国会レポート

原発事故 賠償「打ち切り」撤回を 倉林議員「地元で批判の声」(行政監視委員会)

2015年6月8日

 日本共産党の倉林明子議員は6月8日の参院行政監視委員会で、東京電力福島第1原発事故の損害賠償問題について質問し、営業損害賠償を打ち切る方針の撤回を求めました。
 昨年末、原発事故による営業損害賠償を来年2月に打ち切る素案が突然提案され、被災地に怒りが広がりました。その後、打ち切り案は見直すとして賠償の継続が確認されました。
 倉林議員は、打ち切り方針の見直しの際に参考にするとした与党の提言について、精神的損害賠償も営業損害賠償も1年打ち切りの時期を延期しただけだと指摘。地元から「先が見えないなかで期限を切っての賠償金とはあまりにひどい」「戻ってもいないうちに期限を決める事は間違いない」など、批判の声が上がっていることを示し、事業者の被害の実態を個別につかむことに全力をあげるよう求めました。
 岩井茂樹復興大臣政務官は「与党提言は賠償の打ち切りを示したものでなはい」と強弁。倉林議員は「国と東電には完全賠償の責任がある。それを果たすべきだ」と指摘しました。

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第189回国会 行政監視委員会 第2号 2015年6月8日(月曜日)

行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査
(行政評価等プログラムに関する件)
(行政評価・監視活動実績の概要に関する件)
(行政の活動状況に関する件)

〇委員長(松村祥史君)
行政の活動状況に関する件について質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。

〇倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
私は今日、福島第一原発事故による営業損害賠償問題について質問いたします。
営業損害賠償につきましては、昨年末、来年二月の打切り素案が示されまして、福島全土に大きな怒りを広げることとなりました。打切り案については一旦見直すということで賠償の継続が今実施されているところです。そしてその後、与党の復興加速化本部から第五次提言が出されたということになりました。昨日、福島県の原子力損害対策協議会も開催されて、ここでの説明もあったというふうに伺っているわけです。
ところが、この第五次の提言の中身を見てみますと、営業損害賠償については一年先送りした期限を付けたものというふうになっているわけです。
そこで、復興大臣に確認したいと思います。
私、二月の決算委員会でもこの問題を取り上げまして、福島経済の復興再生に向けて本当に今打ち切るというようなことをやってはならないということで撤回を求めた経過がございました。このとき、復興大臣は、地元事業者の事業再開の状況、数字も紹介されまして、大変厳しい状況にあるという認識もお示しになったかと思います。あれから四か月ということで、事業再開が地元で進むような状況の変化というのは何か生まれているんでしょうか。

〇国務大臣(竹下亘君) まず、数字からお答えを申し上げますと、先般お話をしたとき、平成二十六年四月時点の調査では、福島の場合、地元で事業を再開した事業者は商工会会員の約五三%、そのうち地元に帰還して再開した事業者は約一五%でございました。それがその後、二十七年三月時点の調査結果では、事業を再開した事業者数は商工会会員の約五六%、地元に帰還して再開した事業者は約二〇%。僅かに、帰っていただける、あるいは事業を再開していただく人は増えておりますけれども、引き続き厳しい状況にあると認識しております。

〇倉林明子君 確かに、数字も示されましたけれども、依然厳しいという状況にあることについては認識も示されたかと思います。
そこで、復興大臣は二月の質疑の中で、これまでも営業損害などについてかなりな支援がなされている、今のところ帰れない地域については、その土地あるいは不動産についてもかなりな助成がされていると承知していると答弁もされていました。
復興大臣に確認します。賠償や助成、もう十分されているという認識ですか。

〇国務大臣(竹下亘君) 十分かどうかというのは、認識をする、考える人によって相当違うと思います。一つは、我々がやっております復興に関して言いますと、例えば中小企業のグループ補助金については、単なる復旧だけではなくて新事業にも手が出せるように内容を改めておりますし、あるいは避難先で事業を再開していて、これをまた元の住所に戻ってくるともう一回申請できるというふうに相当柔軟な形に転換をさせていただいておりまして、我々としてはやるべきことはしっかりやろうという思いで、事業を再開されている方々は、ほとんどがこのグループ補助金を使いながら事業を再開をされているというふうに認識をいたしております。
ただ、賠償とかそういう分野になりますと我々だけで決められる話ではない。例えば文科省あるいは経産省と東電も含めて今検討されておる状況でございまして、我々としては、被災者に寄り添うという観点を十分重要視しつつ、公平かつ適切な賠償が行われるよう各関係省庁とも連携をしてやっていきたいというふうに考えております。

〇倉林明子君 復興大臣、様々な人の認識じゃなくて、復興大臣としてかなりな賠償や助成がされているという認識をお示しになったことが私は問題だと思ったんですね。十分行われているという印象を地元の方々は受けられて、大変怒りの声を私にも寄せられたということを紹介しておきたいと思うんです。事業の再建にとって賠償、助成が大きな課題になっているときに復興大臣の認識としても問われているということですので、この点は指摘をしておきます。
そこで、二月の決算委員会で岩井政務官ともやり取りをさせていただきました。このとき、打切りの見直しについては言及をされませんでしたけれども、関係者の皆様の意見を丁寧に伺いながら、国としても東京電力とともに検討をしっかり行うことが重要だというふうにお答えになりました。
この間、損害賠償の対象となる関係者の意見というのを聞く努力をされてきたというふうに思うわけですけれども、聞き取りを行った人数はどうか、業種、また被害の状況を聞き取るなどの公聴会などは開催されたのかどうか、御説明をお願いします。

〇大臣政務官(岩井茂樹君) お答えをいたします。
二月以降、資源エネルギー庁及び東京電力の社員が地元に赴きまして、福島県内の数にして八十七の個別事業者から事業の状況や今後の見通し、また賠償の素案への御意見等を伺ってまいりました。これは二十六の商工関係団体にまたがるものでありまして、業種といたしましてはサービス業、製造業、卸・小売業、観光業等が含まれております。
なお、個別事業者の生の声を今回深くお伺いしたい、お聞きしたいという趣旨もございましたので、公聴会ではなくて直接伺ってお話を伺ったということであります。
情報の公開という意味では、プレス公開の場として、例えば昨日、六月の七日開催をされました福島県原子力損害対策協議会におきまして、同協議会の構成員からの意見提出、発言をいただいているところであります。

〇倉林明子君 八十七という数字は、母体となる被害対象者、被害事業者の数からいうと本当に僅かな人数になっているというふうに思うんですね。
総理は、本会議で損害賠償について、政府としては、与党の御意見も参考にしながら、東京電力に対し、被害者に寄り添った迅速、公平かつ適切な賠償を行うよう指導するというふうに答弁されておりました。参考にするとしたこの与党の提言の中身が、打切りの期限を明記したものになっているというところに怒りの声がやっぱり広がっているんですね。
昨日の福島県原子力損害対策協議会のことが紹介されました。そこで寄せられている意見というのを私も手にしておりまして、紹介したいと思うんですね。
中小企業団体中央会の営業損害に対する意見です。営業損害、風評損害の賠償を平成二十九年三月で終わらせないでほしいと明記しております。
福島県の旅館ホテル生活衛
生同業組合、これは、浜、中、会津で随分状況は違います。こういうところでも、二年分一括支払については、今後原発処理作業等の事故による風評再発等も懸念されることもあり、一括払いは安易に受け入れることはできないという声であります。
病院のところも深刻な状況になっているし、再建に向けてかけがえのないインフラということになるんだけれども、これを支えている福島県の医師会は、損害に対してはもちろん、今後何十年と与え続けるであろう損害に対しても完全に賠償することを求めるとはっきりされております。
こうした声、結局先が見えない、見通せないと、事故の収束されるどころか汚染水トラブルは続くという下で、期限を切っての賠償金とは余りにひどいと地元の商工会からも驚きと怒りの声、私のところに届いております。
この声をどう受け止めるのかということを岩井政務官に聞きたいと思います。

〇大臣政務官(岩井茂樹君) 期限を切ってのというお話でありましたけれども、この度、与党第五次提言が示されました。与党第五次提言では、精神的損害賠償、そして営業損害賠償について打切りの時期を決して示したわけではございません。与党第五次提言におきましては、復興加速の環境整備、そして長期避難の弊害解消等を図るために、避難指示解除準備区域及び居住制限区域については遅くとも事故から六年後までに避難指示解除するように取り組むとされているところでありますが、その上で、精神的損害賠償については、早期に避難指示を解除した場合においても、解除の時期にかかわらず、事故から六年後に解除する場合と同等の賠償を行うよう国が適切に指導すべき旨提言があったと理解をしております。
したがいまして、与党第五次提言は、事故から六年後に避難指示が解除されていない場合のことを提言しているものではないと理解をしております。
また、営業損害や風評被害への賠償につきましては、与党第五次提言において、特に集中的な自立支援施策の展開を行う二年間において、東京電力が、営業損害、風評被害への賠償について適切な対応や国の支援展開に対する協力を行うよう、また、その後は、個別の事情を踏まえて適切に対応するよう、国がしかるべく指導をすることとされておりまして、賠償の打切りを提言しているものではないと認識をしております。
営業損害や風評被害への賠償の内容については、関係者からいただいた御意見、また与党第五次提言を踏まえまして、今後も内容を更に検討していきたいと思っております。

〇倉林明子君 この五次提言を見て出されている要望の中で、これ打ち切られている案になっているという受け止めがされて要望が出ているということを私はしっかり踏まえるべきだというふうに思います。
改めて自立支援ということでいろんなメニューも出されるということなんだけれども、自立支援策を提示するということを取り組むと同時に、私、大事なのは、全ての被害事業者の被害の実態、これを個別にしっかりつかむということにまず全力を挙げるべきじゃないかというのが一つ。同時に、今も地元でも大きな話題になって、要は賠償が終わるんじゃないか、終期が提示されたのではないかという受け止めなんですよ。
この賠償の終期を定めたのは原賠審の中間指針の第二次追補だということで議論もさせていただきました。個別具体的な事情に応じて合理的に判断するということ、基本的には被害者が従来と同じ又は同等の営業活動を営むことが可能となった日が合理的であると、こう明記されていることについて、今の時点で打切り時期と受け取られるような案になっているということについて、やっぱり合理性がないと思うんですけれども、どう説明されますか。

〇大臣政務官(岩井茂樹君) 中間指針の中身なんですけれども、中間指針におきましては、委員御指摘のとおり、営業損害の終期は、基本的に対象者が従来と同じ又は同等の営業活動を営むことが可能となった日とすることが合理的であると、これ確かにそうされております。ただ一方で、一般的には事業拠点の移転や転業等の可能性があることから、賠償対象となるべき期間には一定の限度があるということも書かれております。また、同追補におきましては、終期の判断に当たっては、公共用地収用の取得に伴う損失補償基準等を参考にすることも示されております。
こうした点を踏まえまして、東京電力といたしましては、商工業の公共用地収用の取得に伴う損失補償基準の二年間分の二倍、この二倍というのは、今回の事故が突然そして広範囲に発生したということを鑑みまして二倍とさせていただいているんですけれども、その二倍となる逸失利益四年間分を賠償するものとして、本年二月末を一旦の区切りとして二十四年七月に一括して賠償を行っていたところであります。
今回は、与党の第五次提言におきまして、特に集中的な自立支援施策の展開を行う二年間において、東京電力が、営業損害、風評被害への賠償について適切な対応や国の支援展開に対する協力を行うよう、また、その後は、個別の事情を踏まえて適切に対応するよう、国がしかるべく指導することとされております。
これは、賠償の打切りを提言しているものではなくて、自立支援施策及びそれに併せた賠償も御活用いただくことによりまして、事業者の方々の事業の再建、そしてなりわいの確保、生活の再建を図っていくものだと理解をしております。

〇倉林明子君 一定の限度というのは加害者である東電や政府が決められるものじゃない、被害の実態が続く限りそれは完全賠償の責任がある、指摘して、終わります。