倉林明子

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就労環境一層の悪化 外国人派遣労働拡大を批判(2024/6/4 法務委員会・厚生労働委員会連合審査会)

(議事録は後日更新いたします)

 日本共産党の倉林明子議員は4日の参院法務・厚生労働両委員会の連合審査会で、農業・漁業分野に派遣労働の仕組みを導入する入管法・技能実習法改定案について質問し、「派遣会社も参入可能になり、労働搾取の強化は許されない」と追及しました。

 現行法は「特定技能」の在留資格を得た外国人のみ派遣対象でしたが、改定案は技能実習に代わる「育成就労」にも拡大。倉林氏は改定案で派遣を認めれば「手数料が上乗せされ、賃金の低下、一層の就労環境の悪化を招く」と指摘し、派遣事業の実態をただしました。

 出入国在留管理庁の丸山秀治次長は、派遣を認めている特定技能取得機関は農業26、漁業1に上り、派遣されている特定技能外国人は1679人だと答弁。平均収入の統計はないと答えました。倉林氏は「まともに実態をつかんでおらず、派遣の拡大で就労環境の悪化につながりかねない。立法事実がどこにあるのか」と批判しました。

 倉林氏は、農業分野は外国人労働者の賃金が最も低く、すでに6月は長野でレタスの収穫、7月は北海道でバレイショの収穫などの派遣事業が行われていると指摘。「方言も地域も違う所を転々とさせれば『失踪者』を増やしかねない。気候変動で計画通りに働けない場合、賃金不払い、休業補償放棄のリスクがある」と批判しました。

 倉林氏は、派遣の対象拡大に対する法的歯止めについて追及。武見敬三厚生労働相は「要件により判断する」と述べるのみ。倉林氏は「省令で決められる内容であり、歯止めはない。これを突破口にしてはならない」と厳しく批判し、日本でともに生き、ともに働く人として尊厳が守られる制度への抜本的転換を求めました。


議事録を読む(未定稿)
(この会議録は未定稿です)

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 法案では、新たに季節性のある農業、漁業分野において派遣形態による育成就労の実施を認めると、いわゆる解禁となるわけです。現行法では特定技能の在留資格を得た外国人のみが対象だったものを、これまでの技能実習生にも拡大するということになるわけです。
 そもそも、技能実習生に対する派遣を認めてこなかったその理由は何でしょうか。

○国務大臣(武見敬三君) 現行の技能実習制度は、人材確保ではなくて、人材の育成を通じた国際技能移転を目的をしておりました。同一の事業主の下で一貫した実習を行うという観点を徹底し、労働者派遣について、雇用主と異なる事業主の指揮命令の下で実習を行うということになりますから、これは認めてこなかったわけであります。
 他方で、人材不足分野における人材確保を目的とする特定技能制度では、繁忙期の労働力の確保や複数産地間での労働力の融通といったニーズに対応するために、農業、漁業分野で労働者派遣を活用した外国人の受入れを認めてまいりました。
 この点、育成就労制度は、人手不足分野における人材確保が制度目的に加わることに加えて、特定技能制度との接続性を高めることとしていることにも鑑みまして、自然的要因による業務の繁閑期がある分野におきましても受入れが可能となるよう、これらの分野に限り一貫した人材育成を担保するための特別な枠組みを設けた上で労働者派遣の活用した受入れを認めると、こういうこととしたわけであります。

○倉林明子君 今のは拡大する理由ですよね。何でしてこなかったのかということに対する説明にはなっていないかなと思います。
 派遣手数料が、これ上乗せされるという先ほど指摘もありました。私、外国人労働者の賃金の低下に直結する一層の就労環境の悪化を招きかねないという重大な問題だというふうに思います。
 現在、派遣事業を行っている実態はどうか、確認させていただきたい。
 派遣元となっている事業者は何者あるか、そして実際に派遣されている特定技能資格者は何人か、就労外国人の平均的な収入はどれだけになっているか、御説明を。

○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
 特定技能制度におきましては直接雇用を原則としており、派遣形態による受入れを認める特定産業分野は農業及び漁業の二分野に限定しているところです。令和五年十二月末時点における派遣形態での雇用が認められている特定技能所属機関数でございますが、暫定的な数値でございますが、農業分野で二十六機関、漁業分野で一機関でございます。
 また、令和五年十二月末時点で派遣形態により受け入れられている特定技能の外国人の人数でございますが、暫定的な集計でございますが、農業分野が一千六百七十三人、漁業分野が六人の、合計一千六百七十九人となってございます。
 なお、派遣形態により受け入れられている特定技能外国人の平均的な収入につきましては、統計を取っていないことからお答えすることが困難でございます。

○倉林明子君 統計もないということで、重大な問題だと思っているのは、就労環境の悪化につながりかねないと、更に収入が減るんじゃないかという懸念が非常にあるんですね。そういう意味でいうと、これ、まともに実態つかんでの提案かと、立法事実どこにあるんだということじゃないかということを指摘したい。
 そこで、一方で、外国人労働者の賃金が最も低いのが農業なんですね。特定技能の派遣事業では、既に県をまたいだ派遣が始まっております。六月からは長野でレタスの収穫、七月には北海道でバレイショなど、季節ごとに計画に基づいて派遣するというふうにされているわけです。これ、育成就労では、これまでの特定技能とは違って育成就労ということから導入することになれば、来日したばかりの外国人が派遣されるという枠組みになるわけですね。
 日本語能力が不十分な外国人、こういう方々を、方言も違う、地域も違う、こういうところを転々とさせるということは、失踪者、今大問題になっているこの失踪者を増やす要因になりかねないと思いますけれども、いかがですか。

○国務大臣(武見敬三君) この育成就労においても、こうした外国人の労働者の方々にやはり日本語という言葉をきちんと理解していただくよう学習していただくことは極めて重要であります。
 こうした育成就労制度の中で、就労開始前に一定の日本語能力の試験の合格であるとか、相当する講習の受講を義務付けるというふうにしておりますし、認定の日本語教育機関の活用した、この日本語教育機関を活用した日本語教育の質の向上、それから母国での日本語学習支援の取組などの方策を講じております。
 加えて、派遣元や派遣先の職員などが就労や生活に必要な方言を教えるということ、それから地域の交流行事への案内なども含めた就労、生活面でのサポートを行うことや、各地域の地域協議会などにおいても労働者派遣形態で育成就労を行う外国人を想定した育成就労の適正な実施や保護に資する取組について協議を行うことにしておりますので、御懸念のような課題についても、こうした枠組みを通じて解決するよう努力してみたいと思います。
 そうしたことを推進して、労働者派遣形態で受け入れられた育成外国人、育成労働の外国人が安心して地域で就労できるようにしていきたいと思います。

○倉林明子君 二か月とかそこらで転々とさせて、方言までどうやって理解できます。コミュニケーション取れないというようなことがやっぱり失踪につながりかねないという指摘には、正面から答えていないですよ。今でも失踪者九千人と、農業分野一割占めております。
 繁忙期を効率的に回すという働かせ方なんですけれども、これ育成就労と言えるのかと。農家は、農閑期があるから農繁期の無理も利くんですよ。農繁期を使い回すと、こういう働かせ方には、私は無理があると指摘したい。
 その上で、自然相手の農業です。豊作もあれば不作もあります。まして、今、気候変動の影響でどんなことが起こっているかというと、収穫期がずれるんですよ。前倒しになったり、収穫量が偏ると、いっときにたくさんできると、そういうこともあります。収益にも大きな影響が生じる状況がこれまで以上に拡大しているんですね。
 計画立てるとおっしゃいます、しかし計画どおりに働けない場合、賃金の不払、休業補償の放棄、こんなことも想定されるわけですね。実際に起こっていますから。そういう場合、こうしたリスクですね、起こり得るリスクについての検証、行ったんでしょうか。

○国務大臣(武見敬三君) 御指摘のようなことが起きてはなりません。したがって、この賃金や休業手当の支払については、使用者である派遣元事業主が労働基準法に基づいて適切に行う義務がまずありますが、それに加えて、今回の育成就労制度においては、派遣元及び派遣先が共同の育成就労実施者となります。いずれも計画に沿った育成就労を行わせる義務があることに鑑みまして、賃金については就労先ごとの賃金を育成就労計画におきましてあらかじめ定めておくこと、それから休業手当については派遣元、派遣先のいずれの責任に帰すべき事由による休業の場合にも、派遣元、派遣先が一体となって支払われるよう、育成就労計画の認定時にこれを確認することということになっております。こうしたことを通じて担保することによって、御指摘のような賃金不払や休業補償の放棄が起こるということがないように制度設計をしております。
 こうした仕組みの履行確保のために、監理支援機関や外国人育成就労機構などが必要な指導等を行うこととしておりまして、労働者派遣を活用することによって、育成就労外国人の保護に欠けることがないように適切に対応いたします。

○倉林明子君 リスクあるんですよ。農業、自然相手で、大きな変化も起こっているからです。
 農業収益が上がらなかったら、その派遣元に支払うものがなくなるわけですよ。大きな影響が出るに決まっているじゃないですか。絵に描いたみたいなことを言ったってうまくいきません。厳しく指摘しておきたい。
 そもそも、この計画に対しては、育成就労で働く外国人、本人の希望が反映されるような仕組みはないですよ。法案では、現在の派遣会社もこれ参入可能になっていくわけです。派遣事業は、そもそも労働力の需給調整がこれ目的なんですよ。季節性の分野だとしても、派遣形態の就労など解禁すべきじゃない、認めるべきじゃないと申し上げたい。そして、今後、省令などによってなし崩し的に対象を拡大するなど、やってはならない、やるべきではないと思います。
 対象拡大に対する法的な歯止め、ありますか。

○国務大臣(武見敬三君) 本改正法におきましてこの労働者派遣を認める分野は、育成就労産業分野のうちで、この就労を通じて技能を修得させるに当たり季節的業務に従事させることを必要とする分野、そして、この当該技能を労働者派遣等による就労を通じて修得させることができると認められるものとして主務省令で定めた分野と規定しています。ここで言う季節的業務に従事させることを要する分野とは、単に季節によって業務に繁閑が生じるというだけではございませんで、春夏秋冬などの自然的要因によって業務に繁閑が生じる分野に限られていると考えております。
 また、育成就労制度における受入れ対象分野は特定技能制度における特定産業分野に限ることとしているところ、現行の特定産業分野のうち、特定技能制度における労働者派遣を認めているのは農業及び漁業分野のみであります。
 このような要件などに該当をして育成就労制度において労働者派遣形態での育成就労が認められる分野としては、現行の技能実習制度の移行対象職種に対応するものの中では農業及び漁業という分野のみが当てはまると考えております。

○倉林明子君 それは要件なんですよ。私、要件の説明を求めているんじゃなくて、これ対象拡大すべきじゃないということと、それを歯止め掛ける規定はあるんですかと、法的に。あるならある、ないならない、はっきり答えてください。

○国務大臣(武見敬三君) したがって、今申し上げたように、この要件に当てはまるか否かによって判断がされていて、現在においてはその要件を満たしているものは農業と漁業だと、こう言っているわけであります。

○倉林明子君 省令で決められるような中身になっているので、これ突破口にしてはならないとくぎを刺しておきたいと思います。
 現実には労働者以外の何者でもないこの外国人実習生を、労働搾取目的の人身売買と批判されるような実態を放置してきたのが政府ですよ。その責任が極めて厳しく問われているということです。
 これ、育成就労、仕組みは同じだという指摘ありましたけれども、看板の掛け替えにとどまらず、さらに、こういう派遣形態を認めると、法的に認めると、こういう搾取強化するような仕組みを拡大するというようなことは認められない、許されないと思います。いかがですか。

○国務大臣(武見敬三君) 本法案におきましては、労働者派遣形態で育成就労を行わせるものは、労働者派遣事業の許可を受けた派遣元事業主とその生産先に限定をしております。育成就労法の規制はもとより、労働者派遣法の各種規制に服することになります。
 したがいまして、さらに、この労働者派遣形態での育成就労では、業務の繁閑なども踏まえた派遣先をあらかじめ特定をし、季節ごとの就労先や業務内容を含む三年間の計画を派遣元と派遣先が共同で作成し、認定を受けた上で当該計画に従って育成就労を行わなければならないこととしておりまして、無制限に就労先を変更するということは認めておりません。
 加えて、計画の認定基準においても、育成就労外国人の報酬が日本人が従事する場合の額と同等以上であることを要件とするほか、派遣形態の場合は、通常の基準に加えて、派遣元と派遣先での適正な責任分担を担保するための上乗せ基準を課すこととしております。
 こうした仕組みによりまして、労働者派遣形態による受入れにおいても、外国人の適正な受入れを担保することができると考えます。

○倉林明子君 いや、人身売買のようだと批判されてきたんですよ。本当に、これから働いてもらう人として受け入れていこうというのに、こういう搾取の新たな仕組みということ、拡大は本当に駄目だと。
 日本で共に生き、共に働く人として、尊厳が守られる制度、抜本的な転換が求められると指摘して、終わります。