国会レポート

インドネシア石炭火発事業 国際協力銀行融資検討先で人権侵害、中止迫る(財政金融委員会)

2016年3月23日

(ページ下部に資料があります。)

 日本共産党の倉林明子議員は23日の参院財政金融委員会で、日本政府が100%出資する国際協力銀行(JBIC)が融資を検討しているインドネシアのバタン石炭火力発電事業で深刻な人権侵害が起きている実態を示し、融資中止を迫りました。

 同事業は、広大な農地をつぶして巨大な石炭火発を建設するもの。総事業費45億ドル(約5000億円)のうちJBICが21億ドル(約2350億円)の融資を検討。融資期限が4月6日に迫っています。石炭火発は安倍政権のインフラシステム輸出戦略の大きな柱です。

 事業発表以来、農地売却を拒んだ住民に対する推進派の暴力など人権侵害が常態化しています。倉林氏は、質問直前に現地から寄せられた情報として、建設予定地がフェンスで囲まれ農民が農地に入れなくなっていると指摘。JBICの渡辺博史総裁は「フェンスには24日以降立ち入りを中止するとの張り紙がされている」と認めました。

 インドネシアの国家人権委員会は、同事業では住民に対する物理的・精神的脅威を含むさまざまな人権侵害が見られるとし「人権を重視し、慎重な融資検討を求める」とする書簡を日本政府と国会に送っています。

 倉林氏は、世界の先進基準を参照すると定めたJBICの環境社会配慮ガイドラインに照らしても同事業の問題は明らかだとし「融資の中止を決断すべきだ」と迫りました。渡辺総裁は「環境社会配慮の確認を継続していく」と述べました。

議事録を読む(質問後半部分)
(質問前半部分から続きます)
 そこで、次の質問なんですけれども、国際協力銀行、JBICに関連して質問をさせていただきます。
 今、JBICが融資を検討していますインドネシア・バタンの石炭火力発電所事業について、私、質問したいと思うんです。発電所の規模、そして事業額、JBIC検討の融資額、これはそれぞれどうなっているでしょうか。

○参考人(渡辺博史君) お答え申し上げます。
 今の委員御指摘の案件は、インドネシア共和国ジャワ島、中部ジャワ州バタン県におきまして、発電能力二千メガワットの超超臨界圧石炭火力発電事業を行うものでございます。
 総事業コストにつきましては、現時点の見込みで約四十五億米ドルでございまして、当行に対しましては今のところ約二十一億米ドルの融資というものが期待されていると、そういう状況にございます。

○倉林明子君 石炭火力発電所の予定地ですけれども、二百二十六・四ヘクタールと極めて広大、東京ドームの四十八個分に匹敵するかと思います。ここは農地ということで、年三回お米が収穫できる、ジャスミンについては年中収穫できるという極めて肥沃な農地でございます。先祖から次々と受け継いでこられたものだということで、予定地に面した海も大変有数な漁場ということでありまして、生計手段の喪失につながるという懸念から、石炭火力発電所については当初から反対の声が上がってきたものであります。
 現地の反対派住民を始め、これまでJBICに対し、どんな要請や働きかけがあったのか、御紹介ください。

○参考人(渡辺博史君) お答え申し上げます。
 現地の反対派の住民の方からは、当行に対しまして本プロジェクトへの反対意見が表明されるとともに、当行に対しまして融資を中止するような要請がなされているということでございます。
 また、あわせまして、インドネシアの国家人権委員会の方からは、我が国の安倍総理大臣及び大島衆議院議長宛てに二〇一五年十二月二十一日付けで、本プロジェクトに関し、同委員会として人権侵害等の懸念事項が記載された書簡が送られているという状況にございます。当行もその写しを受領していると、そういう状況でございます。
○倉林明子君 二〇一一年から現地では反対運動が起こっていると。二〇一五年には来日されて、直接JBICにも異議申立てを行っているという経過があったかと思います。
 そこで、JBICは、こうした要請も受けまして、現地にも行って、反対派住民からも直接聞き取りを行っていただく、二回行ったと。現地の確認もされております。そこで、現地の住民、反対派住民からの聞き取りの際に配慮されたことがあったと思います。それは何だったのか。そして、直近の反対派住民の訴えはどうだったのか、御紹介ください。

○参考人(渡辺博史君) 今委員御指摘のように、何度か私どもと直接その住民の方々とお話をしているわけでありますが、本年三月初頭におきまして当行関係者が現地訪問した際には、今御指摘の配慮という意味では、県庁、警察を含む政府関係者や事業者を同席させずに、住民の方々と我々が話をしたいということでございましたので、そのような形でのアレンジをさせていただいたというところであります。その場におきまして、改めて本プロジェクトへの融資を中止するよう住民の方々から要請が行われました。

○倉林明子君 JBICも、そういう人権侵害に対する事案が懸念されるということで、配慮をしていただいたということが反対派住民の方からも感謝されているということです。
 一方、JBICの指導を、再々にわたって人権侵害行為がないようにということで指導していただいているんですけれども、農地に入れない、塀で囲ってしまった。この塀を入口は開放してほしいと、農地アクセスできるようにしてほしいと、これも再々やってもらっているんですけれども、再々塞がっちゃっているんですね。最終的にはまた塞がっているということで、再々指導になるのか、していただいたところ、また直後に塞がっていて、今日確認したところでもJBICの指導を受けて開放してもらった塀がまた閉ざされている、今後立ち入ってはならないというような張り紙までされているというような事態がございます。
 そこで、人権侵害についてなんですが、インドネシア国家人権委員会、ここが二〇一二年から複数回にわたって、そういう人権侵害があるから改善しなさいということを勧告を行っている。さらに、先ほど御紹介あったレターを出しまして、人権を重視して慎重な融資の検討を求めるということで、安倍総理、そして国会にもということで寄せられた。
 このレターの、六項目あるわけですけれども、その中の三番目、この項目を紹介していただきたい。

○参考人(渡辺博史君) まず、フェンスの件につきましては、今日現在は、一応、開口部四か所がありまして、そこにゲートを見ている人間おりますけれども、そこへ行っていただければ入れるという状況になっております。ただ、三月二十四日以降については、一応、整理のために立入りをこれで中止させていただくという張り紙がされているというのが、多分、委員の御指摘の点だと思います。
 今御質問の点でございますが、人権委員会からの書簡の第三項目めでございますが、読み上げますが、二〇一三年以降の土地買収プロセスにおいて、地元の人々、地権者、小作人、農業従事者、漁民、その他のコミュニティーの所属者など、プロジェクトサイトに生活の糧を依存する人々に対する脅迫、物理的・精神的脅威を含む様々な人権侵害がある。
 以上でございます。

○倉林明子君 インドネシアの国家人権委員会は、人権侵害の事実を確認しているということだと思うんですね。さらに、予定地に適した用地ではないとまでこのレターの中で指摘している。これは重大だと思います。
 そこで、JBICは、環境社会配慮確認のためのガイドラインというのを定めております。
 大臣は、この問題、昨年三月の当委員会で答弁されておりまして、JBICがこのガイドラインにのっとって、引き続き、現地住民の声をよく適切に聞き環境社会配慮の確認を行うよう監督してまいりたいという答弁でした。このスタンスに今も変わりはないでしょうか、大臣。

○国務大臣(麻生太郎君) ありません。

○倉林明子君 そこで、環境社会配慮の適切性、これを確認するための基準についてですけれども、JBICの基準によりますと、相手国の政府が定めた法令や基準を遵守しているかどうかにとどまらず、更なる基準を設けています。その部分について御紹介ください。

○参考人(渡辺博史君) 今委員御指摘の私どもの環境社会配慮確認のためのガイドラインのうち、該当状況でございますが、今委員がお読みになった後に続きまして、また環境に関する政策や計画に沿ったものであるかどうかを確認する。さらに、本行は、環境社会配慮等に関し、プロジェクトが世界銀行のセーフガードポリシーと適合しているかどうかを確認する。ただし、当該プロジェクトがリミテッドリコース又はノンリコースのプロジェクトファイナンス案件の場合及びその他適切と認める場合には、国際金融公社のパフォーマンススタンダードと適合しているかどうかを確認する。また、適切と認める場合には、他の国際金融機関が定めた基準、その他の国際的に認知された基準、日本等の先進国が定めている基準又はグッドプラクティス等をベンチマークとして参照する。環境社会配慮の在り方がそれらの基準やグッドプラクティス等と比較検討し大きな乖離がある場合には、相手国、これは地方政府を含みますが、借入人及びプロジェクト実施主体者との対話を行い、その背景、理由等を確認するとともに、必要に応じ対応策を確認するというふうに定めております。

○倉林明子君 現地では土地収用法に基づいて強制執行が始まっている。非常に緊迫した状況になってきております。相手国の法令上認められるという行為ではあっても、JBICの環境社会配慮基準から見て私は重大な問題があると言わざるを得ないと思うんです。
 環境レビュー結果は融資等の意思決定に反映するとされております。適切な環境社会配慮がなされない場合は融資を実施しないこともあり得ると、私、当然のことだと思います。度重なる人権委員会からの勧告、そしてJBICからの働きかけにもかかわらず人権侵害が繰り返されている、私は極めて重大だと言いたいと思うんですね。
 何度か延期をしてきたこの融資の期限が、いよいよ四月六日ということで迫ってきております。度重なるJBICの働きかけにもかかわらず、私、適切な環境社会配慮がされていないというふうに言えると思うんですね。こういう状況を踏まえれば、私はこの融資については中止の決断をするときではないかと思います。いかがでしょうか。

○参考人(渡辺博史君) 当行国際協力銀行といたしましては、現時点においてまだ融資の決定を行っているわけではございません。
 それで、今委員御指摘のような状況もございますし、先ほど私が読ませていただきましたガイドラインにおきましても、状況に応じて相手国、あるいは借入人及びプロジェクト実施主体者との対話を行うということになっておりますので、我々としても本プロジェクトに係る環境社会配慮確認を引き続き継続して行って、最終的に判断をしたいと思っております。

○倉林f明子君 私、石炭火力発電所については、COP21を受けまして、各国で気候変動対策としての規制強化、この動きが加速しているという世界的な状況も一方であろうかと思うんですね。CO2を排出、これ増やすのが石炭火力発電所、その投資そのものから私は撤退することも重ねて強く求めたいと思います。
 これは強く求めまして、質問は終わりたいと思います


※動画の後半部分(14:57~)です。