倉林明子

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医療崩壊・解雇止めよ 償還免除迫る(2021/3/22 厚生労働委員会)

 日本共産党の倉林明子議員は22日の参院厚生労働委員会で、コロナ禍のもとでの医療提供体制の強化や雇用を守る手だてを早急にとるよう求めました。

 倉林氏は、医療機関の経営問題は、コロナ対応に欠かせない医療の連携協力体制強化の最大の阻害要因だと指摘。減収に苦しむ医療機関は新型コロナ対応融資を活用しているが、このままでは債務超過は避けられないとの声があがっているとして、医療機関を守るため、償還免除の仕組みを早急に検討すべきだと迫りました。

 田村憲久厚労相は「状況を把握しながら、さらなる支援の必要があれば、しっかり対応する」と答えました。

 倉林氏は、年度末の解雇・雇い止めが増加し、とりわけ非正規雇用労働者が雇用調整の対象にされる事態が懸念されるとして「非正規の優先解雇はあってはならない」と強調。田村厚労相は「客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は無効だ」と答弁しました。

 倉林氏は、失業給付の現状は「セーフティーネットとして極めて不十分だ」と指摘。給付水準の抜本的な引き上げとともに、雇用保険の財源が不足しないよう国庫負担の引き上げを求めました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
 コロナの第四波に備えた病床確保を進めていくということで、医療連携どうつくるのかと、これやっぱり大きな課題だと、これ共有できると思います。療養施設とか在宅療養に対しては地域の診療所、これ更なる協力も欠かせないと。第三波で明らかになった教訓というのの大きな教訓が医療連携、これどうつくっていくかという必要性だと思うんですね。まず、大臣の認識を聞いておきたい。

○国務大臣(田村憲久君) おっしゃられるとおりでありまして、感染拡大した中での対応、まあ少ないうちは医療機関に軽い方々もという、これ都道府県においてはそういうような自治体もあります。それが感染を防いでいく一つの方法だと。
 しかし一方で、感染が広がり出すと、なかなか、ベッド自体が埋まってまいります。そんな中で軽い方々なかなか対応できないということでありますので、療養施設若しくは自宅。その自宅、療養施設のときに病変が急変するかも分かりませんので、それに対して健康観察をどうするか。保健所がやっておりますと、ただでさえ保健所の業務がこれはもう過多になってまいりますので、そういうところに、おっしゃられるとおり地域の医療機関、医師会でありますとか、また訪問看護ステーションもそうかも分かりません。専門的知識をお持ちの方々が関与いただいて、急変時に対する対応若しくはいろんな健康等々の対応、これをやっていただくということはこれは一つ大きな方法だということで、今、病床等々の役割分担とともに、そういうようなところ、要するに、在宅、療養施設に関しても十分に対応できるような形を早急に都道府県におつくりをいただきたいということでお願いを始めているところであります。

○倉林明子君 開業医も含めた連携協力体制の強化、これ本当にやっぱり阻害している要因何かと。大きなものとして、私、経営問題があると、経営問題。
 総理も国会での質疑で、減収は基本的にないという御説明なんだけれども、実態どうかということですね。
 これ、大阪の保険医協会さんが地域の医療機関に対してアンケートを実施されております。二月二十六日、直近でやられているんですけれども、これ見ますと、二〇一九年の保険料収入、保険診療の収入と比較しまして、二〇二〇年は八割の医療機関で減収という回答、そして二〇%以上の減収があったというものは四割です。減収となった医療機関のうち、国の補助金では七八%が足りないという回答になっているんですね。減収でも今は何とかやっていけると、しかし、これ以上続くと分からないと、使命感だけでやっていると、ぎりぎりの状況も浮き彫りになりました。
 減収となった医療機関、これ利用しているのが福祉医療機構の新型コロナ対応の融資です。前年同期比での減収又は利用者が減少している場合に使えるということで、償還期間が十五年、病院最大十億、診療所五千万ということで借りられるものです。
 これ、医療貸付けの直近の実績はどうなっているか、融資決定件数、決定額がどうか、それから据置期間別の融資件数、これどうなっているでしょうか。

○政府参考人(迫井正深君) 御答弁申し上げます。
 医療機関における資金繰りを支援することは重要でございまして、特に新型コロナウイルス感染症による減収等の影響を受けている機関に対しまして、福祉医療機構が最大減収十二か月分を貸付上限とした無利子無担保等の内容とする過去の例にない危機対応融資を行っております。今お問合せのその危機対応融資に関しまして、二月末の時点でございますけれども、件数は一万九千五百五十六件、一兆二千二百一億円の貸付決定を行っております。
 いわゆる返済負担が生じない元本据置期間別の契約件数でございますけれども、三年未満が四千七百六十件、三年以上五年未満が千七百三件、五年が一万二千三百一件となってございます。

○倉林明子君 これ、コロナの終息が今現状では全く見えないということです。現場から上がっている声というのは、これまでの債務もあると、このままでは債務超過が避けられないという声があります。
 これ、医療を守るためにも償還免除という仕組みももう検討すべき状況ではないかと。これ、三年、償還期間、据置期間を三年未満というところもありますので、急いだ検討が必要だと思います。どうでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 危機対応ということで一兆二千億円、これはお借りを、これは無利子無担保の方でありますが、これお借りをいただいて、五年間これは据置き、元本返済据置きという形であります。もちろん、これに関してはなかなか返済しづらいということであれば返済条件の変更、こういうものもしっかりと対応いたしてまいりたいと思います。
 一方で、去年の四月から十二月までの医業収入の減少が一・たしか三兆円だったというふうに思いますが、そういう意味からすると、一・二兆円とよく似通った数字が出ております。その上で、今、例の包括支援交付金でありますけれども、あれ一・八兆円が医療機関から申請が出てきて、一・七兆円が交付決定で、一・五兆円がもう交付をされておるということでございますから、一定程度のお金は入っておると。これプラス、国の補助金という形でお金を入れている部分もありますから、多分これ以上という形でありますし、来年度予算の中にも、例えば初診、再診等々、これは半年にわたって、感染という意味からこれを防いでいただかなきゃいけませんので、診療報酬を一定程度加算をさせていただいております。
 その他、いろんな対応をしておりますので、状況をしっかりと把握をさせていただきながら、更なる支援の必要があるのかないのか、あるのならば、それは特にコロナを対応いただいている医療機関は、総理もそういうところはしっかり頑張ってもらわなきゃいけないとおっしゃっておりますので、しっかりとした対応をしてまいりたいというふうに思っております。

○倉林明子君 確かに、計算したら合うように見えるんですけれども、実態の現場の声ということでいうと、やっぱりまだ足りないということと、債務超過に対する不安、懸念というのが声として上がっているんです。やっぱり四波に備えた病床確保ということを進めていくためにも、そのコロナの受入れのところの支援の強化というのは本当に思い切って付けていただいているということは私もよく承知しておりますけれども、それ以外の医療提供体制全体をやっぱり底支えしていくということで臨まないと、もう一年以上の疲弊で医療提供体制を回しているわけですよね。更に協力してもらわんなんと。さらに、ワクチンだと。負荷はどんどん掛かっていくという中で、経営での不安ということに対してやっぱり支え切るんだということでいうと、実際この減収を補うということで機能してきている医療福祉機構のこの債務については償還免除ということを視野に入れて検討を求めておりますので、是非しっかり検討をしていただきたい。時間はそうそう掛けないで検討を求めておきたいと思います。
 次に、雇用の問題です。
 これ、年度末を控えまして、解雇、雇い止め、この増加が非常に懸念されております。加えて、昨年の緊急事態宣言解除後の五月、六月ということで見ますと、最も多くなっているという結果見れるかと思うんですね。
 今後、失業者増大、この懸念についてはどう認識されているでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 現下、足下だけでいうと、有効求人倍率一・一で失業率二・九であります。
 ただ、緊急事態宣言が解除はされましたけれども、この一月から三月まで出されていたという状況、それから、足下、じゃ、完全に感染が収まったかというと、まだ状況としては下げ止まり、若干微増の地域もあります。そういう意味では、感染拡大を防ぎながらということでありますから、一定程度まだまだ国民の皆様方にはいろんな行動の制約等々お願いをしていかなければならないということもございます。
 そういう意味からいたしますと、これ雇用情勢が急激に悪化するというようなことがあれば、これに対しては果断に我々対応していかなければならないというふうに思っておりますが、しっかりと足下の現状を分析しながら雇用政策、労働政策進めてまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 コロナ派遣村実行委員会という支援に取り組んでおられるところですけれども、現場では相談者が急増していると。リーマン・ショックのときを大きく超えるような相談者が年末もあったと。そして、年明けての支援の取組もされているんですが、年末は家賃が払えず住まいを追い出される人が増えてきていると。支援がもう相談者の急増に追い付かない。これ、今々、本当に足下の状況を見てということだけれども、解雇、雇い止めをどうやって止めるかと、ここが問われているんだということを強調したいと思うんですね。上場企業のどこでも、アパレルとか自動車関連、外食、小売ということで、希望退職とかリストラの動きも広がっているという認識です。
 不当な解雇や雇い止めはさせないということで、改めて、整理解雇四要件の徹底、これ必要だと思うわけですけれども、これ取組状況も含めて御紹介ください。

○政府参考人(吉永和生君) 解雇の有効性につきましては、最終的に司法において個別の事案ごとに判断されることとなりますけれども、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合については無効となるものでございます。
 そういう意味で、整理解雇につきましては、これまでの裁判例を参考にいたしますと、労働組合との協議や労働者への説明を行うとともに、人員削減を行う必要性、また、できる限り解雇を回避するための措置を尽くすこと、さらに、解雇対象者の選定基準が客観的、合理的であることなどについて慎重に検討を行っていただくことが望まれるという状況でございまして、これがいわゆる解雇の四要件と言われているものかと思います。
 厚生労働省といたしましては、このような内容を示しました適切な労務管理のポイントというリーフレットの作成をいたしております。また、全国におきます労働契約法に関するセミナーの実施など、あらゆる機会を捉えて周知を行っているところでございます。また、労働契約法などに照らしまして問題のある整理解雇事案等を把握した場合につきましては、都道府県労働局におきまして適切に啓発指導を行っているところでございます。
 こうした状況でございますけれども、更に徹底に努めてまいりたいと考えてございます。

○倉林明子君 QアンドAのところでもこの整理解雇四要件については紹介もしてもらっているということは承知しているんですね。
 特に問題だと思っているのは、非正規労働者のところが真っ先に今雇用調整の対象となっていると。統計に表れない失業者、いろんな議論も予算委員会でもありましたけれども、これも増えていると。ここに対する歯止めどうするのかということも問われていると思うんですね。
 二〇一二年に労契法改正、これによって、合理的な労働条件の相違の禁止ということ入りました。そして二〇一八年の働き方改革関連法、ここでは、均衡・均等待遇の推進ということで規定もされました。決して十分ではないと受け止めておりますけれども。
 法改正を踏まえまして、この整理解雇四要件というものがパート、有期雇用、派遣労働者等に対しても私は有効だと思うんだけれどもどうかと、非正規労働者を優先的に整理解雇するというようなことは許されないと、いかがでしょうか。

○政府参考人(吉永和生君) 整理解雇につきましての考え方につきましては先ほど御答弁させていただいたとおりでございますけれども、パートでありますとか有期契約の方、あるいは派遣労働者の方、こうした雇用契約を問わずに、基本的には同様の考え方になるのだろうというふうに思ってございます。
 厚生労働省といたしましては、労働契約法に照らして問題のあるような整理解雇事案などを把握した場合につきましては、引き続き指導を行ってまいりたいと考えてございます。

○倉林明子君 このコロナが雇用にも大きな影響を及ぼし始めたときに加藤前厚生労働大臣とも議論しましたけれども、繰り返しやっぱり雇用を守るということで政府の役割発揮すると、こう断固明言されておりました。非常に今も大事な、取組していく上で問われていると思うわけですが。
 大臣に聞きたいと思うんだけれども、非正規の優先解雇あってはならないというところ、どうかと。さらに、非正規に対しても明確に整理解雇四要件を満たさないと解雇は無効だと、こういうメッセージ、この年度末前にしてしっかり示していただきたいと思うけれども、これどうですか。

○国務大臣(田村憲久君) 何かと言うとまた怒られるんでしょうけど、最終的には司法の御判断になるんだと思いますが、それはもう言われるとおり、客観的、合理的な理由に欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、これは解雇は無効でありますので、それは非正規であったとしても同じであるというふうな認識であります。

○倉林明子君 QアンドAも出されているので、そこでも注意喚起もしていただきたいし、解雇、雇い止めということ、三末前に大量に起こるんじゃないかという不安もありますから、是非、大臣メッセージとしても雇用を守るということを改めて強調していただきたいということを強く要請したい。
 失業者も今後どうなっていくのかと。これ、足下を見てという答弁になるのかもしれないけれども、相談の状況など見ておりますと、大変増加の傾向は明らかだというふうに思うわけですね。
 この失業者の生活を支えるのが失業手当ということになります。日額上限ということでいいますと、最高八千三百七十円ですね。ここが私はやっぱり低過ぎると言いたいと思うわけです。月額でならしましても二十五万円程度ということにしかならないですよね。
 京都、地元の京都で京都総評という労働組合のところが、昨年、一昨年の調査を踏まえて昨年に発表した調査結果あります。これ、労働者の最低生計費の調査です。これによりますと、四人家族なら、三十代で四十八万円、五十代なら七十万円、子供さんが大学に行っているとかいうことを踏まえてそういう状況だという、これ実態調査ですから。現状では、最低生活を支えるものとはなっていないということを指摘したいと思います。
 失業者の生活を保障し、再就職支援を行うという制度の趣旨からも見直しが私は必要だと思います。基本手当日額の抜本的な引上げ、それから給付水準に格差を生じている離職理由による区分制限の撤廃、これ本気で検討していただきたいと思う。どうでしょう。

○国務大臣(田村憲久君) なかなか、月額七十万円で最低限の生活と言われると、ちょっと我々もどうお答えしていいのか分からないんですが。
 基本的に、この基準の金額自体を引き上げるということになると、これ就職を目指していただいている中において失業給付の中で対応いただいているので、もしそれによって新たな就職等々に制約が掛かる等々になると何のための失業給付か分からなくなるということもございまして、これも委員御承知だと思いますけれども、その支給期間を六十日間、コロナ対応ということで延期をさせていただいたわけであります。その点は御理解をいただきますようお願いいたしたいと思います。

○倉林明子君 それは全く理解できないので重ねて求めておりますから、そういう実態含めて受け止めていただきたいと思う。失業者のセーフティーネットという機能あるわけですよ。私は、そういうモラルハザード論みたいの、すごく根強くあるんだけれども、コロナ禍の下では現状やっぱり極めて不十分だということを重ねて指摘をしておきます。
 最後に、失業者の増大に対して財源不足にならないかという質問や指摘をしてまいりました。私、雇用保険に対する国庫負担の大幅な増額ということは待ったなしだと思います。いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 雇用調整助成金が非常に皆様方から申請があって、ある意味、失業率を抑えているというのは雇用調整助成金の効果があり、それによって事業主の皆様方がしっかりと従業員の皆様方をお守りをいただいているというふうに思っております。
 そうなりますと、どうしても失業給付の積立金からこの雇調金の方に貸し付けておるということもございまして、全体として厳しくなってきているんですが、これ、今年度、令和三年度の中においては、年度末で積立金残高が一千七百二十二億円、また雇用安定資金残高八百六十四億円ということでございますので、今の見込みの中では何とか対応できるということでございますが、いずれにいたしましても、これからどのような状況になるか分かりませんので、しっかりと雇用保険財政、安定できるような対応はしてまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 国庫負担、しっかり引き上げて対応していただきたい、強く要望して終わります。