国会レポート

アスベスト訴訟和解手続き個別への徹底周知を(厚生労働委員会)

2017年5月30日

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は30日、参院厚生労働委員会で、大阪泉南アスベスト訴訟の和解手続きについて、2014年12月に成立した和解内容の個別周知を徹底するよう求めました。

 倉林氏は、国も責任を認め謝罪した経緯に触れ、「早期解決のためには同様の状況にあった石綿労働者についても提訴してもらう必要がある」と強調しました。
 一定の要件を満たす人が提訴すれば賠償金が支給されることになるが、厚労省による周知が本格化した15年以降の提訴状況(15~17年)は原告数で252にとどまっていると指摘。その中で、佐賀労働局が労災補償給付を受けている人へ個別にリーフレットを送付した佐賀地裁では提訴数が突出し、個別周知が効果をあげていることを示しました。

 厚労省が個別の周知は慎重に行うようにと回答していることについて「知らなければ早期解決どころか、提訴できず損害賠償請求権そのものが消滅する危険がある」「真摯に謝罪を実践に移すには、和解条項の中身に沿ってただちに情報提供に踏み切ることだ」としてわかりやすい周知の徹底を求めました。

 塩崎恭久厚労相は「できるだけ多くの人に損害賠償請求に応じていただけるようにしなければいけない。労災認定だけでなく管理区分の方も含め情報を送るようにしたい」と答えました。


石綿(アスベスト)工場の元労働者やその遺の方々に対する和解手続による賠償金のお支払いについて(厚生労働省リーフレット)

工場労働者型訴訟の提訴状況について

経済産業省 筑豊じん肺訴訟に対する損害賠償金の案内に関するリーフレット


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は、アスベスト訴訟の和解手続の周知徹底について質問したいと思います。
 大阪泉南アスベスト訴訟で、二〇一四年の十月、初めて国の賠償責任を認めた最高裁判決が確定いたしました。二〇一四年十二月二十六日、和解が成立したわけですけれども、その際の和解条項四、これはどうなっているのか、その部分を読み上げて御紹介いただきたいと思います。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 平成二十六年十二月二十六日の御指摘の泉南アスベスト訴訟第一陣の原告の方々との和解における和解条項、この第四項でございますけれども、第一審被告、厚生労働省は、大阪泉南アスベスト国賠一陣訴訟及び二陣訴訟の最高裁判決において国の責任が認められた方々と同様の状況にあった石綿工場の元労働者の方々についても、同判決に照らして、訴訟上の和解の道を探ることについて周知徹底に努めると記載をされているところでございます。

○倉林明子君 今御紹介ありましたように、最高裁判決において国の責任が認められた方々と同様の状況にあった石綿労働者の方々について訴訟上の和解の道を探ると、これを周知徹底するんだということだと思うんです。大臣は、判決を受けて、国の責任を認めるということで原告にも会われて謝罪もされたということで伺っております。
 これ、早期解決のためには、該当者に提訴をしてもらうという必要があるわけです。そのためには、周知徹底をする、これ和解条項四に示したとおりだと思うわけで、改めて確認したいと思いますが、周知徹底は国の責任だ、よろしいですね。

○国務大臣(塩崎恭久君) この泉南アスベスト訴訟最高裁判決におきまして、国の規制行政における不作為責任と、これが認められたわけでありまして、これは極めて重い判決だというふうに思っております。
 この判決を受けまして、泉南アスベスト訴訟の第一陣の原告の皆様方との間で和解が成立をしておるわけでありますけれども、その際の和解条項の趣旨も踏まえて、判決において国の責任が認められた原告の方々と同様の状況にあった方、この方々に対してはできる限り和解手続を知っていただくということが重要であるわけであって、今、周知徹底に努めるというところを局長の方から読み上げたところでございます。
 こういうことから、平成二十七年以降、こうした石綿工場で働いてこられた方々に対しまして、和解手続の周知のためのリーフレット、ポスターを作成をいたしまして広く周知を行ってまいっておりますけれども、更なる周知を図る観点から、本年三月にも約七万部のポスター、約三十八万部のリーフレットを全国の自治体、そして労災指定医療機関などに追加配付をするということをいたすとともに、自治体に対しまして、市民センターなど多くの住民が御利用される施設へのポスターの掲示などを依頼をするなど、効果的な周知を図っているところでございます。

○倉林明子君 また新たに追加的にリーフ、ポスターの周知や配付をしていくということですが、二〇一五年の二月以降、これまでも三次にわたって、ポスターは約十六万五千枚、リーフは八十八万部、これリーフ八十八万部に加えて、今年更にまた百三十八万部配ろうというのが資料一枚目、二枚目のリーフということになっているわけです。
 こうした取組によって提訴件数が増える、そして和解につながっていくと、これが望ましいことだというふうに思うわけですけれども、大臣、それで間違いないと思いますが、認識いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) そのとおりだと思います。

○倉林明子君 それでは、この間の周知徹底の効果はどう上がっているのかということで、周知が本格化した二〇一五年以降、工場労働者型のこの提訴状況、つまり泉南アスベストの方々と同様の方々ということについての提訴状況を厚生労働省から資料を提出いただきまして、それを取りまとめたものが三枚目の資料ということになっております。
 これを見ていただいて、たくさんのポスターやリーフレットもチラシもお配りしているんだけれども、全体として、周知徹底後は、原告数が二百五十二、被災者数は百三十五という数字に私はとどまっているというふうに思うわけですけれども、周知徹底の効果についてはどのように評価されていますか。

○政府参考人(山越敬一君) 大臣からもお答え申し上げましたとおり、厚生労働省におきましては、全国の自治体あるいは労災指定医療機関などに対しまして、この工場労働者型のアスベスト訴訟の和解手続の周知のためのリーフレットあるいはポスターを配付しておりまして、見やすい場所への掲示でございますとか備付けを依頼することにより、和解手続の周知に努めてきたところでございます。
 このリーフレットあるいはポスターにおきましては、法テラスあるいは弁護士会を相談先として紹介をしておりまして、法テラスからこのリーフレットとかポスターを見た方からの問合せが一定の数あるというような報告もいただいております。それからまた、自治体からも、配付いたしましたリーフレットについて、追加送付依頼、そういったものも厚生労働省の方にいただいているところでございまして、こうしたリーフレットでございますとかポスターの配付、これにつきましては一定の周知効果が出ていると私どもは考えているところでございます。

○倉林明子君 提訴に至って初めてこれは賠償ということになっていくわけですから、そこで実を上げていくという点から見ると、私は、現実的には、反応があるとか追加のリーフの、チラシの請求があるとかということだけでは少し評価できるような実績が上がっているとはちょっと言い難いなと思っているわけです。
 そこで、この全体の件数は決して順調に伸びているとは言えない中でも、黄色の欄にしております佐賀県、ここでは、二〇一六年、二〇一七年合計が六十五件ということで、大阪は御当地でもありますので、それ以外のところ、全国的な比較を見てみますと、佐賀地域、これ突出して多いという状況になっております。これは、佐賀労働局が独自に労災補償給付を受給している人に対して直接リーフレットを送ったと、こういうことで効果が上がったと私言えると思うんですけれども、実態つかんでおられると思います。どうですか。

○政府参考人(山越敬一君) 佐賀労働局から、この和解手続の周知のためのリーフレットでございますけれども、これを個別に送付をいたしましたのは事実でございますけれども、それがどのような効果を上げたかということについては必ずしも明らかではないというふうに考えているところでございます。

○倉林明子君 数字を見れば、これ効果上がっているということを私否定できないと思いますよ。
 その上で、佐賀ではこのリーフを直接送ったということで、実際によそでも同じように個別に周知徹底してほしいという要望が出たんだけれども、実はこれ、厚生労働省が本省の判断として適切ではないということで今ストップが掛かった状況になっているんですね。その説明として我々聞いているのは、こうして個別に送ると誤解を招くおそれがあると、そういう説明を受けているんです。じゃ、佐賀で実際配ったところで誤解や混乱なんかは起こっているのかといいますと、実際にはそういうことは起こっていないわけです。
 佐賀労働局が送付したというのは、資料の一、二で付けておきましたチラシということになります。これを受け取って実際に提訴に至った遺族の方がいらっしゃいます。この方のお話を聞きますと、死亡から二十年ということになれば損害賠償請求権が消滅すると、そういうことを知って、もう少しでこういう提訴、そして賠償請求という機会を失うところだったというお話も伺っているわけです。こういうふうに佐賀の取組が私は数字を見ればはっきり効果を上げたというふうに思っているわけですけれども、それを全国に広めるんじゃなくて、慎重な対応をするようにと、事実上、厚労省が省の判断としてストップしているという状況にあるわけですよ。
 そこで、大臣、これ知らなければ、早期解決どころか提訴できずに損害賠償請求権そのものが消滅する、そういう危険もあるし、それが迫っているという方々もいらっしゃるわけです。私は、誤解を招くことを恐れるよりも、補償を受ける機会を失わせてしまうと、この方が問題だと思うんですよ。大臣、認識いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、今回、この最高裁の判決では、国の規制行政の不作為、これが認められたわけで、同様の状況にあった方々は是非和解手続に応じてほしいと、こういうことであります。
 したがって、そのことをしっかりと周知することが大事であり、知っていただくということがやはり大事であることは今御指摘のとおりでありまして、石綿工場で働いておられた方などに対する和解手続、この周知の重要性は当然認識をしているからこそいろいろポスター等々やってきたところでございますが、できるだけ多くの和解対象となり得る方に和解手続を知っていただくようにしなければいけないと思っております。
 今後、具体的な送付先あるいは実施方法を検討した上で、国から関係し得る労災保険受給者に対しましてリーフレットを送付する方向で検討をしてはどうかということで進めてまいりたいというふうに思っております。

○倉林明子君 検討してはどうかじゃなくて、検討して実際に進めていただきたいと思うんです。それは、請求権を失うという、そういう期間も迫っているということを私は重く受け止める必要があるんだというふうに思います。
 今おっしゃったように、労災補償給付、これを受け取っている方々というのは、それぞれ労働局つかんでいるわけですよね。そういう遺族の方も含めて情報を持っているわけですから、そこには私はしっかり届けていく、急いで届けていくという対応が必要だと、それが真摯に謝罪を実践に移しているということで受け止めてもらえる中身だと、やり方だというふうに思っています。
 さらに、労災の補償給付に加えて、この泉南アスベストの訴訟で和解条項四にあったように、同様の状況にあった方々ということでいいますと、この石綿工場で石綿粉じん作業に従事し、じん肺管理区分の決定を受けていると、こういう方々も対象となるわけですよ。今回、佐賀はその労災の補償給付を受け取っているという方に対して個別の情報提供ということでしたけれども、実際に和解条項の中身に沿って周知徹底するというのであれば、こういう方々も含めて直ちに情報提供に踏み切るべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(山越敬一君) 今御指摘をいただきました関係する労働者ということでございますけれども、石綿工場におけるその最高裁和解の内容でございますけれども、昭和三十三年五月二十六日から昭和四十六年四月二十八日までの間、国が規制権限を行使して石綿工場に局所排気装置の設置を義務付けなかったことを理由として国家賠償法の適用をするということでございますので、こういうことを踏まえて、関係し得る労災保険受給者への周知というのを図っていく必要がある、そういうことを検討する必要があるというふうに考えているところでございます。

○倉林明子君 だから、それをさっき聞いたんですよ。だから、その上で、もう一つ対象として広げてほしいということで、管理区分、これも周知、チラシにちゃんと書いてありますよ、だから、そういう対象の人にも配ったらどうやということに何で一つも答えられないんでしょうね。どうですか。

○政府参考人(山越敬一君) 今お答えを申し上げましたように、これは国家賠償法、訴訟することによって和解手続に進むということでございますので、そういったことの対象になり得る方に対しまして、関係し得る方として周知を行っていきたいということを検討していくということでございます。

○倉林明子君 なり得る方ということで情報提供をしっかり進めていくと。その方向で前に進めていただきたい、一刻も早くやっていただきたい。これ、大臣にもよろしくお願いをしておきたいと思います。
 そこで、同じように国側が最高裁で敗訴し、提訴により和解を進めている、これに石炭じん肺訴訟があります。今日、経産省に来ていただきました。
 この石炭じん肺訴訟の和解手続の周知というのも同様にやられています。これ、二〇一四年、資料で、四枚目、五枚目に付けておきました。ポスターとチラシ作られていて、チラシの方を紹介させていただいております。
 これ、二〇一四年に改めて従前あったものを作り直すという作業をされております。なぜ作り直すことになったのか、その理由を端的に御説明ください。

○政府参考人(福島洋君) お答え申し上げます。
 石炭じん肺訴訟の和解手続を分かりやすく被害者、遺族の皆様にお伝えすべく、平成二十三年十一月からポスター、チラシを作成し、医療関係機関などに配付をしてまいりました。その後、平成二十六年四月に、筑豊じん肺訴訟最高裁判決から十年という節目を迎えるに当たり、広報活動の強化を図るべく、病院関係者や弁護団などから寄せられた、文字が小さい、目立たないなどの意見を踏まえ、より見やすく、より分かりやすくをモットーに作り直したところでございます。
 引き続き、効果的な広報に努め、じん肺被害者、遺族の皆様の救済に尽力してまいりたいと思っております。

○倉林明子君 大臣、これ経産省の仕事で私めったに褒めるようなことないなと思っていたんですけれど、この仕事はなかなかだというふうに思いました。これ、ポスターの方には損害賠償金をお支払いしますって黄色いポスターに黒い字で目立つように書いてあるんです。本当に大きい文字で、炭鉱で働いていた方を探していますというわけですね。賠償したいので手を挙げてくださいという周知の仕方なんですよね。もちろん、条件違いますよ。じん肺の方は、その名簿もないという中で、該当する方に手を挙げてもらわないと分からないという中で、十年目の節目になったので、当事者の方々からも要望を受けて、意見を踏まえて作り直したという経過になっている。字も大きいんですね。私らも、この厚生労働省の字、ちっちゃいですね。
 それで、お支払についてと書いてあるけれども、その賠償金を受け取れますよ、支払いますよという、こういう分かりやすい周知を、厚労省は当事者つかんでいる、労災給付して、名簿を持っているわけなんですよ。だからこそ、そういうところにこういうチラシとして、また百三十八万部チラシ作るとおっしゃっていますけれども、ええとこはしっかり学んで、謝罪や賠償の意思がしっかり伝わるような周知徹底を御検討、前に進めていただきたい。

○国務大臣(塩崎恭久君) 字が小さかったり分かりづらいというのは、私もしょっちゅう大臣室で言っていることでありますので、全く同じような意見だなというふうに今拝聴をいたしました。
 確かに、最高裁の判決、重たい判決でありますから、これに従って我々は損害賠償請求があればお応えをするということでありますが、できる限りそれに応じていただけるように、今御指摘をいただきましたが、この経産省のやり方も参考にしながらではありますけれども、やっていきたいと思いますけれども。
 要は、先ほど明確ではなかったかも分かりませんけれども、このじん肺管理区分決定通知書が送付された方々もおられて、労災を受けているわけではないけれども、その手前の方々もおられるので、その方々も含めて、労災保険を受けていらっしゃる方々は当然、しかし、期限、期間がありますから、その期間は当然守るわけでありますが、いずれにしても、この二つのジャンルの皆さん方に送るという方向で検討してまいりますので、また送るものも小さくて読めないようなものではないものを送りたいと思います。

○倉林明子君 ありがとうございました。