倉林明子

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障害者雇用見直しを 倉林氏 参考人の意見踏まえよ(2018/11/22 厚生労働委員会)

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は22日の参院厚生労働委員会で、中央省庁の障害者雇用率水増し問題について、衆参の参考人質疑(20、21両日)での障害者団体関係者の意見を踏まえ、徹底検証と障害者雇用の在り方の抜本的見直しを求めました。

 参考人からは、政府の検証委員会の報告に「長年にわたる法律違反がなぜ続いたのか全く解明されていない」「不十分」との声があがりました。倉林氏は、障害者も参加する検証委員会による再検証を強く求めました。

 そのうえで、水増しを受け今後約4000人の障害者を採用する政府方針のもと、障害者が受け入れられる職場環境なのか、どんな「合理的配慮」が必要なのかを調査するよう要求。「在職している障害者の状況も含めて、障害者の視点から総点検を丁寧にやるべきだ」と主張しました。

 倉林氏は、障害者雇用率を達成していなくても公的機関はペナルティーがないとして、「各省庁の本気度を高めるためにも(雇用率未達成の場合の)納付金制度などの創設が求められている」と訴えました。


読売新聞 実習生「低賃金で失踪」67% 法務省調査 月10万円以下 半数超(2018年11月17日)

実習実施者等から失踪した技能実習生に係る聴取票①

実習実施者等から失踪した技能実習生に係る聴取票②


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私からまず最初に、外国人技能実習生について質問したいと思います。
 資料をお付けしております。これ、十七日付けの読売新聞でございますけれども、それまで、より高い賃金を求めて失踪していると失踪原因を国会で説明されてきたわけですが、実際は違っていたということが明らかになりまして、昨日、山下法務大臣も法務委員会で改めて事実に基づかない答弁をしていたという御説明もあった、その取りまとめたものが記事になったということです。
 私、この失踪理由が違っていた、数も違っていた、これは大きな重大な誤りがあったというふうに思っておりますが、さらに、その失踪の動機ということで、左肩に取りまとめてありますけれども、低賃金や労働時間が長い、暴力を受けた、あるいは帰国を強制された、いわゆる使用者側に原因があるというものが八割に上っている、こういう実態は極めて深刻だというふうに、改めて訂正された報告を見ましても感じました。
 そこで、議論の中で徐々に明らかになってきていること、あるわけです。初年度の新しい枠組みでの受入れについていいますと、四万七千人を超えるという数字が出てまいりました。そして、その中、業種によっては一〇〇%というものもありますけれども、およそ全体で見て半数を超えて技能実習生から移行することになるんだということも判明してまいりました。つまり、技能実習生の現状や実態、これ明らかにするということは、労働行政を所管する当委員会、厚生労働省にとっても極めて重要な問題だと思わざるを得ません。
 昨年失踪しましたこの外国人技能実習生二千八百七十人分が、正しくは、調査票、個票があるということで、ようやく閲覧が、書き写すことについては認められたと、それが資料二枚目に一枚入れておりますものです。
 これ徐々に、じわじわ、参議院でも写すことやったらいいというふうなことが始まっているようでありますけれども、しっかりこれは示して、資料としても二千八百七十人分提出を求めておりますけれども、示されるべきだというふうに思います。
 この資料で、二枚目の書き写した資料を見ていただきたいんですけれども、枠でいうと四つ目のところに給与等が書いてあります。月額給与は九万円、労働時間はこれ週百三十時間と聴き取りでは出ているんです。異常な、これ事実であるならば明らかな法令違反がある事案だというふうに思うわけです。これ、こういう実態が出てくるからこそ隠したんかと言われかねないと思うんですよ。
 私、そこで、こういう実態が書かれている聴取票、労働行政にとっても極めて重要な資料だと思うわけですが、これについて大臣は御覧になったのかどうか、確認させてください。

○国務大臣(根本匠君) 今、もう一度教えていただきたいんですけど、今の質問、大臣は……

○倉林明子君 御覧になりましたか。通告どおりです。

○国務大臣(根本匠君) ああ、御覧、これね。
 私は、調査の取りまとめデータは拝見しました。そして、個々の聴取票そのもの、これは昨日も厚労委員会で委員の資料としてお配りされて、それは私も見ました。

○倉林明子君 全体の取りまとめた報告書については御覧になりましたでしょうか。新聞報道、見ていないなら見ていないでいいんですよ。

○国務大臣(根本匠君) 失踪技能実習生の現状ということで、法務省において取りまとめたその資料は見ております。

○倉林明子君 この資料、報告書の方でも重大なやっぱり法令違反があるということは十分に予想できると思うんです。そういう意味でいいますと、これ、二千八百七十人分、しっかり厚生労働省としても見るべきだというふうに思うわけです。我々についても、直ちにこれ提出を改めて請求をしたいと思います。
 あわせて、協議案件になっておりますもので既に衆議院の法務委員会で提出されている資料については、直ちに提出をしていただきたいということを求めます。
 同時に、技能実習生で起こっている問題、この解決なしに入管法の議論ということを拙速に進めるということは私はあってはならないというふうに思います。新たな受入れ拡大というのは来年四月ということになっているわけでありますので、私は、もちろん連合審査の要求出しておりますけれども、速やかに厚生労働委員会として集中審議を要求したいと思います。
 お諮りください。

○委員長(石田昌宏君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。

○倉林明子君 続いて、障害者の雇用水増し問題について質問したいと思います。
 参考人からも、検証結果に納得できないということの御意見が衆議院の方でも参議院の方でも相次いで上がっておりました。なぜ関心が低かったのか、なぜ正しい理解が欠如していたのか、なぜ意識が低かったのか、恣意的だが意図的ではないとなぜ言えるのか、こういう疑問に大臣からは答弁がなかったというふうに思うわけです。
 検証委員会でしっかり検証したんだと繰り返し大臣は答弁されているけれども、これらのなぜに対して改めて明快な答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(根本匠君) できるだけ簡潔に答弁したいと思いますから。
 今、なぜというお尋ねがありました。まず、厚生労働省の国の行政機関における障害者雇用の実態に対する関心の低さ、これを検証委員会で指摘されました。
 その中で、根本的な問題として、昭和五十一年改正によって障害者雇用が義務化され、障害者雇用納付金制度の対象となった民間事業者に対する指導に重点が置かれて、他方、国の行政機関については、自主的に適切な対応がなされるであろうという期待があったせいか、毎年、実雇用率の把握は行うものの、各機関の実雇用率が法定雇用率を超えていれば、それ以上に、適切に対象障害者が雇用されているのか、計上されているのかなどの実態把握を行うことについては、ほとんど視野に入っていなかったと考えられていると、これは検証委員会で分析されております。例えば……(発言する者あり)よろしいですか。
 それから次に、各行政機関の計上方法についての正しい理解の欠如、法の理念に対する意識の低さ、なぜそうだったのか。これについては、法定雇用率が達成していない場合に採用計画の策定義務が生じるという現行制度の下で、各機関においては、専ら法定雇用率を超えることだけを意図したような事務処理に流れやすくなった上、厚生労働省による実態把握は形式的なものにとどまり、指導監督なども行われることもないことから、各機関の対応はますます緊張感を欠いたものとなってしまっていたと考えられると指摘されております。
 このような状況の中で、障害者雇用についての対応は、組織全体に対するガバナンスが著しく欠如したものとなっており、毎年の通報作業のみが担当者任せで行われる状況となっていたと指摘されております。

○倉林明子君 それは検証委員会の報告に書いてあることを今改めて御報告あったのかなと思ったんですけれども、じゃ、何でそんなことが、考えられないことですよ、国の行政機関が、法律率先垂範、そうすべきところが、考えられないことを起こしていたから、障害者団体からは何でなんだという疑問が出ているわけです。答えていませんよ。
 私は、重ねて、障害当事者も入れてこの事態のなぜについて検証を、再検証を強く求めたいと思います。
 そこで、前回の質疑の続きで確認をさせていただきます。
 四千人という大量の障害者を短期間に受け入れると。これ、前代未聞の採用計画になるわけですが、受け入れることができる職場環境なのかと。この点検、どうしても必要だというふうに思います。どんな合理的配慮が必要なのか、障害当事者も参加した総点検、これ実施求めたんですけれども、明確な答弁得られなかったというふうに思っているんです。
 改めて、在籍している障害者の状況も含めて、障害者権利条約、障害者の視点、今の職場の総点検、改めて求めたいと思う。いかがでしょう。

○国務大臣(根本匠君) 確実にお答えさせていただきたいと思います。
 基本方針に基づく取組、基本方針ではっきり書いておりますので、今後、閣僚会議など政府一体となって推進する体制のフォローアップを着実に推進していくことになります。
 その一環として、厚生労働省としては、まずは各府省において障害者に対する的確なサポートが行われる体制が整っているかどうか、そして、可能な限り障害者が実際に働いている場で確認を行うことなどによってしっかり把握していきたいと思います。
 具体的には、各府省に配置される障害者雇用の推進に関する実務責任者や障害者雇用推進チームに対して、その活動状況あるいは職場における受入れ環境の整備状況などについてヒアリングを行う、あるいは障害者の作業環境を整えるための機器の導入状況や設備改善の状況について実際の現場を訪問して確認することとしております。
 こういうフォローアップを確実に行って、そして、その状況は、公益代表、労働者代表、使用者代表に加え、障害者代表も参加する労政審の障害者雇用分科会に報告することとしたいと思っております。

○倉林明子君 現場実態、しっかりつかむ必要があると思うんですよ、障害者の目線で。
 これ、視覚障害者、重度視覚障害者、点字受験求めて長いこと運動されてようやく受験がかなった。二十七年前のことですよ。それから合格者は何人いるか。たった一人ですよ、二十七年の間に。パソコンの使用等の御苦労の話も聞きました、受験でも自分のものは使えませんから。そういう一つ一つの合理的配慮が決して現状では不十分なんですよ。そこをしっかり押さえて現場をつかみ直さないと、四千人を本当に定着させるということは困難極まる問題なんだとしっかり自覚していただきたい。
 まとめて聞かせていただきます。
 法定雇用率の在り方についても問題だということで、障害者団体から声上がりました。官民共に法定雇用率引き上げることを考えるべき。重度障害のダブルカウントを廃止してほしい。週に二十時間未満、超短時間の労働もやっぱり対象に入れてほしい。これ、切実で、具体化求められることだというふうに思います。さらに、難病患者団体からも対象とすべきだという御要望もあるわけです。法定雇用率の在り方を抜本的に見直す、これに対しての検討方向を示していただきたい。
 もう一つ、障害者の労働雇用政策における対象者、障害者手帳の有無だけじゃないと、これだけで判断はできないという問題を指摘したいと思うんです。医学モデルではなく、働くことに合理的配慮が必要な障害はどういうものなのか、もう社会モデルの観点から障害者の範囲について検討し直すべき。
 二つ聞きました。どうぞ端的にお答えください。

○政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。
 まずは、雇用率の制度についての全体を見直すべきではないかという観点でございます。
 衆議院、参議院それぞれで行われました参考人質疑の中で様々な御意見をいただきました。障害者雇用促進制度の在り方について広く御意見をいただいたというふうに思っております。
 こういった障害者雇用を促進するための方策につきましては、昨年九月から研究会を開催いたしまして、ここには障害者代表の方、労使の代表もお入りをいただいた研究会でございますが、ここで本年七月に報告書もおまとめをいただいているところでございます。研究会のこの報告書を踏まえながら、御指摘をいただいた点も含めて、今後、労働政策審議会の障害者雇用分科会におきましてその在り方を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それから、障害者の捉え方について、手帳所持の方に限るのではなくという点についてお尋ねがございました。
 障害者雇用率制度は、雇用義務の制度では、法的な公平性であるとか安定性を確保するという観点から、対象とする障害者を明確かつ容易に判定できるという趣旨から、この対象障害者の条件として、原則として障害者手帳を所持をしているということを要件にさせていただいているところでございますが、一方で、障害者雇用促進法における障害者の定義というものは、心身の機能に障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者というふうにされておるわけでございまして、手帳所持者に限らず、職業相談あるいは職業紹介といったいわゆる職業リハビリテーションの支援の対象としているところでございます。
 こういった観点から、法律の下での雇用促進施策は、所持の有無にかかわらず障害のある方が意欲と能力を発揮して活躍できるようにということでやっているわけでございますので、こういった取組をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

○倉林明子君 雇用率で数合わせありきということで、この障害者手帳の扱いということも議論になったわけです。やっぱりそういう点でも大事なことは、障害当事者の意見も見直しの中にはしっかり入れていくということをやらないと失敗するということを強く申し上げておきたいというふうに思うんです。
 そこで、前回も大変議論になりました、公務のところには雇用率達成していなくてもペナルティー措置がないという問題です。
 私、各省庁の本気度を本当に高めていくためにも、公務部門にも納付金制度か何らかのペナルティー制度の創設というのが求められるというふうに思います。民間に率先して高い雇用率を達成すべきなんですよ、公務部門は。ところが、未達成。長期間、大規模に未達成。それでもおとがめなしというのは、余りにも公平性に欠けると思います。
 大臣、いかがですか。

○国務大臣(根本匠君) 私も今回の事態はゆゆしい事態だと思っております。
 そして、納付金制度は、雇用主の障害者の雇用に伴う経済的負担の調整、公平の担保、これからやっております。これは国にはなかなかなじまないだろうと。じゃ、国に対してはどういうことをやっているか。国は、法定雇用率を達成していない場合には、これは速やかに達成しなければいけない、そして法定雇用率を達成していない公的機関、これは一年以内に計画策定しろと。民間事業主の場合には二年と、こうなっているんですが、国の場合には一年間の策定義務が課されております。
 そういう仕組みで国の障害者雇用をしっかりと推進するための仕組みとして、実はそういう制度を用意している。ただし、今回のような事態がありましたので、私も、不適切な計上、とんでもないと思っております。

○倉林明子君 最後よく聞き取れなかったんですけれども、公務には厳しくなかったんですよ、結果として、枠組みが。だから、しっかり、そういう提案、障害者団体からも出ているわけですから、受け止めて検討を私は強く求めたいと思うし、この納付金使って障害者の就労のための支援サービスがあるわけです。ところが、これも民間の負担ということになっているので、利用期間の上限があるんですよ。
 私は、期限が目前に迫っているという障害者の方からお話を伺いました。支援が切れれば、介助者使っておられる方ですけれども、支援が切れれば働くことはもう続けられないというお話なんです。この支給期限というものも撤廃していくべきだし、さらに、就労、通勤にも福祉サービスが使えるように、こういう拡大の方向は併せて検討が必要だというふうに思います。
 私、この審議通じて、障害者雇用問題、解明はまだまだされていないと思っています。水増し再発防止のためには引き続き継続した集中審議も重ねて求めまして、終わります。