国会レポート

国責任で中小支援強化を 消費税増税中止せよ 中小企業等経営強化法(経済産業委員会)

2016年4月14日


 固定資産税の軽減などを盛り込んだ中小企業等経営強化法案が15日の参院本会議で全会一致で可決され、衆院へ送付されました。採決に先立つ14日の参院経済産業委員会で日本共産党の倉林明子議員が質問し、地域経済の担い手である中小・小規模企業への国の支援強化と、消費税の10%への増税中止を求めました。

 倉林氏は、休廃業に追い込まれている京都の事業者の実態を示し、初めて赤字企業も設備投資の際の固定資産税軽減措置の対象とする同法案について、事業継続の意欲につながる支援となるよう柔軟な対応と支援強化を要求しました。林幹雄経産相は、小規模事業者は地域経済や雇用の重要な担い手だとの認識を示し、「赤字企業を含めて幅広く利用してもらえるよう配慮したい」と答えました。

 倉林氏はさらに、原材料価格が高騰しても価格転嫁できない中小企業が約7割にのぼり、昨年末時点で1年前と比べて取引単価が引き下げられた下請け企業が25%以上にのぼるという中小企業庁の調査を示し、実効ある転嫁対策を求めました。
 林経産相は「取引状況の改善に万全を期す」と答弁。倉林氏は「規制強化など具体的に踏み込むべきだ」と主張し、消費税増税は事業継続を断念させるもので、きっぱり中止すべきだと強調しました。

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中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 中小企業、小規模企業、先ほど御紹介もありましたとおり、我が国の企業では九九%を超える、さらに雇用では七割を占めるということで、地域経済の主役ということにとどまらず、地域を支える大切な担い手になっているということでは共有できる認識かと思います。ただ、今この中小企業、とりわけ小規模企業、ここが休廃止に歯止めが掛からない、これ重大な問題だと思っているわけです。そこで、本法案がこうした地域のとりわけ小規模企業の事業継続を支援するものとなる、このことが期待されていると思うわけです。
 そこで、改めて確認をさせていただきたいんですが、これまでも中小企業に対して設備投資を促進するという目的で実施されてまいりました中小企業投資促進税制、これについてのこの間の利用実績、累計、直近でそれぞれお示しいただきたいと思います。

○政府参考人(木村陽一君) 中小企業投資促進税制の実績でございますけれども、直近三年分で例えば申し上げますと、平成二十四年から二十六年度の累計で、まず特別償却につきましては、適用件数が八万三千九百十七件、減収額が千四百二十八億円。税額控除でございますが、これの適用件数が七万一千二百七十二件、減収額が四百九十五億円となってございます。直近、平成二十六年度分になりますけれども、特別償却適用件数が三万一千七百二十八件、減収額が五百四十七億円でございます。税額控除でございますが、二万九千八百十件に減収額が二百十四億円となってございます。

○倉林明子君 私は、この設備投資減税が一定やっぱり実績を上げてきたという数字だと見て取れると思います。しかし、中小企業投資促進税制、この対象はあくまでもやっぱり黒字企業ということだったと思うわけで、赤字企業は対象外ということでした。本法案で、初めて赤字企業であっても対象となるということになります。
 私、地元京都で廃業を決めたという方々のお話も聞かせていただいておりますと、お商売に欠かせない大型冷蔵庫、これが壊れたということをきっかけとしてやめたという事例とか、機械金属を自宅でやっておられるという方は結構いらっしゃるんですけれども、そうした場合、機械が古くなって新しい注文に対応し切れない、機械更新大変重たいということでおやめになったという例、少なくないんですね。
 こうした事業者が地域でもう一踏ん張りしようと。いろいろあるんですよ、後継者おらぬとか、先行き、なかなかこれでやっていけるんだろうかという見通しも厳しいということあるんだけれども、そうした方々が事業をやっぱりこれ続けようという意欲につながらないと駄目だというふうに思うんですけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(林幹雄君) 小規模事業者は全体の八五・一%を占めておりまして、地域経済や雇用においては重要な担い手でございます。これを支援することは極めて重要だろうというふうに認識しておりまして、このため、赤字企業を含めまして、小規模事業者に幅広く利用していただけるよう配慮したいというふうに考えております。
 具体的には、政府が業種別の指針として示す優良事例、これを、小規模事業者でも容易に取り組めるものも含めて豊富に示したいと思います。また、計画の作成に当たっては、商工会、商工会議所、公認会計士、税理士、中小企業診断士、金融機関などの支援機関がしっかりとサポートを行うと。計画の認定に当たりましては、それぞれの小規模事業者がその経営体力の中でできる範囲で行う取組について柔軟に配慮をいたします。固定資産税の軽減措置は赤字企業にも有効な支援策でありまして、対象となる機械装置について、各業種で用いられる代表的な機種などを例示して使いやすくしたいと考えています。
 本法案が小規模事業者に利用され、それらの方々の生産性向上に資するよう取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○倉林明子君 成長、発展ということで、法律の立て方そうなっているんだけれども、私は、改めて、小規模企業振興基本法ということで、これは成長、発展だけじゃない、小規模企業にとって事業の持続的な発展、これが振興の基本原則と、こういう位置付けされたということは大変大きかったというふうに思うわけで、この原則に沿った柔軟な対応、こういう視点が活用促進にとっても求められているというふうに思います。
 そこで、今回の支援の規模はどうかということで確認をさせていただきたい。
 先ほど、三年、平年度ベースで百八十三億円程度という数字が出てまいりました。年間投資効果については一千億ぐらいかという答弁でした。規模として、じゃ一体どのぐらいの対象を見込んでいるのか、改めてちょっと確認させてください。

○政府参考人(木村陽一君) まず、御指摘いただきました小規模事業者の方に使い勝手のいい柔軟な制度にするというのは、私どもとしてもまず第一に心掛けてまいりたいというふうに思ってございます。
 その上で、この制度による支援の規模感ということかと思いますけれども、運用がスタートしてございませんので何とも申し上げにくいところもございますけれども、例えば認定の件数というようなことで申しますと、類似の支援措置でございます認定制度あるいは税制措置の実績なんかも勘案いたしまして、年間数千件かそれよりも多い件数の計画の認定の申請が行われるということを期待をしてございます。
 また、先ほど御紹介がございましたけれども、固定資産税の軽減措置でございますが、昨年十二月の政府税調の税制改正大綱の試算がございまして、そこで、最大で年間一兆円程度の機械装置への投資が本税制の対象となるとの想定の下に、平年度ベースで百八十三億円の減収となると見込まれているというものでございます。

○倉林明子君 投資効果として年間一兆円ベースで見込んでいるということですね。確認させていただきました。
 ただし、税の半分軽減、固定資産税半減ということで見ますと、これまで行ってきた中小企業投資促進税制、冒頭、実績お聞きしましたけれども、規模感とすると随分小さいなというのが率直な印象なんですね。そこで、これ、固定資産税を軽減するということになりますので、国の税収にはこれは直接影響しないということになってきます。ただし、これ、市町村にとっては極めて安定した自主財源ということでもありまして、地方財政審議会からは、廃止、縮減は不適当という意見もあったということで、こうした規模感にこういう議論も背景にあったんじゃないかと私、思うんです。
 率直に言って、地方の財源を当てにして国の政策を組むというようなことはいかがなものかと、やっぱり国が責任を持って必要な財源確保というのは取るべきではないかと。いかがでしょうか。

○国務大臣(林幹雄君) 市町村の税収の減少に対しましては、普通交付税制度の中で財源措置をすることにしております。交付税制度につきましては総務省が所管しておりまして、詳細についてお答えする立場にありませんけれども、この措置によりまして市町村の固定資産税の税収が減収する場合、減収額の七五%については交付税で財源措置されるものと承知しております。
 なお、本措置によりまして市町村の税収の一部が減るわけでありますけれども、中小企業において設備投資が行われて経営力が向上する、これらによりまして、雇用の増加など、市町村を含めて地域経済の活性化に貢献するものというふうに期待しているところでございます。

○倉林明子君 交付税措置というのはよくやられる手で、七五%を打ったと言うけれども、収入の分で見込んでも、じゃ実際に地方にどれだけ来るかというたら、丸めて総額は変わっていないと。これは来年度も同じようなことが起こっているわけで、それは地方にとってはやっぱり安定財源奪われるんじゃないかと、この懸念は拭えないものだと思うし、きっちりこの分ですということで全額確保すると、それが当然の措置だというふうに改めて指摘はしておきたいと思います。
 そこで、今回の税負担軽減措置、これを中小企業、小規模企業、ここに広くあまねく活用してもらうというためには、本業での事業継続の見通し、これが持てるかどうかということは決定的だと思うんですね。それがない限り、新たな投資を税金まけてもらえるからいうてどんどん突っ込んでいけるかというと、そんな環境にはないと思うんです、率直に言って。
 そこで、下請取引、先ほども紹介ありましたけれども、実態どうかということで中小企業庁が調査も行われたということです。これ見てみますと、原材料、エネルギーコスト、価格転嫁が必要でも、一部又は転嫁できていない、こういう企業が約七割になっていると。業種によっては発注側から指し値、提示されている、これ一割あると。さらに、一年前との比較で景気は良うなっているとおっしゃるものの、単価の引下げ、これ二五%以上になっていると。
 私、こういう下請取引の実態を残したままで幾ら投資せい言うても、これなかなか厳しいというのはそのとおりだと思うわけです。実効ある転嫁対策、下請取引においての転嫁対策できるような取組必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(林幹雄君) 下請等取引条件の改善に向けましては、これまで、下請代金法に基づきまして、年間、二十万件以上の書面調査、約一千件の立入検査、改善指導を行うなど、厳正に対処してきたところでございます。また、十六業種に及ぶ業種別下請ガイドラインを策定いたしまして、適正取引の普及、違反行為の未然防止に取り組んでおります。また、相談窓口として、下請かけこみ寺を全国に設置しているところでございます。さらに、平成二十六年十二月の政労使合意に基づき、経済界に対して仕入価格の上昇などを踏まえた価格転嫁を要請してきたところでございます。
 しかしながら、昨年十二月から産業界に対する大規模な調査を行った結果、まだまだ中小企業・小規模事業者からは不適正な取引慣行に直面しているという声が聞こえてきているのも実情でございます。このため、自動車関連産業と建設業の大企業に対しまして、調達方針や取引適正化について個別に聴取するとともに、政労使合意の趣旨を踏まえた対応を促してまいります。今後、取引上の問題点を分かりやすくまとめた事例集を作成して周知徹底もいたします。不適正取引へ厳正に対処していくとともに、価格交渉ノウハウを中小企業に普及させていきたいと考えております。
 今後とも、中小企業・小規模事業者の取引条件の改善に万全を期してまいりたいと、このように考えています。

○倉林明子君 いろいろやっているけど効果は上がっていないというのが調査の結果だということだと思うんですね。
 私、下請代金支払遅延等防止法、法律があるんだけれども実態がなかなか改善しない、やっぱりこれは規制強化、適用強化という具体的に踏み込んだ取組必要だということを指摘しておきたい。
 消費税は転嫁Gメンということでしっかり配置も徹底してやって、調査結果は八五%転嫁できたと、これ中小企業の結果でした。一方、下請取引では価格転嫁が一向に進まないという実態出ている。私、結果が問題で、トータルで、じゃ中小企業、小規模企業の利益率が上がっているのか、上がっていないわけですよ。ここをどうやって引き上げるかということが事業継続の見通し持つ上でも重要だということは指摘したい。
 さらに、最も大きな見通し立たないということになっているのが消費税です。この消費税八%で、払いたくても払えないという事業者が後を絶ちません。来年、消費税一〇%上げようかと、これ中小企業、小規模企業にとって事業継続断念という決断せざるを得ないというようなことに追い込むんじゃないかと思います。大臣、いかがお考えですか。

○国務大臣(林幹雄君) 消費税増税に当たりましては、中小企業・小規模事業者の事業の継続と発展を支援しつつ、経済の好循環を実現して消費税率の引上げを実施できる経済環境をつくり出すことが重要だろうというふうに考えております。
 そこで、経産省としては、まず、中小企業に対する消費税転嫁対策として全国に四百七十四名配置した、いわゆる転嫁Gメンを活用して立入検査や指導など厳正に対処していきます。また、中小企業の経営力の強化に向けまして、この法案に基づきまして、業種ごとに生産性向上の優良事例を指針の形で分かりやすく示していく、そして固定資産税の軽減などを行っていきます。さらに、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金などによりまして、新たな商品、サービスの開発や販路開拓などを支援していきます。また、各都道府県のよろず支援拠点で売上げ拡大や経営改善など様々な経営課題の相談にきめ細かく応じてまいります。
 こうした施策を総動員することによりまして、消費税増税の際にも中小企業が事業継続を断念することがないような環境をしっかりと整えていきたいというふうに考えています。

○倉林明子君 事業環境が継続できるような環境になっていないということをしっかり見れないと、私はこの法律の効果というのはほんま担保できないと思います。消費税の一〇%への増税はきっぱりやめるべきだと申し上げて、終わります。