倉林明子

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命守れぬ病床削減法案 感染症対応常時確保 長時間労働是正こそ(2021/4/16 本会議)

(議事録は後日更新いたします)

 「病床削減推進法案」が16日の参院本会議で審議入りし、日本共産党の倉林明子議員が、コロナ禍で浮き彫りとなった日本の脆弱(ぜいじゃく)な医療体制の抜本的な拡充・人員増こそが必要だと主張しました。

 倉林氏は、病院統廃合や病床削減への財政支援の法定化に対し、稼働率が高い病床の削減ほど消費税増税分を充てた補助金が高いと指摘。増税は社会保障の充実が理由なのに、「稼働率が高い病床をなくして、なぜ“充実”か」とただしました。

 田村憲久厚生労働相は、昨年度の補助で計3千床が削減されると答え、人口減少を口実に「質の高い医療提供体制を維持するためだ」と強弁しました。

 倉林氏は「救える命を守れない事態を再び招くな」と声を強め、感染症を想定していない「地域医療構想」での病床削減の再検証や、436の公立・公的病院への再編統合の検討要請の撤回が必要だと強調。感染拡大時に必要な医療施設・人員を一定規模で常時確保すべきだと求めました。

 さらに、医師は異常な長時間労働で過労死・過労自死に追い込まれていると告発。過労死ラインの倍近い長時間労働を容認する同法案に対し、「誰か死んでも仕方ないのか」という遺族の悲痛な声を突き付けました。

 田村厚労相は過労死根絶の思いには答えませんでした。

 倉林氏は「長時間・過重労働は絶対的医師不足によるものだ」と強調。特に女性は出産や子育てで常勤を続けられなくなる実態から、「異常な働き方が女性差別の構造を生んでいる」として抜本的増員などを重ねて求めました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表して、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案について、厚生労働大臣に質問します。
 新型コロナ感染症は、都市部にとどまらず各地で急激に拡大し、病床の更なる逼迫は避けられない状況です。
 第三波では、深刻な病床不足に陥り、入院を待つ間に自宅や高齢者施設で亡くなる方が相次ぎました。多くの患者が行き場を失い、命の選別を迫られる事態に追い込まれました。このような事態を招いた要因は、病床も機材も人材も確保が困難、脆弱な医療体制にあるとの認識はありますか。
 医療従事者は、一年以上もの間、極度の緊張状態と厳しい労働環境に加え、いわれない差別にもさらされ続けています。医労連の調査では、いまだにN95など医療用マスクすら使い捨てにできず、ぼろぼろになるまで使っている、コロナ患者と間近に接しながら一度も検査していないなど、悲痛な声が寄せられています。
 今すぐ、十分な感染防護具を全ての医療現場に届けること、赤字に陥っている医療機関に減収補填を行うことを強く求めます。お答えください。
 法案は、コロナ禍における医療危機を受け、医療計画に新興感染症拡大時の医療提供体制を位置付けるとしています。全世代型社会保障検討会議も、有事に機動的かつ効率的に対応を求めています。政府が想定する効率的な対応とは、現在の病床やマンパワーはそのままに、迅速に切り替えろということではないですか。
 重症者対応では、一人の患者に通常の急性期入院の七倍から十倍の体制が必要とも言われています。コロナ病床以外の病床でも、人手不足が深刻化し、疲弊は極限に達しています。救える命を守れない事態を再び招くことのないよう、パンデミック時に必要な施設、人員を一定規模、常時確保することを感染症対策の基本にすべきではありませんか。
 法案は、各地で医療提供体制が再度逼迫する危険が迫る中で、病床削減のための財政支援を法定化しようとするものです。
 二〇年度、病床機能再編支援補助金の申請額は三十三県六十億円に上ります。補助金は、削減する一病床当たり百十四万円から二百二十八万円を交付するものです。都道府県から申請された病床の合計は何床ですか。
 補助金には社会保障の充実を理由に増税した消費税百九十五億円を充て、補助単価は稼働率が高い病床ほど高く設定されています。各地で入院医療体制が逼迫し、広く地域の医療連携体制の確立が求められています。入院できない患者が再びあふれる危険がある中で、稼働率の高い病床を今なくすことがなぜ社会保障の充実なのですか。説明を求めます。
 地域医療構想における二〇二五年の病床必要量は、新興感染症のパンデミックを想定せず、高度急性期、急性期を中心に約二十万床削減するものです。新興感染症の感染拡大時、一般医療と両立し命が守れる必要病床数の再検証が必要ではありませんか。
 病床削減は医師、看護師の人員体制にも連動します。病床削減支援は廃止し、その予算は、コロナ禍で苦闘する医療機関、医療従事者に回すべきです。四百三十六の公立・公的等病院の名指しをして病床削減を求める再編統合リストラの撤回を強く求めます。お答えください。
 法案は、高度な専門医療などを行う重点外来を報告させ、かかりつけ医と分別する外来機能報告制度を新設します。この重点外来のうち一般病床二百床以上の病院は、紹介状なしで初診した場合、窓口定額負担の徴収が義務付けられようとしています。どのような病院が該当するのか、その基準と病院数の見込みをお答えください。
 一八年の財政審建議では、かかりつけ医以外を受診した場合、定額負担を徴収するよう求めています。今回の措置がその突破口になりかねません。負担額は五千円以上と高額であり、特に、医療機関が限定される地域では受診抑制を招きかねません。負担増はやめるべきです。いかがですか。
 医師の働き方改革について質問します。
 我が国の医療現場は、医師の異常な長時間労働によって支えられています。その結果、多くの医師の健康が破壊され、過労死、過労自死に追い込まれています。医師の労働時間規制の原点は、過労死の根絶だったはずです。
 政府は、全ての勤務医に年九百六十時間という時間外労働上限を設けるとともに、年千八百六十時間の特例を認めるとしています。小児科医である夫を過労死で亡くした中原のり子さんは、医師の働き方改革に関するヒアリングで、一部の医者だけ取りあえず千八百六十時間というのは、取りあえず誰か死んでも仕方ないのかと批判しています。この訴えにどう答えるのですか。
 全国医師ユニオンは、年間約六十人もの医師が過労死ラインを超えた労働で突然死や自死している可能性を指摘しています。九百六十時間は過労死ラインであり、その二倍に当たる時間外労働を容認することは、現状の異常な働き方を合法化するものにほかなりません。これで医師の過労死をどう根絶するのか、明確な答弁を求めます。
 法案は、千八百六十時間が上限となる特定労務管理対象機関に対し、医師の健康確保措置として面接指導、連続勤務時間制限、勤務間インターバル規制、代償休息を実施することを求めています。
 全国医師ユニオンが実施した二〇一九年の医師の長時間労働・無給医ホットラインでは、残業代不払、賃金不払の相談が多数寄せられています。医師の健康確保措置の前提となる労務管理が徹底されていない実態がある中で、健康確保措置の実効性をどう担保するのですか。
 特に、兼業、副業の労働時間について、自己申告では労働時間の適正な把握はできません。病院が責任を持って客観的時間管理を行うことを義務付けるべきではありませんか。
 医師の負担軽減のためにタスクシフトを進め、臨床放射線技師等四職種の業務を拡大するとしています。しかし、医師以外の職種でも長時間労働や夜勤交代制による厳しい労働実態の改善を求める声が上がっています。人員体制を拡充しないまま業務移管を進め、医療の質、安全性はどう確保するのですか。答弁を求めます。
 我が国は、医師数のみならず、医師養成数もOECD諸国の最下位グループに属しています。OECD平均の医師数平均は十万人当たり三百五十人であり、その水準に達している都道府県はありません。過重労働は、絶対的な医師不足によるものにほかなりません。
 医師の働き方を改善するためにも、医学部定員数の削減方針は中止し、医師数の抜本的増員に向けて早急にかじを切るべきです。お答えください。
 日本の医師の長時間労働は、健康被害はもとより、女性医師が出産や子育てを機に常勤医師を続けることができない要因にもなっています。二〇一八年には医学部入試で女性差別があったことが明らかになりました。異常な働き方を前提とする環境こそが、女性医師を差別する構造を生んでいるのではありませんか。
 医師は、医師である前に一人の労働者であり、一人の人間です。医師の人権を守るとともに、患者の安全を守るために、労働時間の上限規制は、せめて他の職種と同水準とすべきです。異常な働き方を改め、医師が人間らしく働ける本当の働き方改革を求めて、質問を終わります。

○国務大臣(田村憲久君) 倉林明子議員にお答えをいたします。
 新型コロナウイルス感染症対応における病床不足の原因についてお尋ねがありました。
 医療提供体制については、年明け以降の急激な感染拡大を受けて大変逼迫した状況が続いていたと認識しております。
 新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制については、刻一刻と状況が変化し、予想を超えるスピードで感染が拡大する中で、局所的な病床数不足の発生、感染症対応を含めた医療機関間の役割分担、連携体制の構築といった課題が浮き彫りになったというふうに考えられております。
 今回の改正法案においては、医療計画の記載事項に新興感染症等への対応を追加することとしており、感染症拡大時に機動的に対応可能な体制を構築してまいります。
 医療現場への個人防護具の配布と医療機関に対する財政支援についてお尋ねがありました。
 マスク等の個人防護具については、医療現場での需給の逼迫した状況に鑑み、これまで国内増産等による供給力拡大や国が直接調達して必要な医療機関に無償で配布を行うなどの取組を実施してまいりました。特に、N95等マスク、非滅菌手袋については、依然として十分な量の確保が困難な医療機関があるため、都道府県を通じた無償のプッシュ型配布を継続しているところであり、引き続き需給状況を注視しながら、必要な配布を行ってまいります。
 また、医療機関への財政支援については、これまで医療機関支援として総額四・六兆円の予算を措置するとともに、診療報酬についても大幅な引上げや診療時の一定の加算などに取り組んでいるところであり、引き続きしっかりと行ってまいります。
 医療計画に関し、新興感染症拡大時の対応と平時からの備えについてお尋ねがありました。
 今般の新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、感染拡大防止のためのゾーニングの実施やマンパワーの配置の工夫により、既存の一般病床を活用することが有効であるとの知見が明らかとなっております。
 こうした知見を踏まえつつ、新興感染症等の感染拡大時に必要な対策が機動的に講じられるよう、平時からあらかじめ備えておく観点から、医療計画における具体的な記載項目について、感染症患者の受入れに活用しやすいゾーニング等の実施に配慮した一般病床等の確保、感染管理の専門性を有する人材等の確保等の内容を定めることを想定しており、今後、詳細な検討を進めてまいります。
 病床機能再編支援事業に関する対象病床数と社会保障の充実との関係についてお尋ねがありました。
 令和二年度の病床機能再編支援事業に関し、都道府県から申請があり、支給対象となった病床数は合計三千七十床であります。
 本事業は、単なる病床削減を目的としたものではなく、人口構造の変化を見据えて病床機能の分化、連携を進め、質の高い医療提供体制を維持するためのものであり、社会保障の充実という消費税の目的に資するものと考えております。
 地域医療構想における病床の必要量についてお尋ねがありました。
 地域医療構想は、中長期的な視点に立ち、将来の医療需要を推計した上で、これに見合った体制の構築を目指すものであり、今後の中長期的な高齢化や人口減少の見通しに大きな変化がない中では、病床の必要量の推計など基本的な枠組みを維持しつつ、着実に取組を進めていくことが重要と考えております。
 病床機能再編支援事業と公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証に関する取扱いについてお尋ねがありました。
 病床機能再編支援事業については、関係団体から本事業の継続に関する御要望もいただいている中、病床機能の分化、連携に向けた取組を進めている医療機関等に対する重要な支援として継続する必要があると考えております。
 これとは別に、今般の新型コロナウイルス感染症への対応において、医療従事者の支援を含めた医療機関支援として、これまで、総額四・六兆円の予算を措置しております。
 また、公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証に当たり国からお示しした公立・公的医療機関等の診療実績の分析結果は、それぞれの地域において今後の医療機能の在り方を考えていただく際の材料としてお示ししたものであり、病院が将来担うべき役割等については、地域の実情も踏まえつつ、地域でしっかりと御議論いただきたいと考えております。
 医療資源を重点的に活用する外来の基準等及び初診時定額負担についてお尋ねがありました。
 医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関の基準については、今後、地域医療の担い手や患者の立場からの意見等を伺いながら検討することとしております。該当医療機関の数については、こうした基準や地域における協議の場での協議等によることとなります。
 また、紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担の仕組みについて、該当医療機関のうち一般病床二百床以上の病院に拡大することは、まずはかかりつけ医機能を担う身近な医療機関で受け、必要に応じ紹介を受けて他の医療機関を受診し、逆紹介によって身近な医療機関に戻るという流れをより円滑にするという観点から、必要な取組であると考えております。
 医師の時間外労働の上限規制等についてお尋ねがありました。
 今回の改正法案に盛り込んでいる時間外労働の上限に関する特例水準は、病院勤務医の時間外労働の調査結果において上位一〇%が年間一千八百六十時間を超えていたことを踏まえ、医療関係者のみならず、学識経験者や労働者を代表する団体も参画した検討会において議論を重ね、まずはこうした著しい長時間労働を是正していく必要があるという観点から設定されたものであります。
 長時間労働の是正を進め、医師が健康に働き続けることができるよう、今回の改正法案では、やむを得ず長時間労働を認める医師の対象範囲を限定した上で、連続勤務時間の制限等の健康確保措置を実施することとしております。
 さらに、この特例水準は二〇三五年度末を目標に解消していくこととしており、この目標の達成に向け医療の現場における労働時間短縮の取組が進むよう、必要な支援を行ってまいります。
 医師の労務管理と健康確保措置についてお尋ねがありました。
 本法案においては、特例的な時間外労働の上限が適用される医師について、医療機関が追加的な健康確保措置を講ずることとしておりますが、都道府県が追加的健康確保措置の実施体制、実施状況を確認し、必要な助言、指導、支援を行うことで履行確保を図ることとしております。
 あわせて、三六協定においても追加的健康確保措置について定め、労働基準監督署においても実施状況の確認を行い、取組が不十分な場合には都道府県とも情報を共有する予定としております。
 また、副業、兼業を行う医師については、一般の労働者と同様に、本人の申告等に基づき把握した時間を通算することによる労働時間管理を行うこととしておりますが、医療機関に対し労働時間管理の必要性等を周知し、医療機関から医師に対し適切な自己申告を促すようにすることで、医師が自身の健康を確保しながら働けるように努めてまいります。
 タスクシフトについてお尋ねがありました。
 タスクシフト、タスクシェアの推進の検討に当たっては、安全性の担保の観点も踏まえて検討を行ったところであり、養成カリキュラムの見直しや卒後研修の実施により医師の、医療の質や安全性を担保しながら推進することとしております。
 また、タスクを受ける側の医療関係職種の余力の確保のため、ICTの導入等による業務全体の縮減、現行の業務の担当職種の見直しによる一連の業務の効率化などにも併せて取り組むことが必要と考えており、そうした観点も含め、タスクシフト、タスクシェアの推進についての好事例の収集、分析、周知などに取り組んでまいります。
 医療養成数についてお尋ねがありました。あっ、失礼しました。医師養成数についてお尋ねがありました。
 医師養成数については、平成二十年度より地域枠を中心に段階的に医学部定員を臨時に増員してきたことにより、現在、医師数は毎年三千五百人から四千人ずつ増加しており、令和九年頃には現在のOECD加重平均の水準に達することが見込まれます。
 一方で、医師の養成には八年もの期間を要することから、中長期的な観点で考える必要があります。直近の需給推計では、人口減少に伴い将来的には供給過剰となることが見込まれており、今後の医師増加のペースについては検討が必要であることから、今後の医師養成数の方針については、医師の需要推計に基づき、自治体等との御意見も丁寧に伺いながら議論を進めてまいります。
 長時間労働と女性医師についてお尋ねがありました。
 これまでの我が国の医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられてきた側面があります。将来にわたって持続可能な医療提供体制を維持するためには、医師の働き方改革を進めていくことが必要であるため、今回の改正法案を提出いたしました。
 現在、医師の約五分の一、医学生の約三分の一が女性であり、妊娠、出産等によりキャリアを中断せざるを得ない場合もあることから、特に、女性医師がキャリアとライフイベントを両立させ、希望に応じて働き続けることができる環境を整備することは、医師の働き方改革を進める上でも必須の課題と認識いたしております。
 こうしたことから、今回の改正法案に基づく長時間労働の是正や健康確保の措置に加え、院内保育や病児保育環境整備、男性の育休取得も含めた医療機関内の意識改革をすることで、子育て世代の医師の支援を行ってまいります。
 以上でございます。