国会レポート

高浜原発再稼働断念を MOXの危険性指摘(経済産業委員会)

2016年3月10日

(ページ下部に資料があります)

 日本共産党の倉林明子議員は10日の参院経済産業委員会で、大津地裁が運転停止を命じた関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)が、過去たびたび重大トラブルを起こし、毒性が強いといわれるMOX燃料を使用する危険性を指摘し、「原発再稼働をただちに断念すべきだ」と厳しく迫りました。

 倉林氏への政府答弁で、高浜原発3、4号機が運転を開始して以降、法令上報告義務のあるトラブルだけでも23件(3号機11件、4号機12件)起こしていたことが判明。同氏は、死亡事故1件、自動停止3件、手動停止1件などの重大トラブルを繰り返してきたのが高浜原発だと強調しました。

 同原発3、4号機が、福島原発事故以降初めて、毒性の強いMOX燃料を使用することに国民の不信・不安が高まっていると指摘し、両号機での同燃料使用認可の時期をただした倉林氏に対し、原子力規制庁長官官房の山田知穂審議官は、「4号機におけるMOX燃料の使用は許可以降初めて」と認めました。

 倉林氏は「18年間一度も使用していなかったMOX燃料を、一切説明せず4号機で初めて使用するなどとんでもない。今回の司法判断を正面から受け止め3、4号機の再稼働は断念すべきだ」と主張。林幹雄経済産業相は「新規制基準に適合すると認めた原発のみ、地元の理解を得ながら再稼働を進める」と従来の立場に固執しました。

 倉林氏は「国民の大多数の声にこたえ、全ての原発の再稼働断念、再生エネルギー中心の政策への転換へかじを切るときだ」と求めました。

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○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 東日本大震災から五年。あの原発事故さえなければと書き残して自殺された方がおられました。この悔しさが私の胸を離れないと。今なお同じ思いであしたを迎える、こういう人が一体どれだけおられることかと思うわけです。福島の避難者はいまだ十万人。未曽有の被害は継続、拡大しているという状況だと思います。
 原発は取り返しの付かない事故を起こすことが国民の常識になったと私は思います。原発の再稼働反対は国民多数の声。昨日も大津地裁が高浜原発三、四号機の運転差止めの仮処分を決定いたしました。稼働中の原発が初めて停止することになったわけです。
 私、改めて、全ての原発を直ちに、再稼働はもとより、運転は断念すべきだというふうに、この東日本大震災から五年たった今、大臣の決断を求めたいと思います。

○国務大臣(林幹雄君) 痛ましい原発事故で、福島を始め多くの方々に多大な御迷惑をお掛けしております。復旧復興はいまだ道半ばでありまして、国民の間に原発に対して様々な御意見があることも承知しております。
 他方で、我が国を取り巻くエネルギー環境に目を向けますと、事故後、国内の原発が全て停止したことによりまして、まず第一に、火力発電の依存度が九割にもなったと。運転予定のなかった古い火力発電所も稼働させている状況でありまして、何とか供給力を確保しているわけでありますが、トラブルが多発すれば停電が起きる可能性があるという脆弱な状況でもございます。
 第二に、化石燃料の輸入増加などによりまして、電気料金の上昇といいますか、全国平均単価が家庭用で二五%、産業用で四〇%上昇しているわけであります。これによって、国民生活はもとより、中小企業を始めとする企業の経営を圧迫しているわけでございます。
 第三に、電力分野からのCO2排出量については、震災前に比べて年間約〇・八億トン増えておりまして、これは日本国内の総排出量を約六%押し上げているわけでございます。
 こうした我が国が直面する課題を踏まえて、原発への依存度は可能な限り低減させますが、他方で、安定供給の確保、電力コストの引下げ、CO2排出の抑制、この三点を実現しようとすれば原子力への依存度をゼロにすることはできませんで、やはり一定程度の原発は稼働させなければ責任あるエネルギー政策を実行できないという判断を行ったところでございます。もちろん、安全性は最優先でありまして、原子力規制委員会によって再稼働に求められる安全性が確認された原発についてのみ地元の理解を得ながら再稼働を進めるということにしているところでございます。

○倉林明子君 今、経済性のことを考えればやめられないという、つづめて言えばそういうことだったかなというふうに聞きました。
 人の命と安全は経済性に優先されなければならないと、こういうことが今度の大津地裁の判断の中でも示されたというふうに思います。安全性は、じゃ担保されるのかということでいいますと、規制委員長は繰り返し、この規制基準を満たしたとしても事故は起こり得るということを指摘しているわけです。そこで、避難計画が義務付けられたという経過がございます。避難計画はできたとしても、確実に避難できなければ住民の命と安全は守れない、これ当然のことだと思います。
 既に、今日止まるということですけれども、三号機も稼働したという関西電力、この高浜原発について伺います。
 これは、地図を改めてお示ししています資料です。五キロ圏内、三十キロ圏内、いずれも、五キロが赤、三十キロはオレンジで示しております。十八万人が三十キロ圏内に居住しており、そのうち十二万人は我が京都府内ということになっています。
 一体ここの避難計画どうなっているかということで、福井県も試算されたようでございます。そうすると、舞鶴若狭自動車道、高速道でありますけれども、この舞鶴東インター、激しい渋滞が起こるということが既に判明しておりまして、夏は海水浴客が非常に増えるところで、五キロ圏内の住民の避難時間、これが何と七時間半掛かるということです。
 国道二十七号、これも重要な避難道、もう唯一と言っていい避難道になってくるわけですけれども、冬の状態どうなるか。以前、経済産業委員会でも紹介しましたところ、冬の日だけでしょうとおっしゃった大臣もおりました。しかし、この冬のときに事故が起こらないという確率は、全く保証はないわけで、実態は冬は身動き取れない渋滞がある。これは舞鶴市から毎年出されている要望書でもあります。結局、三十キロ圏内十八万人、この避難は極めて困難だと、一番責任持たなければならないという地元からそういう声が上がっているわけです。
 私、過酷事故が発生した場合、規制委員会も想定していると、住民の被曝が避けられない計画になるんじゃないかと思っているんですけれど、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(林幹雄君) 避難計画を含む地域防災計画は、原子力規制委員会が策定した原子力災害対策指針に従って、地域原子力防災協議会の下、地域の事情に精通した自治体と国が一体となって策定するものでございます。現行の指針では、放射性物質の放出前の段階で五キロ圏内の住民は即時避難することになります。また、五キロから三十キロ圏内の住民は、まずは屋内退避を行いまして、緊急時モニタリング結果に基づき避難をすることになるわけでございます。こうしたアプローチは、できる限り被曝のリスクを回避して円滑に避難できるようにしていくことを基本としております。
 なお、高浜原発の地域防災計画につきましては、昨年十二月、総理を議長とする原子力防災会議で各地域の計画の内容を確認し、了承されております。
 原子力災害対策にこれで完璧ということはございません。政府としては、地域防災、避難計画に対する支援と確認を継続して行いまして、その改善強化を図ってまいります。

○倉林明子君 いや、完璧どころか全くこれでは不十分だという声が上がっているということを強くしっかり受け止めてもらわないと困ると思うんですね。
 福島でどんなことが起こったかというと、情報は伝わらない、汚染地域に避難路を選んだ浪江町というのはいまだに後悔していますよ。それに、屋内退避の指示に従ったら、今度は流通、物流が全く止まって、もう本当に逃げるに逃げられず、入院患者さんの死亡が起こった南相馬。五年たってもその苦しみは多くの人が引きずっておりますよ。政府は結局支援できなかった、これが、避難時、あの福島原発事故の大きな教訓でした。
 現状では避難計画できたけれども、避難する側の宮津市、そして避難者を受け入れる側の京田辺市、いずれも市議会で再稼働反対、明確な意見書を採択しております。それなのに、避難計画義務付けた三十キロ圏内どころか、五キロに位置する舞鶴もあるのが京都府です。原発の再稼働に対して物を言う権利、これが与えられておりません。三十キロ圏内の自治体から繰り返し、物が言えるように法制化してほしい、こういう要望が上がっているはずでございます。正面から応えるべきじゃないかと。いかがでしょう。

○国務大臣(林幹雄君) 地元自治体の同意は、法令上は原発再稼働の要件ではございません。ただし、原発再稼働に当たっては、地元の理解を得られるよう丁寧に取り組んでおります。
 なお、理解を得る範囲や方法については、各地の事情が様々でありまして、国が法令等により一方的あるいは一律に決めるものではなくて、各地とよく相談して対応することとしているところでございます。例えば高浜原発につきましては、舞鶴市や綾部市など周辺自治体における住民説明会にも関係省庁の担当者が赴きまして、国の方針や対応について説明をしております。また、各地の事情や要望にきめ細かく対応をしまして、丁寧な理解活動を行ってきたところでございます。
 今後とも、立地自治体など関係者とよくコミュニケーションを取りつつ、適切に対応してまいりたいと存じます。

○倉林明子君 そういうことをされてもなお物が言えないままだということで法制化の要望が上がってきているということは、大臣も御承知のとおりじゃないかと思います。それなのに深刻なリスクだけを押し付けているというのが実態じゃないかと思います。私、再稼働を拒否できるという権利があって当然じゃないかというふうに思うわけです。
 川内、高浜、再稼働される中で、高浜で起こった相次ぐトラブルと。大臣は所信でおっしゃいました。国民の原子力に対する懸念に真摯に応え、その信頼を高めていくというわけです。原発に対する国民の不信と不安、こうしたトラブルが起こっているという事実そのものが不信と不安を逆に広げているんじゃないでしょうか。いかがですか。

○国務大臣(林幹雄君) 例えば高浜原発四号機で相次いだトラブルでありますけれども、これに関しましては、所管する大臣として大変残念に思っているところでございます。このようなトラブルを起こさないよう、関西電力においては細心の注意を払って慎重に取り組んでいくことは当然だと思います。今後とも、関西電力が安全を最優先に取り組むよう指導してまいりたいと思います。
 また、相次いだトラブルによって国民の間に不安の声が高まっているというのは感じているところでございまして、地元や国民の皆様の信頼を得られるよう、安全対策や避難計画などの防災対策、再稼働の重要性などについて丁寧に粘り強く説明してまいりたいと存じます。

○倉林明子君 不安が広がっているという、感じているという答弁があったので、本当にそこは深刻に受け止める必要があると思います。
 そこで、かつて、過去の問題も確認しておきたいと思うんですけれども、高浜三、四号機で法令上報告義務のあるトラブルというのは、一体それぞれ何件起こっているでしょうか。

○政府参考人(大村哲臣君) 高浜発電所のトラブルの発生件数についての御質問でございますが、これまでに高浜発電所で発生した原子炉等規制法に基づく法令報告事象は、三号機で十一件、四号機においては、先般二月二十九日に発生したトラブルも含めまして十二件でございます。

○倉林明子君 合計二十三件ということになります。
 法令上報告義務のあるものということに限定しましたが、義務のないトラブルということになりますと更に多くなるんじゃないかというふうに思います。そこで、一九八四年以降、三、四号機だけを振り返ってみても、死亡事故が一件、原子炉の自動停止三件、そして手動停止一件と重大トラブルも起こしています。
 さらに、事故後初めて毒性が高いということで心配もされていますMOX燃料の使用、これに対する不安というのも今回あるんですよね。そこで、高浜三、四号機がMOX燃料の使用が可能な施設だと、これ認可したのはいつだったか、そして三、四号機、MOX燃料を使用した実績はどうか、確認させてください。

○政府参考人(山田知穂君) 高浜発電所三号機、四号機におきましてのMOX燃料の使用を認める設置変更許可でございますけれども、いずれも平成十年十二月十六日に許可をしてございます。
 それから、MOX燃料の使用の実績でございますけれども、高浜発電所三号機におけるMOX燃料体の使用実績については、前回の施設定期検査において八体が装荷をされてございまして、さらに今回の施設定期検査において十六体が装荷されてございますので、計二十四体の使用ということで確認をしてございます。
 それから、高浜四号機におけるMOX燃料体の使用実績については、今回の施設定期検査においてMOX燃料体四体が炉内に装荷をされ、平成二十八年二月二十六日に原子炉が起動し、この四体が使用されているという状況にございます。

○倉林明子君 確認ですけれども、四号機については、認可された後、今回の装荷が初めてということでよろしいでしょうか。

○政府参考人(山田知穂君) 御指摘をいただきましたとおり、高浜発電所四号機におけるMOX燃料体の使用につきましては、設置変更の許可以降、今回が初めてということでございます。

○倉林明子君 三号機、四号機、いずれも同じ時期にMOX燃料の使用の許可が出ていると、使用してもよいという許可が出されている。三号機については使用実績があるけれども、四号機はその後十八年使っていないと。それは何でだったのか、つかんでいますか。確認です、分からなければそれで結構です。

○政府参考人(山田知穂君) 申し訳ございません、確認はしてございません。

○倉林明子君 確認の上、御報告を願いたいと思います。

○委員長(小見山幸治君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。

○倉林明子君 関西電力は、かつてMOX燃料のデータ改ざん事件ということを起こしております。直接四号機の使用がなかった件とリンクするかどうかは確認をさせていただきたいと思います。
 施設認可から十八年、これ、一度も四号機においては使用していなかったのがMOX燃料だと、四号機について言えばそうだと。それを、三号機についてはこれまでも使っていて、今回も装荷して使った、しかし四号機については、長期間にわたって使っていなかったものを初めて使うことになったと。こっそり使ったのと違うのかというふうに思わざるを得ないわけですよ。何で十分な説明もないまま四号機について初めての装荷となったのか。私は、こういうことをやるから一層国民の信用や信頼を失うことになるんじゃないかと思うわけです。
 そこで、高浜原発の四号機、三号機、今回使用停止ということで司法の処分が下されたわけです。しかし、この司法判断を正面から受け止めるということも含めて、国民の世論をしっかり受け止めるのであれば、三、四号機の再稼働は断念する、さらに、老朽原発である一、二号機、この再稼働はきっぱりやめるように、私、大臣から関西電力に要請すべきじゃないかと思います。いかがですか。

○国務大臣(林幹雄君) 今回の仮処分命令を受けまして、関西電力は三号機を停止することにしたというふうに承知しています。四号機は停止中でありまして、引き続き当事者である関西電力の今後の対応を注視したいと思っております。また、高浜原発一、二号機につきましては、現在、原子力規制委員会による審査が進んでいるところでございます。
 いずれにしろ、原子力の利用に当たっては、いかなる事情よりも安全性を最優先しなければなりません。政府としては、原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるという方針に変わりはございません。

○倉林明子君 その安全だという説明が国民の信頼を勝ち得るに至っていない、それは本当に事実だと思います。原発ゼロの決断をやっぱり直ちに行う、再エネ中心のエネルギー政策への転換、もうかじを切るときだというふうに思います。速やかな原発の再稼働を断念することを強く求めて、質問を終わります。