国会レポート

産業競争力強化法成立 国民生活の向上と逆行(本会議 反対討論)

2013年12月4日

 規制緩和や優遇税制などを通じて”世界で一番企業が活躍しやすい国”に日本をつくり変える「産業競争力強化法案」が12月4日、参院本会議で採択され、賛成多数で可決、成立しました。日本共産党は反対しました。

 反対討論に立った日本共産党の倉林明子議員は、法案が継承する産業活力再生法のもと、電機産業をはじめとした大企業の工場閉鎖や事業縮小が進められたと指摘。政府による大企業支援の結果、雇用が奪われ、国内産業が空洞化し、都市部と地方の格差が一層ひろがったと強調しました。
 倉林議員は、産活法とあわせて行われた労働者派遣法改悪によって、非正規雇用が拡大し、製造業の現場で非正規労働者を雇用の調整弁として使い、切り捨ててきたことが日本のものづくりの底辺まで奪っていると述べ、大企業支援の本法案は「国民の雇用も安全も犠牲にし、日本経済の再生や国民生活の向上と逆行するのもだ」と批判しました。

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第185回国会 本会議 2013年12月4日
産業競争力強化法案(内閣提出、衆議院送付)

〇議長(山崎正昭君) 日程第一〇 産業競争力強化法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長大久保勉君。

〇大久保勉君 ただいま議題となりました法律案につきまして、審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、我が国経済を再興するためには、経済社会情勢の変化に対応して、産業競争力を強化することが重要であることに鑑み、産業競争力の強化に関する実行計画等を定めることにより、産業競争力の強化に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための態勢を整備するとともに、規制の特例措置の整備及びこれを通じた規制改革を推進し、併せて、産業活動における新陳代謝の活性化を促進するための措置、中小企業の活力の再生を円滑化するための措置等を講じようとするものであります。
なお、衆議院におきまして、政府は、実行計画に定める重点施策の進捗及び効果に関する評価を行ったときは、重点施策の進捗及び実施の状況並びに評価に関して、その結果を公表するとともに、各年度ごとに報告書を作成し、これを国会に提出しなければならないことを内容とする修正が行われております。
委員会におきましては、参考人からの意見を聴取するとともに、日本再興戦略と本法律案の関係、企業実証特例制度及びグレーゾーン解消制度の実効性、事業再編を進める上で雇用安定に十分な配慮を行う必要性、ベンチャー投資促進のための具体的方策、中小企業の創業・事業再生支援の在り方、産活法の実績と評価等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、本法律案に対し、みんなの党を代表して行田委員より、国は、規制の見直しを行うに当たっては、産業競争力の強化を阻害することのないよう配慮すること、社外取締役の選任を義務付けることについて検討を加え、必要な法制上の措置を講ずること等を内容とする修正案が提出されました。
次いで、討論に入りましたところ、みんなの党を代表して行田委員、日本共産党を代表して倉林理事よりそれぞれ反対する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)

〇議長(山崎正昭君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。倉林明子君。
〔倉林明子君登壇、拍手〕

〇倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、産業競争力強化法案に対し、反対討論を行います。
討論に先立ち、与党の乱暴極まりない議会運営に対し、厳しく抗議するものです。基本的人権と表現の自由を侵害する希代の悪法、秘密保護法案に反対し、廃案を求める声は、審議が進むにつれて広がり、強まっております。与党は、何が何でも今国会で成立させると強権的な委員会運営に終始し、本会議の開催時刻まで遅らせるということを行いました。こんな横暴な運営は絶対に許されるものではありません。
産業競争力強化法案は、日本再興戦略を具体化し、世界で一番企業が活躍しやすい国に日本を変えるとして、日本経済の三つのゆがみ、過剰規制、過小投資、過当競争を根本から是正するための中核となるものだとしています。この二十年間に及ぶ規制改革により、大企業に巨額の内部留保をため込ませる一方、国民には貧困と格差を広げ、雇用の質の悪化や地域経済の疲弊をもたらしてきました。
日本再興戦略では、行き過ぎた雇用維持から失業なき労働移動に転換するとし、本法案でも、雇用も特例制度の例外ではないとされております。これまでの事業再編でも、結果として雇用を確保してきたと強弁されましたが、実態はどうだったでしょうか。
産業活力再生特別措置法の下で、電機産業を始めとした大手企業の工場閉鎖や事業縮小が事業再編として進められてきました。加えて、政府が大企業の海外進出を支援してきた結果、雇用が奪われ、国内産業が空洞化し、都市部と地方の格差が一層広がっています。
産活法と併せて労働者派遣法の改正が行われました。その後、製造業の派遣が原則自由化された下で、非正規の労働者が増え、今では一千九百万人と過去最高となり、全労働者に占める割合は三六%にも上っております。今でさえ雇用は維持されておりません。製造業の現場では、非正規の労働者を雇用の調整弁として使い、最後は物のように切り捨ててきたことが日本の物づくりの底力まで奪ってしまっているのではないでしょうか。
大企業の競争力を強化するとして提案されている本法案は、国民の利益と一致しないばかりか、国民の雇用も安全も犠牲にし、日本経済の再生や国民生活の向上と逆行することは明らかです。
以下、反対の理由を述べます。
第一の理由は、大企業のリストラを支援してきた産活法を継承するものだからです。
産活法は、大企業のリストラ、人減らしに対し政府がお墨付きを与え、税金を使って支援する役割を果たしてきました。電機産業の大リストラは、昨年夏、十三万人規模と言われていたものに、更に新たなリストラ計画が加わり、その規模は十八万人と拡大しています。政府が九五%を出資している産業革新機構がその推進役を果たしているのですから、もってのほかです。
第二に、新たに企業実証特例制度やグレーゾーン解消制度を導入し、規制緩和の突破口を開き、全国に広げる仕組みとなっていることです。
特例の対象は全ての分野が対象となるもので、その代替措置が十分かどうか、事業官庁と規制官庁の協議、調整の最終判断は内閣総理大臣に委ねられることとなります。
安倍総理は、十月に、規制改革こそ成長力を起爆させる突破口と発言し、もはや岩盤のように固まった規制を打ち破るには強力なドリルと強い刃が必要であり、自分がそのドリルの刃になると述べておられます。規制緩和を進める権限を総理が握れば、その推進者となることは明らかです。
医療や労働、環境など様々な規制は、そもそも国民の生命や安全を守るためにつくられてきた大切な規制です。国民も国会も関与できない仕組みをつく
り、企業ビジネスに障害となるものは岩盤規制として打ち破る対象とするなど、到底容認できません。
第三に、本法案とセットで用意されている法人税等の軽減措置が、大企業の内部留保を増やすだけで、下請や取引先の中小企業の収益向上や労働者の賃上げに結び付くものではないからです。
なお、国立大学法人がベンチャーファンドに出資や援助ができるという新たな規定が盛り込まれております。損失が出た場合、学生の授業料の値上げや大学の運営に支障を来す危険があり、実施すべきではありません。
今、日本が目指すべきは、多国籍企業のために世界で最も企業が活躍しやすい国をつくることではありません。大企業の内部留保を労働者の賃上げに回して内需を拡大すること、事業所の九九・七%、雇用の七割を支えるだけでなく、日本の物づくりの主役である全ての中小企業・小規模事業者を支援することが日本経済の真の再生につながるものであると指摘し、反対討論といたします。(拍手)

〇議長(山崎正昭君) これにて討論は終局いたしました。