国会レポート

消費税増税でも年金低下 年金カット法案 年金減の悪夢(厚生労働委員会)

2016年12月6日

(資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は6日の参院厚生労働委員会で「年金カット」法案について、消費税増税で物価が高騰しても年金が逆に下がる「悪夢」を招くものだと追及しました。

 法案には、▽年金の伸びを物価・賃金の伸び以下に抑制する「マクロ経済スライド」の未実施分を翌年以降に繰り越して実施する▽物価が上昇しても賃金が下がれば賃金に合わせて引き下げる―という改定ルールの改悪が盛り込まれています。
 倉林氏は、ルール改悪の影響が予想されるのは、2019年10月予定の消費税10%の引き上げの後だとして、「消費税増税で物価が上がるのに年金は上がらない。逆に実質賃金が下がり、年金も下がる。消費税増税でも年金を下げられる仕組みを前もってつくるものだ」とただしました。
 塩崎恭久厚労相は「消費税増税対策でない」というだけで下げられる仕組みを否定できませんでした。

 倉林氏は、年金額は10年間下がり続けており、今回の改定が行われれば「高齢者にとって悪夢そのものだ」と批判。塩崎氏が「低年金者に年6万円の福祉給付金を出す」と答えたのに対して、6万円給付は40年間保険料を納めた人だけで、10年納付ではわずか月1250円だと反論しました。
 政府が「将来年金確保法案」だと宣伝していることについて倉林氏が、現在示されている将来の年金水準より年金が増えるのかと迫ると、鈴木俊彦年金局長は「上昇させるものではない」と認めました。
 倉林氏は「今より低い水準になるのは明らかだ」と批判しました。

論戦ハイライト
 消費税が大増税されても年金が下がる―日本共産党の倉林明子議員は6日の参院厚生労働委員会で、「年金カット法案」に盛り込まれた、年金削減の恐るべき仕組みを明らかにしました。
 法案では、年金を自動的に引き下げる「マクロ経済スライド」が実施できない場合、翌年度以降に引き下げ分を繰り越し、賃金・物価が上がったときにまとめて減額できるようになります。

ゼロ改定も
 倉林氏は、消費税増税による物価上昇が年金に反映する2021年度に繰り越し分があれば、「“マクロ経済スライド”の減額分にプラスされ、年金はゼロ改定になりうる」と指摘。厚労省の鈴木俊彦年金局長は「一概に申し上げるのは難しい」と否定できませんでした。
 法案ではまた、物価が上がっても賃金が下がれば年金額を下げる「賃金マイナススライド」を導入します。
 倉林氏が「消費税増税で物価が上がれば賃金指標は下がり、年金も下がる」と追及。鈴木局長は「実際の賃金変動率がどうなるかを一概に申し上げるのは難しい」と否定できません。倉林氏は「この10年で賃金指標は7回もマイナス。消費税増税で年金が下がることは確実だ」と強調しました。

 倉林 消費税増税でも年金を下げられる仕組みを、前もってつくるものだ。消費税対策ではないか。

 塩崎恭久厚労相 法案提出は3月に消費税増税延期を決める前だった。

 倉林 結果として下げられる仕組みになっている。年金はこの10年間下がり続けている。今回の改定となれば高齢者にとっては悪夢そのものだ。

 倉林氏は、国民年金のみの受給者の平均受給額は月5万円だと指摘し、迫りました。

貧困に拍車
 倉林 高齢者の貧困や生活保護世帯の増加に拍車をかける。

 厚労相 社会保障全体で対策を講じる。低年金者には年6万円の福祉給付金で支援する。

 倉林 (福祉給付金の)保険料納付月数に基づく上乗せであり、保険料納付が10年で、年金が月1万6250円の人に、上乗せはわずか1250円だ。

 政府は法案を「将来年金確保法案」と銘打ち、子どもや孫世代の年金水準が確保されると宣伝しています。

 倉林 どんな水準で確保されるのかが問題だ。2014年財政検証で示した水準より増えるのか。

 年金局長 今回の改定は2014年の財政検証の見通しより低下することを防止するもの。見通しより上昇させるものではない。

 倉林 「将来年金確保」とは、もともと下げる予定より下がることを防ぐ、いわば「下げ止め法案」だ。今より低い水準になることは明らかだ。

 倉林氏は、厚生年金より基礎年金(国民年金)のほうが削減幅も削減期間も長くなり、「高齢者の中で所得格差を政府が広げるような事態が起こる。この問題こそ抜本的に解決すべきだ」と主張しました。


マクロ経済スライドによる調整のルールの見直し年金額改定の推移厚生年金(報酬比例部分)、基礎年金(2人分)に分解した所得代替率(参考資料) 消費税増税が年金に与える影響


議事録を読む
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 まず冒頭、会期末のぎりぎりになりまして、衆議院で審議時間が僅かなまま強行採決に至ったことに強く抗議するとともに、参議院で、延期された期間を見ても決して、重要議案審議する期間として足りているのかといったら、私は極めて前例から見ても不十分だということは明らかだと思います。その上で、議論が始まってみますと、与野党からやっぱり慎重な審議を求める声が相次いでおります。さらに、民進党の委員からは試算の提出ということでの要求もありました。私、本当に徹底審議して、徹底審議の上に、強行採決は絶対にあってはならないということを強く申し上げておきたいと思います。
 それでは、質問に入りたいと思います。
 この年金の改革については、先ほど来議論ありますように、二〇〇四年、百年安心の年金改革ということで導入されたのが年金を自動的に引き下げるという仕組みでもあるマクロ経済スライドだと思うわけです。しかし、先ほど来もう紹介ありました、予想外のデフレ状態が続くという事態になりまして、実際にこのマクロ経済スライドが発動されたのは二〇一五年が初めてということになったわけです。
 今回の改正では、資料でお配りしております一枚目、予定どおりにマクロ経済スライドが実施できなくとも、残った部分について翌年度以降に繰越しができると、これがキャリーオーバーという新しい仕組みを導入するというものだということなわけです。開始は、これはもう再来年から始まるわけですね、二〇一八年の四月からということになっています。
 これ、新たに繰り越すこととなる将来の減額分、発生するのはどんなときになるんでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 今回の法案に盛り込んでおりますキャリーオーバーの仕組みでございますが、これは実施は再来年四月からでございます。
 その上で、この仕組みは、マクロ経済スライドによる調整をできるだけ先送りせずに早期に終了させることによりまして、現役世代が将来受給する年金の給付水準が低下しないようにする、こういう仕組みでございます。今回の見直しにおきましても、現に年金を受給している方々に配慮いたしまして、このマクロ経済スライドによりましては、前年の名目額より下げることはしない配慮措置、いわゆる名目下限措置、これは維持することとしております。
 そうした中で、御質問のキャリーオーバーが発生するのはどういうときかということでございますけれども、まず第一に、賃金とか物価の伸びがこのマクロ経済スライドの調整率を下回りまして、賃金、物価の上昇幅の範囲内でのみ調整を行う場合、これ積み残しが生じます。それからもう一つは、賃金、物価の伸びがマイナスになりまして、マクロ経済スライドの調整自体が行われない場合、この二つでございます。

○倉林明子君 もう一回資料を見ていただきましたら分かるとおり、これ、今おっしゃったとおりだと思うんですね。この説明で見ると、景気後退期なのに賃金上がっているというのが説明になっているんですけれど、今おっしゃったように、賃金が下がったときもマクロ経済スライドを未調整分としてキャリーオーバーするということになるんだということだと思うんです。つまり、調整額を下回る場合、それは賃金が上がろうが、賃金が下がった場合でも、未調整分ということで再来年からは繰越しが発生する可能性があるということだと思うんですね。百年先の話じゃないんですよ。この改定で発生する、新たなルールが発動されるのは再来年から可能性があるんだということだと思うわけです。
 それで、繰り越した減額分、これが賃金、物価が上がったときにまとめて減額することなんだと、それ先ほど来説明あったとおりだと思います。つまり、じゃ、こういう事態はどんなときかと。私、直ちに想定できると思うんです。それが、二〇一九年十月、消費税の増税ですよ。これ一〇%増税は必ずやると言っているわけですから、そのときに積み残した分があれば減額できるということになる仕掛けだと思うわけですね。
 この消費税の増税の影響、これ年金額に反映されるということで考えますと二〇二一年ということになるわけで、そこまでにキャリーオーバーされた分、発生する未調整分があれば、マクロ経済スライドの減額分にプラスされるということになるわけですね。結果、私確認したいと思う、ゼロ改定というのがあり得るんじゃないでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 今御指摘のように、年金額の改定に用います物価変動率がまず前提でございますけれども、これ、一月から十二月までの年平均の物価指数、これの対前年比でございます。そういたしますと、今先生御指摘になりましたように、二〇一九年十月に予定されております消費増税、これによる影響が年金額の改定に用いる物価変動率に影響いたしますのは、二〇一九年十月から十二月までの約三か月分、これが二〇二〇年度、その後の残り約九か月分が二〇二一年度というふうに影響してくると考えられます。
 そこで、お尋ねの二〇二一年度の年金額改定がどのようになるかということでございますけれども、この点につきましては、今後の物価、賃金の動向を踏まえまして、二〇二〇年度までの年金額改定でキャリーオーバーが果たして発生するのかどうかといったことや、二〇二一年度の年金額改定に用います物価、賃金の変動率がどうなるか、こういうことにも影響されるわけでございまして、現時点で一概に申し上げることは難しいというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、極力マクロ経済スライドの未調整分を発生させないことが重要でございますので、賃金上昇を含みます経済の再生に全力で取り組んでいくということが重要であるというふうに考えております。

○倉林明子君 いや、そういう決意はいいんですけれども、可能性として、消費税増税、上げるということについては物価は上がるということになっていくと。賃金をそれ以上に上げていくというような話も含めて今されたと思うんだけれども、私、指摘したように、ゼロ改定になるような可能性というのは遠い話じゃない、目の前、極めて現実的な可能性だということを指摘したいと思うんですね。そうなったら、国民には、消費税増税で物価が大幅に上がる、だけど年金は全く上がらない。これ実質減額ということですから、苦しみが二重になると言って私いいと思うんですね。
 本法案で、二〇二一年度からいわゆる賃金マイナススライドということで施行されることになるわけです。二〇一九年度の消費税の増税、これ物価が上がることになりますと、実質賃金をマイナスに押し下げる私効果があると思うんですね。その影響出てくるということになることを考えれば、二〇二二年から二〇二四年度になるんじゃないかと思います。
 ということは、賃金が下がらず横ばいという場合であったとしても、消費税増税で物価が上がりますと、賃金指標、年金の目安になる賃金指標も下がるわけですから、年金も下がるということになるんじゃないでしょうか。局長。

○政府参考人(鈴木俊彦君) まず、この年金額の改定に用います賃金変動率、今先生、賃金がどういうふうになるかということでお話ございましたけれども、これに用います賃金変動率でございますけれども、これは、賃金を実質化するために用いています実質賃金、これが、四年前から二年前までの各年における実質賃金の対前年比の平均を三年間で平均をするという、こういう仕組みになっております。これを踏まえますと、二〇二一年度の年金額の改定に用います指標というのは、二〇一七年から一九年までの対前年比ということになります。
 したがいまして、二〇一九年十月に予定されます消費増税による影響が、御指摘の実質賃金の低下として二〇二一年度の年金額改定に用いる賃金変動率に影響するというのはどういうことかと申しますと、これは二〇一九年十月から十二月までの約三か月分でございます。これは三年間平均になりますので、この三か月分というのは三年間のうちの一部、八%でありまして、したがいまして、二〇二一年度の年金額改定に与える影響というものは限られたものになるだろうというふうに考えております。
 その上で、先ほども申し上げましたけれども、実際に賃金変動率がどうなるかということについては一概に申し上げられませんので、現時点でどうなるかをあらかじめ申し上げることは難しいと思っております。
 それから、なお、このマクロ経済スライドによります調整というのは、年金額の賃金、物価による改定率がプラスの場合にのみ発動されまして、かつ、名目下限措置もあるわけでございますので、同一年度におきまして、キャリーオーバーの調整分と賃金の低下時の賃金に合わせた改定というものが同一の年金に適用されることはないんだということは改めて申し上げておきたいと思います。

○倉林明子君 いや、要は賃金にも影響出てくるでしょうと、消費税増税すれば、そういう賃金押し下げ効果になるわけで。私、今いろいろおっしゃったんだけれども、先ほどもあったように、この十年間振り返ってみれば、賃金指標というのは七回もマイナスになっているわけですよ。現実的に、消費税増税もあって、その後のマイナスという状況もあった。それは十分に、この消費税の増税ということを踏まえれば、年金下がるということになると思うんですね。
 二〇一八年、マクロ経済スライドのキャリーオーバーを開始する、二〇一九年度に消費税の増税を実施する、二〇二一年度には賃金スライドを開始すると、こういう仕組みを導入するということは、これまで不測の事態、予測しなかった事態で予定どおり下げられなかったというような仕掛けがあったわけですよ。それが今回、消費税増税があっても年金は下げられる、前もってそういう仕組みをつくる、まさしく消費税の増税対策じゃないかと。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) こういう考え方もおありなのかと思って、勉強になりましたが。
 今回の法案は、本年六月に行われた消費税率引上げ延期の決定よりも前に、既に本年三月に国会に提出をいたしております。また、年金額改定ルールの施行期日は、この法案提出の時点では平成二十九年四月であった消費税率引上げ後であったことからも、消費税増税対策という今の御指摘は全く当たらないということでございますので、御理解を賜れればというふうに思います。

○倉林明子君 結果としては、消費税の増税があっても年金が下げられるという仕組みになるんだということは指摘をしておきたいというふうに思います。
 そこで、資料の二枚目を見ていただきたいんです。この年金額は、これ厚生労働省の資料です。年金額改定の推移ということで、青い実線、赤い点線が入っております。これ、赤い点線が本来水準、言わば将来との均衡を図るためにはここまでの水準でないと将来も下がり過ぎちゃうんだと繰り返し御説明があったラインですね。ところが、この青いラインは何かといえば、これは実際のラインなんです。これ、二十年振り返ってみて、年金は一回も上がっていないんですよ、下がり続けているんですね。これが実態なんですよ。ここに、下げ幅が足りなかったからということで、今度の特例水準もやられたし、今回の改定という流れになっているわけです。
 私、高齢者にとっては、この改定は悪夢そのものだと思います。現在の高齢者の状況はどうなっているかということですよ。大体本当に下げられるような水準なのかという議論がありました。国民年金のみの受給者の平均受給額は月五万円、厚生年金も女性の平均受給額というのは月十万円にすぎません。衆議院の厚生労働委員会でも、参考人で藤田孝典さん、NPOの方ですけれども、生活保護基準相当かそれ以下で暮らしている高齢者は七百万人という試算を紹介されておりました。実際、高齢者世帯の生活保護受給率、六%です。パーミルじゃないんですよ、六%です。そのうち半数、年金を受給しているにもかかわらず貧困というのが実態になっております。
 本法案の年金抑制の仕組み、これは月一万円であろうが月二万円であろうが、こうした年金にもひとしくのしかかってくるわけで、高齢者の貧困、生活保護世帯の増加、これに拍車を掛けるんじゃないでしょうか。大臣に行くんですけれども、いいですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今、年金額のこれまでの推移と本来水準というのを示していただきましたが、今回政府から提案を申し上げている法案につきましては、若い人たちが将来受給する基礎年金の水準はこれ以上下がらないようにということを繰り返し衆議院でも述べてまいりましたし、今日も申し上げてまいりました。これを防ぐということです。
 その上で、現に低所得者あるいは低年金者、こういった高齢者への対策については、社会保障・税一体改革においても、年金の受給資格期間の短縮、これはもう既にお通しをいただきました法案がございましたが、年金生活者支援給付金の創設、そして医療、介護の保険料の負担の軽減と、こういったことを組み合わせて手を打ってきているわけでありまして、加えて、低所得の方へのきめ細かい支援として、生活困窮者自立支援制度とか生活保護についても配慮をしてきているわけでありますが、年金のみならず、やはり社会保障全体で総合的に対策を講じていくということが大事なんだろうというふうに思います。
 他方、これまでの生活保護の高齢者世帯の増加につきましては、立体的、多角的に実態を把握することが大事だというふうに思っております。二十九年度の次期生活扶助基準の検証に併せて制度全般についても見直しの検討を行っていくこととしておりますので、この中で様々なデータを用いた実態把握や分析に取り組んでまいりたいと思っております。

○倉林明子君 そうなんですよ。様々な制度で社会保障全体でフォローするという言い方をおっしゃる。これは総理の総括質疑のときに取っておきたいと思うんですね、この議論は。
 今日は、年金でフォローすると言っている福祉給付金ですね、支援給付金の方が本当にフォローになるのかということでいえば、これは保険料納付月数に基づくことになると。こうなれば保険料納付十年、そうしたら年金月一万六千二百五十円、こういう人たちに対しては率になるので、上乗せって千二百五十円ですよ。これで福祉的給付金や、フォローしている言われたら本当にがっくりくると思うんです。
 年金カットで被害を受けるというのは、私、高齢者世帯だけじゃないということを強く強調したいと思うんです。現役世代で助け合いやと言われると、現に助けている若い人いっぱいいるわけで、年老いた親と同居している、扶養しているという家族あります。さらに、親と別居していても、介護費用援助しているという息子や娘というのは数多くいますよ。私、そういう現役世代にとってもこれはダブルパンチになるというふうに思います。大臣、どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の、賃金が低下した場合に賃金に合わせて年金額を改定するという見直しでございますけれども、言ってみれば不測の経済事態に対応するためのものでありまして、賃金、物価が上がっている場合には年金額が下がることはないということでありますから、経済政策自体が大変重要だということであります。
 そもそも、年金制度は若い世代から今の受給者世代への社会的な仕送りということでありますので、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付を行う仕組みにしておくことが重要であって、仮に今回の改正を行わない場合には、先ほども申し上げたとおり、現役世代は賃金の低下と将来自分が受け取る年金の額が低くなるという、こっちの二重の苦しみというものも、ダブルパンチも考えていただかなきゃいけないので、世代間の公平の観点からも今回の改正は必要だというふうに思います。

○倉林明子君 総理は、本法案は将来年金確保法案だと、何度も聞きました。私、問題は、どんな水準で確保するか、ここの説明というのは本当に不十分だと思いますよ、下げるんですから。低い水準で確保するという話と違うのかと言いたいわけです。
 そこで、確認したいと思います。本法案に盛り込まれた措置によって、二〇一四年財政検証で示した水準よりも年金が増えるということはあるんでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 今回の賃金に合わせます年金額の改定を行うルールでございますけれども、これは将来の基礎年金の水準が二〇一四年の財政検証での見通しよりも低下することを防止するためのものでございまして、将来の基礎年金の水準を、同じ経済前提で考えれば、財政検証の見通し以上に上昇させるものではございません。
 したがって、仮に名目でも実質でも賃金が下落するような事態が生じた場合に、本法案による改正を行わなかった場合の将来の基礎年金の水準と、改正を行った場合の将来の基礎年金の水準、これを比較すれば、改正を行った場合の水準の方が上回るということになるわけでございます。

○倉林明子君 政府の言う将来の年金の確保ということは、結局、マクロ経済スライドによる調整が長引いて、元々下げる予定の年金水準、これを予定よりもっと下がることを防ぐと。言わば下げ止め法案、私、命名したいと思います。
 今よりも低い水準になることは明らかなんですよ。資料三を見ていただきたいと思うんです、資料三。この調整期間が、それぞれ基礎年金、厚生年金入れているんですけれども、下げ止まり、下げ止めようと、この下げ止まりに差があるんです、差が。要は、長さも違えば、下がり率、下がり方も違うんですね。基礎年金の方が長いこと掛かって下げ止め、幅も大きい下げ方になるんですね。
 私、改めて聞きたいと思うんです。何で基礎年金の方が調整が長く掛かって、下げ率も大きくなるんでしょうか。局長。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 基礎年金につきましては、現在の改定ルールの下では、御指摘ありましたように、物価より賃金が低下した際に物価までしか年金額を下げない、こういうことになりますので、賃金の低下幅よりも年金額の低下幅が小さくなります。その結果、足下の基礎年金の所得代替率が上昇するということになります。
 一方で、報酬比例年金でございますけれども、これは賃金を基礎に算定されますので、将来の年金額も賃金と連動して低下をいたします。したがって、足下の所得代替率は横ばいで推移するということになります。
 このため、基礎年金の方が報酬比例年金に比べてマクロ経済スライドの調整期間が相対的に長くなっている、こういう構造でございます。

○倉林明子君 結局、低い水準の基礎年金部分の方に下げ幅が大きくなるということは、期間も長くなるということは、比較的高い年金の厚生年金と比べると逆転現象がこれ起こってくるということになると思うんです。同世代間のこの逆転現象、格差の拡大ということについては社会保障審議会でも指摘があった事項だと思うんです。
 年金制度改革というのであれば、この低年金、低い年金のところの問題をどう解決していくのか、こここそ抜本的に解決すべき課題として焦点を当てていくべきだというふうに思うんですけれども、大臣、認識をお聞きして、今日は終わりたいと思います。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回のスライドルールの見直しのうちで、マクロ経済スライドのキャリーオーバーにつきましては、名目下限措置を維持するという配慮を行いながら、また、賃金が低下した場合に賃金に合わせて年金額を改定する見直しについては、不測の経済状態に対応して年最大六万円の福祉的給付をスタートさせた後に施行するということになっております。特に、この福祉的給付は高齢者の中で生活が苦しい方にも配慮を行うものでありますので、世代内の所得格差の縮小につながるものと考えているところでございます。

○倉林明子君 続きは引き続きやらせていただきます。
 ありがとうございます。