倉林明子

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「宣言」解除めぐり質疑  倉林氏 戦略的な検査今こそ(2021/3/18 議院運営委員会)

 衆参両院の議院運営委員会は18日、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の解除にあたって政府から事前報告を受け、質疑を行いました。日本共産党から塩川鉄也衆院議員と倉林明子参院議員が質問に立ちました。

 倉林氏は、高齢者施設の職員に対するPCR検査を6月末までにもう一度行うとする政府方針について、「定期的にやって初めて意味がある。少なくとも2週間に1度の規模に引き上げるべきだ」と指摘。西村康稔担当相は、検査規模の拡大には言及せず、倉林氏は「感染者が減少している今こそ、戦略的に取り組むことが必要だ」と迫りました。

 また倉林氏は、政府が実施するモニタリング検査の目標1日1万件は不十分であり、予算措置が45日分程度にとどまるとし、「感染の予兆をつかむなら1日10万件に引き上げるべきだ」と指摘。政府の基本的対処方針に、変異株を調べる検査を新規感染者の40%に引き上げるよう明記したのは「一歩前進だ」としつつ、「さらなる引き上げの方向で取り組むべきだ」と強調しました。西村担当相は「まずは40%を目指す」と述べるだけで、さらなる目標引き上げは語りませんでした。

 倉林氏は、「検査目標の思い切った引き上げと十分な財政措置を行うべきだ」と要求。菅首相は「従来の検査を大幅に拡大し、戦略的な検査を実施する」と述べましたが、具体的な目標引き上げには言及しませんでした。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 新規感染者数が八割減だということで、この点での大幅な改善はあったということなんだけれども、一部やっぱりリバウンドの兆候ということも見られますし、変異株の増加傾向については大きな懸念があるところです。それでもやっぱり解除するということになった理由、そして、どうすればこれ新規感染者数減らすことができるというふうにお考えなのか、御説明を。

○国務大臣(西村康稔君) 今回解除させていただいた大きな理由の一つは、病床の確保が、五〇%以下の基準が三〇%台まで、以下まで落ちてきておりますので、しっかりと病床を確保できるということであります。
 そして、本日、諮問委員会でも議論のあったところでありますけれども、確かに、足下、感染者の数、新規陽性者の数が微増、やや増加傾向にありますが、このレベルで制御していこうと。しっかりとモニタリング検査をやり、そしてクラスター対策をやり、必要があればまん延防止等重点措置で、その範囲で抑え込んでいく。これで制御できるように、これが東京でいえば今は三百人ですけれども、また千人、二千人にならないようにしっかりと対策を講じることによって、この範囲で抑えていこうということで対応するということで御了解いただいたところであります。

○倉林明子君 本当に大規模検査を実施する、この検査戦略と実行体制、どう確立していくのかって、本当大きな課題になっていると思います。
 三月末までに実施するとしている高齢者施設での職員に対するPCR検査、これについては、政府は四月―六月で更に一巡ということが示されていますけれども、これ、定期的に続けてやって初めて意味があるという指摘は専門家からも声上がっているところです。
 私、少なくとも二週間に一度、こういう規模に引き上げていくべきだと思います。いかがでしょうか。

○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、高齢者施設のクラスターが多いものですから、多発しておりますので、この従事者の集中的検査、今月中に終えるということで、着実に今進展をしているところであります。
 そして、その他の自治体も含めて、御指摘のように、四月から六月にかけてもう一度定期的にやるという計画を作っているところでありますけれども、いずれにしても、状況を見ながら、専門家からも定期的な検査ということを言われておりますので、厚労省を中心にしっかりと対応していければというふうに考えております。

○倉林明子君 私、重症化リスクの高い高齢者施設にとどまらず、今、高齢者施設だけです、医療機関、福祉施設、さらに、子供にも感染拡大のリスクがあるということで、変異株の問題も指摘されているところです。こういう定期的な検査に、感染者数が減少している今だからこそ、戦略的に取り組むべきだということを申し上げたい。
 そして、感染の予兆を把握するためのモニタリング検査、これ十三都府県で目標一日一万件、余りにもこれ不十分だと指摘せざるを得ないと思うんですね。内閣委員会でも指摘させていただきましたが、現状では、予算措置、これ四十五日分程度に、一日一万としてですね、とどまっているということです。これ、本気で予兆をつかもうという戦略を持つのであれば、モニタリング検査というのは一日十万件、もっと超えてもいいと思うぐらいですけれども、目標に引き上げるべきだというふうに思います。どうですか。

○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、まずは一日一万件程度を目指して今それぞれの都道府県と調整をしているところであります。民間検査機関も活用することとしておりますので、その検査機関との調整、検査能力なども含めて、まずは一万件を目指していきますが、その後、変異株の状況なども見ながら必要な量を確保し、また、適切な場所でしっかりと予兆をつかめるような検査を行っていきたいと思います。あわせて、行政検査とか独自にやられている民間の検査のデータなども含めて、人工知能なども使って分析をして、予兆をつかんでいきたいというふうに考えております。

○倉林明子君 これは、変異株の問題でも新たな数字は今回対処方針の中に盛り込まれました。PCR検査とゲノム解析で陽性者の四〇%まで引き上げていこうという数値目標が出たというところは私は一歩前進だというふうに思うんだけど、これ四〇%でいいのかということあります。これも、新規陽性者数が減っているわけですから、更に引き上げるという方向性で取り組むべきだと思います。いかがでしょうか。

○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、変異株のスクリーニング検査でありますけれども、そもそも陽性者の数が少ないところは全数やったり、一〇〇%やっているところもあります。神戸市も六割、七割やっております。他方、検査数、陽性者数が多いところはなかなか全てまではできないというところでありますけれども、統計上は一割程度やればそれなりの動向は、それで統計学的には把握できるということだと思いますけれども、御指摘のように、国民の皆さんの安心のためにもまずは四〇%を目指してしっかりと対応していきたいと、これ平均でということでありますので、やっていきたいというふうに考えております。

○倉林明子君 とりわけ、やっぱり感染者の多いところでの陽性者数に対するこの変異株を捉えるということを、これ急いでやる、急いでやるべきところでもあるという認識をしっかり持っていただきたい、そこに戦略を持っていただきたいと思います。
 緊急事態宣言解除に当たって、政府の検査戦略ということでいえば、一定、目標数は出てきたけれども、まだ専門家が求めている検査戦略には程遠い、不十分だという指摘せざるを得ないと思うんですね。
 私、総理に最後お願いしたいんだけれども、この検査目標の思い切った引上げ、そしてそれを可能とする財政措置、これを行うように決断を求めたいと思います。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 宣言の解除に当たっては、これまでの経験に基づいて、専門家の意見も踏まえながら、感染の再拡大を防ぐために五本の柱から成る総合的な対策を決定して、自治体と連携して着実に実施をしていく、このことになっています。
 こうした中で、従来の検査を大幅に拡充をし、感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査をしっかりと実施するつもりです。地域での感染拡大の予兆をつかむためのモニタリング検査、これを国が直接行うとともに、これまでも度々クラスターが生じていた高齢者施設などにおいて、来月から改めて集中的、定期的な検査を実施することにしています。
 なお、こうした検査を含め、新型コロナの行政検査については実質的に全額国の負担として行うことにしており、引き続き検査を受けやすい環境をつくっていきたいと思います。

○倉林明子君 やっぱり専門家が求める水準で今から本当に検査の戦略を大幅に引き上げていくと、これが予兆をつかんで感染拡大の防止の決定打になるんだと強調して、終わります。