倉林明子

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年金支給漏れ問題 閉会中審査 窓口の体制拡充は急務 倉林議員が提起 / 事実と異なる資料撤回を 介護報酬改定議論 倉林議員が批判

(資料があります)

 倉林明子議員は20日の参院厚労委員会で、年金「振替加算」の支給漏れ問題について、日本年金機構が05年10月には支給を確認するコンピューターシステムに問題があることを把握していたことを示し、「問題の解決を先送りしてきた年金機構と厚労省の責任は重大だ」と批判しました。

 倉林氏は、年金事務の現場は今回の支給漏れ対応とともに、受給資格期間短縮にともなう支給事務が10月中旬から始まることが重なり、窓口業務量が増大することをあげて「体制の拡充は極めて急を要する」と強調。対応する有期雇用職員について、同機構が最低賃金以下で募集している実態も示して賃金水準引き上げを求めるとともに、必要人員数を定めた同機構「基本計画」を撤回し実態に合った体制強化をはかるよう求めました。

 加藤勝信厚労相は、「臨時的な業務に対応するために必要人員をしっかり確保したい」と述べるにとどまりました。


 日本共産党の倉林明子議員は20日の参院厚生労働委員会で、介護報酬改定を議論している審議会で、事実と異なる財務省調査資料を根拠にして、訪問介護の「生活援助」サービスの利用制限へと誘導していると厚労省を批判し、資料撤回と議論のやり直しを求めました。

 資料は7月5日の社会保障審議会介護給付費分科会で厚労省が提出。「生活援助」のみの利用が「月100回を超えて利用されているケースも認められた」と記述し、「必要以上のサービス提供を招きやすい構造的な課題を抱えている」などとして利用制限を根拠づけました。これに対し本紙調査で「月100回超の利用」は生活援助のみの利用でなかったことが明らかにされました。(20日)

 倉林氏の追及に対して、厚労省の濵谷(はまや)浩樹老健局長は「財務省が行った調査であり、厚労省が(撤回の)取り扱いを決定するのは難しい」と弁明。厚労省として正確な実態把握のために調査する考えを示しました。


平成29年度予算執調査(介護保険サービス(訪問介護))の概要


「受給資格期間短縮」の実務について


日本年金機構の特定業務契約職員の募集について


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 年金の質疑に入ります前に、来年度の介護報酬について審議進んでいるということで、私、一点だけ確認をさせていただきたいと思います。
 資料をお付けしております。これ、七月五日の社会保障審議会介護給付費分科会の厚労省が提出した資料ということになっております。これ、右肩にありますように、財務省の予算執行調査概要、これを基にして訪問介護の生活援助のみの利用状況の調査ということになっているわけです。最高が月百回を超えて利用しているというものになっているわけですが、私、問題は、これを基にして改革の方向性も出しているという中身なんですね。改革の方向性は何かというと、必要以上のサービスを招きやすい構造的な問題を抱えていることにしまして、報酬の上限設定も含めて上限規制の方向性、こういう提案になっているんですね。
 ところが、私たちこれ調べましたところ、最高の北海道標茶町、この例も含めまして、実際に生活援助のみの利用ではないという事実が判明しております。これ、財務省も認めております。必要なサービス提供であるということの実態、一つ一つ聞き取りしてみますとはっきりしているんですね。
 これ、事実と異なる資料を前提として議論が進められている、非常に問題だと思っています。直ちにこの資料については撤回して修正すべきだと思います。厚労省の責任できちんと撤回していただきたい。いかがですか。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 御指摘の財務省の調査におきましては、通所介護等の他の介護サービスを利用している方が含まれておるということでございまして、御指摘のとおり、生活援助中心型のみを利用している方を示しているものではないということであるというふうに聞いております。
 厚労省といたしましても、生活援助中心型の訪問介護の利用回数の多い利用者の方について、保険者に対して調査を行うことによりまして正確な実態の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 いや、撤回するのかしないのか、はっきりしてください。

○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 御指摘の調査は財務省が行った調査でございまして、厚労省といたしましてその取扱いを決定することは難しいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、厚労省といたしまして、しっかりとサービスの利用実態を把握してまいりたいというふうに考えております。

○倉林明子君 これ、生活援助の在り方、介護報酬に関わる重大な問題なんですよ。間違った資料提供をして議論を誘導するようなやり方というのは、やっぱりきっちり修正すべきだと思いますよ。議論のやり直し、強く求めておきたいと思います。
 そこで、本題に移りたいと思います。
 今回の年金の支給漏れについてなんですけれども、もうあってはならない事態だというふうに改めて指摘をしたいと思います。
 そこで、振替加算の制度開始から二十六年、まあ四半世紀ということなわけですよ。先ほどの議論聞いておりますと、平成三年、この制度開始から既に支給漏れはあったという事実が、答弁がありました。そこで、私、確認をしたいと思うんです。妻の原簿には記載がない、しかし夫には加給年金支給の実態があると、こういう事実について年金機構はいつ把握したんでしょうか。

○参考人(水島藤一郎君) 組織として把握をいたしまして、これについて調査を開始するということを決定したのは昨年の十一月でございます。

○倉林明子君 いや、妻の原簿には記載がないんだけれども、夫には加給年金を支給していると。これ、今回の説明資料の中でも、いつ気付いたかというのは年金機構の説明で書いてあるんですよ。平成十七年十月、二〇〇五年十月には、妻の年金原簿に夫に加給年金が支給されていないと収録されている場合、リストを出力して個別に確認することとしたと。これ、事実と違うんですか。

○参考人(水島藤一郎君) 平成十八年でございますけれども、相当、平成十七年に大量の未払、過払いが発生をいたしました。その当時、妻の配偶者状態、奥様の配偶者状態を基準にして行ってまいりましたが、そこから、平成十八年から御主人の加給の状況について確認をした上で振替加算を付けるということに変更したわけであります。そのことに関しまして、共済に関しましてはリストを出してやるということでございました。

○倉林明子君 少なくとも、この厚生労働省の説明資料によれば、二〇〇五年、平成十七年十月にこういう方々に対してはリストを出して確認するという、これ決めているわけですから、知っていたということなんですよ、既に。ところが、このリスト出してみたら多くの情報が混在していて個別対応ができないという、要はシステムに問題があるということがこの時点で私ははっきりしていた問題だというふうに思うわけです。
 つまり、事務処理という説明の仕方されているんだけれども、システムそのものに欠陥があることをこのとき既に把握していながら、十年以上前ですよ、それなのに問題の解決を先送りしてきた、これは年金機構ですよ。そして、制度をつくりながらこの支給漏れ問題の解決を先送りしてきた、これは厚労省。私、極めて責任は重大だという指摘を改めてしておきたい。
 そこで、支給漏れの支払なんですけれども、これ十一月からということで説明ありました。これ資料二を見ていただきたいんですけれども、先ほど来ありましたとおり、年金受給資格期間十年短縮による支払というのはいよいよこれ十月から始まるという流れになっているわけです。
 そこで、現場の話、衆議院でも指摘があったとおりで、先ほど体制の問題で理事長はおっしゃいました、予約式にして好評やいうてね。好評なだけじゃないんですよ。予約しないで来る人もいるんですよ。そういう人は、二時間、三時間と、日常的に待ってな相談に乗ってもらえないんですよ。そういう実態、理事長、御存じだと思うんですよ。そういう部分もきっちり含めて、本当にこうした受給期間の短縮でしっかり支給を、十年の短縮の年金支給をしていくという業務と今度の支給漏れ対策ということが徹底して求められる、しっかりやる必要があるということになるわけです。
 そこで、今回の支給漏れの公表後のコールセンターの対応の話もありました。率直に理事長認められたとおり、連休明けどうなっているかということでいうと、やっぱりコールに対応し切れないという現状あります。さらに、コールセンターで電話に出てもらえないので、事務所に直接来るという方が今後更に増えていくだろうということはもう火を見るより明らかだというふうに思います。
 そこで、事務所の窓口対応も含めて事務所の体制をどうするのかということが、私は本当に喫緊で対応が求められていると思うわけです。実態どうかと。これ契約職員の欠員状況が続いているという実態ありますね。現状でこれ本当にこうした二つの大きな対応、求められている対応に応えていけるのかどうかということが問われていると思うんです。これ信頼を回復する上でも事務所での対応というのは本当要になってくると思うんですよ。
 そこで、大臣に伺いたいと思うんです。
 職員体制、私、拡充をして対応していく、これ極めて急を要するというふうに思いますけれども、その必要性に対する認識はいかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) これまでも、日本年金機構において、そうした業務の増加等に対して効率化を図りつつ必要な人員の体制を取ってきているというふうに承知をしているところでございます。

○倉林明子君 いや、その認識は大いに改めていただく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 有期雇用の特定業務契約職員、これが現場で本当に重要な役割を果たしているということは、これは異論がないところだと思います。こういう方々が経験を積んでもらって更に役割を果たしていただくということも、今々の現場には一層必要なことになっているんだと思うんですね。ところが、この有期雇用の契約職員については、三回更新後は雇用は打ち切るということになっているわけです。さらに、打ち切って欠員で、また有期雇用職員の募集ということになっているわけですよ。問題なのは、軸になって働いてもらわなければならない有期雇用契約職員の評価が極めて低いことなんです。
 そこで、確認をしたいと思います。機構の特定契約職員の募集について、昨日までの期限で募集をしていた本部募集、この給与はどうなっているのか、額でお答えください。

○参考人(水島藤一郎君) 現在でございますけれども、本日現在でございますが、東京新宿、高井戸に勤務をする方の給与は日給で八千二百四十円でございます。府中に中央年金センターがございますが、そこに勤務していただく方は七千九百二十円、三鷹で勤務していただく方は七千六百円となっております。

○倉林明子君 資料を見ていただきたいんですけれども、これ募集要項です。今おっしゃったように、十月一日から、今年のですね、年度末までの募集の中身になっているんですが、今おっしゃったように、給与のところ、日給です。これ八時間です、所定労働時間。これ、十月一日からの最低賃金は新しい最低賃金で対応するということになりますよね。そうなると、この三鷹は明らかに最低賃金を割り込む、こういう水準なんですよ。私、とんでもない話だと思うんですね。そもそも低いんだけれども、とうとう最低賃金割り込むような募集を掛けている。これ大臣、知っていましたか。

○国務大臣(加藤勝信君) 私が承知している限り、十月においては最低賃金の見直しを受けて給与額の改定をするというふうに承知をしておりますけれども。

○倉林明子君 十月一日からの募集を掛けている中身はそうなっていたという事実を知っていたのかということだったんですけれども。
 いずれにしても、改定は当然なんですけれども、改定にとどまらず、こういう方々の賃金水準というのを本当に引き上げるべきだと思います。昇給、賞与、退職手当もないというのが今の実態になっているんですよ。大臣は、有期雇用職員のこの賃上げというのを、業務運営、監督するという責任があるわけです。ここを本当に指導して底上げに取り組むべきだということを強く求めたいと思います。
 と同時に、この体制そのものの枠を決めているのが、日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画になっているわけです。これ、当面といいながら閣議決定から既に九年たっているわけです。当時の状況からもう業務も大きく変わっているわけです。基本計画というのは、大きく機構を制約して人員を縛るものになっているわけですよ。こういう事態も踏まえて、この基本計画を撤回して必要人員の見直しというのを行うべきだ。いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) まず、有期雇用職員の処遇改善でありますけれども、私どもも同一労働同一賃金ということでこれまで議論をさせていただいておりまして、年金機構の有期雇用職員についても同様であって、年金機構においては他の公的機関の対応などを総合的に勘案して適切な処遇改善を行っていく方針であるというふうに聞いておりますし、そうした方針を実施していくべきだというふうに考えております。
 また、今お話あったいわゆる基本計画でありますけれども、これは、設立時とシステム刷新など一連の改革が終了した時点の人員数を定めたというものでありまして、年金機構、いまだ改革の途上にあるわけでありまして、現段階で閣議決定を撤回するということは適当ではないというふうに思っております。
 しかしながら、先ほど申し上げたように、適用徴収業務の強化あるいは法律改正の施行事務等、臨時的な業務に対応するためには必要な人員をしっかりと確保していきたいというふうに思っております。

○倉林明子君 経験のある職員というのが本当に機構の財産、年金の信頼回復する私は決め手になるものだと思います。ここをしっかり守り抜くように頑張っていただきたい、ここを守ってこそ信頼回復につながると強く申し上げて、終わります。