ライドシェア解禁中止せよ 運賃下落さらに運転手不足 (2024/4/8 厚生労働委員会)
(資料があります)
日本共産党の倉林明子議員は8日の参院行政監視委員会でライドシェア解禁の中止を求めました。
4月から「自家用車活用事業」が始まりましたが、タクシーが不足しているとして対象になっている京都市域の実働率は63%にすぎません。倉林氏は「不足しているのはタクシーの台数ではなく、運転手だ。2002年の規制緩和で賃金や労働条件が低下し、運転手不足を招いた」と指摘。ライドシェア全面解禁で運賃のさらなる下落を招き、人手不足がいっそう深刻化するおそれがあるとして、ライドシェア解禁はやめるよう求めました。
また、ライドシェアは、最も高い安全性が要求される個人タクシーを業界から撤退させかねないと指摘。インボイスの導入により、登録事業者にならないと配車アプリ事業者と契約できないなど、すでに配車アプリの枠外に置かれている実態を告発。安全な公共交通を支えてきた個人タクシーを業界から撤退させてはならないとして、ライドシェア解禁の中止を重ねて求めました。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
今日報道もありましたけれども、ライドシェアの部分解禁ということで四月から始まりました。対象となりました、京都市域も対象になっておりまして、不足車両台数が最大四百九十台というふうにされております。その根拠として示されているもの、資料として今日お付けしましたけれども、一枚目、タクシー不足の現況というものがあります。
これ、下、赤枠で囲ったところが京都市域のマッチング率の状況というものを調べたものなんですが、観光シーズンということが下になっておりまして、明らかにこのマッチング率が低いという傾向が見て取れるんですが、京都はこの観光シーズンでない場合とのマッチング率の差というの、すごく大きいんですよね。これ見ていただいたとおりかと思います。ところが、二枚目に入れておりますように、営業区域ごとの不足車両数ということでいいますと、これ、シーズン関係なしに数字は一本ということになっているわけですね。
改めて確認したいんですけれども、この不足車両、最大四百九十台とされた根拠は何でしょうか。
○政府参考人(舟本浩君) お答え申し上げます。
営業区域ごとの不足車両数につきましては、タクシー会社、タクシーの配車アプリ会社に御協力をいただき、その不足数を、そのデータを活用いたしまして、その不足車両数を算定してございます。
具体的には、曜日や時間ごとのタクシーの配車の申込数に対して実際にタクシーが配車された数の割合、これマッチング率と呼んでございますけれども、この数値を基礎として、当該営業区域のタクシーの稼働台数を勘案した上で、どの程度の追加車両があれば需要に対応できるかを算定したものでございます。
○倉林明子君 調べたら差があるんだけれど一本になっているという今説明になっていたのかということでは、ちょっと不十分な説明だったのではないかと思うんですよ。
現状で京都市域で見ますと、アプリ以外のマッチングというのが広くあるんですよね。流しで拾えるというマッチングもあれば、無線による配車もあるし、京都駅のタクシー乗り場など設置されている乗り場でのマッチングということもあるわけですね。
秋のシーズンを除いてタクシー不足の現状というのは、私、京都ほぼ毎週帰っていますけれども、ありません、はい。アプリだけのマッチング率で不足を見るというのは、私、無理があると思うんですよ。実態も正確に反映してないということが言えると思うんです。京都市域でのタクシー車両、これ登録台数五千五百七十四台となっております。そもそもタクシーの台数が不足しているんでしょうかと。
そこで数字で確認したいのは、稼働率は何パーになっているでしょうか、直近でお願いします。
○政府参考人(舟本浩君) 京都市域交通圏のタクシーの実働率でございますけれども、令和四年度実績に基づきますと、六三%でございます。
○倉林明子君 だから、不足しているのはタクシーじゃないんですよね、運転者なんです。運転者が不足した最大の要因は一体何だったかという分析を踏まえた対応が要ると思うんですよ。
二〇〇二年の規制緩和、これが物すごく効きました。新規参入、増車、これ自由化によりまして、賃金、労働条件が低下、運転者不足を招いたわけですよね。加えて、コロナがありまして需要が一気に低迷するという事態になりまして、運転者の離職が加速されました。タクシー業界の運転手の離職の最大の理由というのは低賃金にほかならないと指摘したいと思うんですね。
そこで、今回の部分解禁で自家用車の登録車両数、これ上限、規制ないんですよね。運賃はタクシーと同程度ということになりましたけれども、タクシー運賃の八割にするんだという改革内容、今後についても示されているわけですね。私、今後全面解禁となりますと、車両数の増加と同時にこれ料金のダンピングが起こりかねないと。タクシー運賃が下落するということになりますと、人手不足更に深刻化するんじゃないかということを非常に懸念しています。現場から、そういうことから反対の声も大きく広がっております。
加えて、この素人の、素人というか、一般のドライバーが参入することによってプロのドライバーが排除されかねないと思うわけです。これ、ライドシェアの解禁、全面解禁なんていうのはやめるべきだと思います。いかがですか。
○副大臣(國場幸之助君) 今回の自家用車活用事業は、タクシー会社の管理の下で、タクシーが不足する地域、時期、時間帯においてその不足分を地域の自家用車や一般ドライバーで補う運送サービスであります。タクシー会社が事業に登録しておける自家用車の数には制限を設けていませんが、時間帯ごとに実際にタクシー会社が使用できる自家用車の数は地域ごとのタクシーの不足分の範囲内に限る制度としております。このように、自家用車活用事業は、タクシーと併せた供給が需要に対して過剰にならない制度設計をしております。
また、自家用車活用事業に限らず、地域の自家用車や一般ドライバーの活用に当たっては、供給過剰などにより、タクシー事業の運営、タクシードライバーの労働環境、ひいては地域の移動の足の確保に悪影響を及ぼすことのないよう、今後とも丁寧に議論をしてまいります。
○倉林明子君 いや、ライドシェアがいつの間にか自家用車活用事業という、呼び方変わっているんですよね。ライドシェア、本当に大丈夫かという声が、声を受けてのことかと思うんです。
私、先ほども指摘しましたけれども、そもそも不足台数というのがマッチング、アプリによるマッチングの調査が根拠になっているんだけれども、そもそも不足の実態ということを正確につかまないままスタートするということは非常に危険だというふうに思います。
今回のライドシェアの部分解禁によって二種免許を持たない一般のドライバーが運転可能になると、これ初めてのことですよね。一番の懸念は、やっぱり安全性が後退しないかと、ここだと思うんですよ。言い切れますか。
○副大臣(國場幸之助君) 自動車による輸送サービスについては、車やドライバーの安全性、事故が起こった際の責任、適切な労働条件の三点が大変重要であると考えております。
このため、今般の自家用車活用事業では、許可基準において、ドライバーの点呼、指導監督及び研修が実施される体制が確立されていること、輸送の安全上支障のないよう自家用車ドライバーの他業での勤務時間を把握すること等を定めるとともに、実際に運行する際には、タクシー会社がタクシードライバーに対して行っているのと同様に、運行管理、車両の整備管理などを行うこととしております。
このように、自家用車活用事業ではタクシー事業者の管理の下で行う運送サービスとすることにより、安全、安心を確保しております。
○倉林明子君 いや、一般のドライバーへの解禁なんですよ。いろいろタクシー会社に管理させる言うたって一般のドライバーなんですよ。そもそもこれ、白タクは、禁止しているのが、禁止しているし、取締りの対象になっているんですよ。私、導入してはならないというのがライドシェアだと重ねて申し上げたいと思います。
そこで、今のタクシーについての安全性というのは様々な規制によって担保されてきているんだけれども、中でも最も高い安全性を要求しているというのが私は個人タクシーだと思います。改めて、主な資格要件はどうなっているのか、御説明いただきたい。
○政府参考人(舟本浩君) お答え申し上げます。
個人タクシーの資格要件でございますが、人口がおおむね三十万人以上の都市を含む営業区域における要件と、人口がおおむね三十万人以上の都市を含まない営業区域における要件の二種類がございます。
京都市域交通圏はこの人口がおおむね三十万人以上の都市を含む営業圏ということでございますけれども、こちらの要件については次のとおりでございます。申請日現在の年齢が六十五歳未満であること、有効な第二種運転免許を有していること、年齢に応じた運転経歴及び無事故無違反要件を満たしていること、事業を行うに十分な資金を有していること、営業所、車庫、車両を有していること、運転に支障のない健康状態であり、また運転の適性を有していること、地理及び地理に、失礼しました、法令及び地理に関する十分な知識を有していること、以上でございます。
○倉林明子君 健康状態の管理も含めて、事故が起こったときの保険についても最大の補償となるように無制限で入っているという人が本当にほとんどかと思うんですね。安心、安全が最も担保されているということで確認できるの、個人タクシーになっていると思うんですね。京都は大変個人タクシーのシェア率も高いです。そして、地域の特性からいっても観光を支えるという本当に大きな役割を担ってもいただいているということ言えると思うんですね。
ところが、この個人タクシー事業者は今どういう状況に置かれているかといいますと、インボイスの導入、これによって新たな課税事業者になることの選択を迫られて、選択すれば増税ということになります。
じゃ、登録事業者にならないという選択した場合どういうことになるかというと、アプリ配車からは排除されるんですね、除外されるという実態が起こっております。登録事業者となったとしても、実態どういう運用になっているかというと、タクシー会社優先配車というのがアプリの特徴でもあるんですよ。そうすると、マッチングの枠外に登録事業者になっても置かれるということ起こっているんですよね。
最も安全な資格要件を満たしているこういうプロのドライバーが支える個人タクシー、これ業界から撤退させると、こんなことはあっちゃならぬと思うんですけれども、いかがですか。
○副大臣(國場幸之助君) 個人タクシーは、国民生活や地域の足を支える重要な公共交通機関としての役割を担っております。
先ほども申し上げたとおり、地域の自家用車や一般ドライバーの活用に当たっては、供給過剰などにより個人タクシーを含めたタクシードライバーの労働環境に悪影響を与えることのないよう適切に対応してまいります。
○倉林明子君 規制緩和で本当に運賃が下がったという事態を招いて、さらに今度はライドシェアの解禁ということで、安全性を確保してきた事業者、プロのドライバーが市場から撤退せざるを得ないというような事態を本当起こしてはならないと思うんです。公共交通で市民の移動の自由を保障すると、こういうドア・ツー・ドアで。とりわけ障害を持った方たちにとっては、タクシーというのは安心、安全が大前提の乗り物であって、移動の自由を保障するという意味で大きな役割を果たしているわけですよね。
運転者の労働環境の改善及び安全の徹底、これこそ利用者の安心につながるということになると思うんです。こういうことをきちんと本当にどう担保していくのかということを抜きに、また、今、労働者の賃金が十分に戻っていないと、生活できる給与になっていないという現状を踏まえれば、全面解禁などもってのほかだと申し上げて、終わります。