国会レポート

暮らせぬ年金 増額こそ 首相に迫る 年金カット法(厚生労働委員会)対総理質疑

2016年12月13日

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は13日の参院厚生労働委員会で、安倍晋三首相に対し「下がり続ける年金、増え続ける医療・介護の負担、こんな仕打ちが許されるのか」という年金者の声を突き付け、年金カット法案の廃案を求めました。

 倉林氏は、年金減額の不服審査請求に12万人、年金減額撤回訴訟の原告4500人と、減額に多くの高齢者が声をあげていると述べ、「現在の年金水準は高齢者の暮らしを支えるのに十分と思うか」とただしました。安倍首相は「基礎年金だけで生活の全てをまかなうことは厳しい」と認めました。
 倉林氏は、年金を減らす一方、医療、介護の保険料や利用料負担が増加し、「年金減額とセットで負担増ばかりだ」と追及。安倍首相は「持続可能性が大事」と開き直ったため、倉林氏は「高齢者は生活実感として連続した負担増で苦しんでいる。首相の説明は説得力がない」と批判しました。

 倉林氏は、日本の年金の所得代替率が、経済協力開発機構(OECD)34カ国平均の52.9%に対し、35.1%と低水準であることを指摘。ILO(国際労働機関)が勧告した「保険サービスの利用および基本収入の保障」に反していると述べ、「最低限の生活を破壊する年金水準の引き下げは認められない」と強調しました。


医療・介護の負担増一覧OECD加盟国の総所得代替率


議事録を読む(対総理質疑)
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 九日の参考人質疑で、全日本年金者組合の茶谷参考人が、現在提訴されております年金裁判について御紹介ありました。年金減額に対し不服審査請求は十二万人と、却下されたということで裁判ということを選択されました。最初の提訴から僅か一年半で原告団は四千五百人という規模になっているということをお聞きしております。
 私、総理に聞きたいと思います。年金者がここまでの規模で提訴に至ったその背景には、どんな思いが、何があったとお思いでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 年金については、その給付を受ける皆さんはできる限りこれは増やしてもらいたいというお気持ちがあるのは当然のことであろうと思います。一方、支え手側の方はなるべく負担は少ない方がいいと、こう思うでしょうし、大切なことは、その中で持続可能なものを、そういう制度設計を行っていくということであろうと、こう思います。
 御指摘の訴訟につきましては特例水準の解消に関するものと思われますが、政府としては、これは民主党政権時に成立をした特例水準を解消する法律に基づき適切に対応したところでありますが、これは裁判所で係争中でございますから、具体的なコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○倉林明子君 高齢者が減り続ける年金に対してやむにやまれぬ抗議として裁判に立ち上がったということを、本当に総理としても受け止めていただきたいと思うんですね。裁判の中身のことじゃないんですよ。そこに至った高齢者の思いをしっかり見ていただく必要があると私は思うんです。
 裁判参加された人たちの意見陳述がまとめられて冊子になりました。私、読ませていただきましたが、私の親と変わらない世代の方々が陳述されています。一つ紹介したいんですけど、戦争孤児になりながら懸命に働き続けて三十八年、タクシードライバーもやった、そのとき運輸省の最良ドライバーに表彰を何度か受けたという人ですよ。年金月額は十四万足らずだと。定年後も働き続けたけれども、とうとう体を壊して肺気腫だと。ほかの病気も出て、医療費の負担は毎月三万円だというんですよ。下がり続ける年金、増え続ける治療費、そして保険料、こんな仕打ちが許されるのかというのがこの裁判に至った高齢者の思いですよ。
 今、ぎりぎりで年金と貯金を取り崩しながら暮らしている、こういう高齢者の実態があるわけです。現在の年金水準、様々議論ありました。高齢者の生活を支えるために十分な水準を確保できていると総理は認識されているのかどうか、いかがでしょう。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 年金制度は、老齢、障害あるいは死亡によって生活の安定が損なわれることを防止することを主たる目的としているということは御承知のとおりであります。また、年金は、高齢者世帯の収入の七割を占めるなど、老後の生活の柱としての役割を果たしています。
 年金の支給額でどこまで賄えるかということについては、厚生年金については現役時代に被用者であった人の生活をある程度賄うことができる額を確保していきたいと考えています。
 一方、基礎年金については、高齢無職世帯の支出との比較で見ますと、夫婦世帯では基礎年金の二人分の額約十三万円が基礎的消費支出約十一万六千円を、これをやや上回っていると考えています。単身世帯では逆に、基礎的消費支出約七万二千円が基礎的年金の額六万五千円をやや上回っているという状況であります。
 いずれにいたしましても、基礎年金だけで生活の全てを賄うことは厳しいわけでありまして、それまでの蓄えを含めて万全な老後となるよう努力をしてまいりたいと思います。
 低所得や低年金の高齢者への対策については、社会保障・税一体改革において、年金の受給資格期間二十五年から十年への短縮、そして年金生活者支援給付金の創設、あるいはまた、医療、介護の保険料の負担の軽減など、社会保障制度全体で総合的に講じることとしております。まず、これらにしっかりと取り組んでいくことが重要であると、このように考えております。
 また、将来世代への対応としては、今回の年金改革法案にも盛り込んだ被用者年金の一層の適用拡大や個人型確定拠出年金など、私的年金等の拡充などにより保障機能の強化に取り組んでいく考えであります。

○倉林明子君 総理お認めになったように、年金だけじゃ厳しいんですよ。それに、貯金しとけ、頑張れという話だけれども、今、年金生活に入っている人たちにこれ以上頑張れというのは余りにも酷な話、将来に備えてやれという趣旨でおっしゃったと思うけれども、今の厳しい生活をしている年金生活者にとって年金そのものの減額にとどまらない。
 この間、医療、介護、保険料、利用料、窓口負担の連続した引上げ、これ資料で作りました。二〇〇六年以降のこの間実施されたもの、そして今実施検討されているもの、今後引き続き実施検討されるもの、つまり負担増のオンパレードなわけですよ。年金減額とセットでやられてきたのは、医療や介護の負担を軽減するどころかセットで負担増をずっとしてきたし、これからもやっていくということじゃないんでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 年金額については、物価スライドの特例水準の実施により平成二十六年まで本来より高い水準の年金が支給されてきたのは事実であります。平成二十七年には特例水準の解消を図った上で〇・九%のプラス改定を行ったところでありまして、年金が減り続けているということではないわけでございます。
 今回の年金額改定ルールの見直しは、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防ぎ、将来世代の基礎年金の給付水準を確保するためでありまして、マクロ経済スライドの未調整分を先送りにせずに、できる限り早期に調整をし、賃金に合わせた年金額の改定により、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とするものでありまして、世代間の公平性を確保するためのものであります。
 医療保険制度や介護保険制度については、これまで社会保障・税一体改革に基づく給付と負担の見直しを行ってきました。今般も、昨年十二月に取りまとめられた経済・財政再生計画改革工程表等を踏まえ見直しを検討していますが、これらは、低所得者には配慮した上で世代間、世代内の負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求めるなど、制度の持続性を高めるために必要な見直しであると考えているわけであります。言わば、これは高齢者を全体として一くくりにはできないわけでありまして、高齢者の中においては現役世代の皆さんと変わらないこれは収入を得ている方もおられますし、またそうでない方もおられますから、そういうことをしっかりと見据えながら持続可能なものにしていく必要があるんだろうと、こう考えているわけであります。
 その上で、特に低所得の高齢者を支援する観点からは、社会保障・税一体改革における年最大六万円の年金生活者支援給付金の創設や医療、介護の保険料の負担の軽減、そして生活困窮者自立支援制度による包括的な支援など、社会保障全体で総合的に支援を行ってきておりまして、負担増につながるものばかりという御指摘は当たらないと考えております。

○倉林明子君 今、所得の高い人に応分に負担してもらうというようなお話ありました。しかし、既に実施、検討ということで始まっている後期高齢者の保険料軽減特例の廃止って、これ、実際やったら保険料十倍になるという人もいるんじゃないですか。
 私、負担増ばかりだということは当たらないとおっしゃるけれども、高齢者の生活実態は、この間連続した負担増で苦しんでいるんだということですよ。そこを、負担増ばかりではない、負担引き下げたところもあるから見てくれ、これは国民に対しては本当に説得力のない話だと言わざるを得ないと思います。
 日本の年金、この水準が私非常に問題だと思っているんです。国際的に見てどうなのかということです。それ、二枚目に資料を入れております。OECDによる先進国の年金給付の比較資料となっております。日本はオレンジで棒グラフのところ、印がしてあります。これ、今働き始めた世代が将来に受け取る年金水準の比較という表です。確かに、指標違います。しかし、国際的にできるだけ統計合わせて並べたところがこうなっているんですね。一人当たりの総所得代替率、これ、日本を見てみると三五・一%足らずということになっているわけです。私、これ一目瞭然で、加盟国中、下から勘定した方が早いわけです。
 国際的にも日本の年金水準は低い、これお認めになりますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) そもそも、各国の年金制度を適切に比較する場合、制度内容や保険料率、高齢化率等の前提条件の違いを踏まえる必要があると思います。御指摘のOECDの所得代替率の試算は、こうした違いは考慮しないで機械的に計算をしたものであります。
 その上で、OECDが試算した主要先進国の所得代替率については、G7諸国のうち、ドイツ、アメリカ、カナダといった国は日本と同様三〇%後半の、イギリスは二〇%台となっておりまして、我が国はこれらと比較して特段の遜色はないと、こう考えております。
 例えば、G7の中でイタリアは所得代替率が我が国の二倍近くあるわけでございますが、保険料も実は二倍なんですね。つまり、これは給付と負担でのバランスでありますから、イタリアの言わばケースにいくのであれば、言わば保険料の負担も倍にしなければそれは成り立たないということでございます。また、フランスも高いんですが、フランスは公的年金と私的年金を足し込んでいるものでございます。
 このように、言わばこの前提の条件をこれ比較考量しなければ余り意味がないのではないかと、こう思うわけでありまして、なお、政府が掲げている所得代替率は夫婦世帯のものである一方、OECDの試算による所得代替率は単身世帯を機械的に計算したものであるということは付言させていただきたいと思います。

○倉林明子君 OECD加盟国の中で、様々おっしゃったように、条件も違うということは前提ですよ。しかし、こういう比較一覧で見てみたら、国際的にはやっぱり低いというのははっきりしていると思う。生活者の実感からしても、お認めになったように、単身の世帯が増えて、単身のところでの代替率というのは低いんですよ。そこ、しっかり見ないと駄目だというふうに思います。
 二〇一二年に採択されましたILOの社会的な保護の土台に関する勧告が出ております。G20も承認、国連も承認したものであります。保護の土台について、必要とする全ての者がその生涯通じて必要とされる物品及びサービスの利用の確保と保健サービスの利用及び基本収入が保障されることを少なくとも確保すべきだとしているわけです。高齢者について、少なくとも最低限の水準として各国で定義する基本収入の保障としているわけです。
 私、こうした勧告に対して、今政府がやっていることは逆行じゃないかと思いますよ。いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御指摘のILO勧告は、加盟国に対し、社会保障として保健サービスの利用や、児童、高齢者を含め最低限の水準として各国として、各国で定義する基本収入の保障を確保すべきものとしているものであると承知をしています。
 この点、我が国においては、国民皆保険、皆年金制度を整備するとともに、所得の低い方々に対する保険料軽減など、きめ細やかな対応を行っています。また、一人親家庭を支援する児童扶養手当制度や最低限度の生活を保障し自立を助長する生活保護制度も整備をしています。
 勧告においては併せて制度の持続可能性の確保も要請されておりまして、この点についても我々は、本法案の提出のほか、社会保障と税の一体改革などを着実に実施してきておりまして、勧告に逆行しているということではないというふうに考えております。

○委員長(羽生田俊君) 時間ですので、おまとめください。

○倉林明子君 私、最低限の生活を更に破壊するような年金水準の引下げ、絶対にやるべきでない、申し上げて、終わります。