倉林明子

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当事者参加の検証必要 障害者雇用率水増し 倉林氏が質問(2019/5/30 厚生労働委員会))

(議事録は後日更新いたします)

 日本共産党の倉林明子議員は30日の参院厚生労働委員会で、政府による障害者雇用率の水増し問題について、当事者参加による徹底検証を求めました。

 倉林氏は、水増しが障害者への重大な権利侵害で、法や条約に反するとの明確な認識を政府は示していないと批判。障害者を排除した検証委員会の結論で終わりにできないとして、当事者参加の徹底検証を求めましたが、根本匠厚労相は「検証委員会が役割を果たした」として応じませんでした。

 倉林氏は、障害者雇用に関する厚労省の研究会の開催中に問題が発覚したにもかかわらず、同省が研究会に報告しなかったのは重大だと追及。同省の土屋喜久職業安定局長は「途中段階で報告する状況になかった」と弁明。倉林氏は研究会への報告と議論のやり直しを求めました。

 また、障害のある労働者への差別などに関する労働局への相談件数をただすと、土屋氏は「事案の特定を避けるため公表しない」と拒否。倉林氏は「どこの労働局かなどを公表しなければ特定されない。隠す数字ではない」と批判し、即刻公表するよう求めました。

 倉林氏は、長年水増しをしてきた厚労省、政府に監視は任せられないとして、障害者も参加する第三者機関による監視体制が必要だと主張しました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 質問に入ります前に、五月二十八日に旧優生保護法の初の地裁判決がありましたので、一言申し上げておきたいと思うんです。
 この判決は、補償も立法不作為も認めないという極めて不当なものだったわけですが、憲法違反が明確に断罪されたという点は非常に重く受け止めなければならないと思います。行政にも立法府にも長年にわたって存在してきた優生思想、これと向き合って、この障害者雇用水増し問題の検証にも私は当たらなければならないというふうに思っております。
 そこで、質問です。法案審議の前提としてまずやるべきは、昨年発覚した政府による障害者雇用水増し問題の全容解明だと思っております。障害者雇用を率先垂範して実践すべき政府において、分かっているだけでも四十二年間にわたって障害者雇用の水増しをしていた前代未聞の事件なわけです。行政の監視機能を託されている国会がこの不法行為を長年にわたって見抜くことができなかったということに対しては、やっぱり国会に身を置く者として痛苦な反省がある。これは、その思いも込めて質問したいと思っているんです。
 そこで、大臣に改めて確認いたします。この間の政府の水増し問題について、障害当事者及び団体に直接説明はされたんだろうかと、そして当事者から納得は得られたのかどうか、いかがでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) 今般の事案については、障害者代表も参画する労働政策審議会障害者雇用分科会、ここで説明した上で、基本方針の策定に当たって、公務部門における障害者関係府省連絡会議において障害者団体などから御意見を伺ったほか、労働政策審議会障害者雇用分科会においても御審議をいただきました。また、公益代表、労働者代表、使用者代表に加えて障害者代表も参画する労働政策審議会障害者雇用分科会においては、今般の事態への対応も含めた今後の障害者雇用施策の在り方について御議論をいただきました。
 この議論を踏まえて、再発防止に向けた規定を盛り込んだ今回の改正法案を提出させていただきました。

○倉林明子君 いや、直接説明したのかということと、それに対して大臣は納得してもらったというふうに思っているのかと。どちらも直接的な説明にはなっていなかったと思うんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(根本匠君) 私、今御答弁したとおりであります。
 それぞれ、雇用分科会やあるいは各省庁連絡会議、これは障害者の関係団体からの意見も伺っておりますし、やはり雇用分科会というのは障害者の代表も加わっていただいておりますので、そこは、意見を聞くというのは様々な形があろうかと思いますが、やはりこういう障害者代表の方も参画していただいたところで議論をしてこの中身を決めていったということが、私はそこが大切だろうと思っております。

○倉林明子君 いや、これ、障害者団体は、当事者も到底納得していないですよ。この労政審で説明したから納得してもらったと思ったらとんでもない間違いだということは強く指摘したいと思います。
 本会議で大臣は、この事件が法や条約に反する障害者に対する重大な権利侵害であるとの認識あるのかということに対して、明確な答弁されていないんです。検証委員会の報告書でも、各行政機関の計上方法についての正しい理解の欠如、そして法の理念に対する意識の低さと、これ指摘されているわけですよ。私は、法に反していたということを率直に認めるべきだし、明らかだと思うわけです。
 障害者排除の意識が根底になかったのか、障害者差別解消法を率先垂範すべき政府において、私は、真摯な検証がされたと言えるのかと、そう思っているのかと重ねて聞きたいと思います。大臣、どうでしょう。

○国務大臣(根本匠君) 障害のある方の雇用や活躍の場の拡大を民間に率先して進めていくべき国の行政機関の多くにおいて、対象障害者の不適切な計上があって、法定雇用率が達成されていない状況が長年にわたって継続していたこと、これは極めて遺憾であります。
 今委員からも御紹介いただきましたけど、検証委員会の報告書においては、今般の事案が生じた各行政機関側の根本原因として、国の行政機関における障害者雇用の促進を実効あらしめようとする基本認識の欠如と法の理念に対する意識の低さが指摘されており、私もそのとおりだと思います。この指摘を重く受け止めて、障害者差別解消法等の趣旨も踏まえて、これまでの対応を深く反省し、公務部門を含めて障害者雇用の推進を所管する責任を改めて自覚した上で、国における障害者雇用の促進にしっかりとした役割を果たせるよう取組を強化していきたいと考えています。

○倉林明子君 私、この検証作業そのものがやっぱり当事者抜きでされた、これも本当に問題だと思っているんです。
 まず、検証と言うなら、真摯に反省して取り組んでいくとおっしゃるのであれば、これ、障害当事者も参加した場での検証がやっぱり必要だというふうに思うんですよ。障害者を排除した検証委員会の結論で、これ私は終わりにできないというふうに思っております。障害当事者の不信の根っこにあるのは何かということです。政府によって長年にわたって障害者が排除されてきたと、この事実なんですよ。検証作業からも障害者を排除してはならないと私は思うわけで、改めて障害当事者が参加した検証のやり直しということが必要だと思います。どうでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) この検証委員会は、今般の事案の実態や原因を明らかにする、こういうことで検証していただきました。
 こういう観点から、検証委員会は、福岡高検の検事長も務められた松井委員長をトップに弁護士等の有識者から構成されて、事案の実態と原因を明らかにするために書面調査やヒアリング調査を基に専門的な知見から多角的に分析をいただきました。そして、もう繰り返しは避けますが、各行政機関における今般の基本的な構図を明らかにしていただきました。これは専門的な知見で検証していただいたと思っております。
 また、検証委員会における検証に当たっての調査方法、これは全て検証委員会において御議論いただいてお決めいただいたものであります。今回の内容に、つまり検証委員会の報告については、その意味で私はその役割を果たしていただいたものと認識をしております。
 そして、今後の施策は、障害当事者の方を含め、様々な方の御意見を踏まえながら進めてきたものであります。

○倉林明子君 結局、今の結論を申し上げれば、やらないということですよね。障害当事者入れた検証のやり直しはやらないという答弁だというふうに聞けました。新たな障害者排除になるんじゃないかと私は思っているんです。断じて認められない、再検証必要だと重ねて申し上げたい。
 そこで、衆議院の議論を聞いていまして、私、改めて、ああ、こんなこともあったのかと思ったのが、研究会に水増し問題について厚労省からの報告が一切なかったというわけですよ。研究会での議論が、この問題について言えば、一切されていなかったということも分かりました。今後の障害者の雇用の政策の在り方について考え方を示していただくという、これ、研究会の位置付けだったと思うんですよ。この研究会の開催中に発覚したのが水増し事件なわけですよ。
 私、部長に聞きたいと思うんですね。何で研究会に対して、発覚したときには開催中だったわけですよ、これ何で報告しなかったのか、事実関係を教えてください。

○政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。
 昨年五月に財務省からの照会があって今回の事案が出てきたわけでございますが、昨年六月に国の機関に再点検を依頼をして、これによって正しい数字を計上した上で公表を行うこととしておりましたので、これが八月になったということでございます。
 研究会自体は七月末で報告書を公表して議論を終えていたため、研究会に、公表との関係でいえば、報告をする機会がなかったという状況でございます。

○倉林明子君 まとまったのが八月だったから間に合わなかったという話なんだけれども、研究会には報告しないでいいと、その判断は一体誰がしたんですか。

○政府参考人(土屋喜久君) 再点検結果については、集約ができた段階で、今申し上げましたように昨年八月に公表をしたわけでございますが、研究会の開催は、最終の会合が七月二十七日でございました。再点検結果の集約の途中段階であったという状況でございますので、研究会に事務局としての職業安定局して報告する状況にないという判断の下で運営していたというふうに考えております。

○倉林明子君 これ、大臣は事実関係知っていましたか。報告しないということについて報告受けていましたか。研究会について水増し問題の報告はしないということについては知っていましたか。

○国務大臣(根本匠君) 私は十月から大臣になりましたけど、十月からなりましたから、これについては事後的に報告を受けました。

○倉林明子君 これは加藤大臣に聞かなあかんかったということが判明しました。
 改めて、じゃ、大臣に聞きますけれども、今後の障害者雇用政策にこれ重大な影響を与える問題だというふうに思うんです。本来であれば、開催中の研究会に対して、発覚もして重大な案件だということ明らかになってきていたわけですから、報告をすべきことだったんじゃないかと思いますけれども、現大臣としていかがお考えでしょうか。

○国務大臣(根本匠君) 障害者である職員の任免状況、これについては、法を適正に運用して障害者雇用の現状を的確に把握するという観点から、その内容について信頼性の確保に努めること、これは極めて重要だと思います。
 そういう観点から、先ほど局長からも答弁がありましたが、全体の状況が見えない中で拙速に状況を公表するのではなく、昨年六月に国の機関に再点検を依頼して、これにより正確な数字を計上した上で公表を行うこととしたと、私もその旨聞いております。そして、その結果、公表は八月となったため、これはもう既に答弁しておりますので避けますが、既に研究会、七月末で報告書を公表して議論を終えていたため、報告の機会がなかったということであったと思います。
 公表に至るまでの対応、これについては、各機関の任免状況の報告内容の誤りを公表する以上、単に誤りがあった旨の公表をするだけでは不十分で、実際の誤りの程度や内容をしっかりと精査して公表することが必要と判断したものであって、その点においては対応として適当であったと私は考えています。

○倉林明子君 いや、局長、そのときの対応は間違っていなかったという説明なんだけれども、逆に、今この水増し問題の事案については全容が分かったと、そして対応も決めて今やっているという事態になっているわけで、改めてこの研究会の方々に対して、水増し問題については報告を行うということ必要なんじゃないかというふうに思います。
 その上で、今後の在り方ということでいうと、重大な影響あるわけですよ。こういう点では議論のやり直しも、改めてやってもらったらいいんじゃないかと思うんです。どうですか。

○政府参考人(土屋喜久君) 御指摘の研究会におきましては、昨年七月までの間に、特に民間企業の取組を中心とした多岐にわたる重要な視点、御指摘をいただいたところでございます。
 そういった意味で、御指摘のような公的な部門での今般の事案ということについて、それを公表の時点で、公表もいたしましたので、御認識いただくということは、研究会の委員にはそれは一定程度必要という面があるかと思いますけれども、この研究会のまとめた内容については、今申し上げたような点から、これを私どもとしては尊重させていただくというのが適切な対応かなというふうに思います。
 その後の労政審での議論、労働政策審議会での議論は、この研究会報告書の内容も含めて早急に取り組むべき事項について重点的に御議論いただいたわけでございますし、その中で今後検討すべきとされた件についても、意見書の取りまとめを踏まえて、今後、引き続きの検討をしていくという立場にあるというふうに思っております。

○倉林明子君 何度もこんなことがあったような気がするんですけれども。
 厚労省にとって都合の悪い真実が出てきたと、そういう場合、やっぱりきちっと研究会、専門家の皆さん、ここ考えていただけるところですよ。肝腎なところに報告しないというのは本当にいかがなものかというふうに指摘をしたいと思う。厚労省による意図的、組織的な隠蔽ではないのかと、そういう指摘もしておきたいと思います。
 質問です。今回の水増し問題の結果、障害のある職員四千人余りを一気に採用することとなったわけですが、当初から懸念されていたのは、必要な合理的な配慮は十分にされるのかと、今日もたくさんの委員から指摘がありましたが、そのとおりだと思います。また、差別の禁止が徹底されるのかと、こういう問題もありました。
 これからの検証がこれ本当に求められると思うんですが、さらに、雇用された障害者の権利を擁護する上で大事になってくるのが相談体制の充実であると。先ほど公務のところでやり取りもありました。
 そこで、確認したいのは、現状、障害を持つ労働者に対して、権利擁護の仕組みはどのように機能しているのかということを確認したいと思います。
 障害者雇用促進法で定められているように、相談体制取っていこうということになっていますけれども、労働局に寄せられた障害者に対する差別、合理的な配慮に関する相談件数、そして利用実績、これ二〇一六年度から集計対象になっているはずですので、数字でお示しください。

○政府参考人(土屋喜久君) 御指摘の点については、その相談件数などの利用実績について平成二十八年度分から集計を開始をしているところでございますけれども、現段階では、この助言や指導、勧告といったことを行った件数、あるいは紛争解決援助、調停の件数ということでは、いまだその件数が多くはない状況にございまして、事案の特定を避ける観点からこれまでその件数の公表などは行っていないという状況にございます。

○倉林明子君 ちょっとよく分からないですよね、事案の特定を避ける観点から非公表。非公表にすべき数字ですか。どこの労働局かなどの公表をしない限り、事案の特定はできないわけですよ。集計を始めて三年でしょう。公表しない理由には私ならないと思います。
 重ねて、つかんでいる数字あるはずですから、言ってください。

○政府参考人(土屋喜久君) これまで、今申し上げたような事案の特定を避ける観点からその件数を公表してきていないというふうな状況でございます。
 今後、この差別禁止や合理的配慮の提供義務ということについて、やっぱり当事者である事業主や障害者の方の理解を促進するという観点からも、施行の状況を踏まえながら業務の実績を公表するということは検討すべきことであるというふうに考えておりますので、検討してまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 いや、集計しているのは何のためですかというんですよ。そういう実績を積み重ねて次の展開につなげていかなあかんからこそ集計取っているんでしょう。隠すべき数字じゃないんですよ。そういうことをするから信用をなくすんです。
 私は、実在する数字ですので、改めて委員会への資料として提出を求めたいと思います。

○委員長(石田昌宏君) 後刻理事会で協議いたします。

○倉林明子君 少ないからいうて、都合悪いとそういうことで隠すようなことはやめるべきだと申し上げておきたい。
 そこで、第三者機関による監視体制が必要だというふうに私本会議で求めたわけですけれども、厚労大臣による報告徴収の規定も入れるんだと、そういうことで、新たなこういう監視機構をつくらないということでした。
 あのね、長年ですよ、長年にわたって障害者雇用を水増ししてきたのが厚労省、政府ですよね、行政機関ですよ。その政府に監督を任せるわけには私いかないし、そういう信頼関係は国民とも障害者との間でもないというふうに思わざるを得ません。障害当事者もしっかり入れてこそ、私は信頼回復の大きな一歩になるものだというふうに思うんです。改めて、この監視体制、第三者機関による監視体制、当事者も入れた仕組みというのをつくるべきだと思う、これどうでしょうか、大臣。

○国務大臣(根本匠君) 各府省において、法定雇用率の速やかな達成と障害者の職場環境の整備を図るために、関係閣僚会議での基本方針に基づき必要な措置に取り組んでいます。
 例えば、具体的には実務責任者としてきちんと責任者を置きなさいよとか、あるいは相談窓口を設置しなさい、あるいは障害者のサポートを支援する支援者としてきちんと配属職員の職員から選任する、あるいは経験を有する者を採用する。こういう様々な措置を基本方針に基づいて、今各省庁にその取組をさせております。そして、この各府省の取組については、厚生労働省においてチェックリストによって報告を求めて、これは把握をしております。基本方針に基づくこの取組については、関係閣僚会議など政府一体となって推進する体制の下でのフォローアップを実施しております。
 厚生労働省としても、障害者雇用施策を所管している立場から、各府省に対して更なる実態把握を進めるとともに、適切な取組のための必要な支援を行ってまいります。そして、このフォローアップの状況、これについては、公益代表、労働者代表、使用者代表に加え、障害者代表も参画する厚生労働政策審議会障害者雇用分科会に報告をしたいと思っております。
 今後も様々な御意見を踏まえながら、不断に取組を推進してまいります。

○倉林明子君 何でも労働政策審議会のその分科会、分科会でしたっけ、そこに報告して、それで障害者の声聞いたと、障害者の声を取り入れているというようなことにしてしまったら、本当に教訓生かされるんだろうかというふうに思っているんですね。信頼されていないんですから、現時点では、障害者や当事者団体から。そういう点では、チェック、一番のチェックを直接行うところこそ見てもらって、障害者団体にもチェック入れてもらってこその信頼回復の道だと指摘したので、改めてその点では重く受け止めていただきたいと思う。
 障害者抜きで障害者のことは決めてはいけないと、この原点を、改めて障害者権利条約の原点を忘れるなと申し上げて、終わります。