倉林明子

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雇用守り年金を守れ 倉林氏 社保料減免必要(2020/5/21 厚生労働委員会)

日本共産党の倉林明子議員は21日の参院厚生労働委員会で、新型コロナウイルスによる中小企業の経営・雇用環境の激変について、「低年金・無年金者を拡大させないためにも、雇用を守り抜くべきだ」と強調しました。

政府は、年金制度改定法案で厚生年金の適用拡大しようとしています。倉林氏は、適用拡大は年金受給額の引き上げにつながるとしつつ、コロナの影響を受ける低賃金労働者、中小企業にとっては保険料負担が重くのしかかるとして、「社会保険料の思い切った減免措置が必要だ」としました。

さらに、年金受給開始時期の選択肢を75歳まで広げることに触れ、高齢者はコロナ禍で解雇・雇い止めの対象になっていると指摘。75歳への延長は選択肢拡大につながらず、「生涯の年金額が大幅に減少するリスクもある」と指摘しました。


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○倉林明子君 日本共産党の倉林でございます。
 今日にも緊急事態宣言の解除の方針が示されるということでありまして、本当に皆さんの、医療現場始め国民の皆さんの協力の下で新規感染者数が減少しているというのは本当に率直に良かったなと思っているんですが、この機にやるべきことは何かといいますと、やっぱり第二波に備えた準備、対応を本当にしっかりやっておくことだというふうに思うわけですね。
 そこで、先ほどもガウンの話ありましたけれども、現場でやっぱり一番逼迫して不安を拡大したというものが感染防護具の決定的な不足だったんですね。まだ今でもこういうところがあるということです。
 そこで、医療機関向けの感染防護具、先ほど吉田局長からお話もありましたけれども、期待されているのは、ウエブを活用して、足らないよと言ったら、はい、どうぞというふうに国が直接支援するという仕組みを立ち上げたということです。これ、活用状況について改めて御説明いただきたいんです。一体、分母の医療機関数はどの程度を見込んでいて、今どこまでつながっているのか、そしてそれをどのぐらい機能しているのかという辺りを御説明いただきたい。
 必要な物資の調達というのが、やっぱり世界的な流行の中で取り合いになっていたというのは間違いないことだと思います。ただし、世界的な流行状況も第一波が収まって解除という流れもできていますので、しっかり調達の努力、国際的にもしっかり調達掛けてほしいとも思っていますので、見通しについても御説明いただきたい。

○政府参考人(吉田学君) 大きく二つの御質問いただいたかと思います。お答えいたします。
 まず、前段のウエブを活用したシステム、医療機関等情報支援システムという形で、私どもG―MISと言わせていただいています。この対象医療機関数あるいは登録状況につきましては、約八千の医療機関を対象に予定しております。五月中旬時点では約六千八百の医療機関においてアカウントを開設する形で登録をいただいているという状況でございます。今後も、これについてはPRに努めまして、多くの医療機関に加入いただくように取り組みたいと思います。
 その上で、このシステムを活用することによる医療機関からの防護具の配布請求及びそれに対する対応としましては、サージカルマスクあるいはN95、KN95につきましては四月二十八日から、アイソレーションガウン及びフェースシールドにつきましては五月十六日からこの緊急配布システムで実際に配布を開始しております。
 五月二十日時点の実績といたしまして、サージカルマスクにつきましては二十六の医療機関に対して約三十四万枚、N95、KN95につきまして五十三の医療機関に対して約四・七万枚、アイソレーションガウンにつきましては約四百八十の医療機関に対して約二十九万枚、フェースシールドにつきましては約四百七十の医療機関に対して約二十六万枚を配布しているところでございます。
 あと、御質問の二つ目の物資の調達につきましては、現在、非常に国際的にも厳しい中で、国内の増産などを働きかけながら輸入の拡大、国産の確保ということで取り組んでおりますけれども、四月末時点で、サージカルマスクにつきましては約一億七百十八万枚、N95マスクにつきましては約三百十三万枚、アイソレーションガウンにつきましては約百三十七万枚、フェースシールドにつきましては約二百五万枚をこれまでメーカーや商社から購入して、確保、納品をいただいているところでございます。
 五月以降、今後につきましても非常にまだまだ医療機関における不足感強うございますので、メーカー等からの必要量を確保して、私どもとしましては、そのときの感染状況あるいは市場の動向などを踏まえながらも、できるだけの確保に努めて調達を逐次進めて、医療機関に必要に応じて配布をさせていただくという取組を続けさせていただきたいと思っております。

○倉林明子君 いや、規模感でいうとまだまだ足りていないし、ウエブのシステムについてもまだまだ十分な機能をしているとちょっと言い難いかなという数字だと思うんです。
 第二波がいつ来るかということを考えますと、決して時間的な余裕があるとは思えないんです。今度こそ、こうした物資調達への支援の仕組みとスピードというのが現場に届くということ大事ですので、その点では一層の努力求めたいし、予算が足りないから買えなかったというようなことにならぬように、国内での調達の努力を求めているの知っているんですけれども、国際的に生産されるというのはもうはっきりしていますので、規模感も違いますので、そこでの調達、確保という点でも、二次補正での上積みも含めて、しっかり感染防護具の必要な数を確保していただきたいと、これ強く求めておきたいと思います。
 二つ目は、専門家会議の提言で、政府において医療機関の空床状況、人工呼吸器、ECMO、これの保有、稼働状況を迅速に把握する医療機関等情報支援システムの構築、運営、これが要請されているというふうに認識しました。
 実際に、これらについての準備状況、これ極めて大事だと思うんですね、第二波に備えて。これ、準備状況はどうなっているでしょうか。

○政府参考人(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘ございました十四日の専門家会議での御指摘でございますけれども、これにつきましては大変重要なことだということに考えております。
 今、吉田局長の方からも御紹介ありました医療機関等情報システムにつきまして、これは三月の二十七日から運用しているところですけど、このシステムで、今の医療資材とか防護具の需要の状況と併せて、この同じシステムで医療機関の状況を調査させていただいております。具体的には、外来とか入院とか救急等の患者の受入れの状況とか、あるいは新型コロナ感染疑い患者さん用の外来の設置とか入退院の関係、あるいは空床状況、それから人工呼吸器とかECMO等の医療機器、リソースの関係、あるいはお医者さん、看護師さん、事務職員等の充足の状況についてもこの中で取らせていただいております。
 医療提供体制を確保するに当たっても、病床の状況とか、先ほど医政局長からありました医療資材の状況とか把握するために大変重要でありまして、先ほども御紹介ありましたが、登録率を向上していくというのも大変重要だというふうに思っておりまして、先ほど御紹介で約九割ぐらい登録を得られているということですけれども、引き続き、システムの関係としては、内閣官房のIT総合戦略室と、それから、これ都道府県とも情報共有当然するのが大事ですし、そして一緒に取り組んでいるわけですので、連携してしっかり医療提供体制の確保にきめ細かく対応してまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 確かに内閣府のホームページ上で出てくるんですね、医療提供体制、見える化という形で。ところが、この元データ洗ってみましたら、これ先週末に確認したんですけれど、いつだったかな、最近、直近で確認した分でいいますと、二十床以上の病院四万五百九十一がベースになって、そのうち全国の入院病床を抱える、内閣と一緒になってやっているやつです、見える化ということで公開されているやつです。これ見ると、四万五百九十一が母数なんだけれども、三万五千百三十病院が未回答ということで、とても使えるような代物じゃないんです、国民にとっても、医療機関にとっても。
 いや、今の整備しようと言っているものとちょっと違うのかもしれないけれども、国民への情報提供ということで考えれば、それは登録を進める、医療機関の登録を更に進めるということと、入力をしっかり協力してもらわないと駄目だと思いますので、この点でも、二波に備えて、情報の見える化、情報収集、正確な情報がきちっと分かるというシステムにしていただきたいので、これは急いでいただきたいということで要望申し上げたいと思います。
 年金、行きます。
 年金法について、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大が盛り込まれております。対象となる中小企業の存続の危機が拡大しております。コロナによる影響は私、避けられないと思うわけですけれども、いかがお考えですか。

○政府参考人(高橋俊之君) 現在のコロナウイルスの感染症の影響で大変厳しい状況に置かれている労働者の方々への対応につきまして、まず、勤め先であります事業者の事業継続を支援すると、で、雇用維持を図るということが重要でございまして、そのための施策が行われているわけでございます。社会保険制度におきましても、売上げが急減した事業者向けに無担保、延滞金なしで一年間社会保険料の納付を猶予できる特例を設けているところでございます。
 今御指摘いただいたような社会保険料の免除、そのものの免除ですとか、あるいは引下げ、これにつきましては、社会保険制度が制度に加入する被用者を保障するための費用を事業者と被用者全体が納める保険料によって賄う制度であると、こういったことに留意する必要があろうかと思っております。
 また、年金や医療の社会保険料給付でございますけれども、経済状況にかかわらず継続していかなければならないということを考えますと、所定の保険料負担をお願いしながら、一方で納付猶予等の措置を講じる等々して支援をしてまいりたいと考えてございます。

○倉林明子君 いや、要は、そういう規模の企業がこれからどうなっていくのかということですよね。雇用を守り切れるのかと。帝国データバンクが、いつでしたかね、出していました、コロナの影響で倒産が一万件を超え、加えて休廃業二万五千件を見込んでいるんですね。ほかのデータでも、リーマン・ショックは超えるだろうという数字が出てきていました。
 厚生年金の適用拡大は年金受給額を引き上げるということにつながるものですから、これ必要な措置であることは間違いないです。私たちも求めてまいりました。しかし、低賃金の労働者も保険料が控除されるということ、これ当然なります。
 そこで、確認したいんですけれど、月収で八・八万円、これ最低のところですよね。この労働者の保険料負担、額について、厚生年金それから協会けんぽ、これ京都の場合、申し訳ない、私、京都なので、京都の場合ということで、それぞれ幾らになるのか、額で。

○政府参考人(高橋俊之君) 御指摘の要件で保険料を計算いたしますと、厚生年金の保険料は全国一律の料率一八・三%でございます。これを標準報酬月額八万八千円に掛けますと、保険料負担額が全体で約一万六千百円、事業主との折半でございますので約八千百円でございます。
 また、京都府における協会けんぽの保険料でございますが、四十歳未満又は六十五歳以上の被保険者は保険料率一〇・〇三%でございます。これを用いますと、標準報酬月額八万八千円の方について、保険料負担額は全体で約八千八百円、事業主との折半で約四千四百円でございます。四十歳以上六十五歳未満の方は介護保険料の二号被保険者に該当しますので、介護保険料も加わりまして、その分の保険料負担一・七九%が加わった保険料率一一・八二%でございますので、八万八千円ですと、全額で一万四百円、半額で五千二百円でございます。

○倉林明子君 労働者にとってみますと、収入の一〇%を超えるというふうな負担になると、やっぱり重い負担だと思うんですね。
 同額を負担する中小企業、同様にやっぱり大変な負担になると。直近で、コロナの対応で、先ほどちょっと紹介ありましたけれども、社会保険料の納付、換価の猶予等を特例取ってもらってやってもらっています。実績どうなっているでしょうか。

○政府参考人(日原知己君) 新型コロナウイルス感染症の発生に伴う社会保険料の納付猶予の申請件数でございますけれども、まず、三月二日から四月三十日までにいただいた申請につきましては、納付の猶予が七十一件、申請によります換価の猶予の方が三百十九件、職権による換価の猶予につきましては二十三件の申請をいただいているところでございます。
 また、この四月三十日からは、収入に相当の減少があった事業主の方を対象としまして、無担保かつ延滞金なしで一年間納付を猶予できるという特例措置が施行されておりますけれども、これに関します五月十八日までの申請件数、こちら速報値ベースでございますけれども、五千九百四十九件となってございます。

○倉林明子君 昨年のペースで見ますと、通常、四月三十日までで比較したって、たった二か月で昨年の半分ぐらいもう行っているんですね。特例ということになったらこれだけ増えているんですよ。やっぱり、どれだけ保険料負担しんどいという企業が増えているかということの裏返しでもあろうかと思うんです。
 私、低賃金の労働者に対しては、社会保険料の免除、保険料率の引下げ、この思い切った減額措置必要だと思うんです。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) まず、新型コロナの感染症影響で厳しい状況に置かれている方々に対する対応として、勤め先である事業所の事業継続を支援し、労働者の場合には雇用維持図ることが重要であると考えております。
 社会保障制度については、今、猶予の話が事務局からありました。
 一方、御指摘の社会保険料の免除、引下げでありますが、社会保険料が、制度に加入する被用者を保障するための費用、そして、それに基づいてサービスを受けるということ、そうした見合いの関係になっているわけでありますが、そうした中で、事業者と被用者全体が納める保険料によって賄っている、そうした点を十分に留意をして考えていく必要があると思います。所定の保険料の負担、これは一定お願いをしなければならないとは思っております。
 ただ、現下の情勢を踏まえて、例えば国民年金の保険料については、収入が減少して当年中の見込み所得が免除基準に該当する、保険料の免除基準に該当する方については簡易な手続によって国民年金保険料の免除を可能とする、こうした特例、これは今回の特例ですけれども、設けております。また、社会保険料の納付猶予は先ほど申し上げたとおり。それからまた、社会保険料そのもの、いわゆる適用者ですね、社会保険の適用者についても、三か月において標準の報酬の平均が二等級増減したときには四か月目から調整するという調整規定も入っているところであります。
 そうした規定を踏まえて、それぞれその方々の状況に応じた保険料の負担になるように配慮しながら、先ほど申し上げた制度は被保険者がそれぞれ保険料をお支払いいただくことによって成り立っていると、こういう制度を引き続き維持をしていきたいというふうに思います。

○倉林明子君 いや、やっぱり、今は社会保険料払えなくて、やっぱり廃業考えようかというところだって出ているんですよね。そういうときに、これ低所得の人のところまで拡大するって、タイミングとしては私、最悪だと思っているんですね。それだったら、本当に減免についてもきっちり位置付けて拡大していくということをしないと、私は本当に倒産にもつながりかねないと思うんです。中小企業の負担軽減にもつながりますので、これは平時の対応ということにとどめずにしっかり考えるべきだと、検討を求めておきたいと思います。
 次に、高年法の改正で、高齢者の就業等確保措置、これ新たに七十歳までの努力義務が課せられたところです。七十歳まで就労している高齢者の比率というのはどのぐらいになっているのか、年齢ごとで。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 高齢者の就業率につきましては、二〇一九年の年平均で、六十から六十四歳が七〇・三%、六十五歳から六十九歳が四八・四%となってございます。

○倉林明子君 大変就業率高いのが日本の高齢者の就労状況の特徴かと思います。
 新たに対象となった七十歳までの就業等確保措置には、労働関係法令が適用されない業務委託まで含まれていると大変問題にいたしました。これ、一層の高齢者の不安定雇用を拡大することにつながると批判もありました。
 現状では、七十歳を超えた就業率というのを見れば一六%程度なんですね。就業等確保措置は七十歳までの努力義務にとどまっている。要は、七十歳までということで、働いていない実態もあるし、確保措置ということでは七十歳までしか努力義務課していないんですね。なのに、何で年金の受給開始年齢を今七十五歳まで延長するんでしょうか、御説明ください。

○政府参考人(高橋俊之君) 現在、繰下げ制度ですね、この繰下げ制度につきましては、高齢者が年金受給のタイミングを御自身の就労状況に合わせて自ら選んでいただくといった考え方でございます。
 多様な選択肢を用意しながら七十歳までの雇用就業の促進を図ろうとする高年齢者雇用安定法と直接結び付くものではございませんで、繰下げ制度として、これは御自身の選択肢として、七十五歳までの選択肢の幅を拡大するというものでございます。
 より長く多様な形での就労が進展するというような今後の社会のありようを考えますと、それぞれの方がどのくらい長生きするかというのは分からない中で、繰下げということ、一つの選択肢が増えるということが大事ではないかなと考えてございます。

○倉林明子君 法案では、受給開始時期を七十歳から七十五歳まで延長すると、こうなるんですが、現行でも議論ありました年金受給の繰下げ受給者の割合というのは一%程度で固定していますよね、ほぼね。それについて増えない要因として局長おっしゃったのは、年金受給開始年齢の引上げ途上にあるということが伸びない理由になっているということですね。
 じゃ、これ完了するのはいつかというと、女性も含めて二〇三〇年度ですよ、二〇三〇年ですよね。じゃ、繰下げ受給の大幅な伸びということで期待されるのは二〇三〇年以降と、こういうことになるんじゃないんですか。

○政府参考人(高橋俊之君) これは、なぜ今この制度改正をやるかということでございますけれども、若いうちから将来の人生設計というのを考える、こういうために、こういう制度があるということを、例えばねんきん定期便などで若いうちから周知をしていく。そうすると、そういう、長く働いて年金は繰り下げて増額する、あっ、こういった手もあるんだなということを早いうちから知っていただく、そういうためにも、今の段階からこういう制度改正をしてそういうような選択肢というのを提供し、将来のライフプランを考えていただくと、そういったことも重要ではないかなと考えてございます。

○倉林明子君 いや、だから、今下げる、今、繰下げ、延長するという根拠は、私、極めて弱いと言わざるを得ないと思うんですよ。
 高齢者の雇用環境というのは今一体どうなっているかということをリアルに見る必要があるんじゃないかと思うんです。六十五歳以上の高齢者の就業形態について構成割合確認したいと思います。正規、非正規、そして政府進めてきました雇用によらない働き方、これ、どこまでつかめているか、つかめているところで御報告ください。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 高齢者の就業形態についてでございますが、二〇一九年の年平均で、六十五歳以上の就業者のうち、正規雇用者の割合は一二・八%、非正規雇用者の割合は四三・六%、雇用以外、家族従業者や自営業主ということになりますが、その割合は三〇・五%ということでございます。

○倉林明子君 これ全世代と比べても、やっぱり正規以外の働き方をしている高齢者というのが高い比率になっているんじゃないかと思うんですね。今、一番真っ先に影響を受けているのは自営業者とかフリーランスのところになっているわけですね。コロナの下で真っ先に解雇、雇い止め、対象になっているというのがこの非正規、多様な働き方をしている労働者だというのがはっきりしてきたと思うわけです。
 直近の解雇、雇い止め、これ件数はどうなっているのか、コロナによる雇用環境に対する影響について、今後、今の件数と今後の見通し、どうでしょうか。

○政府参考人(小林洋司君) お答えいたします。
 三月の有効求人倍率、一・三九倍ということで、前月より〇・〇六ポイント低下しております。大きな要素といたしまして、一つは新規求人が大きく減少してきておるということ、それから、求職者につきましては、事業主都合による求職者、新規求職者というのが増加してきているということがございます。
 今お尋ねございました解雇等見込み労働者数、都道府県労働局の方で集計しておりますが、昨日時点までの累計数で申し上げますと九千五百六十九名、この月別の内訳申し上げますと、三月が八百三十五名、四月が二千六百五十四名、五月が五千七百九十八名ということで、四月後半から増加幅が大きくなってきておるところでございまして、この状況を今後更に注視していく必要があるというふうに思っております。

○倉林明子君 いや、注視とおっしゃったけど、どのぐらいまで行くかという見通し持っているのかと聞いたつもりだったんですけど、どうですか。

○政府参考人(小林洋司君) 日々この解雇等の状況を把握しておるところでございますが、その伸び幅、日々増加をしております。四月以降、休業要請の中で休業増えておりますので、こうした状況、更に増加幅は拡大の方向で進むのではないかというふうに受け止めております。

○倉林明子君 拡大方向、間違いないんじゃないかと思うんですね。
 四月二十七日に大和総研のレポートが出されまして、これ見ますと、最大で、六月までに感染が終息した場合でも、雇用者は九十九万人減少という見通ししています。最悪、年末まで感染拡大が続いた場合という前提ですが、三百一万人の雇用調整、雇用者が減少する。ちょっと背筋が寒くなるような数字ですよね。
 リーマン・ショックを超える雇用調整規模になる、これ、幾つかのところでこういう数字が出てきております。こういう雇用情勢の下で、受給開始年齢七十五歳までに延長する、高齢者の選択肢の拡大になり得るのかと。私、本当に納得できないんだけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今委員御指摘のように、雇用情勢、これはしっかり見ていかなきゃなりませんし、これから特に、感染状況の中で、今、今日、例の緊急事態宣言どうするかというのを今諮問委員会で議論されております。こうした対応がどうなっていくのか等々も絡んでいくんだと思いますけれども、いずれにしても、雇用情勢について我々はしっかり注視をし、必要な対応を取っていかなきゃいけないと思います。
 一方で、この年金繰下げの話でありますけれども、まず基本的には、年金財政に対して基本的には中立の中でつくられている設計でありますので……(発言する者あり)いやいや、繰下げ支給の話はね、その中でより選択肢を拡大していこうということであります。
 したがって、短期だけではなくて、今後、しかも先ほど、年金の本来の支給時期といいますか、標準支給、要するに特例受給、これ、男性の場合には二〇二五年で終わるわけでありますから、そういったことも見極めながら、そうした選択肢の幅を広げていくということでありますから、全員がそっちに行くとか、そういうことを示唆しているものでは全くないということであります。
 したがって、我々としては、多様な選択肢がより取れるように、高齢者の雇用の確保についても、先般雇用の関係について御審議をいただきお認めをいただきましたけれども、そうした施策も含めて、高齢者がより自分の人生の思いに沿って暮らし方あるいは働き方を変えられ、そしてそれに基づいて年金も選択可能にしていく、そうした、まさにそういう状況をしっかりつくっていくということが大事だというふうに思います。

○倉林明子君 今、その状況って本当に大変なことになっているんじゃないかということで議論させていただいたかと思うんです。その一・八四倍に受給が増えるんだということだけ先行して、実際には、先ほども議論あったように、受け取る年金はどの程度になるのかと、情報不足しているんじゃないかという議論はほかの議員からも指摘あったとおりです。
 今や、このコロナ禍の下で高齢者はどんな状況に置かれているかというと、雇用調整の対象になっているということをしっかり見てほしいということなんです。選びたくても選べないという選択肢でしかないんですね。
 そもそも現在の健康寿命というのは、男性は七十二歳、女性で七十五歳弱というぐらいのところです。これ、実際にこういう年齢層の年金受給している人たちというのが、これは本当に死ぬまで働けということなのかという怨嗟の声が上がっております。
 受給開始年齢を延長すれば生涯で受け取る年金額は大幅に減少すると、こういうリスクもあるわけですよね。本会議で指摘したように、受給開始年齢を繰り下げれば、お得な場合だけではないわけですね。
 国民の不安は、受給開始年齢、更に六十五歳以上に引き上げられるのではないかというものが払拭されておりません。改めて、引上げはない、これを大臣に明言いただきたい。いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今おっしゃったまさに受給開始年齢と繰下げ、これは全く違うので、これを混同していただきたくないということは従前から御説明をして……(発言する者あり)いや、もちろんそれは分かって御質問されているというふうに思いますし、引上げはないということは、たしか委員に対しても過去何度も申し上げさせていただいたところでありまして、その姿勢は全く変わりはありません。

○倉林明子君 コロナの下で、コロナの後もですよ、働き方というのは変わらざるを得ないということになってきているんだと思うんですね。
 高齢者は感染リスクから守られるべき対象でもあるんですね。で、高齢者の就労拡大、これ前提とするということは、私、矛盾するんじゃないかと。この点でも、大臣、お考えお聞きしておきたい。

○国務大臣(加藤勝信君) 一時的な問題と、もう少し長期、中長期的な話をこれは一緒にしちゃうとなかなか難しいんではないかと思います。
 現下においては、感染リスクがありますので、特に基礎疾患がある方等々については就労を控えていただくというか、自身の判断でそうした判断というのは当然あるんだろうと思いますし、また、三密のところを回避していただきたいということも申し上げているところでありますけれども。
 そうした現下の状況とこれからの高齢化社会ということを考えたときには、やっぱり高齢者の方にとっても就労機会を拡大していくということは当然求められていくわけでありますし、そしてそれに応じた年金制度にしていくということも当然必要になっていくんだろうというふうに思っております。

○倉林明子君 働き方を変容していくというのは短期スパンの問題だけで済むだろうかと。コロナにとどまらず、どんな感染症がこれから発生してくるのかということはよく分からないわけですよね。それ、やっぱり感染症と共存できると、今のコロナでもかなり長期化するだろうと、この覚悟はしておくべきだというふうに思うんですよね。さらに、その先の感染症がどんな、どういう世界的なパンデミックを起こすような感染症が流行するかということに対しても私たちは備えた対応が求められているんだと思うんですね。
 高齢者の求人、改めて私、見てみました。そうすると、多いのは清掃とか物流とか、大変感染リスクの高い職種少なくないんですよね。高齢者にはやっぱり感染リスクを避けるという働き方が、働くことを否定しているんじゃないんですよ、そういう働き方が、感染リスク避けた働き方が優先されるべきだというふうに思うわけです。
 同時に、今でも、医療、介護、福祉サービス、この変形交代制職場や重労働業種では六十五歳まではもたないと、学校の先生なんかもそうですよね、働けないという声も少なくありません。コロナの下で、六十歳からの減額なし、この年金特別支給制度を考えるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) まず、これは働き方改革にも絡むわけでありますから、今の例えば遅くまで毎日残業するとかいうような環境、これは、別に六十歳超えなくてもこれはなかなか厳しいということでありますので、これはしっかり改革をしていかなきゃいけないというふうに思います。
 そういった改革を通じる中で、高齢者の方も引き続き就労できる環境をつくっていく、あるいは、先ほど、今委員お話がありましたけれども、この感染が拡大している中においては、感染リスクが少ない中で、例えばテレワーク等含めて、そうした利用が高齢者においても行い得るような、こういった支援もしっかりしていく必要があるんだろうというふうに思います。
 今、六十歳からの減額なしの年金の制度のお話がありました。まず、六十歳前半の期間においては、就労等により所得を得ていただくか、所得がない場合には、御自身の貯蓄か六十歳以降選択可能な年金の、これは繰上げでありますけど、受給を活用いただくということで生活の原資を得ていただくことが現時点で想定をされているわけであります。
 また、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けておられる方のうち、就労によって生活を維持されている方々ではあるけれども、こうした感染症の影響で失業した場合、また、休業等を余儀なくされた場合への対応について、年齢が六十歳以上か否かにかかわらず、対応についてはひとしく講ずる必要があるものと考えております。
 そうした状況の中で、御指摘のように、六十歳以上の方にのみ特別な年金支給に対応する方法を取ることについては、現在の年金制度が支給開始年齢を六十五歳とする前提の下で給付と負担の枠組みを整え、年金財政の長期的なバランスを取る仕組みになっているということを考えると、その六十歳以上ということをもってして対応するというのは難しく、また、失業についても、先ほど申し上げたように、六十歳以上か否かにかかわらず、失業に対する対策あるいは休業等の対策、これはひとしく講じていかなければならないと思っております。

○倉林明子君 それは、まるでコロナがないときと同じ答弁だと思うんですね。コロナの下で、やっぱり特別にいろんな対策打ってきていますよ。やっぱり年金のところで、だって、やっぱり考える特別な対応というのが、今、年金制度で対応するんやったら、そういうところを対応すべきだという視点で聞いているんですね。働きたくても働けないと、こういう高齢者に対してこそ選択肢を増やすべきだと、そういうときじゃないかということですので、重ねて、いつもと同じような答弁と違うて、こんなときに何するのかということをよくよくお考えいただきたいということです。
 大量失業、そして就職難、この拡大は戦後最大級になることは極めて高くなっていると、本当に覚悟が要ると思っております。低年金、無年金者を拡大させない。これは年金の視点からも、今やるべきことは雇用を守り抜くことだと言えると思うんですね。
 そこで、雇調金、先ほど指摘もありましたけれども、オンライン期待していました。本当に早く給付につなげるという仕組みができるということでしたが、開いた途端にダウンしちゃったということでした。先ほど説明ありましたけれども、これ、復旧の見通しということでいうと、どのぐらい掛かるのか、現時点でも分からないんでしょうか。確認させてください。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 復旧につきましては、今関係の業者とも調整しているところでございまして、現時点でちょっと明確に申し上げられる段階ではございません。

○倉林明子君 期待が大きかっただけに、やっぱりがっかり感もすごく国民に与えていると思うんですね。早急な給付決定につながるように本当に頑張っていただきたいと思います。現場の混乱、人手不足の対応ということで確かにあろうとは思うんだけれど、雇用が切れますので、その点は本当に頑張っていただきたいと思います。
 支援メニューを確実に届ける、確実に届けられていませんから、今残念ながら、確実につくったやつは届けるということと併せて、これ予備費を活用する、二次補正の上積み支援、これ当然やられていくと思っておるわけですけれども、雇調金の上限額の引上げとか補助率の拡充というのは遡って適用が求められるというふうに思うんだけれど、これ、やるというふうに聞いているんですけど、大臣、どうですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど申し上げましたけど、オンラインが早々にダウンしてしまったと、大変申し訳なく思っておりますので、一日も早い復旧と、先ほど申し上げました個人情報の漏えい等がなかったかどうかしっかりチェックをし、対策を講じたいというふうに思いますし、また、今委員からお話ありましたように、雇用調整助成金始め様々な施策が確実に使っていただけるようにまず努力をしていく、また使いやすいようにしていくということがまず第一であります。
 その上で、雇調金の拡充、充実のお話がありました。上限額の引上げ、あるいは労働者が直接申請することができる新たな制度についても、総理からもありましたが、検討もさせていただいているところでありますし、そうした中で、今、遡求適用のお話もありました。制度設計の中において、当然そういったことも含めて議論をしていきたいと思っております。

○倉林明子君 これ五月末に、五月に、これ派遣社員の雇い止め、お知らせするという時期が控えているということで、あのリーマンのときもそうだったんですけれど、派遣切り、ここで契約を切っちゃうということが膨大に出るんじゃないかという懸念の指摘、私もそのとおりだと思っております。本当に、後手に回らない、雇用を切られない、そのために全力で頑張っていただきたいと。応援しておりますので、よろしくお願いいたします。