倉林明子

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失業給付を改善せよ(2024/5/9 厚生労働委員会)

 改定雇用保険法が10日の参院本会議で、自民、公明などの賛成多数で可決、成立しました。日本共産党とれいわは反対しました。

 日本共産党の倉林明子議員は9日の参院厚生労働委員会で、雇用保険制度を抜本的に見直すよう求めました。

 日本の失業手当の給付率は2割台を推移し、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国中31番目です。倉林氏は給付率が低い要因の一つに、受給資格の厳格化があると指摘。被保険者期間の要件を離職前2年間に12カ月以上から、同1年間に6カ月以上に見直すよう求めました。

 正当な理由がない自己都合退職の場合の給付制限が低賃金の再就職を増やしていると指摘。「非正規労働者の権利実現会議」の失業手当に関するアンケートでは雇用期間の満了という離職理由が最も多く、有期雇用労働者が自己都合退職扱いとなっている実態を紹介しました。

 さらに、現在の失業手当給付額と給付日数は低賃金、短時間労働者の失業補償としてあまりにも低い水準だと指摘。失業時の生活保障という役割を機能させるために、給付制限の廃止と、基本手当日額と所定給付日数の大幅な引き上げを求めました。

 倉林氏は、短時間の非正規雇用で働く女性はダブルワーク・トリプルワークで働く人が多く、女性の世帯収入に対する貢献度は3~4割に達しており、女性の失業は世帯の困窮に直結する問題だと指摘。コロナ禍で女性の非正規雇用の失業が顕在化し、女性不況と言われた教訓を踏まえ、失業給付のあり方もジェンダー平等の視点から見直すべきだと主張しました。


議事録を読む

○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 議論にも再々なっておりますけれども、まず私からも確認したいのは、完全失業者に対する失業手当の給付率、これ低いという指摘が相次ぎました。
 その要因ということで、もちろん失業給付の対象とならない働き方している人たちもいるということですけれども、主な要因ということではどう考えているのか。そもそも、答弁聞いていると、給付率引き上げるという意欲を感じられなかったんですよね。私は引き上げるべきだと思っているんだけれども、この点いかがでしょう。

○国務大臣(武見敬三君) この完全失業者に対する受給者実人員の割合でございますが、近年二〇%台前半で推移しておりますが、この要因としては、完全失業者のうち雇用保険の適用対象である役員を除く雇用者だった者の割合が減少していること、それから基本手当の給付制限の対象となり得る自発的な離職の割合が上昇していること、こういった雇用労働情勢の変化等の影響が考えられるところでございます。
 雇用保険の失業給付は、給付期間の長期化に伴う安定就職の阻害等を防止しつつ、求職活動を支える生活保障を図る視点や、社会保険制度としてこの給付と負担のバランス等も考慮して設計する必要があります。このため、労働者の生活の安定を図り、就職を促進するという制度の目的に照らして、その時々の社会情勢に対応した役割が果たされることが重要であり、受給者実人員割合の高低にのみ着目することは不適当であると考えます。
 その上で、今般の改正では、適用拡大により雇用保険の被保険者が増え、これまで失業給付を受けられなかった方々が受給可能となること、自ら雇用の安定や就職の促進に資する教育訓練を行った場合には給付制限を課さずに失業給付を支給すること、給付制限期間を二か月から一か月に短縮することといった見直しを行うことで、より基本手当を受給しやすくなると考えておりまして、法案が成立した暁には、これらの見直しの円滑な施行とその施行状況の適切な把握に努め、改正の影響をしっかりと検証をしてまいりたいと考えております。

○倉林明子君 上げるべきだということに対してはないんですよね。
 バランスが要るとか、主な要因としては自発離職ということで増えてきたんだという説明はそのとおりかと思います。
 ただ、OECD、単純比較はできないということは必ず言われるんだけれども、三十五か国中、日本は三十一番目で、上位のところを見ますと六割の給付率ということになっているんですね。これ、数を見れば、日本の離職者、失業者、八割がこれ生活保障、雇用保険の恩恵を受けられていないという実態なんですね。ここを私はやっぱり底上げしていくということが必要だということは指摘したい。
 その上で、なぜ日本の給付率は低いのかということで、一つ、やっぱり法改正によるものとして、受給資格の厳格化というのが挙げられると思うんです。現行では、原則、離職までの二年間に十二か月以上の加入期間があることが要件となっているわけですけれども、これ、こういうふうにしたということに伴って、受給資格を満たさないというような被保険者というのは一体どれだけ増えたんでしょうか。

○政府参考人(山田雅彦君) 御指摘の平成十九年の雇用保険法改正によって、平成十九年十月一日から失業給付の受給資格要件を見直し、原則として、離職日以前二年間に被保険者期間が通算して十二か月以上あることとしつつ、倒産、解雇等の理由による離職者については、離職日以前一年間に被保険者期間が通算して六か月以上であるということにしております。
 この受給資格要件の見直しによる直接的な影響についてのデータはございませんが、改正前後の被保険者数及び受給者実人員数についてお示しすると、平成十八年、この改正前の平成十八年の被保険者数が三千六百十四万人で、受給者実人員は五十八万人、改正したまさにその年、平成十九年の被保険者数は三千七百十三万人で、受給者実人員は五十七万人、改正後の平成二十年の被保険者数が三千七百八十二万人で、受給者実人員が六十一万人となっております。

○倉林明子君 あのね、今回も被保険者対象拡大ということが中心かと思うんですけれども、果たして、被保険者になる人は確実に増えると思うんだけれども、一方で、受給可能となる人数が本当に増えるのかと。大臣、検証も要るということをおっしゃったけれども、実態どうなっているかと。自発離職というところにこういう短時間労働者あるいは非正規で働いている人たちというのがかなり増えているんじゃないかということを懸念しているんです。結局、これ、非正規や有期雇用への拡大ということをやってきた、対象拡大やってきたんだけれども、保険料は取られるけれども給付は受けられないと、こういう労働者が私、増えているということ言えると思うんですね。
 さらに、いわゆる自発離職、正当な理由がない自己都合退職の場合というのは、現状、二か月間の給付制限が課せられるということになっておりまして、実質、離職から三か月間は無収入となるんですね。この間、働くと受給資格なくなりますから、働けないんですね。条件が悪くても再就職をせざるを得ないという状況になっているわけです。
 厳しい給付制限、これが今回は一か月ということで、実質二か月にはなるんだけれども、賃上げどころか、転職先が、再就職先が、賃上げどころか低賃金の再就職を逆に増やすようなことにもなっているんじゃないかと。認識いかがでしょう。

○政府参考人(山田雅彦君) 御指摘の失業給付の給付制限期間については、失業給付の受給を目的とした離職を助長しないようにとする趣旨から、自らの意思により離職する者に対して設けているものであります。
 今回の制度改正においては、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行えるようにする観点などから、現行の二か月の給付制限期間を一か月とするとともに、自ら雇用の安定や就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、給付制限をそもそも課さずに基本手当を支給することとしております。
 法案が成立した暁には、こうした見直しの施行状況をよく把握、検証するとともに、ハローワークにおける再就職支援により、本人の希望に沿った再就職が可能となるよう取り組んでまいりたいと思います。

○倉林明子君 これ、実際に、昨年四月から五月にかけて、非正規労働者の権利実現全国会議というのが、失業手当に関するウェブアンケート、決して数は多数じゃないんだけれども、離職理由で最も多かったのは雇用期間の満了なんですよ。続けたいと本人が思っていても続けられないということで自己都合退職扱いになっているという実態が浮き彫りになっていました。
 で、自由記入欄ですよ。そこで寄せられていた声なんですけど、六十代の女性ですが、いわゆる待機期間中に食いつなぐために働くことすらできないと、貯蓄が少ない者にとっては死亡宣告に等しいと、これがあるために、すぐに職に就ける派遣労働を長年選択せざるを得なかったと、自己都合退職の待機期間で人生が狂わされた人は多いと思うと、こういう声が寄せられているんですね。
 私、今やるべきは何かと。被保険者の失業時の生活保障をこれ機能させることなんですよ。そのために受給資格の要件の緩和というのは必要だと。一律に離職前一年間に六か月以上の被保険者期間があれば受給資格を認めるべきだし、あわせて、正当な理由のない自己都合退職であっても理由を問わずに給付制限をなくしていくと、こういう方向で初めて、貯金がなかったら低賃金の就職に結び付くというところの歯止めにもなっていくと思うんですけれども、いかがでしょう。

○国務大臣(武見敬三君) この雇用保険制度における失業給付は、保険原理に基づく制度として、一定期間以上保険料を納付することを求めています。失業給付の受給を目的とした安易な離職を防止する観点から、原則離職前二年間に被保険者期間が十二か月以上あることを要件としている一方で、倒産、解雇など非自発的に離職した者については離職日前一年間に被保険者期間が六か月以上であることを要件とするなど、要件、これ緩和をしております。
 雇用保険制度の運営に当たっては、早期再就職を促して安易な離職を防止するという観点と労働者が安心して再就職活動を行えるようにするという観点の双方が重要でありますから、今後とも、需給状況などを踏まえながら適切なこの制度運営に努めてまいりたいと考えております。

○倉林明子君 いや、さっきも言ったように、有期雇用が増えているんですよ。足下でも増えていますよ。自治体でもハローワークでも非正規ですよ。有期で働かざるを得ないという人たちが安易な離職なんてしていないんですよ。そういう実態広がっているのに、今度は、十時間未満だったら、じゃ、二十時間未満でも雇用保険に加入できると、これはいざいざのときの安心には確かになります。でも、失業時の生活保障にはならないと、なり得ないんじゃないかという指摘をしております。
 雇用保険を新たに払うことになったとしても、低賃金で働く労働者ほど、不安定な雇用に置かれている人ほど生活保障が受けられないというようなことがあってはならないということは申し上げておきたい。
 そこで、コロナ禍を経ての見直しになっていると思うわけですが、コロナ禍で非正規女性の失業が顕在化いたしました。女性不況とも言われて、解雇、労働時間の減少、雇用に大きな影響を受けた女性が四人に一人に上ったという調査結果もありました。単身女性、シングルマザー世帯へのこのコロナの影響というのは、女性に与えた影響というのはどのように認識されているでしょうか。

○国務大臣(武見敬三君) コロナ禍では、社会経済活動、停滞をいたしまして、事業主の方々の経営環境が厳しい状況となる中で、雇用者数は大きく減少いたしました。特に、女性の非正規雇用労働者数につきましては、二〇二〇年四月の緊急事態宣言発令の前後で比較をいたしますと、二〇二〇年三月の一千四百七十四万人から同年四月には一千四百三万人まで減少するなど、大きな影響があったものと承知をしております。この女性の非正規雇用労働者数につきましては、その後改善し、今年三月には一千四百五十八万人まで増加したところでございます。
 これは引き続き、ハローワークにおいて、非正規雇用労働者等に対する相談支援等を通じまして、この求職者の状況に応じたきめ細かい支援を行ってまいりたいと思います。

○倉林明子君 大きな影響があったことは事実だし、女性が非正規、不安定労働に置かれていることが反映したものだと思うんです。
 一方、JILPTとNHKが共同調査をコロナ禍初頭にやっておりまして、雇用に大きな影響があったシングルマザー、ここでは、食費を切り詰めた、貯蓄を取り崩した、これそれぞれ三割も出たんですね。消費者金融、カードローンの利用、公共料金の未払、こういった事態にまで追い詰められると。仕事を失うと困窮度が本当に高まるという実態も明らかになったんです。
 非正規、短時間で働く女性というのは、今、生計を支えるために一つでは食べれないんですよ。ダブル、トリプルで働いているという人が少なくないです。現在、六十五歳以上の労働者を対象に試験的にやっているマルチジョブホルダーですけれども、ダブル、トリプルで働く女性に対してこそ、しっかり適用拡大ということが、このコロナを経て速やかな検討が求められると思うけれども、いかがでしょう。

○国務大臣(武見敬三君) 令和四年一月から、六十五歳以上の労働者を対象として特例的に、本人申請方式によりまして、二つの事業所における労働時間を合算して雇用保険を適用する制度を施行しております。
 今般の雇用保険制度の見直しにつきましては、労働政策審議会でも御議論をいただいた際に、この特例措置の実施状況もお示しをし、御議論いただいたところであります。その結果、一つの雇用関係についてのみ適用する現行の方式を維持した上で、この特例措置の実施状況の把握を、把握と検証を行って、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用の在り方等について引き続き検討するとされたところでございます。
 この特例措置は施行後五年を目途にその効果等検証することとされておりまして、引き続き、この施行状況を注視するとともに、その効果検証の結果を踏まえながら必要な検討を進めていきたいと思います。

○倉林明子君 コロナで、働く女性が一旦こういう失業状態になると、子供も巻き込んで貧困に陥ると。こういう失業時の給付の方ですよね、生活保障の方をどう担保するのかということに対する、私は今回の見直し、回答が求められたというふうに思うんですよ。
 改めて、検討を重ねて求めておきたいと思いますが、同じ調査で注目すべきは何かというと、構造変化が起こっているということなんです、働く方の。女性の世帯収入に対する貢献度で、配偶者のある女性の労働収入というのが世帯の三割になっていると。正規女性の場合は四割を超える貢献度になっているんですね。非正規女性で二四%を占めるという実態も明らかになりました。
 女性の失業というのは、シングルや単身の女性だけじゃなくて、世帯、夫のある世帯でも困窮に陥る可能性って極めて大きくなっていると。だから、こうした世帯収入の構造変化に合わせた私は制度の抜本的な見直しというのが必要だと思うんですよ。いかがでしょう。

○国務大臣(武見敬三君) 今回、この雇用保険制度というのは、労働者の生活と雇用の安定を図り就職を促進するという役割を果たし得るように、社会雇用情勢に応じて制度の見直しを行うということが重要と考えているものであります。
 今回の制度改正におきましても、近年における働き方や生計維持の在り方の多様化の進展を踏まえて、雇用保険の適用範囲を拡大をし、現在の被保険者の約一割に相当するこれは約五百万人が新たに適用を受け得るという影響の大きな改正しているところでございます。制度改正後においても、施行後五年後を目途にいたしまして、改正後の状況を勘案し、必要があると認めたときには、検討の結果に基づき必要な措置を講ずる旨の検討規定を設けております。
 今後とも、労働政策審議会においてその時々の社会雇用情勢を踏まえた御議論をしていただき、必要な検討を行いたいと思います。

○倉林明子君 時々の社会状況を踏まえた検討というのは当然要ると思うんだけれども、ここ長年掛けて、明らかな世帯の収入構造の大きな構造変化が起こっていますよと、それがコロナで一層浮き彫りになってきたということを御紹介申し上げたんです。こういう構造変化に対応できるような抜本的な見直しが要るということを重ねて申し上げたい。
 今、コロナが終わっても食料配布事業やっているNPO法人等の取組がありますけれども、数が減っていないんですよ。食料を受け取りに来られる方がコロナのときと同様なんですよ。女性、この比率もすごく増えているという実態があるんですね。女性に対してやっぱり夫や親がセーフティーネットの役割を果たすと、これが前提になっているという制度設計がされてきたという経過があります。働き方も大きく変化している中で、失業給付の在り方、これもやっぱりジェンダー平等の視点から大きく見直しが求められると今日は指摘したい。指摘にとどめておきます。
 加えて、非正規公務員の雇用保険について質問したいと思います。
 一年ごとの会計年度任用職員の場合、フルタイムで働く人、パートの会計年度任用職員の場合に雇用保険の加入扱いはどうなっているのかということについて、先ほど石橋さんの質問に対する答弁がありました。
 そこで、いわゆる、今日、東京新聞の一面にも報道ありましたけれども、とりわけ地方自治体の会計年度任用職員の場合、わざわざ労働時間をパート、フルカウントから十五分削ったような労働時間で契約をし直して、退職金を支払わないという運用をしているのではないかという記事だったんですね。非常に不利益、差別があるということで、非正規公務員の方々からの訴えも多かった問題です。
 一方、フルタイムで働いてきた人たちはどうなのかということなんですけれども、非正規の公務員でずっと働いてきたという人が会計年度任用職員に切り替わって、やっぱりフルタイムで同じように働き続けてきたと。ところが、雇用保険は、会計年度任用職員になった時点で雇用保険は自動的に切れるんですよ。で、退職金は確かに出るんだけれども、三年後に雇い止めになったと。ところが、本来受け取れるはずだった失業手当は、もう三年期間空いていますから、権利を失ってから、失業給付は受け取れないと。退職金は受け取れるんだけれども、失業手当の満額から見ると半額ぐらいになっちゃったという事態もこれ生まれているんですよ。
 フルタイムの会計年度任用職員が雇用保険の加入継続というのは認められないと、公務員と同等だからと、これ理由なんだけれども、低賃金でこういう逆転するような現象、不利益な扱いになっているということから鑑みれば、雇用保険の加入継続ということ、フルタイムのところにも考えるべきじゃないか。どうでしょう。

○国務大臣(武見敬三君) 御指摘のフルタイムの会計年度任用職員につきましては、地方公共団体において条例などが定めるところにより退職手当が支給されることとなっていると、これはもう今御承知のとおりです。仮にその雇用保険を適用するとすれば、地方公共団体は退職手当と事業主として支払う保険料とを負担することとなりますが、いずれも税金を財源としておりまして、国民に対し二重の負担を課す結果となるために、これは適当ではないというふうに考えます。
 その上で、総務省から地方公共団体に示している退職手当条例の例では、退職手当の額が雇用保険を適用した場合に支給される失業給付の額に満たない場合、その職員が失業している間に限り差額分を支給することとされております。その差額の算定に当たって、退職手当条例の適用以前に一定のフルタイムの職員であった場合には、その職員であった期間についても考慮されることになります。
 このために、地方公共団体においてこの例に倣って条例を定めた場合には、要件に該当すれば差額の支給が可能になるものと承知しております。

○倉林明子君 ということで周知しているはずなんだけれども、条例はばらばらだし、扱いも自治体ごとに違うんです。
 で、そもそも、有期雇用で低賃金の非正規公務員の雇用の在り方そのものも私は問題だと言いたいんですね。フルタイムで働いていてもパートで働いていても、退職金があるかないか、そして雇用保険では格差があると、こういう大きな矛盾を国の制度改正で持ち込んじゃったんですよ。無期雇用に転換すると、まずは。賃金の引上げ、これこそ行うべきだということは強く指摘をしたいと思います。
 さらに、低賃金、短時間労働者の失業時の生活保障として見た場合、余りにも低い基本手当日額、これ大幅な引上げが必要だと思います。
 あわせて、腰を落ち着けて次の就職のための準備をする期間、つまり再就職をしっかり選べるための期間として、基本手当の所定給付日数を百八十日以上に引き上げる。要は、低賃金、短時間労働者、貯金ができないという女性の失業者というのが新たな加入者になるわけですよ。こういう人たちが給付が安心して受けられるということについてはこれ絶対必要だと思うんだけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(武見敬三君) 労働者が失業した際に支給される基本手当の給付率や所定給付日数につきましては、失業中の労働者の生活の安定と再就職の促進という雇用保険制度の目的を踏まえて設定をしております。
 今般の雇用保険制度の見直しを労働政策審議会において御議論いただいた際には、基本手当受給者の再就職状況等に大きな変化が見られないことなどから、基本手当の給付水準や給付日数については改正は行わない旨の結論を得たところであります。
 なお、求職活動が長期化する方々が再就職活動に向けて職業訓練を受講する場合には、基本手当の訓練延長給付、それから求職者支援制度の職業訓練受講給付金といった制度を活用していただくこともこれは可能となっております。

○倉林明子君 あのね、やっぱり賃上げにつながる再就職と、こういうことを阻害しかねないと私は思うんですね。国庫負担割合をやっぱり思い切って引き上げると、失業時の生活保障、こういう観点からの本来の役割を果たすという機能が要るんだということを強く求めて、終わります。


議事録を読む(反対討論)

○倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対の立場から討論します。
 反対する第一の理由は、本法案が三位一体の労働市場改革の中に位置付けられ、リスキリングの名の下に労働移動を促進するものになっているからです。
 本法案で新設される教育訓練休暇給付金は、無給の教育訓練休暇に対して失業給付から給付を行うものであり、事業主は負担なく一定の生活保障付きの教育訓練を受けさせることができるようになります。本来、産業構造の変化や経済的な環境の変化に合わせた教育訓練は、生活保障も含め、事業主の責任で行われるべきです。教育訓練休暇給付金は、事業主の責任を放棄することに国のお墨付きを与えることになりかねません。さらに、教育訓練の結果を低く評価することで処遇を引き下げ、労働者を自ら退職に追い込むといったリスキリングを通じたリストラを可能とするものです。三位一体の労働市場改革は、職務給の導入、リスキリング、労働移動の促進の三本柱を掲げ、これによって構造的な賃上げを図るとしていますが、その担保は全くありません。
 第二の理由は、育児休業給付の保険料率の本則を〇・四%から〇・五%に引き上げることです。
 本法案では、育児休業給付の国庫負担も本則に戻しますが、これまでの国庫負担引下げにより雇用保険財政を悪化させてきた責任を労働者や中小企業に負わせるものであり、到底認められません。
 第三の理由は、介護休業給付の国庫負担割合を八十分の一に据え置くことです。
 介護離職は今や社会問題になっており、今後も増加することが予想されます。介護休業制度の見直しと同時に財政的な支援を充実させるためにも、国庫負担は直ちに本則に引き上げるべきです。
 最後に、雇用保険制度の根底にある、女性に対しては夫や親がセーフティーネットの役割を果たすという前提をジェンダー平等の視点で抜本的に見直す必要があることを指摘して、反対討論といたします。