国会レポート

「求人詐欺」深刻な実態 参考人質疑(厚生労働委員会)

2017年3月28日

(資料はありません)

 参院厚生労働委員会は28日に参考人質疑を行い、職業安定法や育児・介護休業法の一部を一括して改定する雇用保険法等改定案について議論しました。

 連合の村上陽子総合労働局長は、保険財政悪化を理由に下げられた失業給付が、財政改善後も見直されていないことを批判。求人と実際の雇用条件が異なる「求人詐欺」防止のため、募集時の労働条件明示の義務化を提案しました。

 NPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事は、2%台にとどまっている男性の育休取得率を引き上げるために、取得率に応じて企業に助成金やペナルティーを科すことなどを提案しました。

 日本共産党の倉林明子議員は求人詐欺の実態を質問。村上氏は募集条件より6万円も給与が低かったり、正社員のはずが有期雇用だったりした事例を紹介。求人詐欺防止に向け、労働基準法や労働契約法の改正も検討すべきだと述べました。

 倉林氏は、今回の法改定による育休延長の背景に保育所の待機児童問題があるとし、待機児解消になにが必要かと質問。駒崎氏は「育休延長自体はいいことだが、待機児からの逃げの延長とすれば本末転倒だ」とし、少なすぎる保育予算を拡充し保育所を増設すべきだと主張しました。


議事録を読む
○倉林明子君  日本共産党の倉林明子です。
 今日は、参考人の皆さん、ありがとうございました。
 最初に、村上参考人にお聞きしたいと思います。
 なんでも労働相談ダイヤルとか詐欺求人ということで三千件の投稿があったというような取組について、本当に敬意を表したいなと思うんですね。実際に今大きな問題にもなっています詐欺求人、こうした相談事例、若干紹介あったんですけれども、是非リアルに共感したいなと思いますので、実態、できるだけ紹介をいただけたらなと思うのと、あわせて、今回、確かに法上の強化点等があるということは私もそうだと思うんですけれども、まだ残されている課題もあろうかと。こういう求人トラブル、求人詐欺ということを解消していく上で、その点についての具体的な問題意識、更に踏み込んで御提案いただけることあればと思います。お願いします。

○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。
 まず、なんでも労働相談ダイヤルに寄せられた事例として幾つか御紹介いたしますと、例えば、求人票には残業代は含まず二十五万円固定給となっていたんだけれども、実際は時給千八十円、一日八時間と月二十二日勤務となっておって、結局、月給は月十九万円にしかならないといった事例であるとかなど、賃金に関する相談が大変多いということはあります。また、雇用形態に関しても、先ほども申し上げましたが、正社員募集となっていたんだけれども、実際は有期雇用であったと、入ってみたら契約社員だったといったような事例が寄せられているところであります。
 こういった問題について、これまで若者雇用促進法の際に若干施策が進み、さらに今回、職業安定法の改正ということで一定の改善が見込まれるような施策ができたというふうに考えておりますが、更にということであれば、やはり労働基準法上の労働条件明示の問題であるとか、労働契約法などで、契約関係でどのように考えていくのかといったこと、また裁判例の周知などについても必要ではないかと考えているところであります。

○倉林明子君  ありがとうございます。
 もう一点、村上参考人にお聞きしたいのは、雇用保険の給付水準についてなんですね。改善について御意見もいただいたんですけれども、私、抜本的にやっぱり底上げをしていくという給付水準の目指すべき改善方向というんですかね、その復活というところにとどまらずに給付水準をもっと拡充されていくべきだというふうに思うわけですけれども、その点で御提案、お考えがあれば教えていただきたいと思います。

○参考人(村上陽子君) 私どもとしては、先ほどから申し上げましたように、二〇〇〇年、二〇〇三年に引き下げられたということがありまして、田島参考人がおっしゃっていたように、特定受給資格者と自己都合の方とで一定水準に差があるということは、それはそうかもしれませんけれども、しかしその差があり過ぎるというのが問題意識でございます。
 最低九十日しかないのかといった問題であるとかなどについてまず改善すべきだと考えておりまして、それは雇用失業情勢などを見ながらの改善になるかと思いますが、一年未満のところの九十日というところを、三か月だけで本当に再就職できるのかということを考えていった場合に、まだまだ改善の余地があるのではないかと考えているところであります。

○倉林明子君  ありがとうございます。
 次に、池田参考人及び駒崎両参考人にお伺いしたいと思います。
 今回、育休制度ということで充実方向の提案になっているわけですけれども、やっぱりこの問題の背景は、待機児童、保育所問題があろうかと思うんですね。それぞれにお聞きしたいんですけれども、この待機児童問題の解消、本来どうあるべきか、お考えですね、待機児童解消をどう進めていくかというところについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○参考人(池田心豪君) 非常に悩ましい問題だというふうに認識しております。今回の改正でも育休と保育の連携を強めるという観点で育児休業の延長になりましたが、財源を確保して保育所を拡充していかなきゃいけないということはもう御承知だと思うんですが、やはりM字カーブの解消に向けて、この先どんどん女性の産後の復職を促していったときに、保育園どのぐらい用意できるかというのは極めて難しい問題があると思いますし、だからといって育児休業をどんどんどんどん広げていくということも現実的ではないですし、そういった中でどこまでを育児休業の期間として考えて家庭で育児をしていくか、また夫婦でそれを分担していくかということ、また保育園を何歳から入るかといったことについて、総合的にやっぱり設計ということを検討を重ねていくということが現実的な方向だと思っています。
 つまり、家族と企業と地域の子育てにおける役割といったことをきちんと考えながら制度設計をしていく、誰がいつ子供を見るのかということについての考え方を煮詰めていくということが大事だというふうに思っております。

○参考人(駒崎弘樹君) 育休の二年延長にするということ自体はいいことでもあるかなというふうには思うんですが、ある種の待機児童問題からの逃げとしての育休延長ということであるならば、それは本末転倒であるというふうに思っています。やはり真っ正面からこの待機児童問題に取り組む、保育所を増やしていく、保育サービスインフラを拡充していくということがこれはもう一丁目一番地かなというふうに思っているんですね。
 その中で、この待機児童問題なんですが、待機児童という言い方がおかしいと思います。これは官製失業ですので、これ失業問題だと思うんですね。本来であれば、児童福祉法二十四条で保育のニーズがあれば地方自治体は保育所を用意しなくてはいけないというふうになっているにもかかわらず、それができていないから失業してしまうという課題なわけですよね。ですので、そこに関してきちんと資源を投下していくべきだというふうに思っています。そして、この資源が余りにも少ないのが問題だというふうに思っているわけなんですね。
 フランスでは、対GDP比でいいますと約二・八%、家族関係支出に投下しているんですけれども、日本の場合一・三%です。つまり、フランスの半分以下の資源でフランスと同様に出生率を上げて待機児童問題を解消しようというふうに言っているという、この時点で実は勘違いされていらっしゃるのではなかろうかというふうに思います。やはりきちんとしたインフラをつくっていくためにはきちんと資源を投下していくべきだというふうに思います。
 なお、この待機児童というものの定義が一定ではないがゆえに、例えば保育園に入れなかったから育休を延長しますみたいなものも待機児童としてカウントしないみたいな、ある種の操作ですね、数値の操作が行われていることによって、対策が追い付いて、何というんですか、過少になってしまうというような状況もありますので、きちんと現状をしっかり見る指標をつくっていただいて、そしてそこに対して資源を投下していくということがあれば必ず解決できる問題だというふうに思います。

○倉林明子君  ありがとうございます。
 ちょっと時間がなくなってしまって、田島参考人にもお伺いしたかったんですけれども、女性活躍の推進ということに関わってこられて、企業に対して情報の公表についての取組もされてきたということで、是非それは応援したいと思っているということだけ申し上げまして、終わります。