章君) お答えします。
 直近の一日の検査分析能力は、PCR検査で約三十万件、抗原定量検査で約四・五万件となっております。

○倉林明子君 これ、一日の検査能力を十分にいまだに活用できてないという実態は言うまでもないかと思うんですね。
 これ、検査の整備計画というものをそれぞれの都道府県に積み上げていただいて、五月の時点で確認されています。既に、その検査体制の整備計画によりますと、検査能力は、通常最大ということでいうと一日六十一万件できると。これはキット含めての数になっています。緊急最大時では七十七万件という数字が出てきているんですね。だから、もっともっとできるという尾身会長の発言の根拠というのはあると思うんです。
 尾身会長はこうおっしゃいました。ちょっとでも具合が悪い人がいれば、あるいは感染の心配のある人、これ症状のない人ですね、は、職場であろうが学校であろうが地域であろうが、どこでも気楽に検査できる体制を国、自治体がその気になればできるはずなのですと、これを一生懸命、是非やっていただきたいと、これが我々の望みだとおっしゃいました。
 今こそ、ここ応えるべきだと思います。いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) おっしゃられるとおり、特に抗原検査キットですね、これがまだ国の方に潤沢にあるということもございましたので、医療機関、高齢者施設等々への配布、これ七月二十七日時点で四百五十万回分、これ順次配送中であります。それから、学校への配布、大学等四千七百校からも約四十五万回分のニーズがありまして、これ七月二十九日から配送作業を開始をいたしております。
 職場においても、抗原検査キットを用いた検査、これ医師の方々が一定程度関与、まあ連携医療機関という話になると思いますけれども、そういう形で対応いただくと思いますけれども、こういう方々に対しても運用の改善等々をする中においてお使いをいただきたいということで、我々としてはしっかりと今情報提供をさせていただいておる最中であります。

○倉林明子君 それ、一体どのぐらいになっているかというのはまだつかめていないんですよね。実際に配ったけどもどのぐらい使われているか、そしてどのぐらい有効に検査効いているのかというのもつかめていない。私は、そういう点ではやっぱり遅れていると思います、検査戦略は。
 モニタリングの検査について言えば、目標は一日一万件でした。ところが、これ検査数は六月末をピークにして減少傾向です。直近で見ますと、これ下がってきて、一日二千四百件しかできていませんよ。感染拡大の予兆をつかめるという水準には到底なっておりません。
 抗原のキットの状況というのもさっき紹介したとおりで、ここに、やっぱりこの戦略で予兆をつかんで新規感染者数を抑えていくというところにつなげていくには抜本的な検査の拡大が必要なんですよ。それをしっかり国としての方針としていまだ持てていないと、ここを強調して、しっかり今こそ持つべきだということを言いたい。
 最後に、自治体によっては様々な検査戦略を持って取り組んでいるところがあります。今日資料お付けしました広島です。いろんな批判もあったけれども、感染しない、させない、持ち込ませないということで、繰り返し、検査の拡充の戦略を持って取り組んでおられるんです。
 こういう取組については横展開もして、目標を持って実績を上げるということで取り組んでいただきたいと思います。どうでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) これ、広島はこういう試みをされておられるということで、国といたしましても、これ、北海道、沖縄、福岡に向かう便、搭乗便の搭乗前モニタリング検査、こういうものをやっております。
 実際、政府では、北海道、福岡県、沖縄県の方々に、今なるべく県境を越える移動はお控えいただいているんですけれども、やむを得ず移動をされる方々の安心を確保していくということで、夏季期間中、羽田空港から北海道、沖縄県内の空港それから福岡空港へ向かう便の搭乗者に対して無料のPCR検査、抗原定量検査を行って感染状況をモニタリングしているんですが、一応、これ七月の二十日から八月の一日まで、対象路線の搭乗者総数二十八万人なんですが、一・二万人しか応じていただけないということで、これが、前から私は申し上げているんですけれども、なかなか、機会があっても、感染が分かったことによっていろんなその方の御生活にも影響が出るということもあって応じていただくのがなかなか難しいという現状もあるのは確かでございます。
 これからもしっかりと検査等々を根付くような文化を我々はつくっていかなきゃならないというふうに思っております。

○倉林明子君 文化の問題にせず、やっぱりきちんと検査ができると、徹底してやると。デルタ株の感染拡大能力すごく高いとはっきりしてきたので、早くいかに感染者を見付けて隔離、保護していくかと、これが新規感染者を抑えていくという道だと改めて申し上げて、終わります。