倉林明子

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生活保護使いやすく 倉林氏 生活困窮者支援法改定(2018/5/18 本会議)

 
 生活困窮者自立支援法等改定案が18日、参院本会議で審議入りしました。日本共産党の倉林明子議員が質問に立ち、「今行うべきは生活保護制度を『生活保障法』に変更し、使いやすい制度にすることだ」と訴えました。

 倉林氏は、生活保護の母子加算、児童養育加算などの削減は「子どもの貧困の解決に逆行する」と批判。昨年12月の生活保護利用者の電話相談で「食事の回数を減らしている」「暖房も冷房もつけない」など深刻な実態が寄せられたとして、具体的な家計状況の調査を求めました。

 加藤勝信厚生労働相は「健康で文化的な最低限度の生活を営むことのできる適切な水準になっている」と強弁しました。

 倉林氏は、生活保護利用者の後発医薬品の使用義務化について、差別であり劣等処遇だと批判。「払いすぎた」保護費の強制徴収は2千円、3千円でも数日分の食費で、最低生活を割ることになると指摘しました。倉林氏は、生活困窮者支援制度について「事業内容、対象要件等を抜本的に改め、真に困窮し、社会的孤立を強いられている人たちの支援となるよう見直すべきだ」と求めました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 ただいま議題となりました生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案について、日本共産党を代表して質問いたします。
 平成二十五年度労働時間等総合実態調査は、データ捏造により、働き方改革一括法案から企画業務型裁量労働制拡大を削除する原因となりました。さらに、一般労働者のデータの中にも分かっているだけで九百六十六件の誤りが判明し、もはやデータそのものの信憑性は完全に失われております。働き方改革一括法案を撤回し、労働政策審議会に差し戻すことを強く求めます。
 本年十月からの生活扶助基準引下げに、利用者から、子供の人生に不安と絶望をもたらしたなど、悲痛な訴えが届いています。
 生活保護基準は、二〇〇四年からの老齢加算廃止、一三年には生活扶助基準が最大一〇%も引き下げられ、一五年には住宅扶助、冬季加算が削減されました。それに続く今回の引下げは、利用者を更に追い詰める過酷な仕打ちと言うほかありません。
 生活保護法第八条二項は、生活保護基準を、必要な事情を考慮した最低限度の需要を満たすに十分なものとしています。今回の引下げは、この規定を全く無視するものです。
 低所得者との比較が理由とされた今回の基準引下げ、母子加算、児童養育加算等の削減は、子供を持つ世帯ほど大きな打撃となっています。子供二人の母子家庭の生活扶助基準は、一九九〇年前後とほぼ同じ水準であり、ナショナルミニマムの水準が四半世紀分後退することとなります。子供の貧困の解決に逆行するものではありませんか。
 シングルマザーを支援する団体は、生活保護以下の生活を余儀なくされ、命さえ危うい状況に置かれている親子も少なくないと指摘しています。これら困窮世帯との均衡のみをもって、どうして健康で文化的な最低限度の生活を保障することになるのか、その根拠の説明を求めます。
 昨年十二月に行われた緊急ホットラインには、食事の回数を減らしている、暖房も冷房も付けない、夕方には布団に入り寒さをしのいでいる、下着も買えないなど、深刻な実態が寄せられました。これが、必要な事情を考慮した最低限度の需要を満たすと言えるのですか。
 生活保護利用当事者を審議会に参加させ、意見を聴取するとともに、具体的な家計状況の大規模調査を実施すべきです。答弁を求めます。
 生活保護基準は、最低賃金、住民税非課税基準、就学援助など、様々な制度と連動しています。基準引下げの他制度への影響について、どう認識していますか。
 生活保護基準は、低所得者対策と連動し、ナショナルミニマムとして生活を下支えする重要な機能を果たしています。生活保護基準の引下げスパイラルは、市民全般の生活水準の引下げスパイラルにつながるのではありませんか。
 だからこそ、生活保護基準部会長の駒村康平氏は、生活保護水準は全ての最低生活保障を下支えするために、安易に水準を引き下げることができない岩盤と指摘しているのです。基準引下げは撤回すべきです。答弁を求めます。
 生活保護法案は、生活保護利用者が医療を受ける場合、より安価な後発医薬品の使用を原則とし、保護利用を理由に、本人の意思による先発薬の選択を認めないというものです。生活保護利用者の後発薬の使用割合は七二・二%で、国民全体の六五・八%より高いのに、なぜ生活保護利用者にのみ義務付けるのですか。保護利用者は、税金の世話になりながら高額な先発医薬品を使うのはぜいたく、安い薬で我慢すべき、制限されて当然ということですか。
 保護利用者のみ選択権を奪い薬剤アクセスを制限することは、差別であり、劣等処遇そのものです。厚労省は、制度に対する国民の信頼性を確保するためと説明していますが、差別と偏見を拡大することがなぜ制度の信頼を高めることになるのですか。お答えください。
 生活保護に対する強い偏見のために、困窮しても保護を受けず、医療費が払えず命を落とす人が毎年多数報告されています。制度への信頼を高めるためには、生活保護への偏見をなくし、必要なときに安心して利用できる制度にすることこそ必要です。答弁を求めます。
 本法案は、払い過ぎた保護費について、現在の返還規定に加え、国税徴収法によるとし、保護費からの天引き等、強制的に徴収することを可能にするものです。最近、福祉事務所の誤りによる保護費の過誤払が多発しています。これも六十三条を基に返還が求められますが、利用者に落ち度が全くないにもかかわらず、故意による不正受給と同等に強制徴収、天引きされることがあってはなりません。大臣の答弁を求めます。
 国税徴収法によるとされれば、自己破産しても免責されなくなり、支払義務が残ることとなります。天引きは、本人同意を前提にするものの、保護決定の権限を持つ福祉事務所に対し、利用者は対等な関係ではなく、同意を拒むことができるでしょうか。これ以上削りようがない限界の生活を強いられる中で、分割して支払う二千円、三千円の額であっても、数日分の食費に当たるのです。
 保護費から返還金の天引きを可能とすれば、手取りは最低生活水準を割ることになるのは明らかです。最低生活を下回る生活を強いることはあってはなりません。答弁を求めます。
 無料低額宿泊所は、住宅確保が困難な生活保護利用者を劣悪な環境で入居させ、高額の家賃、費用を徴収、保護費を事業者が管理するなど、悪質業者の人権侵害が重大な問題となってきました。
 本法案は、無料低額宿泊所に最低基準を設け、要件を満たしたものは生活保護利用者のついの住みかとなります。最低基準、要件、入居対象はどのように考えられていますか。
 一時利用を前提とした現在の指針の居室面積は、生活保護基準と比べても半分程度です。それを踏襲するのでは、利用者の人権を保障する質が担保されていることにはなりません。適切な福祉サービス等の支援があれば一般住宅での生活が可能な人たちが、居宅保護の原則に反し、低質な住環境に固定化されることがあってはなりません。答弁を求めます。
 生活困窮者自立支援法について伺います。
 生活困窮者の定義の見直しにより、各事業の支援対象は拡大するのでしょうか。
 現在の生活困窮者支援制度は就労支援が基本で、就労し収入を増やさなければ生活困窮状態から脱することは困難です。居住保障の機能も弱く、唯一の経済給付である住宅確保給付は、資産、所得要件が厳しく、期間も短いなどの問題点も多く指摘されています。
 貧困は個人責任にしないという社会的合意を基につくられた制度でありながら、現場の献身的な努力にもかかわらず、自助努力への支援にとどまらざるを得ません。事業内容、対象要件を抜本的に改め、真に困窮し社会的孤立を強いられる人たちの支援となるよう見直すべきです。
 今行うべきは、生活保護制度の名称を生活保障法に変更し、全ての国民に生存権が保障され、使いやすい制度にすることです。国民への周知義務付けなど緊急の法改正の実現を強く求めまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

○国務大臣(加藤勝信君) 倉林明子議員より、十問の御質問をいただきました。
 生活保護基準の見直しと子供の貧困対策との関係についてお尋ねがありました。
 今回の生活保護基準の検証においては、子供がいる世帯に対する加算や教育に関する給付について、全国消費実態調査などのデータに基づき、子供の貧困対策の観点も踏まえ検証を行っております。
 その結果、子供のいる世帯については、母子加算の見直しを行う一方で、児童養育加算の給付対象者を高校生に拡大することなどにより、その約六割では基準額が増額となる見込みであります。子供の貧困対策の視点も踏まえて適切な見直しと考えております。
 生活保護基準と最低限度の生活保障との関係についてお尋ねがありました。
 生活保護において保障すべき最低生活の水準については、一般国民生活における消費水準との比較における相対的なものとして設定しております。
 今回の検証では、いわゆる変曲点の理論を用いた分析や家計支出に占める固定的経費の割合が急激に変わる水準の検証など、様々な分析を行った上で、生活扶助基準の水準の検証に当たり比較対象となる一般低所得世帯の選定を行いました。
 その上で、モデル世帯において、一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準とを比較し、おおむね均衡していることが確認されており、健康で文化的な最低限度の生活を営むことのできる適切な水準になっていると考えております。
 生活保護受給者の意見の聴取と家計状況の調査についてお尋ねがありました。
 家計の、生活保護基準の見直しは、審議会において、全国消費実態調査などのデータを用いて専門的かつ科学的見地からの検証作業を行い、その結果を踏まえ、生活保護の基準が、最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを超えないものとなるよう行うものであります。
 その際、生活保護受給世帯の生活実態及び意識に関する調査や、生活保護受給世帯の家計の状況に関する調査を実施し、参照しております。また、生活保護受給者やその関係者から直接御要望を伺うなど、様々な機会を通じて御意見などをいただいているところであります。
 生活保護基準の見直しと他制度の関係についてお尋ねがありました。
 生活保護基準の見直しに伴う他制度への影響については、直接影響を受け得る国の制度が四十七項目あると認識をしております。一月十九日の閣僚懇談会において確認した政府の対応方針に沿って、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分に考慮しながら、できる限りその影響が及ばないようにするなど、各府省、地方自治体と協力して対応してまいります。
 また、今回の生活保護基準の見直しは、適切に行われているものであり、撤回することは考えておりません。
 生活保護受給者への後発医薬品の使用原則化についてお尋ねがありました。
 後発医薬品については、医療全体においても生活保護の医療扶助においても使用割合を八〇%にするという目標を設定しており、生活保護においては、平成二十五年の生活保護法の改正で法律上の定めを設けることなどにより、その使用促進に取り組んでいるところであります。
 しかしながら、その使用割合の伸びが鈍化しており、地方自治体からも、運用ではなく制度的な対応として後発医薬品の原則化が必要との意見もあることから、今般、審議会の報告書も踏まえ、医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認める場合に、原則として後発医薬品を給付することとしたものであります。
 生活保護制度への信頼の確保についてお尋ねがありました。
 生活保護制度は、生活に困窮する方に最低限の生活を保障する最後のセーフティーネットであり、住民に対する制度の周知や、民生委員などと連携して生活に困窮している者の発見等に努めるよう福祉事務所の取組を促すなど、生活保護が必要な方が適切に支援を受けられるよう取り組んでいるところであります。
 生活保護を受給することへの偏見をなくし、保護を必要とする方には確実に保護を適用するという方針の下、制度の適正な運用に取り組んでまいります。
 保護費の返還金についてお尋ねがありました。
 生活保護費は公費を財源としており、国民の制度に対する信頼を確保するためにも、生活保護費に係る返還金債権について確実に徴収することが重要であります。このため、改正案では、資力などがある場合に受けた生活保護費に係る返還金について、国税徴収の例により徴収することができることとしております。
 ただし、福祉事務所の算定誤りにより生活保護費が多く支給された場合の返還金については、省令において、国税徴収の例によることのできる徴収金から除外する方向で検討をしております。
 また、返還金と保護費との調整については、被保護者の申出に基づき、保護の実施機関が生活の維持に支障がないと認めた場合に限り保護費等からの徴収を可能とするものであり、丁寧な運用がなされるよう、地方自治体に対する周知を図ってまいります。
 無料低額宿泊所の制度見直しについてお尋ねがありました。
 今回の法案では、法律に根拠のある最低基準の創設などの規制強化とともに、福祉事務所が一定の要件を満たす良質な無料低額宿泊所等に対し単独での居住が困難な生活保護受給者への日常生活上の支援を委託できる仕組みを創設することとしております。
 現行の無料低額宿泊所のガイドラインでは、一時的な利用を念頭に、居室の面積を原則として七・四三平方メートル以上と定めておりますが、法改正施行後の居住面積などの具体的な最低水準や要件、対象者などについては、その利用者が安全、安心して暮らせる環境づくりを進める観点から、地方自治体や事業者など関係者の意見も聞きながら、今後検討していきたいと考えております。
 生活困窮者の定義の見直しについてお尋ねがありました。
 生活困窮者の定義は、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者となっていますが、本法案では、経済的困窮に至る背景事情として、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情を新たに明示することとしております。
 この見直しについては、支援対象者自体を変更するものではありませんが、これまでの生活困窮者自立支援の実践を踏まえ、生活困窮に至る背景事情を入念的に明示し、関係者間において共有を進めるためのものであり、これにより、早期的、予防的な観点からの支援を含め、適切かつ効果的な支援の展開につなげてまいります。
 生活困窮者自立支援制度の事業内容や対象要件の見直しについてお尋ねがありました。
 今回の制度改正では、自立相談支援、就労準備支援、家計改善支援の一体的な実施の促進、一時生活支援事業における訪問などにより見守りや生活支援を行う事業の拡充、子供の学習支援事業における生活習慣の改善や進路選択に関する助言の取組強化、今後予定している省令事項として、就労準備支援事業の年齢要件の撤廃など対象者の見直しなどの事業内容や対象要件に係る見直しを行い、包括的な支援体制の強化を図っております。
 なお、住宅確保給付金については、その趣旨が離職者の再就職を支援するものであることに鑑みれば、単に低収入の世帯に対する家賃の支給となってしまうような支給要件や期間の見直しは制度の趣旨にそぐわないものと考えております。
 以上であります。