倉林明子

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新型コロナ/ワクチン、第3相試験は重要/参考人が意見(2020/11/26 厚生労働委員会)

 新型コロナウイルスワクチン接種関連法案の参考人質疑が26日、参院厚生労働委員会で行われ、参考人からは安全性の確認や、副反応の情報公開、接種するかどうかの自己決定権の尊重を求める意見が相次ぎました。日本共産党からは倉林明子議員が質疑に立ちました。
 
国立感染症研究所の脇田隆字所長は「全国的な感染拡大が進んでいる」としたうえで「『Go To トラベル』自身が感染拡大のエビデンス(証拠)はないにしても、この状況になると移動自粛を進めてほしい」と表明。厚労省のアドバイザリーボードとして「『Go To トラベルの停止』を提言した」と述べました。
 
倉林議員からワクチンの承認審査のあり方について問われた薬害オンブズパースン会議メンバーの隈本邦彦江戸川大学教授は、有効性・安全性をしっかり検証する必要があり、日本での審査をせずに承認する「特例承認」はやるべきではないと強調しました。
 
北里大学大村智記念研究所の片山和彦教授は「ワクチン開発は通常10年かかる」とした上で「第3相試験(検証的臨床試験)は重要だ」と強調。副反応については「これまでに人体に接種されていないタイプのワクチンであり、長期間でみないと、どういった影響が起きるかは分からない」と述べました。


議事録を読む

○倉林明子君 四人の先生方、本当に第一線でお仕事をお抱えのところ、本当に私たちのためにありがとうございます。日本共産党の倉林でございます。
 脇田参考人にまずお聞きしたいと思います。
 連日、分科会、アドバイザリーボードとお忙しかったと思うんですけれども、昨日、続いての提言という格好ですか、分科会の、出されました。それを受けた格好で、行動規制の強化の方向性というんですか、考え方みたいなことを政府でも示されました。提言のところの肝の部分というんですか、昨日の提言の、そこをお聞かせいただきたいのと、感染状況の拡大というのは非常に深刻だというふうに思っていまして、北海道、札幌、東京でも、重症患者が増えるということがどれだけ医療を圧迫しているかということから言いますと、もう本当に待ったなしで、行動規制につながるようなことしていかないと本当に大変だという思いを持っているんですね。
 改めて、感染状況についての認識と昨日の提言ですね。済みませんね、ワクチンとちょっと直接リンクしませんが。

○参考人(脇田隆字君) お答えしたいと思います。
 アドバイザリーボードにおきまして直近の感染状況の分析と評価をしております。
 それによりますと、今現在、全国的な感染拡大が進んでいるということです。特に北海道、それから首都圏、そして中部圏、関西圏といったところでの感染拡大が続いております。特に、実効再生産数で見ますと、関西の大阪、兵庫といったところは直近二を超えるということですから、かなりのスピードで増加をしているということがあります。さらに、重症者の増加が最近顕著に増加しているということもありまして、最近の感染者の年齢層を見ますと、七月、八月と比べまして高齢者の方に多く感染者が見られるということですから、やはり重症者の増加が今後も見込まれるということになります。
 そういった状況の中、それと、地域によって、現在、例えば北海道、札幌あるいは旭川で多くの医療機関、そして老人施設といったところでの大規模なクラスターが発生をしていて、そういう院内感染、クラスターが発生しますと、やはり地域の医療体制というものを非常に圧迫してくるということで、医療の提供体制が非常に厳しい状況に、今申し上げた北海道、それから首都圏、そして中部、関西ですね、そういったところで厳しい状況が続いているということになります。
 昨日の分科会では、そういった状況を踏まえて、これまで、その前の提言ではより一層踏み込んだクラスター対策ということをお願いをしたところで、昨日の分科会でも、政府の方からは、それに対する速やかな対応ということで様々な政策実施について御報告がありました。
 分科会としては、そういう状況ではありながら、更に強い対策が必要な地域があるということを今判断をしているということですので、アドバイザリーボードにおけるその感染状況の評価に基づいて一層強い対策、これにはやはりクラスター対策だけではなくて、その地域における、感染症を抑えるために一番重要なのはやっぱり接触の削減ということですので、現在、やはり感染が非常にリスクが高い会食の場というのがありますので、そういった営業時間の短縮であったり、それから移動の一定の自粛ということをお願いしたいということを提言の中に出したということになります。
 提言の中では、我々は、移動の自粛ですね、その感染が非常に広がっている地域とそうでもない地域との間の移動はもちろんなるべく避けていただきたいということは強くお願いをしているわけですけれども、どうしても一般の方々興味があるのがGoToトラベルがどうなるのかというところに注目が集まってしまっておりますので、もちろんGoToトラベルというのはある意味象徴的な、移動を、何といいますか、後押しするような政策でありますので、そのGoToトラベル自身が感染を拡大をしたというエビデンスがまだないにしても、やはり今この状況になりますと、感染拡大をしている地域あるいはそうではない地域との間の移動の自粛を進めていただきたいと、そういった意味の中でのGoToトラベルの一旦のそういった地域では停止をしていただきたいと、そういった提言をしたということであります。

○倉林明子君 片山参考人に伺いたいと思います。
 研究開発もされているという紹介も見させていただきました。そもそも論で、おさらい的なんですけれども、ワクチンというのは通常どのように開発されていくのかと、一般的にですね、進め方ですね、御紹介ください。

○参考人(片山和彦君) 通常のワクチンの開発ですけれども、ワクチンって割と歴史の浅い医薬品なので余りたくさんの例がないんですが、普通は大体十年ぐらいを掛けて開発を進めていきます。
 最初の三年ぐらいが基礎研究ということで、表になかなか出てこない研究ですね。こういう毒性があるので毒性を奪ったウイルスにしてそれを接種すれば免疫が付くんじゃないかと、こういうところを研究するわけです。どの辺に毒性があるのか、又はウイルスの感染力を奪うためにはどういう処理をして感染力を奪えばいいのかなと、こういうところを決めていきます。で、動物に接種して、これは前臨床というんですけれども、その前臨床試験で動物に確かな効果を発揮して動物に対する感染をプロテクトできる、症状が出てくるのをプロテクトできるというのを確かめます。これで大体五年ぐらいを費やす感じですね。第一相試験、第二相試験というのが始まって、小規模で安全性を、最終的に効果と安全性を確かめます。
 そして、第三相に突入してからは、通常は大体、まあ長いものでは五年以上走ると思いますけど、三年から五年ぐらいの期間をたくさんの人たちにワクチンを接種することでどういう状態になるのかというのを調べていくんです。この第三相試験というのが結構重要で、実際の社会の中で生活していらっしゃるところ、そこでどういう結果を生み出すのかという試験をします。
 ですから、ワクチンを打った群と打たない群、この二つの群の、どの方にワクチンを打ったのか、どの方にプラセボを打っているのかというのが分かっているのは治験コントローラーだけで、実際に免疫をしている医師の方も全然分からないですし、打たれた方も分からないです。だから、ワクチンを打たれたものとして生活していただいて、その結果を集計していくという調査をします。ですから、ここに非常に時間が掛かるので、ワクチンの開発全体には時間が掛かるというのはそのためです。
 それからもう一つ、私たちの免疫のシステムというのは、感染症が入って、そしてそれに対する体の免疫応答が起きるときに、すぐに頑張って免疫を付けなさいと誰かに頼まれても、何か栄養のある食べ物を食べても、加速することはできないです。必ず決まった時間が掛かります。一定のプロセスを経て、必ず決まった時間が掛かって反応が起きてきて、そして私たちは感染を防御するようになるので、その時間を短縮することは絶対にできないです。そこがちょっとポイントですね。ですから、時間がどうしても掛かってしまうというわけです。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 ところが、今回、核酸型ワクチン、メッセンジャーRNAというんですか、これ物すごいスピードアップして、そういう早く作れる特徴もあるんだということをお聞きはしているんですね。その核酸型のワクチンの特徴、それから、先ほども少し紹介あったと思うんですけれども、有害事象としてどういうことが想定されるのかというのを、引き続き片山参考人に教えていただきたいと思います。

○参考人(片山和彦君) 核酸のワクチンの特徴を先に御説明します。
 核酸のワクチンというのは非常に新しいタイプの新規ワクチンというふうに皆さん理解していらっしゃると思うんですけれども、実は作られている歴史はかなり古くて、DNAのタイプでは動物実験ではもう三十年ぐらいの歴史を持っているんです。ですから、例えばマウスの皮膚にゴールドのパーティクルのDNAを塗って打ち込んでみるとか、それから尻尾のところに皮下で注射して免疫が上がるかどうかを確かめるというような実験は、もう既に私たち三十年ぐらいの経験を持って評価ができるんですね。
 それからRNAのワクチンは、これも同じように非常に歴史の古いワクチンで、ワクチンとして製剤として登場するのは今回が初めてなんですけれども、実際にRNAを導入して細胞に物をつくらせてその細胞の変化を見るというのは私たちが実験室で毎日のようにやっていることですので、そんなに新しいことではないですし、びっくりすることでもないです。恐れることでもないですね。
 そういった特徴がありますので、核酸のワクチンというのは、今までそのウイルスを不活化したり、それからウイルスを弱毒化させたりという複雑なメカニズムを調べるのではなくて、核酸を合成して、その合成した核酸を投与してたんぱく質をつくらせて細胞に免疫提示をさせるという単純なものなので、核酸が合成できさえすれば割とその工程を再現することが簡単なんです。余り時間が掛からないですね、確かめるまでにという特徴があります。それから、デザインを簡単に変更できるという特徴もあります。
 じゃ、懸念される副作用とかそういったものですけれども、今までのワクチンとして接種された経験のないもの、人体に対して使われた経験のないものですから、そこにどういった影響が起きるのかが分からない、そこが不安要素であります。ですから、短期の副反応については余りないというような報告がありますが、これを長期で見た場合にどうなるのかというのが最も知りたいところですね。不安な要素はたくさんあると思います。ただ、効果も出しやすいので、そのバランスを見て使うか使わないかを判断しているということになると思います。

○倉林明子君 ありがとうございました。
 隈本参考人に伺いたいと思います。
 薬害オンブズパースンが十月六日に意見書を出されておりまして、これも読ませていただきました。ここで、細かくやっぱり承認審査の在り方について何点かの指摘、御意見が書かれているんですけれども、二つについてお伺いしたいと思うんです。
 その一つは、条件付早期承認制度の適用は論外だと一番に書かれております。二つ目が、特例承認の対象にすることは許されないということなんですね。その理由について、少し踏み込んで御紹介いただければと思います。

○参考人(隈本邦彦君) 我々が心配しているのは、しっかりした臨床試験をやってさえ、先ほど意見でも申し上げましたように、本当の効果というか、流行を阻止できるのかとか、有効性、安全性についてよく分からないのにもかかわらず、このきっちりした臨床試験さえやらないで、今急いでいるからということで認めるというやり方はやめてほしいという意味で、この二つを出しました。
 実は、これは昔、元々、課長通知レベルで条件付早期承認をやり、そして、特例承認については海外で日本と同じレベルの臨床試験を通った薬であればもう臨床試験やらなくてもいいという、かなり乱暴な仕組みです。これがこの間の薬機法の改正で制度に入っちゃいました。我々としてはすごく、それまでに何度も、これ具体的には幾つかの薬がありますけれども、心配なので意見書を出していたんですが、薬機法で決まってしまいました。これをもし今回の新型コロナワクチンに使うのは、それは乱暴でしょうというのがこの意味です。
 条件付承認制度は、もう比較臨床試験をやらなくても、検証的な臨床試験をやらなくてもとにかく認めて、その後、いわゆるビッグデータといいますか、その後の薬のデータをたくさん集めればきっとその検証的臨床試験を省略してもいいだろうという考え方ですが、これはやはり、実際には使った人を観察研究するだけですから、その中で、本当にこれが薬の効果なのか、元々この人が病気自然に治ったのか分からないという中で認めてしまうというのは、これは、この制度自身は非常に限られた病気で物すごく緊急性が高いときに認めるというものなのに、今こういう国民全体が心配しているような病気でこれ入れるの良くないですよね。
 それから、委員からも御指摘ありましたけれども、レムデシビルに関してはもう三日で認めちゃったんですよね。世界で初めて正式承認した国になっちゃいました。それは、アメリカで、緊急使用は許可しますと、しかし正式承認は後ですよというふうになっていたのに、アメリカで緊急使用許可が出たということはまあ承認と同じかなみたいな感じで日本では認めてしまい、結果的にアメリカより先に承認してしまったということになっています。
 実際には、今、レムデシビル本当に効くのか、あるいは、もし軽い人に効いても重症化予防効果はないんじゃないかという、実は元々の臨床試験のデータを見るとそうなんですよね、非常に重篤な人は別に生存率余り変わらない。なのに、日本では特例承認して、そして重症患者に使うというルールにしているというのは、これはもうとにかく今対策をしていますよというアピールしたいのは分かるし、私ども国民としても薬は喉から手が出るほど欲しいけど、でも、この特例承認と条件付承認はこのワクチンに関してはちょっとやり過ぎでしょうというのが私どもの意見です。これ、意見書にはそう書いてあります。

○倉林明子君 ありがとうございます。
 最後になるかと思うんですけれども、坂元参考人、ありがとうございます。私も看護師出身で、京都市会議員だった時期も長かったものですから、現場で医務監として御苦労されているんだろうということを本当に思いました。
 平時からこういう接種計画を立てておくと、人員の配置も含めてという準備というのは本当に必要なことだろうというふうに思ったんですが、改めて、感染状況が一体どういうふうになっているかということ抜きには、ちょっと体制の準備ということもなかなか考えにくいという思いも率直に感じたんですね。医療機関の負荷、保健所の負荷、これだけぱんぱんになっておりますので、更にそこに接種体制を市町村が担うということを考えますと、現場際で一体どういうことが支援としても必要なのか。
 人も要る、金も要る、これはよう分かっておりますので、もうちょっと具体的な支援の方法というものがあれば教えていただきたいと思います。

○参考人(坂元昇君) まず一つに、マンパワーで今保健所の方では積極的疫学調査で患者さんの追跡調査をやっております。その中で、確かに委員御指摘のように、このコロナの接種が入ると非常に人員的にはぱんぱんという状態になるかと思います。
 その中で、恐らく、この接種が開始されると、もちろん医師会の先生方と相談しながら体制を構築していくということも必要ですが、恐らく多くの質問、不安等が住民から寄せられるということに対して答えていかなければいけないというマンパワーが必要だというので、その際に的確に答えられるデータが私は必要だろうと。
 そこが的確に答えられれば、分かりませんとか、いやそれはということがないんで、だから、私は先ほど申し上げておりますように、市販後直後調査という形で、市民に見える形でですね、そのデータが、できれば全部の、半年間ぐらいは全部のデータを集積して、それをウエブでオンラインでやっていくという形で、なるべく人員を削減して、それが自由にアクセスして見れるという形をつくれば、国民の皆さんも、あっ、今こういう状況なんだ、そうか、これぐらいの副作用なんだというのが、そういうできるだけオンラインを使った見える化を積極的にやって、マンパワーを負荷を掛けないというシステムをつくっていく必要があるんではないかというふうに思っております。
 その際の財政的な御支援とか、そういうものをいただければ、市町村としては感謝感激でございます。
 以上です。

○倉林明子君 重要な大事な御意見、御指摘、本当にありがとうございました。
 終わります。