国会レポート

猶予制度の周知徹底を 消費税滞納問題 所得税法改定案(財政金融委員会)

2016年3月23日

(ページ下部に資料があります。)

 日本共産党の倉林明子議員は23日の参院財政金融委員会で、消費税の滞納問題を取り上げ、「すべての税務署に新たな猶予制度のリーフレットと申請の手引きを置き、周知徹底を図れ」と迫りました。麻生太郎財務相は「すべての窓口で周知されていないのはこちらの落ち度だ。きちんと対応させていただく」と述べ、早急に現場に指導・徹底を行う姿勢を示しました。

 納税者の負担の軽減や早期かつ的確な納税の履行を確保するとして、2015年4月からこれまでの猶予制度を見直し、新たに申請による分納が認められるようになりました(納税の猶予、換価の猶予)。ところが、消費税滞納分として売上の大半を占める売掛金やクレジット決済分が差し押さえられ、事業者が営業中止に追い込まれるという事態が起きています。

 倉林氏は「滞納すれば一括納付か売掛金の差し押さえかの二者択一を迫られている。一括納付でも差し押えでも直ちに営業中止になってしまう」と厳しく指摘。地域経済の担い手である中小・小規模事業者が事業を継続できるよう新たな猶予制度の確実な実施を重ねて求めました。

国税の猶予制度についてのリーフレット
リーフレット「国税を一時に納付できない方のための猶予制度」

国税の猶予制度についての手引き
国税の猶予制度についての手引き
※これらは国税庁のWEBサイト(パンフレット・手引き「その他」)で閲覧・ダウンロードすることができます。

議事録を読む(質問前半部分)
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 今日は、消費税の滞納問題についてまず質問をしたいと思います。
 地域経済の主役である中小企業・小規模事業者が事業を継続できるかどうか、これは地域経済の活性化にとって極めて重要な課題だと考えております。
 ところが、今、倒産は減ったというものの、廃業の増加、これに歯止めが掛からないというのが現状となっております。とりわけ小規模事業者に注目いたしますと、ピークの一九八六年には四百七十七万者がありましたけれども、二〇一二年、喫緊で見ますと、これが三百三十四万者ということで、百四十三万者がこの間減少しているというのが実態であります。
 この中小企業・小規模事業者は、今消費税、納付期限を前にしまして、払いたくても払えないという切実な声が寄せられているところです。八%に増税された消費税分、これ本当に重いということで、中小企業・小規模事業者、本当に悲鳴の声を上げているわけですけれども、この中小企業や小規模事業者にとって、消費税、どれほどの負担になっているか、まず大臣の認識を伺いたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) この消費税率の引上げに際しまして、これは最初から大きな負担をお願いするわけなので、中小零細業者に関しましては、これは売値に対して三%を乗せて売れるか売れないかという、いわゆる転嫁できるかできないかということで、この環境を整備するというのは最も大事ということであろうと考えておりましたので、政府といたしましては、いわゆる適正な転嫁が行えるようにするためには、転嫁対策特別措置法という法律に基づきまして、公正取引委員会並びに経産省、なかんずく中小企業庁だったと記憶していますけれども、六百人ぐらいの人間を増員、いわゆる転嫁対策調査官というのを配置をさせていただいて、いわゆる不当にたたかれるとか、値段を値引きを要求するとか、そういったような話が起こりがちな話ですから、そういった意味では、かなりの数の違反行為に対して指導とか勧告を実施させていただくなどの実効性のある対策というのを結構推進させていただいたところだと思っておりますが。
 今後とも、この種の話というのは別に消費税が上がるか上がらないかに関係なく起きる話だと思っておりますから、そういった意味では、適正に転嫁できる、コストの上がった分を転嫁できる、そういったようなことに対しては、我々としても引き続き転嫁対策に取り組んでまいりたいと考えております。
 ちなみに、指導件数からいきましたら、いわゆるこの間約二千四百件ぐらいのものを指導しておりまして、勧告等々させていただくまでに至ったものが約三十二件ぐらいあろうと思っておりますので、BツーBの取引とかBツーCの取引等々を見ますと、全く転嫁できていないというところがBツーBでは約三・四%ぐらいまで減ってきた、また、BツーCにおいては約五・六%ぐらいのところが全く転嫁できていないという数字のところまで下がってきたのではないかと思っております。

○倉林明子君 率直に大臣が重たいと思っているのかどうかというのを聞きたいと思ったんですけれども、答弁はありませんでした。
 確かに、消費税の転嫁が様々な取組のところで、中小企業の調査で結果を見ましても八割を超えて転嫁できていると、こういう実績を上げてきたということを否定するつもりはございません。ただし、消費税が転嫁できたとしても、本体価格が上がりますと、これ、売れないという構造はありまして、結局円安で材料費、経費、これが上がるということで、全体の利益率が下がっているというのはこれは実態だと、聞いている実態でもあるというふうに思うわけです。
 そこで、いっときにこの消費税が払えないという相談を私のところにもたくさん来ているわけですけれども、こういう事業者の実態を踏まえまして、二〇一五年四月から国税の猶予制度、これが見直しをされております。税金の分納制度でもある納税の猶予、そして換価の猶予、これは具体的にどう見直しがされましたでしょうか、御説明ください。

○政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の猶予制度の見直しでございますけれども、これは納税者の負担の軽減を図るとともに、早期かつ的確な納税の履行を確保する観点から行われたものでございます。
 具体的には、事業継続、生活維持困難といった状態にある納税者につきまして、納税に誠実な意思があれば、納税者自らが換価の猶予の適用を申請することができるという制度を新たに設けたほか、猶予の際に担保を必要とする基準額の引上げ、分割納付の規定の整備や申請・添付書類の整備などが行われたところでございます。

○倉林明子君 そこで、その実績について確認をさせてください。
 この新制度、今年度直近までの実績はどうなっているか、納税及び換価についてそれぞれお願いします。それに、制度導入前、この平均的な実績との比較も御紹介ください。

○政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。
 猶予制度の見直し前の適用実績をまず申し上げますと、平成二十三年から平成二十五年の各事業年度、七月から翌六月でございますが、事業年度の平均で申し上げますと、納税の猶予が約三百件、換価の猶予が約四千八百件でございました。
 猶予制度が見直された後の三か月を含む平成二十六事務年度におきましては、納税の猶予が約六百件、換価の猶予が約一万八千二百件と、いずれも増加をしてございます。なお、直近の六か月、平成二十七年の七月から十二月について、把握が可能な申請による換価の猶予の適用件数は約九千三百件となっておりまして、既に昨事務年度の三か月間の件数、千八百件の約五倍に達しているところでございます。

○倉林明子君 非常に件数も伸びているという効果を上げているかと思います。
 消費税を滞納し、いっときには払えない、もう倒産を覚悟したという事業者が、この制度を活用し分割納付が認められたということで、何とか営業継続の見通しが立ったと、こういう事例も私も承知しております。
 地域経済の担い手である中小企業、そして小規模事業者、これが本当に今広く活用される、こういうべきだと思いますけれども、大臣の所見、お考えをお聞かせください。

○国務大臣(麻生太郎君) いわゆる役所用語で換価の猶予ということですよね。いわゆる滞納処分の開始を猶予してもらうという話で、業界用語で換価の猶予というんですけれども、いわゆる従来職権でこれやらせていただいていたということだったと思いますが、納税者からの申請によるというものも、これは申請するといった猶予制度の見直しというものは、これは納税者の負担の軽減を図ると同時に、早期かつ的確な納税の履行というものを確保するという観点からこれは行われたものであります。
 このような見直しの趣旨を踏まえて、国税庁においては、いわゆるホームページにおいて広報する等々に加えまして、税理士会、青色申告会等々、いろいろ法人会など団体に広報の依頼をさせていただいて、こういった場合にはというような話で、納税者に対していわゆる必要な広報とか、そういった周知を努めておるところで、法令等に定める一定の要件に該当する納税者であっても気が付いておられない方もいらっしゃいますので、こういう制度ありますよということで中小企業者、特に零細が多いんですけれども、今後とも猶予制度を適切に利用していただくべく、いろいろ広報等々にも努めてまいりたいと考えております。

○倉林明子君 本当にその取組進めていただきたいと思うわけですけれども、実際の現場がどうなっているかということなんですね。
 消費税滞納分として、売上げの大半を占める売掛金及びクレジット決済分、これが差し押さえられたという声が相次いで寄せられておるわけです。こうした場合に、一括納付か差押えかという二者択一を税務署から迫られるという事態になっております。一括納付、差押え、これ、いずれにしても直ちに営業中止になるということじゃないでしょうか。大臣、どういう認識でしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) これは、個別にわたる事柄について具体的にお答えすることはちょっと差し控えさせていただきますけれども、一般論で申し上げさせていただければ、国税庁において、納税者から一括納付が困難というような相談というものがあった場合は、これは個々の実情を十分に把握するのは当然のことなんですが、猶予制度を活用し分割納付というのができるんですよというような話など、法令に基づいて適切に対応することといたしております。
 一方、納付を促しても、これは納付の意思が全然認められないという方もいらっしゃいますから、そういった場合や分割納付の不履行が繰り返されるというような場合などにつきましては、これは期限内に納付した納税者との公平性の観点からも、財産の差押えを行うなど、これは厳正に処分する必要があると考えておりますが、いずれにしても、いわゆる滞納の整理に当たっては、いわゆる法律を一律、何というんですか、画一的に適用するというのではなくて、納税者の個々の実情というのは意外と税務署側も知っているところがありますので、そういった実情に即して判断する必要があると考えており、御指摘のありましたとおり、二者択一とか直ちにとかいうような話ではなくて、適切に対応してまいりたいと考えております。

○倉林明子君 元請は一社しかないと、こんな下請業者の話もございました。売掛金の差押えの通告を元請にされる、そういうことになりますと一度に信用を失います。結局、それまで、一旦失った信用って回復はすごく難しいと。一億円の仕事を受けていたんだけれども三割に激減と、こういう事例もございますし、弁当屋さん、これは利用者の利便性もあってクレジット払い、これ三割を占めるというんですね、売上げの。ここが押さえられたらもう食材も買えなくなると、こういうことですから、やっぱり今おっしゃったように、事業者の息の根止めるようなことはしないと、こういう適切な対応を是非お願いしたいと思います。
 現場は一体どうかと。丁寧にこういう制度周知されることになっているかということなんですけれども、実際に困り果てて事業者が税務署に行くと、そういった場合、私、現地、京都ですけれども、京都の複数の税務署を確認させていただきましたが、窓口に置いてあったのは、資料を付けました、一枚目、二枚目で裏表になっております資料、これ国税庁が作成したものですが、現状でもこれしか置いていないんです。本来、ここには新たな制度の周知というのはないんです。
 そこで、今、制度周知のために何使っているのかということで国税庁に求めましたところ、三枚目、四枚目、これが新しいチラシなんですね。さらに、こういう新しいチラシが置いていないだけじゃなくて、手引というものも新たに作成されたということなんだけれども、そういうものがあるだろうというて尋ねても出てこないという現状あるわけですね。
 私、たくさん作ったと聞いているんです、このチラシ。これ、せめて窓口にしっかり置いていただきたいし、手引も、書類書かなあかんのでどうしても必要になるんですよ。そういうものは懇切丁寧に活用されるように窓口にしっかり配置する、これを徹底していただきたい。いかがでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 字が小さいね、大体、これ。読めぬ。俺で読めぬような字は小さい、納税している人の立場というのは大体高齢者が多いから。だから、ちょっとそこらのところも一緒に言った方がいいですよ、どうせ言うんだったらね。
 猶予制度については今までお話のあったとおりなのであって、これは全国の税務署の窓口に備え付けるよう言ってあるはずなんですけど、置いていないとすれば、これは我々としての落ち度だと思いますので、そこの点についてはきちんと対応させていただきます。同時に、字も大きくさせるように指導します。

○倉林明子君 私も老眼進んできましたので、その点は本当に直ちにやっていただきたい、強く要望しておきたいと思います。
 そこで、事業者が制度を知った、窓口はなかったけれども制度を知って申請をしに行ったと。ところが、窓口ではどうか。あなたは無理だというて書類さえももらえないと。で、ダウンロードして書類を提出した、ところが受け取ってももらえない。挙げ句の果てに、潰れたらよいとまで言われたと。これ実際の話なんですね。一人や二人やないんです。
 そういう話が出てきているわけで、私、制度の周知徹底という点からいうと、極めてまだまだ不十分だということだと思うんです。新たな分納制度が確実に実施されるよう努力するということでお話もありましたので、各税務署への徹底を重ねて求めておきたいと思います。
(質問後半に続きます)


※動画の前半部分(0:00~14:57)です。