国会レポート

電通への「くるみん認定」 学生・求職者への背信行為(厚生労働委員会)

2016年11月8日

(ページ下部に資料があります。)

 日本共産党の倉林明子議員は8日の参院厚生労働委員会で、女性新入社員を過労自殺に追い込んだ電通を「子育てサポート企業」と厚労省が認定(くるみん認定)した問題を取り上げ、「ブラックな実態を隠してホワイト企業に化けさせることを“おしろい企業”だという。おしろいをしていたのが厚労省とはもってのほかだ。学生・求職者への背信行為だ」とただしました。

 厚労省は、2007年、13年、15年と電通をくるみん認定しました。1日に電通から認定辞退の申し出があり失効となっています。倉林氏は、電通では2013年にも過労死があり、14年、15年と繰り返し長時間労働の是正勧告を受けていたと述べ、「電通のような悪質企業を認定したことが大きな間違い」と批判。塩崎恭久厚労相は「認定をしたが、今回の事態になり大変遺憾」と認めました。
 倉林氏は、より高い基準の「プラチナくるみん」認定を受けている大企業の残業時間協定を見ると、アサヒビール90時間、伊藤忠100時間、武田薬品120時間となっているとして「少なくとも、過労死ラインを超える残業時間協定を結んでいる企業に対する認定は取り消すべきだ」と求めました。

 倉林氏は、厚労省による監督指導結果を示し、長時間労働が疑われる8530社のうち6501事業場で法令違反があり、時間外労働が月100時間を超える労働者がいた事業場は2860もあったと指摘。「間違った認定は防ぐべきだ」と追及しました。
 塩崎厚労相は「くるみん認定が実態をすべて押さえていないとの指摘を踏まえ、より適切な基準をつくりたい。ご指摘を真摯(しんし)に受け止めたい」と答弁しました。


くるみん認定について両立支援のひろばキャリタス就活


議事録を読む
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は、資料一としてお配りしています、くるみん認定マークに関わって質問したいと思います。
 これは資料にありますとおり、次世代育成支援対策推進法に基づきまして、一定の基準を満たす企業を子育てサポート企業として大臣が認定し、認定マークが使用できるというものになっております。この九月時点で認定企業は、くるみん認定が二千六百五十七社、より高い水準の取組を行っているプラチナくるみん、これが百六社となっております。学生、求職者に対するアピールとしても活用されているものです。
 そこで、この認定、子育て支援優良企業と言ってもいいマークなんですけれども、これをあの電通が受けていたということが発覚しております。一体、認定したのはいつか、そして発覚後、大臣は認定取消しも含めて厳正に対処したいと表明しておられましたけれども、その後の対応、どうなっているでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘の株式会社電通に対しましてくるみん認定をいたしたのは、平成十九年の十月、平成二十五年の二月、平成二十七年の七月、この三回でございます。
 電通における業務に起因をいたします自殺事案が明らかになって以降、東京労働局が労働時間管理の状況等について調査を開始していたことから、厚生労働省としてもその結果を踏まえて認定取消しも含めて厳正に対処しなければいけないと、先月二十八日の閣議後の記者会見で私から申し上げたところでございます。
 電通の労働時間管理の状況等につきましては現在捜査中でありますけれども、くるみん認定について、十一月一日に電通より認定を辞退する旨の申出がありました。これに対して、厚労省としてこの申出を承認をし、同日付けで認定の効力を失効させたところでございます。

○倉林明子君 辞退の申出というのは処分じゃないんですね。私は、厳しい行政処分として認定取消し、当然すべきだったと思いますよ。
 その上、びっくりしたんですけれども、私、今日確認しましたところ、このくるみん認定について、電通はいまだ認定されているということで厚労省のホームページから削除されておりません。こんなことはさっさと削除して当然だと思いますので、厳しく指摘をしておきたい。
 そこで、くるみんの認定基準には所定外労働の削減のための措置とあるわけです。ところが、電通に対し繰り返し長時間労働の是正勧告をしていた、これも厚労省であります。一九九一年、この過労自殺が最高裁で認定された後も、二〇一三年、過労死があったことが分かっております。電通に対し、分かっているだけで二〇一四年六月には関西支社、そして二〇一五年八月には東京本社に是正勧告をしております。
 電通を子育てサポート企業として認定した責任は極めて重いと思います。そもそも、電通のような悪質企業を認定した、これ大きな間違いだと思います。なぜこんなことが起こったのか、分かりやすく説明してください、大臣。

○国務大臣(塩崎恭久君) くるみん認定を受けるためには重大な労働関係法令違反がないことなどが基準として定められております。具体的には、育児・介護休業法や男女雇用機会均等法に違反して勧告を受けていないこと、そして労働基準法に違反して送検され当該事案が公になっていないことなどでございまして、これらに該当する場合は認定を受けることができないということになっています。
 電通につきましても、東京労働局において認定の際に基準に適合をしていることを確認をした上で認定をしたものでありますけれども、今回のような事態になり、大変遺憾なことだと思っております。
 今回は電通から認定辞退が行われたところではありますけれども、今後、真に子育てしやすい企業が認定をされるべきであると思いますので、認定基準や取消し基準についてより適切なものに見直しをしなければいけないというふうに今考えているところでございます。

○倉林明子君 ブラックな実態を隠してホワイト企業に化けさせると、こういうことをおしろい企業って言うんだということをNHKの番組でも紹介がありました。この電通をしてみれば、おしろいしていたのは誰かと、厚生労働省だったと。私、もってのほかだと思うんですね。
 くるみんは、仕事と家庭の両立に役立つ企業ということでホームページ上でも紹介しています。それ、二ページ、三ページと付けております。二ページ目は、これは厚労省のリンク張り付けがあるページですし、さらに三ページ目はキャリタス就活ということで女子学生に焦点を当てた就活のサイトになっているんですね。私、電通をこういうサイトにも紹介してお薦めしていると、これ学生、求職者に対する背信行為じゃないかと思うんですね。
 そこで、確認したいのは、より高い水準の取組をやっているというのがプラチナくるみんというものです。王冠かぶっているマークが使えるようになるんです。これについて確認をしたいと思いますが、認定基準、これ幾つかあります。その中の八、くるみんの認定に加えた部分、この基準はどうなっているか、認定に当たってはどうその基準をクリアしているかどうかと確認しているのか、そこも説明いただけますか。

○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 プラチナくるみんの認定の基準につきましては、くるみんマーク同様に、一般事業主行動計画をまず策定をしていただいて、その目標を達成しているということを踏まえた上で、数項目の点をチェックした上で認定をしております。
 特に、御指摘が番号の八番のということでございますので、そこについて御報告申し上げますと、三点ございまして、一点は所定外労働の削減のための措置、そして二つ目が年次有給休暇の取得促進のための措置、そして三つ目が働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置、この三点全てにまず企業が取り組んでいただくということで目標を達成していただく。その上で、あと二点ございますが、計画期間終了前の直近一年間の平均週労働時間が六十時間以上の労働者の割合が五%以下、そして計画期間終了前直近一年間の平均月時間外労働時間が八十時間以上の労働者の方が一人もいない、この後ろ二つについてはいずれかを満たすということを要件としてございまして、申請がありました点に認定に当たっております各それぞれ都道府県の労働局において確認をさせていただいております。

○倉林明子君 結局、数値的な時短の目標、時間外労働の基準ということが、いずれかを満たせばということだけど、はっきり書いてあるんですね。ところが、この確認は申請書類、企業の自己申告によるものだということだと思うんですね。
 そこで、プラチナくるみんの認定企業で過労死ラインを超えて働かせている、こんなことあってはならないと思うんですけれど、大臣、どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 働く方の健康を損なうような長時間労働というのは当然是正をしなければならないわけでありまして、現在の今御指摘のプラチナくるみん認定基準においても、先ほど御説明したような時間外労働時間に着目をした基準を要件としているわけであります。しかし、今回、くるみん認定を受けている企業で業務に起因する自殺事案が発生をしてしまっているわけでありまして、そのことはもう否定し難い事実であります。
 長時間労働の是正に向けた対策を進めるとともに、このくるみんやプラチナくるみん認定の認定基準について、先ほど申し上げたとおり、今回の問題を踏まえて、本当の意味で子育てしやすい企業にふさわしい基準なのかどうかという観点から適切なものに見直していかなければならないというふうに考えているところでございます。

○倉林明子君 いや、そういうくるみん認定ということでシールまで貼ってアピールしているというような、それもプラチナというたらランク高いんですよ。そういうところで過労死ラインを超えるような働き方していないだろうなと、その確認だったんですけど、答弁ちょっとずれていたと思うんですね。
 私、この認定企業というのを、プラチナ認定のところを詳しく見てみました。そうすると、疑わしい企業があるんですよ。具体的に指摘します。二〇一四年に三六協定で月の残業時間が八十時間以上を超える、これを私どもつかんでおります。これ、大企業が名を連ねています、プラチナくるみんとして。八十時間を超える企業、日産自動車、三菱UFJ、三井住友銀行、これ八十時間となっています。九十時間、アサヒビール。そして、百時間、伊藤忠。百二十時間、武田薬品。これ、全部プラチナくるみんを認定受けているんですよ。
 私、電通の三六協定どうだったかと、七十時間でした。それでも過労死ラインを超える残業が続いて今回の悲劇ということになっているわけです。電通だけの問題じゃないということじゃないかと思います。
 私、少なくともこうした明確に過労死ラインを超えるような三六協定を結んでいるという企業に対しては認定直ちに取り消すべきだと思います。どうでしょうか。

○政府参考人(吉田学君) まず、電通はプラチナくるみんを取っておりません。その上で、プラチナくるみんの認定基準でございますが、先ほど来申しておりますように、基準の一つとして労働時間に関する条件を定めてございます。
 その際は、今、三六協定から幾つかの企業のお名前を挙げられたかと思いますが、プラチナくるみんの認定に当たりまして、三六協定の内容ではなくて、実際に労働局において労働時間の実態を審査した上で、先ほど申し上げましたこの基準を満たしているのかどうかについて認定時においては審査をさせていただいて認定をしているというところでございます。
 いずれにいたしましても、今幾つかの御指摘をいただいた点につきましては、大臣が先ほど答弁差し上げましたように、幾つかの御指示に基づいて私ども見直しの検討をさせていただきたいと思っております。

○倉林明子君 第二、第三の電通のようなことが起こったらあかん、過労死は二度と起こしたらあかんということで働き方改革に取り組むんじゃないですか。こういう疑わしい企業にプラチナくるみんだなんてやっていてまた起こったら、それは本当に恥ずかしいと思うんですよ。そういう自覚があるのかということを問うているわけですよ。
 今年四月、厚労省の長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果が出ています。違反が疑われる事業場八千五百三十社、このうち六千五百一事業場、七六・二%で法令違反がありました。月の時間外労働、百時間超える労働者がいた事業場は二千八百六十です。
 私たちには公開されないけれども、この違反企業、百時間超える企業名を厚生労働省はつかんでいるはずですよ。こういう企業に対しては、少なくとも間違った認定防げるんじゃないかと、防ぐべきだ、どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、今のくるみん認定にしてもプラチナくるみん認定にしても、基準を設けて、それに照らしてみて認定をしているわけでありますが、今回、今御指摘のような電通のような事案があるということ、そして、必ずしも実態を全て押さえていないんではないかという御指摘を今いただきましたが、そういうことを踏まえた上で、今後、認定基準について、本当の意味で子育てに優しい企業だということが認定可能なところについてだけ認定できるような、そういう基準を、より適切なものを作っていきたいというふうに思っているところでありまして、今いろいろ御指摘をいただいた点を真摯に受け止めたいというふうに思います。

○倉林明子君 私、働き方改革、ブラック企業根絶、この厚労省の決意が問われる問題だと思います。直ちに分かっているところは認定取消しに踏み込むべきだ、強く申し上げて、終わります。