国会レポート

養子縁組 公的責任で 子主体で法整備を(厚生労働委員会)

2016年11月22日

 日本共産党の倉林明子議員は22日の参院厚生労働委員会で、一部の民間あっせん事業者が営利目的で特別養子縁組を行うなど不透明な実態がある問題をとりあげ、「規制する法整備は喫緊の課題であり、子どもが主体の特別養子縁組が公的責任で進められるべきだ」と求めました。

 社会的養護を必要とする子どもへの支援は、児童相談所による公的支援で担いきれない部分を養子縁組の民間あっせん事業で補っている側面があり、公的責任を薄めない相互の連携が重要になっています。

 倉林氏は、民間事業者から特別養子縁組にしぼった法整備を求める声があがっていることを紹介し、「現場で苦労する民間事業者の意見をよく聞くべきだ」と強調しました。
 さらに、子どもの幸福を最優先に取り組むあっせん事業者や実親・養親に過度な経済負担が生じることは、特別養子縁組を進めるうえでの阻害要因になりかねないと指摘。公的制度との格差是正の観点からも「国が財政的な負担軽減に積極的に取り組むべきだ」と求めました。

 厚労省の吉田学雇用均等・児童家庭局長は「実態把握や統計的な精査をしながら、検討会でスピード感をもって議論していく」と答えました。


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○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 特別養子縁組について質問したいと思います。
 民間あっせん事業者が、生みの親の同意もないまま営利目的でやっていたということで事業停止、そして強制捜査というような報道もございました。昨日もテレビで特集がありまして、子供の受渡しは駅前で僅か十分と、そのときだけ会っていた。これは、ネットのサイトを使ったあっせんをやっている事業者の紹介でした。もう本当にちょっと胸が詰まる思いをして見せてもらいました。
 養子縁組を行う事業者をそういう意味では本当に規制していくという法律は、喫緊の課題になっているというふうに認識をしております。
 改めて、そこで、日本の養子縁組の状況ですね、普通養子縁組、そして特別養子縁組、先ほども御指摘ありましたけれども、国際的に見て日本における状況というのはどうなのか、御紹介いただきたいと思います。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 我が国における特別養子縁組が申し立てられた事案のうち、平成二十七年の一年間に家庭裁判所で認容された件数は五百四十四人でございます。それから、未成年、二十歳未満の普通養子縁組につきましては、同じく平成二十七年の一年間に家庭裁判所で認容された件数が七百二十八件となっております。
 諸外国ということでございますが、諸外国の縁組の人数につきましては、制度とか歴史が異なります。若干統計の年数も違いますので一概に正確には比較できませんが、手元にある資料からいえば、ドイツにつきまして、十八歳未満の養子が三千八百五人、フランスは、原則十五歳以下及び年齢制限なしの養子の方を合わせて一万三千三百七十六人、イギリスは、十八歳未満の養子で四千七百三十四人、アメリカは年齢制限がなく、十一万九千五百十四人ということでございます。
 ちょっと人口比で比較をさせていただきますと、各国の人口比で比較した場合、人口十万人対比で、日本は一人、ドイツは五人、フランスは二十二人、イギリスは八人、アメリカは三十八人ということかと思います。

○倉林明子君 御紹介あったとおり、国際的に見て、まあいろいろ歴史も違うし比較するの難しいところもあるということですけれども、子供が主体とされる養子縁組でいえば、実親との関係を解消する、特別養子縁組という中身になってこようかと思うんですけれども、こういう利用の促進こそ進められるべきだと思うし、本来ここは公的責任を果たした格好で進めるべきものではないかというふうに思っております。
 厚労省に確認したいと思うんですが、先ほど来議論もありました改正児童福祉法、この附則二条ですね、ここでは検討していくということでなっているわけです。改めて、検討状況を少し詳しく御説明をいただければと思います。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 今般の改正児童福祉法附則第二条第一項で、特別養子縁組制度の利用促進の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということとされました。
 このため、有識者の方々に御参集をいただきまして、児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会というものを本年七月に立ち上げさせていただきまして、これまで六回開催をさせていただいています。
 これまで、この検討会、司法関与と特別養子縁組という二つの仕組みを掲げての検討会でございまして、司法関与についてどちらかというと先行して集中的に御議論いただいたところもございますが、現在、特別養子縁組に関する検討に必要な情報を把握するために、児童相談所あるいは民間団体の方々に対する実態把握の調査、あるいは関係者の方々のヒアリングというものも行わせていただいております。
 今後、この辺りの実態把握、また幾つかの統計的なものもきちっと精査をさせていただきながら、引き続き検討会においてスピード感を持って議論を行うということで今お願いしているところでございます。

○倉林明子君 スピード感を持ってということでありますけれども、調査、実態把握の取りまとめの方については一定のめども立っているということですけれども、具体的な措置というところまではいまだ至っていないというのが現状だというふうに思います。
 その上で、民間あっせん機関の実態については一定つかまれているというふうに思うわけですが、一つ、このあっせんに係る経費をどの程度として把握しているか。児童福祉法では、さらに、営利目的でのあっせんは禁止ということにしているわけですが、この営利目的とする経費、一体幾らぐらいと、この判断の基準ですね、それはどういうふうに考えているのか。三つ目、公的支援の枠組みが、要は無料で負担なしで使えるという枠組みがある、しかし民間あっせん事業者は自らその財源を確保しなければならないという状況にあるわけで、先ほど来御意見もありましたが、財政支援の在り方の方向性、どう考えているか。それぞれにお答えください。

○政府参考人(吉田学君) 三点についてお尋ねをいただきました点、御報告させていただきたいと思います。
 一つ目は、まず、あっせん事業者が現在徴収している手数料でございます。民間養子縁組あっせん事業者が養親希望者又はその親族から受領した金額について、平成二十五年度の実績を我々は把握をしておりまして、その時点、二十五年度の具体的にあっせん成立があった当時十五の事業者さんのデータを拝見しますと、手数料が最低ゼロ、取っておられないところから最高三百九万二千円というところまでございまして、十五業者を平均という形で取ると六十九万六千円という数字になってございます。
 それから二つ目に、営利目的を禁止している中での受領できる金品の基準という御質問でございますが、養子縁組あっせんにつきましては、営利目的として行うことは、先ほど御指摘いただきましたように、児童福祉法第三十四条第一項八号の規定によりまず禁止をされております。
 その上で、じゃ営利を目的としているかどうかについては、それぞれの事案ごとに具体的に判断するという必要があろうかとは思いますけれども、個別のあっせんに関連して事業者が養親希望者又はその親族から受け取ることができるのは、交通、通信等に要する実費又はそれ以下の額ということを限定しておりまして、それ以外の金品はいかなる名称、名目であっても受け取ることができない旨を通知によりこれまでも周知をし、指導をさせていただいております。
 さらに、この通知にあります交通、通信等に要する実費について、さらにその判断基準としての範囲といたしましては、これまた本来それぞれの事案ごとに個別に判断されるものではあるとは思いますけれども、逆に費用に含めることとしても差し支えないものというものを例示的に規定をしておりまして、一つは実親への相談支援に要した交通、通信に要した費用、それから二つ目に養親希望者への研修、家庭調査及び相談支援の実施、児童の安全確保や家庭調査の実施等の活動に要した交通及び通信経費、それから三つ目に出産に要した費用、四つ目に養親希望者の児童の引取りまでの間養育等に要した費用と、こういうものを例示をして、この通知で申し上げている交通、通信等に要する実費の範囲としてお示しをしているところでございます。
 最後、三つ目でございます。あっせん事業者に対する財政支援についてのお尋ねがございました。
 民間あっせん事業者に対する財政支援につきましては、あっせんがスムーズに行えるケースもあれば複雑な事情により多くの負担が生ずるケースもあるなど、様々な場合が想定されること、また、財政支援の方法によっては実親の中立的な意思決定に影響を及ぼすおそれがあるなど、更なる課題の整理や検討が必要ではないかというふうに考えております。

○倉林明子君 実費問題では、先ほども御指摘があったとおり、今御説明もいただきました。
 養子縁組が成立した場合というのは非常に分かりやすい実費が計算できるのかなという一方で、全て成立するわけではないし、支援があれば実親でも頑張って育てようかという、こういう可能性を切り開ける場合もあろうし、養親が本当に育てていけるのかどうかということでいえば、そういうリスクに対する丁寧なやっぱり説明やフォローというのが本当に必要になってくると思うんですね。
 いずれも、子供の利益、子供の幸福最優先にということで、丁寧な取組というのが私は期待されると思うんですね。ところが、結果として縁組が成立しない、丁寧にやるほどそういうケースもあり得るということにもなるんだけれど、事業者にとって、実親、そして養親、いずれにとっても過度な負担、これは特別養子縁組を促進するという観点からも阻害要因になりかねないというふうに思うんですね。公的特別養子縁組の枠組み、それとのやっぱり格差がここには生じてきているし、是正すべきものだというふうに思います。こういう観点からも、それぞれの財政的な負担軽減ということについては積極的に取り組んでいかれるべきだろうということは指摘をしておきたいと思います。
 また、民間あっせん事業者が所有する子供の実親に関する情報の管理、ここは非常に、どう管理していくのか、現状も大変心配されているところですけれども、どう管理していくのか。かなり長期にわたっての管理が必要になってまいります。私、こここそ公的な管理が必要になってくる部分ではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 養子縁組後、成立したお子さんの実親の情報あるいは養子縁組をした経緯などを知るというためにあっせん事業者に問い合わせる場合が想定されます。今おっしゃった中でいう出自に関する資料というものがそのあっせん事業者において適切に保管、保存されることは重要であるという認識は、私どもも共通しております。
 このため、平成二十六年五月の、局長通知ではございますが、この通知において、養子縁組成立後の養親及び児童に対する相談支援を適切に実施するため、事業者に対し記録の保管というものを行うように求めておりますと同時に、養子縁組あっせん事業を廃止する際には、そのあっせんを行ったケースに関する文書、それまでその事業者において保管をお願いしていた部分でありますけれども、これを管轄の都道府県に引き継ぐということを求めております。この旨、都道府県等に周知をし、今後も徹底してまいりたいと思っております。

○倉林明子君 子供の出自を知る権利を保障すると、そういう観点からは、今は局長通知ということになっていますけれども、やっぱりこれは法的にもしっかり担保し管理していくということが求められようかと思いますので、意見として申し上げておきたいと思います。
 そこで最後に、実際に取り組んでおられる民間の事業者の方々からお話を伺いました。様々な御意見あったわけですけれども、やっぱり特別養子縁組ということに絞った法整備が必要ではないかという御意見もいただきました。特別養子縁組を促進していくということに対する大臣の認識を、最後伺いたいと思います。

○国務大臣(塩崎恭久君) 保護者のいない子供や家庭に恵まれない子供さんに温かい家庭を与えて、その子供の養育に一つは法的安定性を与える、そしてまた愛着形成をしっかり確保していく、そのことによって子供の健全な育成を図ると、こういう観点から特別養子縁組は大変大事だというふうに思っております。
 先ほど来出ているこの改正児童福祉法におきましては、家庭における養育が困難又は適当でない場合は、まずは家庭における養育環境と同様の養育環境で養育されるように、子供の福祉の観点から、特別養子縁組や里親等への委託を進めることにいたしました。また、養子縁組の相談支援を行うことを都道府県の業務に位置付けるということで、こうした業務が確実に行われるように、児童相談所強化プランにおいて児童福祉司等の専門職の配置の充実や資質の向上を図ることなどを盛り込んでいるところでございます。
 とりわけ、特別養子縁組につきましては、社会的養護を要する子供たちへの永続的な家庭の保障という観点から重要な仕組みだというふうに思っております。我が国の現状から見ますと、制度を更に改善をし、利用を促進していく必要があるというふうに思っております。
 こういうことで、この児童福祉法の附則第二条第一項の規定に基づいて、特別養子縁組制度の利用促進の在り方について有識者による検討会で議論を進めておるわけでございまして、この結果を踏まえて必要な措置を講じてまいりたいというふうに思います。

○倉林明子君 民間事業者、本当に現場で苦労されているところの意見もしっかり踏まえて対応いただきたいと思います。
 終わります。