国会レポート

雇用確保・賃金底上げを 「安定年金」へ提起 年金カット法(厚生労働委員会)

2016年12月12日

 日本共産党の倉林明子議員は12日の参院厚生労働委員会で、「年金カット法案」に関して「年金制度の安定というのなら、安定した雇用の確保と賃金の底上げが重要だ」と主張しました。

 倉林氏は、厚生年金に加入できる最低報酬月額が全国一律で8・8万円なのに対し、最低賃金は地域差があるとして「所得格差が年金格差につながる。どう解決するのか」とただしました。塩崎恭久厚労相は、最低賃金の引き上げで加入対象の拡大を図りたいと述べました。倉林氏は、中小企業への直接支援と合わせ、全国一律の最低賃金とその引き上げが必要だと指摘しました。

 年金支給開始年齢の引き上げに伴い改正された高年齢者雇用安定法では定年延長などが義務付けられました。倉林氏は、大多数を占める継続雇用において、事業主が高齢者の希望に反した職種や低賃金を決めるなどの京都の実態を示し、「厚労省の高年齢者雇用安定法Q&Aで“事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば違反にならない”としているのが問題だ」と批判しました。塩崎厚労相は「就業の実態、生活の安定を考慮して、適切な内容にするのが高年齢者雇用確保措置の指針だ」と認めながら、「労使でよく話し合うよう指導助言に努める」と答えるにとどまりました。

 倉林氏は女性の低年金について、国連の社会権規約委員会や女性差別撤廃委員会が最低保障年金導入を要請していると指摘。塩崎厚労相は、専業主婦やパートに適用拡大したとして国連勧告には触れなかったため、倉林氏は「低年金の解決のため最低保障年金の導入に踏み出すべきだ」と主張しました。


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○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 先週の参考人質疑でも、安定した雇用の確保、そして賃金を引き上げること、これ年金制度の安定にとっても重要な課題だという指摘がありました。本当にそう思います。
 与党の皆さんからも、標準報酬月額、最低賃金の問題についての質問がありました。最低報酬月額は八万八千円、全国一律ということになっているわけですが、最低賃金には地域格差があると。愛媛の例も出されたかと思います。最低報酬月額に達するための労働時間には月三十時間も格差があると、大変分かりやすい指摘でした。不公平感が出てくるのではないかという懸念が表明されたというふうに思います。
 そこで私聞きたいのは、地域による所得格差、これが年金格差にもつながるということになっていくわけで、報酬月額は全国一律だから変えられないという答弁があったわけですけれども、この問題、やっぱり解決していかないけない課題だというふうに思うんですけれども、どう解決を目指していきますか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘になったのは、十二月六日の審議で年金局長の方から小川委員にお答えを申し上げた件だろうというふうに思いますが、社会保険である被用者保険の適用の要件というのが、これは保険集団として同質性を保つ観点から法律に基づいて全国一律だということが必要であることを申し上げたわけでございますが、その上で、今後、全国の中で最低賃金の低い地域の底上げが図られると月額八・八万円という賃金の要件に該当しやすくなって、議員の御指摘の地域差も縮小できていくというふうに考えております。
 仮に、今議員御指摘のとおり、全国どこでも同じ時間働いたら被用者保険を適用になるというようにするためには、基本的に月額八・八万円以上という賃金要件をなくす必要が生じてくるわけでございます。この場合、月額八・八万円の方の厚生年金保険料とそれから国民年金保険料が同程度であって、仮に賃金要件を現在の月額八・八万円より低く設定すると、国民年金に比べて低い保険料負担で上乗せの厚生年金を受け取ることができる方が出てくるとして、社会保障・税一体改革の三党協議の中で八・八万円ということが定められたことに留意をする必要があると考えております。
 いずれにしても、働きたい方が働きやすい環境を整備する観点から、適用拡大の施行状況、個人の就業実態、あるいは企業に与える影響などに加えて、最低賃金、御指摘の最低賃金の動向、一体改革の経緯や御指摘の点も踏まえて、更なる適用拡大について検討していきたいと思っております。

○倉林明子君 いや、八万八千円を下げるというような話をしているんじゃないんですよ。やっぱりこの問題を解決していくためには、全国一律の最賃制度での対応という検討要るだろうというふうに思うし、やっぱり中小企業に対する直接支援、これと合わせ技で最賃そのものを本当思い切って上げていくと、こういう解決の方向を私は目指すべきだなということを改めて指摘しておきたいと思うんです。
 そこで、高齢者が働き続ける、保険料を払う役割、これを担ってもらうという問題についても指摘もありました。二〇一三年、厚生年金の支給開始年齢の引上げに伴いまして、高年齢者雇用安定法、これ改正されました。そこで、この改正後、雇用の実態どうなっているかということです。
 確認したいと思いますが、六十五歳までの雇用確保措置、これ、実施企業は九九%という数字が出ております。その中で、定年の引上げ、定年制の廃止ということで行っている企業の割合はどうなっているでしょうか。

○政府参考人(坂根工博君) 本年十月に公表しました平成二十八年高年齢者の雇用状況集計結果では、定年制を廃止している企業の割合は二・七%、六十五歳以上に定年を引き上げている企業の割合は一六・〇%となっております。

○倉林明子君 要は、残りは継続雇用という形態になっておろうかと思います。これ、三百一人という一定規模以上の企業になると、この継続雇用の割合というのは高くなっているという特徴あるんですね。私、その継続雇用、この中身が問題だというふうに思っております。
 厚労省は、高年齢者雇用確保措置、この実施及び運用に関する指針を示しているわけですけれども、賃金についての内容、どうなっているでしょうか。御紹介ください。

○政府参考人(坂根工博君) お答えいたします。
 委員御指摘の指針におきましては、「継続雇用制度を導入する場合における継続雇用後の賃金については、継続雇用されている高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮し、適切なものとなるよう努めること。」と定められております。

○倉林明子君 雇用は確保できても実態どうなっているかということを私も京都でよくお話も伺っているんですね。雇用形態の希望、労働条件、賃金始め、この希望が受け入れられないと。極めて低い賃金、これまでとは全く異なる仕事内容、これを事業主が決めているという状況あるんです。
 実際にどうなっているかというと、フルタイムでの勤務希望しても週一日だけだという条件を示されたり、月額で賃金換算したら五万円程度だと、こんな社会保険入れない金額での契約を求められるというようなことが横行しているんですよね。何で私こんなことになるんだろうかと、この法改正の趣旨とは違う方向に向かっているんじゃないかと。
 調べたら、この高年齢者雇用安定法QアンドAというのを厚生労働省出していますよね。この中身を見てみると、Q、問いかけには、本人と事業主の間で賃金と労働時間の条件が合意できず継続雇用を拒否した場合も違反になるのかという問いに対して、回答はこうなっております。事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではない、事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば違反にならないとはっきり書いてあるんですよ。これでは、事業主が決めた労働条件、合意ができないという場合でも、労働者の雇用、生活、これは守られなくても問題ないと理解されても仕方がないと私思うんですね。
 私、この年金問題を支えるという観点からも重要な法改正だったと思います。指針こそその法の趣旨だと思うんです。指針の徹底、きちんともっとやっていただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) まず第一に、大前提は、定年を迎える方の継続雇用をする際のその後の労働条件、これにつきましてはあくまで労使の合意で決まるということが原則であることをまず御指摘を申し上げたいと思います。その際、企業は合理的な裁量の範囲の条件を示す必要があるわけでありますけれども、これについては、継続雇用をされている高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮して適切なものになるように努めるというのが、先ほど御指摘をいただいた高年齢者雇用安定法に基づく指針というものでございます。
 継続雇用時の労働条件の提示に当たっては、各企業においてこうした指針の趣旨を適切に踏まえていただくとともに、労働契約の締結時には当事者間でよく話し合っていただくように今後とも都道府県労働局やハローワークを通じて周知や指導、助言に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

○倉林明子君 その労働局が、雇用していればええというような実態指導になっているということは、私、厳しく指摘しておきたいと思うんですね。
 九月の二十八日には、この再雇用をめぐって不当な業務内容を提示されたということで慰謝料などを求めた訴訟で、改正高年齢者雇用安定法の趣旨に明らかに違反だということで、トヨタ自動車が名古屋高裁で敗訴しております。政府には、私、年金開始年齢引き上げた、この責任があるわけですよ。無年金者や生活困窮者の拡大につながるようなこと、絶対あってはならないと思います。法改正の趣旨、指針の徹底を重ねて求めておきたいと思います。
 最後に、日本の女性の低年金の問題、これも度々議論となってきた問題であります。これ、日本の女性のとりわけ低年金に対して、国連の社会権規約委員会から、最低保障年金の導入を要請すると勧告が繰り返されているわけです。そして、重ねて、今年三月には女性差別撤廃委員会からも要請されております。この要請にどう応えていこうとしているのか、お考えをお聞かせください、大臣。

○国務大臣(塩崎恭久君) 女性の年金を確保することについてはこれまでも課題として取り上げられてきておりますけれども、昭和六十年改正におきます第三号被保険者制度の導入というのがまずスタートにあって、平成十六年改正における離婚時における年金分割制度の導入、さらには平成二十四年改正における大企業における被用者保険の適用拡大などの取組が進められてまいりました。さらに、今般の法律案では、中小企業の短時間労働者にも被用者保険の適用拡大の道を開くということとしまして、圧倒的に女性が多い非正規の皆様方の年金の拡大につなげていくという手だてを打っているわけでございます。
 こうしたことで、女性の年金権の確保及び年金額の底上げが図られるように取り組んでまいったのがこれまでの軌跡であります。
 その上で、現に低年金の方については、年金生活者支援給付金を始め社会保障全体で総合的に対策を講じていくということであり、また、将来に向けては雇用機会の確保であったり、あるいは更なる適用拡大、そしてまた、今回主婦の皆さん方も個人型の確定拠出年金に加入ができるようになったということもあって、そういうようなことによって女性を含めて老後の所得保障の重層化を図ってまいりたいと思っているところでございます。
 なお、厚生年金加入者には定額の基礎年金部分がありますから、所得再分配機能が働いて現役時代の賃金が低い方ほど所得代替率が高くなるために、男性と比べて平均賃金が低い女性にとっても厚生年金への加入促進は重要だというふうに考えております。

○倉林明子君 いろいろやってきたというお話だと思うんですね。
 確かにいろんなことをやられてきたんだけれども、それでも今年の三月に改めて女性差別撤廃委員会から要請を受けているということが私重要だと思うんです。やっぱりこの問題解決していくためには何をなすべきなのかという中身ははっきり勧告されているわけですよ。
 確かにいろいろやったら女性の年金受給権は確保、一定進んできたということ、これは否定しません。しかし、女性の低年金問題の抜本的な解決には私至っていないと思うんです。そのためにも何が必要か。最低保障年金の導入ということを繰り返し勧告されているわけで、この点では重ねて強く求めて、残りの課題については引き続き議論を深めていきたいと思います。
 よろしくお願いします。